鳥の増えかた
鳥がたまごで増えることは、ニワトリなどでよく知られることです。
しかし、めすの鳥だけを飼っているときに生んだたまごでは増えません。
めす鳥に、ひなをかえすためのたまごを生ませるときは、おすとかけ合わせなければなりません。
めすの体の中には、卵子というものがあります。
めすとおすをかけ合わせると、この卵子におすの体からでる精子がむすびつきます。
卵子と精子がむすびつくことを受精と言います。
受精した卵子が大きくなって、たまごとなるのです。こうしてできたたまごを、受精卵と言います。
受精卵に対して、めすだけで生んだたまごは受精がおこなわれていないので、無精卵と言います。
受精卵には、ふつう、たまごの目とよんでいる、はいばんというところがあります。
このはいばんは、やがてひなになるところですが無精卵にははいばんがありません。
そのため、無精卵はひなになることはできません。
鳥のように、たまごを生んで子を増やすものを、卵生と言います。
ヘビ・トカゲなどの増えかた
ヘビ・トカゲ・ワニ・カメなどの仲間も、ほとんどが卵生です。
これらのたまごは、鳥のたまごに似ているものが多いのですが鳥と違って、この親たちは、たまごを抱いてあたためることをしません。
たまごは、たいてい土の中や石の下、草の根もとなどに生みっぱなしにされていて太陽の熱であたためられるだけです。
カエルの増えかた
カエルの仲間もたまごで増えますが鳥やヘビ・トカゲなどのたまごと違って、ふつうは水中にたまごを生みだします。
しかし、モリアオガエルは水辺の木の上、シュレーゲルアオガエルは土の中にたまごを生みます。
春に、池や田の中で、ぬるぬるした寒天のようなかたまりがあり、その中には黒い小さな粒がたくさんあります。
その粒の1つ1つが、みな、たまごなのです。
このように、たくさんのたまごがひとかたまりになっているものを卵塊と言います。
しかし、そんな大きな卵塊が1匹のめすがガエルの体から、そのまま出てくるわけではありません。
ひものように細長い卵塊がカエルの体から出たあとで水を吸ってふやけ、あんなに大きなかたまりになるのです。
魚の増えかた
魚も、ふつうはたまごで増えます。
魚のたまごには海面に浮いているもの底に沈んで砂や泥の上に転がっているもの、水中を漂っているものなどがあります。
また、1つ1つばらばらになっているもの、たくさんのたまごがかたまりになっているものなどがあります。
魚のたまごは、たいてい硬い膜で包まれていて砂や小石にはさまれてもなかなか潰れないようになっています。
サメなどでは、たまごが卵のうという硬いふくろに包まれているものがあります。
この卵のうには両はしに細長いひもかついていて海藻にまきつくようになっています。
貝の仲間の増えかた
貝の仲間の多くは、たまごで増えます。
海水浴にいったとき途中の店でホオズキを売っているのを見かけたことがあるでしょう。
このホオズキは、実は海に住む巻貝たちのたまごのさや(卵の5)でホオズキの中には貝のたまごが入っています。
ナギナタホオズキはアカエシのウミホオズキはテングニシの卵のうです。
カタツムリは巻貝の仲間ですが鳥のたまごのような石灰質のからをもった、たまごを生みます。
またモノアラガイは、小川や池の中に住んでいますが、その貝の体などに寒天のような透き通った細長いものがついていることがあります。
これをよく観察しますと、その中に小さな粒が見えます。
これがモノアラガイのたまごです。
昆虫の増えかた
春や夏には畑の野菜や野原の草や木の葉の裏にチョウやガのたまごを見かけることがあります。
これからわかるように、昆虫も、やはり卵生ですが、なかにはいろいろおもしろい増えかたをするものがいます。
アブラムシはアリマキとも言い木の枝などにアリといっしょに生活しています。
このアブラムシは春にたまごからかえったものは、みなめすばかりです。
しかも、このめすには羽根がありません。
そして、このめすは、おすがいなくても卵胎生で子ができます。
つまり、このたまごは無精卵ですが、ニワトリなどの無精卵と違って、このたまごからは子がかえります。
おもしろいことに、このたまごからでたものは、みなめすばかりです。
こうしたことを何度も繰り返して秋になると、はじめて羽根のあるめすとおすがそろって生まれ、これらの受精によってできたたまごが冬を越すのです。
このように、アブラムシのたまごは春から夏にかけては無精卵でありながら、親になることができます。
無精卵から子ができることを、単為生殖と言います。
アリやハチでも単為生殖をします。
ミツバチでは、単為生殖によっておすバチが生まれてきます。
卵生の獣
獣たちは、ふつう子を生んで増えますが、中にはたまごを生む獣もいます。
カモノハシは、オーストラリアなどに住む獣で平たいくちばしを持ち、足には水かきがあって上手に泳ぎます。
そして、たまごを生みますが鳥などと違って子を育てるときは、ほかの獣と同じように乳を出します。
ものでありながら卵生ですが、この2つをのぞけば獣はすべて胎生です。