動物と文明
人間も、動物の一種ですが、頭のはたらきは、ほかのどんな動物たちよりもすぐれています。
そして、ほかの動物が考えることもできない弓矢・鉄砲などを発明しました。
これらを使って立ち向かえば、どんな大きな体の動物でも強い力を持つものでも、倒すことができます。
百獣の王と言われるライオンでも、鳥類の王様とよばれるワシでも陸に住む動物のうちで、いちばん大きいゾウでも、またゴリラでも動物どうしのあいだでは、いくら強くても人間にあっては、とうてい、適いません。
そのうえ、人間は、年ごとに人口が増えていくために森や林を切り開き、沼や池、海などを埋め立てて自分たちの住む場所を広げていきます。
また、空には飛行機が飛び、陸には自動車や電車が走り海には船がかようようになったので、動物たちは住む場所が少なくなるとともに、だんだん住みにくくなってきて野山の動物は減るばかりです。
日本では、明治になるまでは、人口がいまよりずっと少なく将軍や大名のほかは、鳥や獣をとって暮らしを営んでいる狩人しか狩りをすることは許されていませんでした。
ですから、野山には動物がたくさん住み、鳥にしても人里近くにはキジやウズラ、山に入ればヤマドリ、冬にはガンやカモが、数えきれないほど、たくさんわたってきました。
ところが明治維新になり、それまでのいろいろの制度が、いっぺんにあらためられたり、なくなったりしました。
自然に住む動物たちを守る制度もなかったので動物たちは、とられるばかりで全滅したり、滅びかけたものが、たくさんでてきました。
その後も、弁明が進むにつれ、野生の動物は減るばかりで明治以前は鳥にしても近海のクジラにしても外国人たちが驚くほどたくさんいたのに、いまでは、たいへん少なくなっています。
それで野生の鳥や獣・魚・貝などの保護に、つとめなくてはならないありさまなのです。
鳥・獣の保護
1892年には、いまの狩猟法という法律のもとになる決まりができて、とってはいけない鳥、つまり保護鳥が決められました。
そののち、保護鳥ということをやめて、それと反対に、とってもよい鳥や獣の種類や時期をきめ、そのほかは、いっさいとってはいけないことにしました。
けれども、国の掟を守らず、とってはいけない鳥や獣を、こっそりとったり、とる時期にならないうちに、とったりする人がいました。
ことに、第二次世界大戦のころからそのあと、1、2年にわたって、国内での食料不足をよいことにして、こっそりとるものが増えました。
また、燃料不足や耕地不足のために森林の木を切ったり池を埋めたてたりして鳥や獣の住む場所をとりあげてしまったので、さらに減ってしまいました。
これではしかたがないので、狩猟法があらためられ、かすみ網を使ったりして大量に鳥をとってはいけないことになりました。
それでも、年々、鉄砲で猟をする人の数が増えているので鳥や獣は、やはり減っていくことでしょう。
しかし、毎年5月10日から1週間をバードウィークすなわち、愛鳥週間として野山の鳥の保護のために鳥をかわいがる大たちが集まって、さまざまな運動をしています。
魚や貝の保護
魚や貝の仲間にしても科学が進んで、いろいろな新しい取り方が考えられるにつれて、その取り方も激しくなり、海や川・湖に住む動物たちは、どんどん減ってしまいました。
それで、いまでは、時期によって、とってはいけない場所を決めたり一定の期間とることを禁じたりしています。
ひとりでに増える魚や貝たちのほかに、ある特別な魚(サケ・マス・アユなど)や貝(カキなど)は人工ふ化とか、養殖とかいって人手によって増やすことがおこなわれています。
昆虫の保護
昆虫たちをまもるためには、特別な法律はありませんが国立公園などで、特別地域として定められている場所では動物や植物の採集には、必ず、営林署などの許可を受けなくてはならないようにしみだりに採集されないようにしてあります。
高山チョウと言われる種類などは、でる場所も、でる時期も決まっているので、摂り過ぎないように、とくに注意しなければなりません。