蒸気機関が進んだしくみと流れとは? わかりやすく解説!

力の利用

進んだ蒸気機関

図を見て考えてください。

いままで述べた蒸気機関では、ピストンを動かして水あげポンプをはたらかせる力は蒸気機関のピストンが下がるときに出る力でした。

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しかも、この蒸気機関のピストンを下げる力は、大気の圧力なのです。

この場合、復水器でどんなに圧力を下げても、大気には一気圧の力しかありません。

これでは、出せる力にかぎりがあります。


そこでワットは、この機関を改良してピストンを上げるにも下げるにも蒸気の力を使う仕組みをつくりました。

これなら、高い圧力の蒸気を使えば、小さなピストンの機関で大きな力を出すことができます。

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ボイラから送られた蒸気が、ピストンをいっぱいに押し上げると図の①の弁が閉まって、こんどは②の弁が開きます。

すると、こんどは、蒸気が上からピストンを押します。

このとき③の弁が開いて、下側の蒸気は復水器へ流れ、圧力が減ります。
それで、ピストンは強い力で下がるのです。
これを繰り返して、ピストンは往復運動をします。

この往復運動に、ピストンロットでシリンダの外に取り出され、クランクで回転運動にかえられます。

この蒸気機関ができて、はじめて人間は動力を自由に利用することができるようになったといえるでしょう。

蒸気機関は風車や水車と違って、どこでも必要な場所に据え付ければ動力をつくりだしてくれます。



そのため、鉱山や紡績のほか、あらゆる動力に使われるようになりました。
そして、産業革命を起こし、人間の暮らしを大きくかえてしまったのです。

ワットが、蒸気機関をつくってからのちも、いろいろな改良がおこなわれました。
また、用途も広くなりました。

イギリスのスチブンソンはいまの蒸気機関車のもとになった機関車をつくって列車を走らせました。
アメリカのフルトンは、はじめて船に蒸気機関をすえつけて、汽船をつくりました。

また、シリンダを1つではなしに、2つも3つも用いる機関も考えられました。
まず、高い圧力の蒸気を、小さなシリンダに入れて、ピストンを動かします。

シリンダからでてきた蒸気は、体積が増えて圧力が下がっています。
けれども、まだピストンを動かす力はもっているのでこれをもういちど、大きいシリンダに送ってやるのです。

これを、2回膨張機関と言います。

さらに高い圧力の蒸気を使ったものではもういちど、もっと大きなシリンダに送る場合もあります。
これは、3回膨張機関と言われ、船に用いられています。

しかし、どのような蒸気機関にしてもおおもとのしくみは、ワットのものとほとんどかわりがありません。

そのほか、復水器は、シリンダから出てくる蒸気を冷やして水にかえすとともに中の圧力を真空に近い状態に保っている大きな箱です。

これは、大きな蒸気機関や蒸気タービンには、必ず用いられています。
復水器を使うと高い圧力にまで蒸気を膨張させることができるので熱効率が高くなるのです。




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