レールのしくみとは?レールの敷き方とは? わかりやすく解説!

曲線の線路

列車が安全に、カーブを通れるように線路とその上を走る車両とのあいだには、1つの決まりができています。

それは、カーブの部分では、幅1.067メートル長さ4.6メートルの長方形のものが通れるようにレールの幅を広げなくてはいけないということです。

これをスラックと言い、そのカーブの様子によって2ミリから30ミリまで、幅を広げています。

また、自転車やオートバイがカーブするとき車体か内側に傾くように、列車も車体を傾けて曲がります。

もし傾けないと、外側に倒れてしまいます。
これは、カーブするときに遠心力がはたらいて外側にひっぱる力ができるからです。
それで列車は倒れないまでも、中の乗客や荷物がカーブの外側にひきつけられます。

そこで、カーブの線路では、内側のレールよりも外側のレールを高くして列車を内側に傾け外側にひきつけると力とつり合わせるようにしています。

外側のレールと内側のレールの差を、カントとよんでいます。
カーブの度合をあらわすのには、その曲線の半径を使います。

400メートル半径より2000メートル半径の曲線のほうがカーブが緩やかで、スピードの速い列車を走らせることができます。

いままでの東海道本線では、いちばん急な曲線が400メートルでしたが新幹線の曲線は、最小2500メートルの半径になっています。


レールのしき方

線路を新しく設計された地図にしたがって線路の中心になるところに小さな杭をうち、場所を正確に決めます。

そして、土地の高低をならすために、低い場所にもり土をしたり高いところを切り取ったりトンネルや鉄橋をつくります。

これを路ばんと言います。

路ばんができると、地面に砂利やわり石を熱くしいて、よくつき固めます。
こうしたところを、逆床と呼びます。

道床はレールから伝わる車両の重みをいちように路ばんに伝えるはたらきをします。

また、列車の音や振動が少なくなるようにしたり水はけをよくして、まくら木の腐るのをふせいでいます。

そのうえに、まくら木をならべてレールをしき、いぬくぎでレールをとめます。
まくら木はレールの間隔を正確に保ち、道床に平均に重さを伝える役目をします。

まくら木には、ヒノキ・クリ・ナラなどが使われていますが近頃では、レールとまくら木のあいだにゴム板を入れたり木のかわりに、コンクリートのまくら木を多く使うようになりました。

レールのつぎめ

列車に乗っていると、コットンコットンという車の音が聞こえてきます。
これは、レールのつぎめに隙間があるからです。

この隙間があるために、温度が高くなってレールが伸びてもレールとレールが押し合って、曲がらないようになっています。

この隙間は、ちょうどレールの温度が40度になったときなくなるように考えられています。

近頃では、レールの止め方を丈夫にしてレールの伸び縮みをおさえる方法ができたので1本の長いレールにして使っている区間もあります。



レールの形

レールには、いろいろの形がありますが、ふつう底が平らで、Tを逆さにしたような平底レールが多く使われています。

レールにかかる車両の部分は、上と下に強く、中の部分には、あまりかかりません。

そのため、はじめは双頭レールが使われていましたが、しだいに胴枠のところの細いものが使われるようになりました。

東海逆新幹線では平底レールをさらに強力にした、新しいレールが使われています。

線路の幅

世界中の鉄道のうち72パーセントまでが1.435メートルの幅の線路を使っています。
それで、この幅の線路を標準軌道と言い、これよりせまい線路を狭軌、広い線路を広軌とよんでいます。

日本の国鉄の線路の幅は、1.067メートルで狭軌です。

また、東海道新幹線や山陽新幹線の線路の幅は、1.435メートルで慓凖軌道ですが、日本では標準軌道をふくめて、広軌と言っています。

線路の幅は、正確には車輪が乗って走る部分から16ミリ下がったところまでのあいだで左右2つのレールのいちばん短い距離を測ります。

レールの摩擦

汽車の車輪がレールの上を転がりながら進むときレールと車輪のあいだには、滑り摩擦と転がり摩擦がはたらきます。

汽車が走るためにはレールと車輪とのあいだの滑り摩擦を大きくしなければなりません。

レールが水や油でぬれているときは滑り摩擦が小さくなるのでレールに砂を言いて、動輪が空回りすることをふせぎます。

また、車輪とレールのあいだには、転がり摩擦がはたらいています。
この転がり摩擦は、車輪やレールが硬ければ硬いほど小さくなります。




ディーゼル車の特長と種類とは? わかりやすく解説!

ディーゼル車

ディーゼルエンジンによって走る鉄道車両にはディーゼル機関車とディーゼルカー(ディーゼル動車)とがあります。

ディーゼル車は、ディーゼルエンジンの回転力を動輪に伝える方法によって
機械式・液体式・電気式にわけられます。


ディーゼル車の特長

ディーゼルエンジンを利用した車には、つぎのようなすぐれた点があります。

①燃料の熱を力にかえる率が高い

蒸気機関車では、使った石炭の7パーセントしか、力に利用できないのにディーゼル車では、燃料の熱量の35パーセントまでを力にかえることができます。

②地上設備が安くてすむ

電化のように送電線をひいたり、変電所をつくったり架線のための柱や電線を設備する費用がかかりません。

③乗り心地がよい

煙りがでないので、乗っている乗客や乗務員が楽です。

④運転費が安い

ガソリンエンジンと違って、値段の安い軽油を使いますから運転費も安く、そのうえ、火災の心配も少なくて安全です。

ディーゼルエンジン

ディーゼルエンジンでは、まずシリンダに空気を吸いこみ吸気弁を閉じて、ピストンで空気を圧縮します。

そして、その温度が高くなったところに軽油を入れて燃やすと、高い圧力のガスにかわります。
このときの、ガスがピストンを押す力をクランクに伝え車輪の回転に利用しています。

