渡り鳥の不思議な性質と災難とは? 渡り鳥の通り道とは?

渡り鳥の通り道

渡り鳥のなかでいちばん大旅行をするのは、ホッキョクアジサシです。
この鳥は北極に近い地方で繁殖し、冬が近づくと、アフリカ、または南アメリカを通り、南氷洋にまで渡ります。
この道のりは、片道だけでも、1万7000キロメートルにもなります。

渡り鳥の往復の道すじは、これらの鳥たちの足に、アルミニウムの輪をはめて、調べるようになってから、少しずつわかってきました。
しかし、渡り鳥が、どんなしくみで、いく先を含めるのかは、まだはっきりわかっていません。




渡りの方向の決めかた

日本では、まだ渡りの研究は進んでいませんが、ヨーロッパやアメリカでは、いろいろな実験や観察が繰り返されています。

伝書鳩は、見知らぬところではなされても、しばらく空をぐるぐるまわり、なにか目印になるものを見つけると、方向がわかって、迷わずに、そのほうに飛んでいきます。
1つの決まった方向に進むようにならすと、その方向に進むことを覚え、間違わずに飛んでいきます。

渡り鳥では、1年に1回きりですが、その渡りの道すじを忘れずに覚えていて、親子代々同じ道すじを飛びますから、それが決まった方向に進むようになったのだとも考えられます。

渡り鳥で昼間飛ぶのは体の大きい鳥が多く、必要なときに、えさをとりながら、渡りを続けています。

このように、昼間飛ぶ鳥では、太陽の位置で方向を決めるのかも知れません。

いっぽう、小さな鳥たちは、昼はえさをもとめたり、体を休めたりして夜飛んでいきます。
夜になってから飛べば、ワシやタカなどに襲われる心配がないわけです。

ところが夜飛んだのでは、太陽の位置によって、方向を決めることができません。
このような夜飛ぶ鳥は、星空を頼りに、方向を決めるのではないかと言われています。
夜飛ぶ鳥の場合、くもった夜でも、方向を間違わずに進んでいくところから、これらの鳥たちは、私たち人間には見えない赤外線を感じることができるのだろうという人もあります。
赤外線を感じることができれば、夜でも、まわりの様子が、はっきりわかるわけです。

渡り鳥の不思議な性質

近年になって、ドイツの学者が、夜間に渡りをする鳥は、星空を頼りに方向を含めるという説明を裏付ける、おもしろい実験をしました。

ある種類の小鳥を、渡りをする時期にだけ、星空の見えるかごに入れておいたのです。
すると、その小鳥は、自分の渡っていく方向に体を向けました。

そこで、こんどは、プラネタリウムを使って実験してみました。
この実験に使った小鳥は、ドイツから東南に飛び、アフリカのナイル川にそって渡りをする性質をもったものです。

この鳥の入ったかごを、プラネタリウムのそばにおいて、丸天井のスクリーンに星空をうつしてやりました。
すると、この鳥は、自分の渡りをする方向に、体を向けたのです。

この実験に使った鳥たちは、ひなのころから外を見せないようにして育てたので、星空を見て覚えているわけではありません。

ですから、この鳥たちは、渡りの時期になると、星空によって、自分の渡っていく方向を決める性質が、生まれつき、備わっているとしか考えられないのです。



渡り鳥の災難

渡り鳥は、いろいろな災難にあっています。

気候がいつも平均してかわってくるのならいいのですが、そうはいかないことが、よくあるのです。

せっかく繁殖地(ツバメでは日本など)まで飛んできたのに気候が急に冬に逆戻りして、雪に閉じ込められ、えさもとれずに、凍え死にすることがあります。
また、秋になって、あたたかいところへ飛び立とうとするときに、急に寒さがやってきて凍えたりすることもあり
ます。

渡りの途中に、ワシやタカのような、大きい強い鳥が待ち構えていて、それらに襲われることもあります。

また、雨風が激しくなり、海に叩きつけられて、溺れ死んだり、台風に吹き飛ばされて、仲間にはぐれたり、深い霧のために、進む方向がわからなくなったりすることもあります。

そのほか、灯台や野球場のナイターの強い光にまどわされ、灯台の厚いガラスや野球場のバックネットに、激しくぶっかって、命を落とすこともあります。
また、鉄砲をもったり、網をはったりして待ち構えている人間に、やられることもあります。

このような災難のため、つぎの年に、また生まれ故郷にもどる鳥の数は、出発したときにくらべると、ずっと少なくなっています。







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