摩擦の減らし方とその例とは? わかりやすく解説!

力の利用

摩擦の減らし方

摩擦は、いろいろと役に立ちますが、重い物を動かすときなどは摩擦があるために、たいへん骨が折れます。

このようなときは、できるだけ摩擦を小さくする工夫をしなければなりません。


ころと車

摩擦のうち、物が動きだすときにはたらく最大摩擦力がいちばん大きく、つぎに滑り摩擦、いちばん小さいのが転がり摩擦です。

マッチ箱を動かす実験で、マッチ箱の下に、まるい鉛筆を入れると小さな力でも、マッチ箱が動きだしました。

このように触れ合う面のあいだに、まるい棒を入れて引っ張ると転がり摩擦になるので何10分の1という小さな力で物体を動かすことができます。

このまるい棒のことをころと言います。

城の石垣を見ると、すばらしく大きな石があります。
これは、ころを使って運んだものですが、いまでも、家か動かしたり重い機械などを近くに運ぶのに、ころが使われています。

ころか使って物を運ぶには、つぎつぎところをまえにならべていかなければなりません。
この不便をなくすために、1本の軸の両はしに、輸をはめたものが車です。

また、ころの軸をかわくにとりつけて帯のようにならべたものがあります。
これは、ローラコンベアと呼ばれるもので流れ作業の進んでいる工場などで、よく使われています。

ころも車も、転がり摩擦力のほうが滑り摩擦力よりはるかに小さいことを利用したものです。

そこで、転がり摩擦について、つぎのような実験でもう少しくわしく調べてみましょう。

実験

ちょうど同じ形につくった、2本の四角い木の棒をレールのように平行にならべて、その上に、直角にころをおきます。
そして、この四角い棒と、ころのあいだの転がり摩擦を調べてみましょう。

木の棒のかわりに、2つの机を、少しはなして平行にならべその上にころを載せると回じ仕掛けがかんたんにつくれます。

まず、同じ重さの2つの重りにひもをつけてころに2,3回まきつけてつるします。

このとき、ころは、重り2つだけの重さところの重さを加えた力で木の棒を押していることになります。

つぎに、一方の重りにさげた皿に、少しずつ砂を載せていきます。
すると、ころと木の棒とのあいだに、転がり摩擦があるためしばらくは転がりませんが、砂がある重さになると、転がりはじめます。

この実験で、ころが転がりはじめたときの、砂の重さを測ります。
そして、2つの重りと、ころの重行を加えたもので、砂の重さを割るとこのときの摩擦係数がわかります。

ころと同じ材料で、同じ重さの四角い切れ端をつくり滑り摩擦係数を測ってみると転がり摩擦係数の100倍も大きいことがわかります。

軸受と油

車には転がり摩擦のほかに車軸と軸受のあいだにはたらく摩擦もあります。
車軸は軸受の中で滑りながら回転しますから、この摩擦は、滑り摩擦です。

雨戸や障子が開けにくいときろうや油をぬると、軽く開けられるようになります。
また、机や、たんすの引出が開けにくいときにも、ろうをぬります。

これは、面のでこぼこのうちへこんだところを、ろうや油がうずめて、面を滑らかにするからです。

軸と軸受のあいだには、油をさして、摩擦を小さくします。

軸を軸受に入れると、軸の両側に、角笛の形をした、隙間ができます。
ここに油を入れて、軸を回転させると油は、軸の表面にひきずられて隙間の広いところから、せまいところに向かって、流れこみます。

これは、油にねばりけ(ない)があるからです。

このとき、油に軸と軸受の触れ合う面を引き離そうとする力がはたらきます。
そのため、軸は油の上に浮いているようになり、軸と軸受の摩擦がふせげます。

油と金属とのあいだにも、摩擦はあります。
しかし、金属どうしの摩擦にくらべれば、ごく小さいものです。

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図は、貨車に使われている、軸受です。
この場合は、貨車の重みに、車軸の上からかかっています。

そこで、車軸の上側に、やわらかい貴族(ホワイトメタル)をもった軸受がねをつけています。

車軸の下には、油をしみこませた、糸くずがつめてあります。
油は、車軸が回転するにつれて、自然に車軸と軸受のあいだに入っていきます。

ボールベアリングや、ローラベアリングのように、強い圧力がかかって速く回転するものには、ねばりけの大きい、のりのようなグリースをつめ、摩擦熱によって、焼きつかないようにしています。



ボールベアリング

軸受の摩擦は、油々さすことによって、小さくすることもできますが滑り摩擦を、転がり摩擦にかえて、摩擦を小さくすることもできます。

外から見たのではわかりませんが、自転車や自動車の軸受には小さい鋼鉄の球をたくさん入れたものを使っています。

これは、ボールベアリングといって、車軸と軸受が、直接触れ合って滑り摩擦を起こすかわりに、ボールが転がって転がり摩擦になるようにしたものです。

滑り摩擦でも、転がり摩擦でも触れ合う面が滑らかでないと摩擦が大きくはたらきます。
この摩擦を小さくするには、面をできるだけ滑らかにすることが大切です。

砂利をしいた道路よりも、アスファルトやコンクリートで舗装した道路のほうが自転車や自動車が走りやすいのは、このためです。

また、汽車や電車が走るレールも、転がり摩擦を小さくするために工夫されたものです。

軸や軸受も、できるだけ滑らかに磨かなければなりません。
ボールベアリングの表面も、非常に滑らかにしてあります。

自転車や自動車では、車のまわる速さはそれほど大きくありません。
しかし、飛行機のプロペラのように、すごい速さで回転するものはボールの表面が、摩擦熱で溶けることがあります。

このようなときは、摩擦がぐっと大きくなります。
それで、高速回転をするボールベアリングについてはその材質をとくに工夫してあります。

ローラベアリング

大きな力のかかる軸受では、球のかわりに小さいころをならべた、ローラベアリングを使います。

ころは、円錐形・球面・円筒形などのものが使われています。
左の図は鉄道車両に使われている、ローラベアリングの一種です。




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