しかし、この力で直接に車輪を回転させることはできないので伝達装置を使っています。

機械式

自動車のように、変速歯車をもっていて、これで速力を加減します。

ディーゼルカーが、小型で馬力が200馬力以下の小さかったころは、ほとんどが機械式でした。

2両や3両連結のときには、1両ごとに運転士をのせて警笛などで合い図しながら、歯車の切り替えをおこなっていました。

液体式

機械式では、200馬力以上になると、歯車の切りかえが重くなります。
そこで、流体変速機(トルクコンバーター)を使う方法が考えられました。

流体変速機の原理はポンプとタービンを組み合わせたものでディーゼルエンジンの力でポンプの羽根車をまわして液体(油)の流れをつくります。

これを、案内羽根車で、タービンの羽根車にあててエンジンの回転力や、回転数を加える仕組みです。

流体変速機は取扱いがやさしくて、切りかえが滑らかです。
そのため、DD13形などの中型機関車やディーゼルカーに多く使われています。

また、近頃では、液体式で出力2000馬力もある、DD51形の大型機関車や1250馬力のDEK形、1820馬力のDD54形客貨両用機関車などもできています。

電気式

これは、ディーゼルエンジンで発電機をまわして電気を起こし、この電気で電動機をまわして走るものです。

ちょうど、発電機を車内にもっている電車か、電気機関車のようなものです。
電気式ディーゼル機関車には、DD50形やDF50形などがあります。



ディーゼル機関車

客車や貨車をひくための大きなエンジンを備えて、いろいろな装置を車台に積んでいるのが、ディーゼル機関車です。

本線用には、DD51形・DD54形・DF50形などがあります。
入れかえ用には、DD13形などが使われています。

そのほか、大雪のときには、雪かき装置を取り付けることのできるDD14形やDD53形があります。

ディーゼルカー

床下に、エンジンや機械類をさげ上が客席などになっているのが、ディーゼルカーです。

近頃ではディーゼルカーのほとんどが流体変速機を使っています。
ディーゼルカーのすぐれているのは、つぎのような点です。

    ①車両の連結・切りはなしがかんたん。

    ②総括制御がしやすく、故障も少ない。

    ③電化区間でも、電化していない区間でも走れる。

    ④機関車のように、とくに車両が重くないので多少線路が弱くても、速力が出せる。

    ⑤流体変速機を使っているので、出発や停止のときのショックが少ない。

日本でディーゼルカーの本格的な研究がなされたのは第二次世界大戦後のことですが、わずか十数年のうちにディーゼル王国と言われるまでに、急速に発達してきました。

はじめは、電化されていない、ローカル線に使われていましたが現在では普通列車だけでなく、急行・特急列車にもどんどん使われています。

閑散線区用ディーゼルカー

お客の少ない支線で使われる、小型のディーゼルカーです。
エンジンや変速機にバスと同じものを使ったため、レールバスともよばれています。

現在では、だんだん使われなくなりました。

一般用ディーゼルカー

いちばん多く見られるディーゼルカーです。
これには、キハ10・11・12・16・17・19・20・21・22・25・52系などがあります。

通勤用ディーゼルカー

都市の近くの通勤や通学をする人のためにつくられたディーゼルカーです。
これには、キハ23・30・35・36・45・53系などがあります。

急行用ディーゼルカー

急行列車用に使われるディーゼルカーです。
これには、キハ26・27・28・55・56・57・58系などがあります。

特急用ディーゼルカー

特急列車用のディーゼルカーです。

1960年12月、ディーゼル特急「はつかり」が登場してから全国各地にディーゼル特急が走るようになりました。

これには、キハ81・82・181系などがあります。




電車の種類とは?モノレールのしくみとは? わかりやすく解説!

電車のいろいろ

電車も電気機関車と同じように電源の種類、使い道、仕組みなどによって、いろいろな種類があります。

直流電気で走る電流電車、交流電気で走る交流電車、直流電気でも交流電気でも走れる交直流両用電車などがあります。


交流電車

交流電車の走る仕組みは、交流電気機関車とほとんど同じです。
日本国有鉄道には、東海道新幹線用の電卓のほか、函館本線用の711系があります。

交直流両用電車

交直直両用電車も、交直流両用電気機関車とほぼ同じ仕組みで走ります。

日本国有鉄道には、401系・403系・421系・451系・471系・483系などがあります。

通勤用電車

都市やその近くを走り通勤や通学など都市の人々の日常生活の足として利用される電車です。

通勤や通学の距離が長くなるにつれ、そのスピードも早くする必要があり、また、非常にたくさんの人が乗り降りするため立席が多く、出入口も広くなっています。

日本国有鉄道の101系・103系などが代表的です。
この電車は、モーターが強力で、1変成10両のうち、6両が電動機です。

また加速・減速がすばやくできます。

近距離用電車

比較的近距離の通勤や通学に使われる電車です。
日本国有鉄道の111系・115系・401系・403系・421系などがあります。

中・長距離用電車

長い距離を走る電車で、スピードも速く車内設備も客車のようにゆったりとしています。
日本国有鉄道の153系・155系・157系・161系・165系・181系・451系・471系などがあります。

また、私鉄が感光用の特急電車に使っているロマンスカーやビスタカーも、このなかに入ります。

地下鉄

地下鉄は、地下のトンネルの中を走る電車です。
トンネルを掘るには、たくさんの費用がかかりますが、地上に高架線をつくると邪魔物が多かったり、騒音が大きくなるので、都会では地下鉄が適しています。

地下鉄は、ふつう線路のわきに架線のかわりに第三レールをしき、これからコレクタシューで電気をとっています。

トンネルを小さくつくれば、それだけ安くすむのでパンタグラフはあまり使われません。

しかし、最近では、いままでにある私鉄などの相互乗り入れのためパンタグラフを使っている地下鉄もあります。

路面電車

道路上に線路をしき、その上を走る電車です。
東京の都電や、大都市の市電などがこれにあたります。

市内の乗り物としては便利ですが、スピードが遅く自動車のように自由に運転できないなどのことから、しだいに姿を消しつつあります。

連接台車を使った電車

ふつうの電車は、一両ずつ連結したり、切りはなしたりできるようになっています。

しかし、この連接台車では、車両のつなぎめの下に台車があり2台の車体が1つの台車に乗ったような形になっています。

そのかわり、台車の数が少ないので曲線でもスピードが出しやすく、脱線の心配も少ない特長があります。

また、車内の床を低くして、車体の重心を低くすることにも役立ちます。
小田急のNSE車や近鉄のビスタカーは、この形の電車です。



モノレール

1本のレールによって走る電車を、モノレールと言います。

モノレールは、これまでの鉄道にくらべて①建設がかんたんで、費用が安い ②車輪にゴムタイヤを使うので、そう音や振動が少ない ③脱線の心配がなく、かなり急なこう配でも登れる、などのすぐれた点があります。

