電力
モーターは回転して物を運びあげたり、電車を動かしたりするしごとをします。
もちろん、しごとをしているモーターは、電気を使ってします。
また、電熱器に電流が流れると、熱が発生します。
水蒸気などに熱をあたえるとタービンをまわす仕事をしますから熱も仕事をするはたらきがあります。
このように、電気はもともと、仕事をするはたらきをもっています。
モーターが仕事をすれば、それだけ電気が使われるわけです。
そこで、電気器具が1秒間に使う電気のことを電力と言います。
電力の測りかたは、その電気器具を流れた電気の量ではなく電気器具を流れた電気が1秒間にどれだけの量の仕事をするはたらきがあったかで測ります。
つまり、電気器具が電気を使う割合です。
電力のもとめ方
家庭にきている電気は100ボルトです。
どこの家庭でも同じ電圧の電気を使いますからたとえば、いろいろなモーターの電力は、それぞれを流れる電流の強さに比例します。
しかし、同じモーターでも、電圧が違うところで使えば電流の強さも違うし、そのモーターのする仕事も違ってきます。
ですから、電力をもとめるには、電気器具を流れる電流と電気器具に加える電圧がわかっていなければなりません。
電力(P)、電圧(E)、電流(I)の間には、つぎのような関係があります。
P = E × I ……………………①
電気器具の電気抵抗をRとすると、E、I、Rの間にはオームの法則で、E=IR または、I=E/Rという関係がありますから①式はつぎのようにもあらわすこともできます。
P = I2 × R …………………②
P = E2/R……………………③
電気器具を使うとき、その器具についてE、I、Rのどの値がわかっているかによって①、②、③のどれかを使います。
電力の単位
まえの①~③の式でEをボルト単位、Iをアンペア単位Rをオーム単位で計算したときの電力の単位を、ワッ卜(W)と約束しています。
たとえば、100ボルトの電圧を加えたとき、1.5アンペアの電流が流れるモーターは、100(ボルト)× 1.5(アンペア)=150(ワット)となり3ボルトの電圧で、0.15アンペアの電流が流れる豆電球は3(ボルト)× 0.15(アンペア)= 0.45(ワット)となります。
また、1000ワッ卜のことを1キロワット(kW)と言います。
1キロワッ卜の電力を消費する器具を、100ボルトの電源につないだとき流れる電流の強さは、①式で E=100、P=1000として
1000=100× I
これより、I=10(アンペア)ともとめられます。
電気器具の記号
電球や電気コンロなどの電気器具には記号で、電圧と電力の数字が書いてあります。
電圧の値は、その器具を使うときの電圧をしめしています。
その電圧以上の電源で使うと、電流が強すぎて故障をおこします。
電球ならば、寿命がたいへん短くなります。
60Wとか、100Wと書いてあるのは決められた電圧で使ったとき、その電気器具が使う電力をしめしています。
電気器具にしめされている電圧と電力の値から、その器具の電気抵抗がわかります。
たとえば、100V、60Wと書いてあれば、まえの③式で。
60 = 1002/R です。これから計算してR=167(Ω)ともとめられます。
電力の和
2つ以上の電気器具を使うときは、ふつうは、並列つなぎで使います。
そのときの全体の電力は、それぞれが使う電力を加えた和になります。
たとえば、30ワットの蛍光灯4本、500ワッ卜の電気アイロン1個150ワッ卜のテレビ1台、100ワッ卜の電気洗濯機を同時に使用すると全体の電力は{30(W)×4 }+ 500(W) + 150(W) + 100(W) = 870(W) となります。
したがって、このときに安全器を流れる電流の強さは、870(W)÷100(W) =8.7(A)となります。
ですから、安全器のヒューズは9アンペアにたえるものでなければならないことになります。
電力量
電気器具が1秒間に使う電気が電力ですから電気器具を何時間か使ったときの電力の全体の量は(電力)×(時間)で計算します。
これを電力量と言い、ワッ卜時(Wh)の単位であらわします。
1ワッ卜時は、1ワットの電力を消費する器具を2時間使用したときに使われる電力量です。
ふつうは、キロワッ卜時(kWh)を使います。
たとえば、150ワッ卜のテレビを3時間つけると、150(W)×3 = 450(Wh)= 0.45(kWh)の電気を使ったことになります。
家庭や工場で使った電力量を計算する器械が、積算電力計です。
積算電力計の内部には、アルミニウムの円板があってこれが、モーターと同じしくみで、まわっています。
この円板の回転数が、歯車のはたらきで目もりをつぎつぎにかえるしくみになっています。
ですから、目もりを見れば、使った電力量がわかるのです。