てこと仕事
てこを使うと、支点から作用点までの距離と支点から力点までの距離の関係から、小さな力で大きな力がえられます。
しかし、小さな力で大きな力をえるためには、支点から力点までの距離が、支点から作用点までの距離より大きくなければなりません。
たとえば、下の図のように、支点から作用点までと支点から力点までの距離の比が、1対10のとき作用点と力点のそれぞれの点で仕事の量はいくらになっているかを考えてみましょう。
力点で、2キログラムの力をくわえ、1メートル動かしたとすれば力点がした仕事は、2(kg)× 1(m)= 2(kgm)で2キログラムメートルになります。
いっぽう、作用点では、力のモーメントから、2キログラムの10倍、すなわち20キログラムの力がはたらくことになります。
しかし、力点で1メートル動かしても、作用点では10分の1しか動きません。
したがって、作用点では、20(kg)×1/10(m)= 2(kgm)で2キログラムメートルの仕事をしたことになります。
ですから、てこを使っても、使わなくても仕事の量にはかわりはありません。
輪軸と仕事
輪軸を使っても、小さい力で、大きな力がえられます。
これは、小さい力でも、大きく動かせば大きな力がはたらくということです。
たとえば、下の図のように、小さい円の半径をrメートルとして小さい半径と大きい半径の比が1対2であるような輪軸を使って仕事の原理を考えてみましょう。
1キログラムの力で、輪軸が一回転する仕事をしたとすれば仕事の量は、1(kg)× 4πr(m)= 4πr(kgm)です。
他方、1キログラムの力とつりあう力は、2倍の2キログラムです。
したがって、小さい円を一回転させるわけですから、2(kg)× 2πr(m)= 4πr(kgm)となります。
ですから、輪軸を使っても、使わなくても仕事の量にはかわりがありません。
このあとで学ぶ滑車や斜面の場合にも仕事の量にはかわりはなく力で得をして距離で損をしています。