モノレールには、つぎの2種類が実用化されています。

懸垂式

地上に柱を建て、その上に1本のレールをしき、車体をつりさげて走らせるものです。
車輪は車体の上にあり、車体はレールの下にぶらさかっている形になります。

西ドイツのブッパタールという町や、日本の上野動物園にあります。

こ座式

柱の上にコンクリートの柱げたをわたし、電車はそれにまたがって走るものです。
車輪は、レールの上と左右両側にあり、3つの方角から車体を支えて走ります。

日本では、東京の浜松町~羽田空港間のほか、各地の遊園地などで使われています。

ケーブルカー

ふつうの電車では登れないような急な坂の線路には、ケーブルカーが使われます。

山の上と下に駅があり、山の上の駅には機械室があります。
機械室には、大きな車(ドラム)があって何本もの鋼鉄の針金をよりあわせた、丈夫なロープがまきつけられています。

このロープの両はしには、ケーブルカーが結びつけられていて1台が上の駅にいれば、もう1台は下の駅にいるようになっています。

山の上の機械室で、電動機で大きなドラムをまわすと上の駅にいる電車のロープが伸びて、電車は下ヘ下りはじめます。

それと同時に、下の駅にいる電車のロープはドラムにまかれるので、電車は登りはじめます。

電車はちょうど、つるべ井戸の桶のように、単線線路を上下します。
都合のよいことに、下りる電車の力が登る電車を助けるはたらきをするのでドラムをまわす力が小さくすみます。

また、ケーブルカーは、車台に電動機をもっていません。
ただロープで結ばれているだけですから、もしロープが切れたりすると危険です。

そのため、速力がですぎると自動的にレールをしめつけてとまる装置がついています。

トロリーバス

卜ロリーバスはバスと路面電車との中間にあたる車両です。

ゴムタイヤをつけ、屋根の2本のボールのうち1本のボールで架線から電気を取り入れ、使った電気はもう1本のボールからかえします。

この電気で電動機をまわし、その力を後車輪に伝えて走ります。

電車の記号

電車は客車の一種と考えて、日本国有鉄道では、記号も客車の記号を使っています。

大きさの記号のかわりには、モ・ク・ナなどの記号を使います。




電車のしくみと特長とは? わかりやすく解説!

電車の特長

電車は、機関車にくらべると、発車してからわずかの時間で速力がでます。
ブレーキもよく利くので、駅と駅が短い区間でも、速く走ることができます。

また、電動機が小さいわりに、大きな力が出せます。
終着駅では、機関車のつけかたをするような必要がないので、かんたんにおりかえすことができます。

輸送力も大きいので、停車回数の多い都市近郊の交通機関として非常にすぐれています。

ちかごろでは、性能のよい電動機や台車ができているので長距離輸送にも、さかんに電車が使われるようになってきています。


電動車・制御車・付随車

ふつう、電車というと、電動機をもっている電動車だけでなく電動車といっしょに走る制御車や付随車も電車とよんでいます。

制御車というのは、電動機はついていませんが電動車をうしろにつないで、回転して走ることのできる車です。

また、付随車は、電動機も運転室もなく、客や荷物を載せるだけのものです。

車体

架線から電気をとって走るしくみは、電気機関車とあまりかわりません。

電気機関車では車体の中に機械室があるのに、電車では抵抗器や発電機・電動空気圧縮機などが小型になって床下につりさげられています。

パンタグラフから入った電気は、遮断器・開放器を通って電動機へきます。
また、コントローラ・主接触器を動かせば抵抗器がはたらいて電動機の回転を加減することができます。

停車のときは空気圧縮機でつくった圧縮空気をブレーキシリンダへ送って空気ブレーキをはたらかせます。

最近の電車は、数台の電車が1組みになって編成されるようになっていて、いろいろな装置を能率よく各電車にわけて取り付けるようになっています。

台車

台車は2つあり、前後に1台ずつあります。
車体と台車は1本の心棒でむすばれ、台車は自由にまわれるようになっています。

それで、カーブのところでも安全に走れます。このような台車を、ボギー台車とよんでいます。

ボギー台車には、ふつう2軸の動輪があって台車についている電動機から、歯車で回転力が伝わるようになっています。

また、鋼鉄製のばね、空気ばね、オイルダンパなどをつけて振動をやわらげています。




電気機関車の種類とは?直流式と交流式とは?

直流式と交流式

電気機関車の電源には、直流電源と交流電源とがあります。

日本国有鉄道では、1500ボルトの直流を使っているものと2万ボルトの交流を使っているものがあります。

また、私鉄では、600~700ボルトの直流を使っているところもあります。


交流を使っているものには、50ヘルツの交流を使うものと60ヘルツの交流を使うものとがあります。

ところで、交流のほうがすぐれているのは、つぎのような点です。

  1. 高い電圧で送電できるので同じ出力でも電流が少なくてすむとともに電圧降下が少ない
  2. 変電所の数が少なくてよい
  3. ふつうの送電線からも電気を受けることができる
  4. 直流電化より、交流電化のほうが設備費が安くてすむ

直流式は直流電動機を使いますが、交配式の場合、機関車内で交流を直流にかえて、直流電動機を使うものがほとんどです。

日本国有鉄道の.ED61形・EF58形・EF60形・EF62形・EF63形・EF65形などは直流式です。

交流電気機関車

交流電圧を直接変圧器で低くして使う直接式の交流電気機関車もつくられましたが、最近では、交流を整流器で直流にかえ、その電気で直流電動機をまわす間接式の交流電気機関車が使われています。

ED70形・ED71形・ED72形・ED74形・ED75形・EF70形などは交流電気機関車です。

交直流両用電気機関車

直流電化区間では、直接に直流電動機をまわし交流電化区間では交流を直流にしてから直流電動機をまわして走る電気機関車を交直流両用電気機関車と言います。

山陽本線の門司~下関間や常磐線では直流電化区間と交流電化区間の両方を走るため、この電気機関車が使われています。

EF30形やEF80形・EF811形があります。



旅客用・貨物用・こう配用

旅客用の電気機関車は電動機の小歯車と動輪の大歯車との比を小さくとってあります。

EF58形・EF61形などが旅客用です。

貨物用は、力を強くするため、歯車の比を大きくしてかるので引く力は大きくても速力はあまりだせません。
ED61形・ED73形・EH10形・EF66形などは貨物用です。

