生痕の化石
むかしの生物は、いろいろな形で、そのあとを地層の中に残しています。
生物の硬い殻や骨などが、化石として発見されることはふつうですがときにはクラゲやイカのような、やわらかいものが化石となっています。
そのほか、生物の足あと・はい歩いたあと・巣穴・糞のかたまりなど生物の生活のあとが、壊れることなく、地層の中に埋もれていることもあります。
このようなものを、生痕の化石と言います。
これらの化石を調べると大むかしの生物の体のつくりや生活の様子を知ることができます。
化石の順序と期間
いままでに知られている脊椎動物の化石を地層の古いものから、新しいものへと順にならべてみましょう。
魚類は、すでに古生代の中期から化石が発見されています。
しかし、ほ乳類は、中生代の終わりごろになって、はじめて化石があらわれます。
こうして調べて見ると、脊椎動物の仲間が地球上にあらわれた順序は魚類がもっとも古く、両せい類・は虫類・ほ乳類の順に新しくなっていることがわかります。
また、同じ仲間の化石が発見されている地層の時代を線でつないでみるとその生物が地球上にあらわれてから、ながらえた期間を知ることができます。
生物の分かれ目
両せい類の化石でもっとも古いものは古生代中期(デボン紀)の地層から発見された、ラビリントドンとは呼ばれるものです。
つぎに、魚類の化石を調べると、リントドンと同じころに魚類でありながら、空気呼吸もする肺魚類の化石が知られています。
その体つきは、ラビリントドンに、たいへんよく似ています。
このようなことから両せい類は古生代の終わりごろに肺魚類の仲間からわかれてきたものと考えられています。
中間の化石
ある生物から、新しい生物がわかれてくるときにはしばしば、両方の特徴をもつ、中間の形をした生物があらわれます。
ドイツの中生代ジュラ紀の地層から発見された始祖鳥の化石は前足に翼をもっています。
この前足には、爪のある3本の指があって、は虫類に似ています。
しかし、体つきや翼さを広げて空を飛ぶことは、鳥類に似ています。
そのため始祖鳥は、は虫類から鳥類がわかれてでたときの中間の生物であると考えられています。
化石の系統と系統樹
化石の変化にはある系統が見られます。
このことは地層を目印しにして化石がでる場所や、化石の特徴を調べるとわかります。
この化石の系統は生物の進化の証拠になっています。
化石として残っている古生物(大むかしの生物)の生きながらえた期間やほかの古生物からわかれてきた様子は木の枝のように書きあらわすことができます。
これを生物の系統樹といいます。
系統樹の枝の長さは、その生物の仲間が生きながらえた期間にあたります。
そして、幹に近い枝ほど、古い型の生物と言えます。
たとえば、古生代の終わりごろの示準化石となっているボウスイチュウ(フズリナ)の化石を調べるとたくさんの種類があり、しかもいろいろに変化していることがあります。
化石の形は、古い地層からあらわれたものほど小さくなっています。
殻の厚さは、新しいものほど厚くなり内部のつくりも、時代が新しくなるにつれて、しだいに複雑になっています。
このようにして、たくさんの化石を調べてみると生物は時代とともに、だんだん形が複雑になり型も大きくなるような進化をしていることがわかります。