水による浮力とは?アルキメデスの原理とは?

力の利用

水による浮力

ガラスの欠片を、水に浮かべようとしても、沈んでしまいます。
ところが、空のガラス瓶は、浮かびます。
また、木片は、内部が空でなくても浮かびます。

空の瓶でも、その中に釘のようなものを入れていくとだんだん沈むようになり、しまいにはまだ中に空気が入っていても沈んでしまいます。

このように、物が浮かんだり、沈んだりするのはどんな条件で決まるのか、調べてみましょう。


水中での物の重さ

水の中では、物の重さは、どうかわるか、つぎの実験をして調べてみます。

実験1

用意するものは、おしばね兼川のばねばかり大きいビーカー、小さいビーカー、上ざらてんびん、糸、小石、木片です。
大きいビーカーの口にパラフィンをぬって水の表面張力をふせぎます。

① 小石を糸でゆわえつけ、空気中での重さを、ばねばかりではかります。

② 大きいビーカーを少しななめにして水があふれでるくらいにしておきます。

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図のようにばねばかりにつるした小石をビーカーの底につけないようにして、水中での重さをはかります。

③ こぼれでた水を、小さいビーカーにとりその水の重さを上ざらてんびんではかります。

水の重さのはかり方は、空のビーカーの重さをあらかじめはかっておき、つぎの式でもとめます。

(水の入ったビーカーの重さ)-(空のビーカーの重さ)=水の重さ

実験2

こんどは木片を用意します。

① 木片の重さを空気中ではかります。

② この木片を静かに水に浮かべ、このとき流れでた水をビーカーにとって、その水の重さをはかります。

③ 木片をおしばね兼用のばねばかりで、静かに水中に沈めます。
そして、木片が完全に水につかったときのばねばかりの目もりを読みとります。

ばねばかりで読みとった重さは浮いている木片を完全に沈めるために必要な力です。
このとき流れでた水を別のビーカーにとって、その水の重さをはかります。

④ 木片を、水中深く沈めたときと、浅いときとでばねばかりの目もりに違いがあるかどうかを確かめます。

これらの実験から得た結果をくらべてみるとつぎのようなことがわかります。

(実験1)から小石の空気中での重さは水中での重さと、こぼれでた水の重さの和に等しい。

(実験2)から(1)木片の空気中での重さは木片を浮かべたときにこぼれでた水の重さに等しい。
(2)浮かんでいる木片を、完全に沈めるために必要な力はそのとき流れでた水の重さに等しい。

(3)②と③のとき、流れ出た水の重さを加えたものは空気中での木片の重さと木片を完全に沈めるために必要な力とを加えたものに等しい。

(4)木片を完全に沈めるために必要な力は水の深さで、かわることはない。



アルキメデスの原理

実験の結果を上手に説明するためには、水中での物体はその物体がおしのけた水の重さだけ軽くなると考えればよいのです。

これを、アルキメデスの原理と呼んでいます。

また、物を軽くするためにはたらく力を、浮力と言います。
したがって浮力は、物体がおしのけた水の重さに等しいわけです。
これらのことは、水ばかりでなく、ほかの液体についても同じです。

(実験1」で、水中での小石の重さは、小石が沈んで、おしのけられてこぼれでた水の重さと同じだから、その水の重さだけ軽くなります。

(実験2」では、最初にこぼれでた水は、木片が水にひたっている部分が、おしのけた水ですから、この水の重さだけの浮力が木片にはたらいているはずです。

この浮力が、木片の重さに等しいので、つりあって浮いているのです。

つぎに、水に浮いている木片を、さらに水の中に押し込むのには、力が必要なことが、まえの実験でわかりました。
この力は、水面に出ていた木片がおしのけた水の重さに等しい力です。

このことは、木片が、新たにおしのけた水の重さと同じ浮力を受けるので、それと同じ力を、浮力と反対方向に加えてやる必要があるからです。

また、木片を全部水中に沈めたときには木片と同じ体積の水がおしのけられるので、浮力の大きさは2回にわたって流れでた水の全体の重さに等しくなります。

ところが木片の重さは、この水の重さよりも小さいので浮いてしまうのです。

木片を、完全に水に沈めておくには木片の重さとこぼれでた水全体の重さとの差だけの力を浮力と反対向きに加えなくてはなりません。

この場合、浮力の大きさとは、水中の深さに関係なくただおしのけた水の重さだけで決まることです。

水に浮くもの・沈むもの

ガラスのビー玉が沈むのは、ビー玉の体積に等しい水の重さよりビー玉の重さのほうが大きいからです。

ここで、まえに説明した物の比重を思い出してみましょう。
比重は、同じ体倣の水の重さの何倍であるかをあらわした数値なので比重が1より大きな物は、水に浮かせると、浮力よりもその物の重さのほうが大きいことになります。

このため、そのようなものは、水に沈みます。
反対に、比重が1より小さいと、その物は水に浮かびます。

もし、比重がちょうど1であればその物は、水中にもぐり、水中のどこにでも留まっています。

しかし、比重が1より大きな物でも、その物の形をうまく工夫すれば瓶や洗面器のように、水に浮かべることができます。

また、もし水のかわりに水銀を使ったとすればこんどは、物がおしのけられた水銀の重さと同じ浮力を受けるので銀や鉄なども浮いてしまいます。

水銀の比重は、約13.6で、銀の比重が10.5、鉄の比重が7.9だからです。
しかし、金のように、比重が19.3のものは、水銀の中に沈みます。




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