また、こう配(坂道)用には貨物用の機関車でも代用できますが下りこう配のとき、ブレーキといっしょに電動機を発電機としてはたらかせて発電された電気を抵抗器で熱にする発電ブレーキや電気をふたたび架線に通して送りかえす回生ブレーキを備えた電気機関車などが使われています。

また、電磁石によって、レールと電磁石のあいだに引っ張る力をはたらかせてブレーキをかける、電磁ブレーキを用いた電気機関車もあります。

信越本線の碓氷峠では、レールのあいだにしいた歯型レールと電気機関車に取り付けた歯車とをかみ合わせて滑りをふせぐアプト式のED42形が使われていましたが現在では、ふつうの電気機関車と同じような、EF62形とEF63形が使われています。

EF63形は、発電ブレーキと電磁ブレーキとを備えています。

電気機関車の記号と番号

記号は、蒸気機関車と同じように動輪の軸の数で2軸がB、4軸がD、6軸がF、8軸がHというようにつけます。

そのまえに、英語の電気(エレクトリック)という言葉の頭文字Eをつけてほかの機関車と区別しています。

つぎの数字のはじめの2桁は、電気機関車の種類をあらわします。
10~29までは直流式、30~49までは交流式で最高時速85キロ以下の電気機関車です。

50~69までは直流式、70~89までは交流式で、最高時速85キロ以上の電気機関車です。

90台の番号は試験用に使われている電気機関車と決められています。
そのあとの番号は、同じ形の中の製造番号です。




電気機関車の仕組みと特長とは? わかりやすく解説!

電気機関車

電気を動力として使って走る機関車を、電気機関車と言います。
ふつうは、線路の上にはられた架線から電気を取り入れ、モーターをまわして走ります。


電気機関車の特長

電気機関車には蒸気機関車にくらべると①出発するときの力が強い ②運転費が安い ③煙りを出さない④エネルギーの効率が高いなどの特長があります。

その反対に機関車の値段が高く、電化するのに費用がかかるという欠点もあります。
そのため、1879年ドイツのジーメンスが電気機関車をはじめてつくってからも、鉄道の電化は、急には進みませんでした。

しかし、日本では、だんだん蒸気機関車は使われなくなり、電気機関車やディーゼル機関車の時代になってきています。

車体

電気機関車の車体は、運転室と機械室とにわかれています。
機械室が中央部にあって、その前後に運転室のあるのがふつうです。

運転室には、スピードの加減をするコントローラ、ブレーキのハンドル、スピードメータ・電圧計・圧力計などの各種の計器、スイッチ、気笛弁などがあります。

機械室には、運転室のコントローラで動く単位スイッチや、電流の強さを加減する抵抗器、電動発電機、ブレーキに使う圧縮空気をつくる圧縮機、モーターを冷やす送風機などがあります。

また、旅客用の電気機関車には、客車の暖房に使う蒸気をつくるボイラを備えたものもあります。

台車

台車には、モーターがついた動輪のほか脱線をふせぐための先輪を取り付けたものもあります。
また、ブレーキ装置や砂箱なども台車に取り付けられています。

曲線の線路を走りやすくするために、台車を2つ、または3つの部分にわけています。
まだ、台車と台車とのあいだに、中間台車を取り付けたものもあります。



電気の通り道

電気機関車は、電動機をまわして走りますが、電気は線路の上にはられた架線という電線から、パンタグラフで車内に取り入れられます。

特別なものでは線路の横に第三レールと言う電気をとるレールをひき、そこから、コレクタシュー(集電靴)で電気を取り入れています。

電気機関車の電動機には、ふつう、直流直まき電動機が使われています。

この直流電動機には、回転をはじめると、その連動をさまたげるような電気の流れを生じる性質があります。
電動機が速くまわればまわるほど、この砲気の力も大きくなります。

そのため、電動機には、まわりはじめにたくさんの電気が流れますが、まわっている最中には、あまり電気が流れないことになります。

しかし、電気があまり流れすぎると、電動機が壊れてしまうので、電気をいちど抵抗器に入れて、流れる量を加減してやります。

まず、出発するとき、機関士はコントロール(主幹制御器)のハンドルをひいて全速力で回転したときと同じ抵抗の力を抵抗器に入れます。

少し速力が出てくると、電動機の抵抗が増えて、電気が流れなくなるため、コントローラをまわして、抵抗器の抵抗を少し減らします。

さらに、速力が増えれば抵抗を減らすようにして、スピードを上げ、常に同じ量の電気が流れるようにします。

こうして、抵抗器の抵抗が全部なくなれば電動機のつなぎ方を直列から並列にかえて、さらに抵抗をおとします。

含められた速力になるとコントローラを動かさなければ、速力はそのままに保たれます。

この電動機の回転は電動機の軸の小歯車から動転軸の大歯車に伝えられて、動転を回転させます。

また、電動機をまわすのに使われた電気は車輪からレールに流れて変電所にかえります。

電気機関車の電動機をまわす電気は、直流電気機関車では1500ボルト交流電気機関車では2万ボルトもあり、この電圧で運転の操作をするのは危険です。

そのため、機械室内の電動発電機で100ボルトの電気を起こし、その電気で、コントローラを通して、単位スイッチを動かす仕組みになってします。

ブレーキに使う圧縮空気は、空気圧縮機でつくられます。

機関士がブレーキハンドルを動かすと圧縮空気がブレーキシリンダに入って
ピストンをはたらかせます。

圧縮空気は、そのほかにパンタグラフの上げ下げや気笛・砂まきなどにも使われます。




蒸気機関車の仕組みと特長とは? わかりやすく解説!

