ディーゼル車の特長と種類とは? わかりやすく解説!

ディーゼル車

ディーゼルエンジンによって走る鉄道車両にはディーゼル機関車とディーゼルカー(ディーゼル動車)とがあります。

ディーゼル車は、ディーゼルエンジンの回転力を動輪に伝える方法によって
機械式・液体式・電気式にわけられます。


ディーゼル車の特長

ディーゼルエンジンを利用した車には、つぎのようなすぐれた点があります。

①燃料の熱を力にかえる率が高い

蒸気機関車では、使った石炭の7パーセントしか、力に利用できないのにディーゼル車では、燃料の熱量の35パーセントまでを力にかえることができます。

②地上設備が安くてすむ

電化のように送電線をひいたり、変電所をつくったり架線のための柱や電線を設備する費用がかかりません。

③乗り心地がよい

煙りがでないので、乗っている乗客や乗務員が楽です。

④運転費が安い

ガソリンエンジンと違って、値段の安い軽油を使いますから運転費も安く、そのうえ、火災の心配も少なくて安全です。

ディーゼルエンジン

ディーゼルエンジンでは、まずシリンダに空気を吸いこみ吸気弁を閉じて、ピストンで空気を圧縮します。

そして、その温度が高くなったところに軽油を入れて燃やすと、高い圧力のガスにかわります。
このときの、ガスがピストンを押す力をクランクに伝え車輪の回転に利用しています。

しかし、この力で直接に車輪を回転させることはできないので伝達装置を使っています。

機械式

自動車のように、変速歯車をもっていて、これで速力を加減します。

ディーゼルカーが、小型で馬力が200馬力以下の小さかったころは、ほとんどが機械式でした。

2両や3両連結のときには、1両ごとに運転士をのせて警笛などで合い図しながら、歯車の切り替えをおこなっていました。

液体式

機械式では、200馬力以上になると、歯車の切りかえが重くなります。
そこで、流体変速機(トルクコンバーター)を使う方法が考えられました。

流体変速機の原理はポンプとタービンを組み合わせたものでディーゼルエンジンの力でポンプの羽根車をまわして液体(油)の流れをつくります。

これを、案内羽根車で、タービンの羽根車にあててエンジンの回転力や、回転数を加える仕組みです。

流体変速機は取扱いがやさしくて、切りかえが滑らかです。
そのため、DD13形などの中型機関車やディーゼルカーに多く使われています。

また、近頃では、液体式で出力2000馬力もある、DD51形の大型機関車や1250馬力のDEK形、1820馬力のDD54形客貨両用機関車などもできています。

電気式

これは、ディーゼルエンジンで発電機をまわして電気を起こし、この電気で電動機をまわして走るものです。

ちょうど、発電機を車内にもっている電車か、電気機関車のようなものです。
電気式ディーゼル機関車には、DD50形やDF50形などがあります。



ディーゼル機関車

客車や貨車をひくための大きなエンジンを備えて、いろいろな装置を車台に積んでいるのが、ディーゼル機関車です。

本線用には、DD51形・DD54形・DF50形などがあります。
入れかえ用には、DD13形などが使われています。

そのほか、大雪のときには、雪かき装置を取り付けることのできるDD14形やDD53形があります。

ディーゼルカー

床下に、エンジンや機械類をさげ上が客席などになっているのが、ディーゼルカーです。

近頃ではディーゼルカーのほとんどが流体変速機を使っています。
ディーゼルカーのすぐれているのは、つぎのような点です。

    ①車両の連結・切りはなしがかんたん。

    ②総括制御がしやすく、故障も少ない。

    ③電化区間でも、電化していない区間でも走れる。

    ④機関車のように、とくに車両が重くないので多少線路が弱くても、速力が出せる。

    ⑤流体変速機を使っているので、出発や停止のときのショックが少ない。

日本でディーゼルカーの本格的な研究がなされたのは第二次世界大戦後のことですが、わずか十数年のうちにディーゼル王国と言われるまでに、急速に発達してきました。

はじめは、電化されていない、ローカル線に使われていましたが現在では普通列車だけでなく、急行・特急列車にもどんどん使われています。

閑散線区用ディーゼルカー

お客の少ない支線で使われる、小型のディーゼルカーです。
エンジンや変速機にバスと同じものを使ったため、レールバスともよばれています。

現在では、だんだん使われなくなりました。

一般用ディーゼルカー

いちばん多く見られるディーゼルカーです。
これには、キハ10・11・12・16・17・19・20・21・22・25・52系などがあります。

通勤用ディーゼルカー

都市の近くの通勤や通学をする人のためにつくられたディーゼルカーです。
これには、キハ23・30・35・36・45・53系などがあります。

急行用ディーゼルカー

急行列車用に使われるディーゼルカーです。
これには、キハ26・27・28・55・56・57・58系などがあります。

特急用ディーゼルカー

特急列車用のディーゼルカーです。

1960年12月、ディーゼル特急「はつかり」が登場してから全国各地にディーゼル特急が走るようになりました。

これには、キハ81・82・181系などがあります。




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