原子力発電のはじまりはいつ頃? わかりやすく解説!

科学の進歩

原子力の利用は、不幸なことに核兵器という全人類を破滅に導くような悪魔の兵器をつくるということではじまりました。

そしてこの軍事面での原子力の利用はいまもなお続いています。


しかし一方では、原子の核の中に潜められているエネルギーをたとえば電気にかえてエネルギー問題を解決しようという研究もすすめられています。

アメリカがビキニ環礁で水爆実験をおこなったつぎの年すなわち1955年にスイスのジュネーブで、第1回国際原子力利用平和会議が開かれました。

このときソ連は出力5000キロワットの原子力発電所をすでに運転中と発表して世界中を驚かせました。

原子炉の中で、充分にコントロールしながら(制御棒というものを使い、余分の中性子を吸収させます)ウラン235や天然ウランなどの核燃料を燃やす(連鎖的核分裂反応を起こさせる)と非常にたくさんの熱が放出されます。

この熱で水を高温・高圧の蒸気にかえあとはふつうの火力発電と同じように電気を起こさせるのが原子力発電です。

ソ連で5000キロワットの原子力発電所が動き出してからまだ10年そこそこしか経っていないのに今日では全世界ですでに70基以上の発電炉が運転されており1000万キロワット以上の電気が原子力によってつくられています。

また小型で性能のよい原子炉を商船や砕氷船・潜水艦に乗せれば1年以上も燃料の補給なしに走り続けることができます。

アメリカの原子力商船サバナ号、ソ連原子力砕氷船レーニン号アメリカやソ連のたくさんの原子力潜水艦がその例です。

もちろん原子力の平和利用にも問題はあります。

たとえば原子力発電による電気代が今までの火力発電による電気代と同じくらいにすることができるかどうか燃えカスである死の灰を安全に処理できるかどうか(原子炉の数が増えるにしたがい、この問題は悩みの種になっています)原子炉は事故を起こさないか、絶対の安全が確保されるかどうか(イギリスでもアメリカでも事故が起こり、死の灰がばらまかれたことがあります)といったことなどです。

しかし、これらの問題はいずれは満足のいくように解決されるでしょう。
怖いのは、やはり軍事利用の原子炉の問題です。



たとえば1968年5月6日、佐世保港に寄港していたアメリカの原子力潜水艦ソードフィッシュ号は異常に高い放射線をふくんだ水を排出して(アメリカは排出しないと言い張りましたが)、日本国民に大きな不安の種をまきつけました。

公海上では米ソの原子力潜水艦がどんなにたくさんの放射能をまきちらし海水を汚染しているかわかりません。

原手力潜水艦の沈没事故もありました。
座礁あるいは、衝突して原子炉が壊れ一挙に多量の放射能がばらまかれる危険もあります。

それにプランクトンに吸収され、それを食べた小魚の体にうつり小魚を食べた大形の魚の体内に入ることになります。

そのあいだに、放射能はしだいに濃縮された形となり魚を食料とする人間の体を、しだいしだいに蝕んでいく危険も考えられます。

さて、核燃料ウラン資源が、いつかはなくなってしまうことも考えなければなりません。
そこで、海水の中に無限にある重水素を利用する核融合による発電ということもさかんにすすめられています。

この方法ですと、危険な死の灰もほとんどでないということで大きな期待をもたれてはいるのですが、いつ実用化されるか予測することはできない状態です。




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