蒸気機関車の特長

蒸気機関車は、はじめて鉄道ができて(1825年)から現在まで100年以上ものあいだ、世界中の鉄道で、いちばん多く使われてきました。

このように、長く鉄道の主力をしめてきたのは蒸気機関車には、つぎのようなすぐれた点があるからです。

  1. 搆造がかんたんで故障が少ない
  2. 製作費が安く、地上設備も電化にくらべると、ずっと安くてすむ
  3. 機械部分の寸法精度が、それほど高くなくてよい
  4. 燃料が、どこでも手に入りやすい

反対に欠点としては

  1. 熱が仕事にかわる割合が少ない ②煙りのための害が大きい
  2. 石炭などをたくのに、機関士がたいへんな労働になるなどがあげられます

蒸気機関車は、蒸気をつくるボイラ、その蒸気の力を走る力にかえる走り装置、車体の骨組みとなる台枠、ブレーキ装置、運転室、石炭や水を積む炭水車(テンダ)からなります。


ボイラ

まずボノラは、火室・かんどう・煙室の3つにわけられます。

火室は、燃料を燃やすところで火ごうしの上で石炭を燃やし、その熱い煙りを煙管に導きす。
火ごうしの下には、灰箱があって、線路に火が落ちないようにしてあります。

また、火室の外側は熱が無駄にならないように水で囲んであり、この部分を外火室と言います。

火室の先をかんどうと言い、ここでガスの熱を水に吸収させて蒸気にかえます。
水に熱が速く伝わるように、煙管を何本も通してその中を煙りが通るようになっています。

このまわりを、水が取り巻いています。
かんどうの上部には、できた蒸気の取り出し口や蒸気だめがあります。

ボイラの前部で、煙りを外に出すところが、煙室です。
蒸気気機関車の煙突は、むやみに高くはできません。
そこで、煙突の下に、と出管をつけてあります。

ここで、蒸気の吹き出す力を利用して煙突から煙りをだし、火室の中で火がよく燃えるように考えられています。

走り装置

ボイラでできた蒸気を導いて、走る力にする部分で動力装置・車輪・蒸気取り出し管などにわけられます。

まず、ボイラでつくられた高い気圧の蒸気15~17気圧)は機関士が加減弁のハンドルを引くと、蒸気だめから、主蒸気管を通ってシリンダに入ります。

ボイラでできた蒸気をそのまま使うとシリンダで水になりやすいので煙管の中で、もういちど熱を加えて使います。

上の図のように蒸気は分配器でシリンダの中のピストンのまえの部分に入ってピストンをうしろに押します。

ピストンがうしろにいくと分配器がはたらいてピストンのうしろ側に蒸気を入れ、ピストンをまえに押します。

このピストンの前後の動きはクロスヘッドからロットを通して主動輪のクラソクビンに伝わり、ここで動輪をまわします。

動輪のクランクピンの反対側には、重い半月形の重りがついています。
クランクピンには、丈夫な鉄のロッドがついているので動輪のクランクピン側が重くなり、回転がむらになります。

そこでそれにつり合うように、反対側に重りをつけたのです。

動輪の前後には機関車が脱線しないようにしてある先輪や機関車のうしろの重さを平均するためにつけられた後輪があります。

そのほか、蒸気機関車には、動輪が滑らないように、砂をまくための砂箱、石炭や水を入れてある炭水車(テンダ)、蒸気がたまりすぎたときに蒸気を出す安全弁、運転室の窓から外がよく見えるようにつくられた煙りよけ板があります。

また、水をボイラに入れる給水機、ブレーキ装置、気笛、発電機などもついています。



蒸気機関車のいろいろ

蒸気機関車は、形、動輪やシリンダの数などによって、いろいろな種類におけることができます。

テンダ機関車とタンク機関車

テソダ機関車は、水や石炭を積むテンダ(炭水車)という車をうしろにつないでいる、大型の機関車です。

タンク機関車は機関車の中に石炭と水とを積んだ、小型の機関車です。

シリングの数

シリンダは、左右に1組み2個あるのがふつうですが、なかには、3シリンダ機関車・4シリンダ機関車・6シリンダ機関車などがあります。

C52形やC53形の機関車は、3シリンダをもっていました。

旅客用・貨物用・こう配用・入れかえ用

旅客列車をひくための機関車は、高速が出せることが必要です。
そのために、大きな動輪(直径1.75メートル)をもっています。

C62形は、日本の代表的な旅客用蒸気機関車です。

貨物用機関車は、速力よりもひく力が大切ですから動輪の直径を1.40メートルにし、動輪を旅客用より多くした。

4軸の動輪を備えています。

また、こう配(坂道)をのぼる機関車は、もっと強い力が必要なので動輪り直径を1.25メートルにした、5軸の動輪をもつ、E10形もありました。

入れかえ用の機関車は、駅で客車や貨車の入れ替えに使うもので線路の切り替えポイントをたくさん通るため、小型で力の強い機関車が使われています。

蒸気機関車の記号と番号

蒸気機関車にも、人の氏名と同じように、記号と番号がそれぞれついていて、たくさんの機関車のうちのどの機関車と、はっきり言えるようになっています。

まず、記号のB・C・D・Eは、動輪の軸数をあらわします。
2軸がB、3軸がC、4軸がD、5軸がEです。

つぎの2けたの数が、10~49まではタンク機関車で50~99までがテンダ機関車をしめしています。

そのつぎに、同じ形の機関車のうち第何番目につくられたかをしめす、製造番号がつけられています。

また、古い機関車では、番号だけのものもあります。
1~4999までがタンク機関車で、5000~9999までがテング機関車です。




オートバイの仕組みとは? わかりやすく解説!

オートバイ

オートバイは、車輪が2つですから、自転車と似ていますが排気量が125立方センチ以上のエンジンがついているものは自動車の仲間に入ります。


オートバイの仕組み

オートバイのフレームは、自転車のフレームと似ていますがもっと丈夫にできています。

車輪のタイヤも、自転車より太いのがつけてあります。

車体の中央には、たまご形をした燃料タンクがありその下に冷却ひれのたくさんついた、空冷式エンジンがとりつけてあります。

エンジンには、4サイクルガソリンエンジンや2サイクルガソリンエンジンが使われています。

エンジンの動力は自動車と同じようにしてクラッチ・変速機を通り、うしろの車輪に伝えられます。

ハンドルの握りには、レバーがついています。
左のハンドルによるのはクラッチレバーで、これをにぎりしめるとクラッチがきれます。

右のハンドルについているレバーに、ブレーキレバーです。
これをにぎりしめると、前輪にブレーキがかかるようになっています。

右の握りは、加速グリップ(アクセル)と言い加速グリップをひねってまわすとエンジンの回転数が加減できます。

変速機は、ふつう、左側の下のほうについています。変速するときは、左足で変速レバーを動かします。

クラッチや変速機の仕組みは自動車と似ています。

変速レバーの反対側にはブレーキペダルがあり、これを踏むと後輪にブレーキがかかります。



オートバイの仲間

オートバイの仲間には、サイドカー(側車)つきオートバイやスクーターなどがあります。

サイドカーつきオートバイ

オートバイの横に、人を乗せる別の中体を取り付けた自動車をサイドカーつきオートバイと言います。

スクーター

スクーターもオートバイの一種ですがエンジンが座席の下にあって、前方に踏み台があります。

また、タイヤの直径が、55.9センチ(22インチ)以下のものを言います。

ほとんどのスクーターには、クラッチレバーがなく流体変速機などの自動クラッチを備え付けています。

右のハンドルの加速グリップを内側にまわしていくとエンジンの回転数が大きくなり、それにつれて、ひとりでにクラッチと変速機がはたらいて走りだすようになります。




自動車の運転に必要な自動車のしくみとは? わかりやすく解説!

