刺激に対する反応
動物の体は、いろいろな刺激を受け取るのに都合のよいしくみになっている感覚器官をもっています。
それらの感覚器官を通して体の内外に起こるいろいろなものの変化の様子を知ることができるようになっています。
そして、いろいろな動物の感覚器官は、たとえば、自分の食物を探して食べたり自分を食べてしまう強い動物から逃げたりするときのために都合のよいように発達してきたものが多いのです。
刺激の伝わりかた
体の内外の変化は、まず、感覚器官によって受けとられますが受けとられた刺激は、そこから神経を通って脳などの中枢神経に伝えられます。
神経は、何百、何千もの目に見えないような細い線維が集まってできていて、体の外から入ってきた刺激を間違いのないように脳などの中枢神経に伝えたり、また、脳からの命令(信号)を筋肉などに伝える役目をしています。
ですから、この神経が傷つけられたり、切れたりすると刺激は脳などの中枢神経まで正しく伝わらなかったり、あるいは全く伝わらなかったりします。
刺激の伝わる速さは、1秒間に数センチメートルといった遅いものから数十メートルといった速いものまで動物によっていろいろ違いがあります。
しかし、神経はあまり長くないので遅いものでも実際に感覚器官から脳などの中枢神経に伝わる時間は何分の1秒といった時間しかかかりません。
神経に刺激が伝わるといっても光や音などがそのまま脳などの中枢神経まで入ってくるわけではありません。
感覚器官の中で信号にかえられ、それが神経を伝わるようになっているのです。
脳には、いろいろな感覚器官につらなっている神経が入っていますが、それぞれの感覚器官につながっている神経は、それぞれ脳に入るところが決まっています。
つまり、目から入った刺激、耳から入った刺激というように別々な刺激は別々な信号になって、いったん脳の別々なところで受け止められ、脳のその場所を刺激してはじめて、ものが見えたり、音が聞こえたりすることができるようになっています。
ですから脳がなければ、光や音やそのほかの体の外に起こっている、いろいろなことを、知ることができません。
このように、感覚器官と、これから脳につらなっている神経と脳の3つの部分が1つにつながってはたらいて光・音・味・においなどを感じることができるのです。
こうした感覚によって動物はえさを見つけたり敵を見つけたりすることができるわけですが見つけたえさを食べたり敵から逃げたりするためには、体を動かす運動をしなければなりません。
運動のしくみ
運動にはいろいろなものがあり、動物によってもさまざまです。
しかし、おもなものは、骨格についている筋肉が縮んだり伸びたりすることによっておこなわれます。
これらの筋肉は、神経によって刺激されて縮んだり、伸びたりするしくみになっています。
この神経は、脳からの信号を筋肉に伝えるはたらきをするのです。
筋肉は、体のいたるところにあって脳からは、それらの全部の筋肉に信号がとどくように神経が伸びています。
運動しているときには脳は、これらのたくさんの筋肉を上手に動かすように、いつも信号を送っています。
脳から筋肉に行く信号をいろいろにかえることによって、私たちの体もいろいろな運動をすることができるのです。
えさを探したり、敵から逃げたりする行動は、このように、まず最初に感覚器官に刺激が入り、その刺激は信号にかえられて神経を通り、脳に伝えられます。
脳はその信号を受け取って外界のことを知ります。
そしてそれに応じた運動をするために別の神経を通していろいろな筋肉に信号を送ります。
筋肉は、その信号を受けて運動をする、という順序でおこなわれるのです。
刺激による動物の体のいろいろな変化を反応と言いますが、いままでのことをかんたんにして考えると動物体が感覚器官に入る刺激によって運動という反応を起こしたとみることができます。