点検

自動車を運転するには、走り出してから故障して事故などを起こさないように充分に点検することが大切です。

まず、かじとりハンドル・ブレーキー・タイヤ・バックミラー・方向指示器
・ワイパー・警音器・前照灯・尾灯・番号灯・制動灯などが完全かどうか調べます。

また、ガソリン・潤滑油(エンジンオイル)・冷却水・タイヤの空気圧などが充分かどうか、その自動車の車両検査証や自動車損害賠償保険証、運転する人の運転免許証があるかどうかなどを確かめなければなりません。

エンジンをかけるまえには変速レバーが中立になっているか駐車ブレーキがかかっているかどうかを調べます。


発車

異常がないことを確かめたら、点火スイッチを入れて、エンジンをかけます。
エンジンがかかったら、クラッチベダルを踏み、変速レバーを低速に入れます。

駐車ブレーキをゆるめ、クラッチペダルを静かに、少しずつはなしながら、アクセルペダルを軽く踏みつけると、自動車はゆっくりと走りだします。

加速

車に勢いがついたらクラッチペダルを踏んで、変速レバーを中速に切り替えます。
クラッチペダルをはなしながら、アクセルペダルを踏みこんでいくとスピードが増してきます。

つぎに、同じようにして変走レバーを高速に入れ、さらにスピードを出します。

曲線道路

曲線道路にさしかかったときスピードを出したままかじとりハンドルを切るのは危険です。

まず、アクセルペダルをゆるめて、スピードを落とします。
それでもまだスピードがありすぎるときにはブレーキペダルを踏んでスピードをもっと落とします。

そしてかじとりハンドルを曲がろうとする方向にまわして、進む方向をかえます。

停車

自動車を止めるときには、アクセルペダルをはなして左足でクラッチベダルを踏み、右足でブレーキペダルを踏んでブレーキをかけます。

自動車が完全に止まったら駐車ブレーキのレバーをひいて変速レバーを中立にもどします。

後退

後退させたいときは、自動車をいちど止めてからクラッチペダルを踏んで、変速レバーを後退に入れます。

クラッチベダルをはなしながら、アクセルペダルを静かに踏んでいきます。




自動クラッチと流体変速機のしくみとは?自動車の動力のしくみ

自動クラッチと流体変速機

エンジンのはたらき具合や自動車の走り具合をたえず注意しながらクラッチや変速レバーを扱うのは、たいへん面倒なことです。

また、変速レバーが、三段とか四段とかにかぎられていることも具合のよいことではありません。

そこでこのごろは、いちいち変速レバーを切り替えなくてもスピードを加減できる仕組みを使ったものもあります。

スクーターでは、エンジンの回転が増してエンジンの軸にはたらく遠心力が大きくなるとひとりでにクラッチがかかるような仕組みになっています。

自動車では流体変速機(トルクコンバータ)とよばれるクラッチと変速機とをかねたものが使われています。

流体変速機のある自動車には、クラッチペダルがありません。


推進軸と自在つぎて

変速機で受け継いだエンジンの動力は推進軸(プロペラシャフト)を通って、駆動輪の軸に伝わります。

ところが、駆動輪の軸は荷物の積み方とか道路のでこぼこなどで上下に動きます。
この上下の動きが直接エンジンに伝わると軸が折れてしまいます。

そこで、無理なく動力が伝わるように推進軸の前後のはしに自在つぎてというものが使われています。

これは、回転軸の方向を、曲げることができる仕組みです。

最終減速機・差動装置

推進軸と後輸の軸のつながるところに最終減速機と差動装置という歯車装置があります。

最終減速機は、推進軸から伝わってきた回転の速さをさらに落とし、回転の方向をかえて後輪をまわす仕組みです。

自動車がまっすぐ走っているときは、両側の車輪は、同じ速さでまわります。

ところが、自動車がカーブを曲がるときは外側の車輪が内側の車輪よりも、余計にまわらなければなりません。

もし、外側の車輪と内側の車輪が同じ軸についているとすると軸がねじれて壊れてしまいます。



そこで自動車には、外側の車輪が内側の車輪よりも余計にまわるようにした仕掛けが使われています。

これが、差動装置です。

動力を伝える車軸は、左と右の2つにわかれていて下の図のように歯車のかみあわせでつないであります。

車軸のあいだにはさまれた小歯車は差動装置の枠(ケーシング)に固定されたスピンドルの上で、自由にまわることができます。

ケ-シングは、減速機の大かさ歯車に取り付けてあるのでこの歯車といっしょに回転します。

自動車がまっすぐ進むときには差動小歯車は転がらずにケーシングといっしょにまわります。

このため、左右の軸は同じ回転数でまわります。

自動車が左にまわるときは、左側の車輪が右側の車輪より大きな抵抗を受けるので差動歯車のかみあう点に力の差が生じます。

すると小歯車が自転して、その分だけ左側の差動大歯車の回転数が減り右側の回転数が増して、左右の車軸に、回転数の差ができます。

右に曲がるときは、これと反対になります。
これによって白動車は、車軸に無理な力をかけないでカーブを楽に曲がって走ることができます。




クラッチと変速機のしくみとは? わかりやすく解説!

動力を伝える仕組み

エンジンの動力は、いろいろな装置を通って、駆動輪まで伝わっていきます。

これらの装置によって、エンジンの回転数を途中でかえたり回転の方向をかえたりしてから駆動輪をまわすのです。


クラッチ

エンジンと変速機とのあいだにあって、エンジンの動力を変速機に伝えたり切ったりするはたらきをしているのがクラッチです。

ふつうのクラッチは、2枚の円板からできていて円板のあいだにはたらく摩擦を利用して動力を伝えます。

円板のうちの1つは、エンジンのうしろのはしについている、はずみ車の内側です。
もう1つの円板は、変速機の軸に取り付けてあって、摩擦を大きくするために、おもに石綿を材料にした板がはりつけてあります。

2枚の円板は、ばねの力で、互いに押し付けられています。
そのため、エンジンがまわれば、いっしょにまわります。

ところが、クラッチペダルを踏むと、てこの仕掛けでばねが押し縮められ、互いにはなれます。
したがって、エンジンの回転は、変速機に伝わらなくなります。

クラッチペダルは、エンジンから駆動輪に動力を伝えたくないときに踏みつけます。

たとえば、車のスピードをかえるために変速機の歯車のかみあわせをかえるときや、発進・停止のときなどにはかならず踏みます。

自動車に使われているクラッチには、このほか、数枚の円板を互いに重ね合わせたものや遠心クラッチ・電磁クラッチ・流体クラッチなどがあります。

遠心クラッチは、エンジンの回転数がある値以上になると遠心力によりクラッチの摩擦板が広がりその力でクラッチドラムを強く押さえつけ、回転力が伝えられるようになってします。

エンジンの回転が遅くなると、遠心力が小さくなるので摩擦板とクラッチドラムがはなれ、回転力は伝わりません。

仕組みがかんたんなので、スクーターなどに使われます。



変速機

変速機は、大きさの違ういくつかの歯車の組み合わせでクラッチのすぐうしろに取り付けてあります。

エンジンの回転数は、アクセルペダルを踏むと気化器の中のスロットバルプが開いて毎分500~5000回転くらいまでかえることができます。

しかし、あまり遅くしたり、逆にまわしたりすることはできません。

変速機は、このエンジンの回転の速さと方向を途中でいろいろとかえて駆動輪に伝えるはたらきをします。

歯車の組み合わせをかえると、駆動輪に伝わる回転の速さをかえたり逆まわりさせたりすることができます。
そのため、自動車の走る速さをかえたり、後退させたりすることができます。

変速機の歯車の組み合わせをかえるためには、てこを利用した変速レバーを使います。

下の図で、①②③のところに変速レバーをおけば低速・中速・高速と、変速機の歯車が三段に切り替えられます。

後退するときには、(R)のところに変速レバーをもってきます。

このように、速さが三段階にかえられる変速機を前進三段後進一段の変速機と言います。

トラックやバスなどの大型自動車や乗用車の一部には前進四段の変速機が使われています。

変速機には、自動車のスピードとつながりをもつ、もう1つの大切なはたらきがあります。

かけっこをするときのことを考えてみましょう。
出発点に手をついて、合い図とともに、思いきり地面を蹴って飛び出していきます。
走っているときも、足で地面を蹴っていますが、スタートのときが、いちばん足に力がかかります。

自動車もこれと同じでスタートのときに大きな力で地面を蹴らなければなりません。
ところが、エンジンは、ある決まった動力しか出すことができません。

大きなエンジンをつけると、スタートは楽にできますが重くなりすぎて平地をふつうに走るには不経済です。

そこで、必要なときに大きな力を出す仕組みがあれば、たいへん都合がよいわけです。
変速機は、このためにも大切な役割りをはたしているのです。

それには、歯車の組み合わせによって、車軸に伝わる回転を、遅くしてやります。
すると、エンジンの動力は同じでも、大きな力が駆動輪に伝わります。

ですから、スタートするときには、変速レバーを低速の位置において駆動輪をゆっくりとまわし、駆動輪に大きな力をあたえてやります。

こうすれば、自動車は、大きな力で地面を蹴って走りだします。

車が走りだしたら変速レバーを中速または高速に切り替えて駆動輪の回転をは止め、スピードを増します。




自動車のしくみとは?自動車が揺れないしくみとは?

シャシ

自動車の骨組みのうち、いちばんもとになっているのはフレームとよばれる鋼材の枠組みです。
これは、自動車にとって、人間の背骨にあたるほど大切なものです。

このフレームにエンジンや動力を伝えるいろいろな装置、車輪などをとりつけたものを、シャシと言います。

シャシにボデーをつければ、自動車ができあがります。

最近の乗用車ではフレームとボディーをいっしょにしてフレームを用いない
フレームレスボディー(モノコックボディー)を使う自動車も多くなってきています。


エンジン

自動車には、軽くて小さく、しかも、力の強いガソリンエンジンのほか
軽油を燃料とするディーゼルエンジンがおもに使われます。

ふつうは、これらのエンジンを自動車の前部におき後輪をまわす仕掛けが多く取り入れられています。

しかし、土木建設、農耕作業用や軍用自動車などには後輪とともに前輪もまわして走る、全輪駆動車もあります。

エンジンを冷やす方法には空冷式と水冷式とがありますが自動車のエンジンには水冷式がおもに使われています。

空冷式は、しくみがかんたんで軽いのでおもに二輪車や小型の自動車に使われています。

自動車のエンジンの形にはまっすぐにならべた直列配置型、V字形にならべたV型、水平に向かいあわせてならべた水平対向型があります。

また近頃では、ふつうのエンジンのようにピストンの往復運動をクラック軸に伝え、これによって回転力を取り出すのではなく回転するロータ(ピストン)から直接に回転力を取り出すようにしたロータリーエンジンも使われるようになりました。

自動車がゆれないしくみ

自動車のフレームと車軸とのあいだには、ばねやショックアブゾーバという油の入った円筒が取り付けてあります。

これらは、自動車が走っているときに受ける衝撃や、振動を弱めるためのものです。

このほか、最近の自動車には独立けんがという車輪の取り付け方をしたものがあります。

これは、車輪が穴に落ちたり、石に乗り上げたりしたときその車輪だけが上下して、自動車全体があまり揺れないようにした仕組みです。

独立けんがは、前輪だけに取り付けたものと乗り心地をよくするために、前後の車輪に取り付けたものとがあります。

自動車のばねには鋼鉄を使った重ね板ばねやつるまき(コイル)ばね、ねじり棒(トーションバー)などが使われています。

このほか、ゴムの袋の中に空気をつめて空気の弾力を利用した空気ばねなどがあります。

空気ばねを使うと鋼鉄のばねよりも衝撃や細かい振動が伝わりにくいので、乗り心地がたいへんよくなります。

最近では、ばねにショックアブソーバを使った自動車が多くなりました。
ショックアブソーバを使うと振動をはやく沈めるはたらきが加わるので乗り心地がよくなるとともに、安全に走れます。

前輪の取り付け

前輪の取り付け方には自動車が楽に走れるように、いろいろの工夫がしてあります。

キャンバ

自動車を前から見ると、前輪はまっすぐ立っていないで少し外側に傾いています。
この傾き具合(角度)をキャンバと言います。

これは、かじをとるときに、タイヤが地面に接する点と車輪の軸が首をふって向きをかえる中心とを近づけかじとりハンドルの動きを軽くするためです。

トーイン

左右の車輪に、それぞれキャンバをつけて、上のほうを外側に傾けておくと左右の車輪は、それぞれ外側の方向に回転して進もうとします。

これを正しい進行方向に向け直すために上から前輪を見たとき両側の車輪の先のほうを、少しつぼませて、せまくしてあります。

このつぼみ具合をトーインと言います。

キャスタ

自動車を横から見ると、前輪を車軸に止めているキングピンは地面に対して直角ではなく、少し傾いています。

この傾きを、キャスタと言います。

これによって、前輪はいつも進行方向に向きやすくなり、かじとりハンドルが安定します。

これらの前輪の取り付け方を、前輪の整列とよんでいます。



かじとリ装置

かじとり装置は、運転する人が、自動車の進む方向を自由にかえられる仕掛けです。
ふつうは、輪になったハンドルをまわして前輪を動かし、進む方向をかえます。

ハンドルを進もうとする方向にまわすとハンドル軸がまわり、その先にあるウォームがまわります。

ウォームは、セクタギヤとかみあってしてその軸につながる腕を、押したり引いたりします。

この動きは、ドラックリング(引き棒)から前輪の軸につながる腕に伝わって、車輪の向きをかえます。

また、この動きは、タイロアドによって反対側の前輪を動かす腕にも伝えられます。
このため、左右の前輪は同じように操られます。

これらの仕掛けは、動きが重かったり、振動を起こして不安定となったり、外れたり、折れたりすることがなく、高速で走ったり、悪い道路を走ったりしても、正確で楽に運転できるように工夫してつくられています。

なお、エンジンのまわる力の一部を利用して、かじとりハンドルを軽く確実にまわせる、パワーステアリングという装置もあります。

ブレーキ装置

自動車の速さは、アクセルペダルで加減されますが、自動車を停止させたり坂を下りるときや、惰力で走るときの速度を落としたりするにはブレーキを使います。

自動車の車輪の内側にはブレーキをかけるための鉄の車(ブレーキドラム)があります。

これに、ブレーキシューを押し付けると、その摩擦によってブレーキがかかります。
ブレーキシューには、石綿をゴムや合成樹脂で固めたもの(ライニング)がはってあり、大きな摩擦がはたらくようにしてあります。

このようなブレーキをドラムブレーキと言います。

また、ブレーキドラムのかわりに、円板(ディスク)を使ったものもありディスクブレーキと呼ばれています。
ディスクブレーキはブレーキの利きが安定していて安全に運転することができます。
最近、スポーツカーなどで、さかんに使われるようになりました。

ブレーキの性能は、時速50キロで走っているとき急ブレーキをかけてその停止距離が22メートル以下、時速35キロのとき14メートル以下時速20キロのとき5メートル以下と、規則によって決められています。

すぐれた自動車は、手入れが完全なら、この半分くらいの距離でも停止できます。

ブレーキをはたらかせる仕組みには、足ブレーキでは油の圧力を利用するオイルブレーキがおもに使われています。

このブレーキは、油を送る管が破れると全車輪のブレーキが利かなくなる恐れがあります。
また、坂道の途中で駐車させておくときには、足ブレーキを使うことができません。

そこで、推進軸を機械的に締め付けたりブレーキドラムを外側から締め付けたりする駐車ブレーキが設けられています。

これには、手ではたらかせるものと、足ではたらかせるものとがあります。

ブレーキには、このほか、てこを利用した機微ブレーキ、圧縮空気を利用した空気ブレーキ、エンジンの吸入力を利用した真空ブレーキなどがあります。




自動車とは?使い方・しくみによる分け方とは?

自動車

自動車は、道路の上をエンジンの動力で走るものです。
レールや架線がないことが、電車や機関車と違うところです。

自動車は使い道や、しくみによってわけられるほか法規こよっていろいろとわけられています。


使い道によるわけ方

使い道によっては、乗用車・バス・トラック・貨物乗用車・特殊自助車などにわけられます。

特殊自動車にはロードローラー・グレーダー・フォークリフト・農耕作業用自動車などがあります。
パトロールカー消防車・救急車などは、緊急自動車と言われます。

しくみによるわけ方

しくみからは、車輪の数、駆動輪の位置、エンジンの種類、エンジンの位置
運転室の位置などによってわけられます。

車輪の数からは、二輪車(オートバイースクーター)三輪車・四輪車などにわけられます。

駆動輪の位置からは、前輪をまわす前輪駆動(フロントドライブ)後輪をまわす後輪駆動(リヤドライブ)のほか前輪と後輪とをいっしょにまわすことのできる。

全輪駆動にわけられます。
エンジンの種類からはガソリン自動車・ディーゼル自動車・電気自動車にわけられます。

エンジンの位置からは、エンジンが前にあるリヤエンジン、エンジンが床の下にあるアンダーフロアエンジンなどにわけられます。

ガソリン自動車は、ガソリンを燃料に使いますが最近、プロパンガスを燃料にしたタクシーやトラックが増えてきています。

ディーゼル自動車は、燃料に軽油を使っています。
バスやトラックなどでは、ほとんどがディーゼル自動車です。

運転室の位置からは、ボンネッ卜型・キャブオーバー型などにわけられます。

エンジンが前にあり、駆動輪がうしろにある自動車をフロントエンジンリヤドライブと言い駆動輪が前にある自動車をフロントエンジンフロントドライブと言います。

また、エンジンも駆動輪もうしろにある自動車をリヤエンジンリヤドライブと言います。

とくに、乗用車では座席の数やドアの数などの車体の形によっていろいろとわけられリムジン・フォードアセダン・ツードアセダン・クーペ・コンバーチブル・ハードトップ・ロードスター・ステーションワゴンなどがあります。




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