樹木の冬越し
樹木は草と違ってみな長生きです。けれども、やはり、寒さに弱いのです。
夏のあいだはさかんに生長しますが冬になると落葉樹は葉を落とし、まる裸になって冬を越します。
葉の落ちない常緑樹でも生長をやめ、眠ったようになって冬を越します。
落葉樹の冬越し
落葉樹は、冬になると葉を落とします。
これは、冬のあいだは、養分や水分をとることができないので無駄な養分や水分を使わないようにするためです。
秋になると、葉の柄のつけねに離層というものができます。
葉が落ちたあとは、この離層がふたのように傷口をふさいでしまいます。
こうして、体には糖分や脂肪をたくさんたくわえ寒さに負けない強い体になるのです。
ヤマナラシについて調べたところでは、夏の体つきでは零下9.5度の温度までしか、たえられませんが冬では零下24度までたえられることがわかりました。
常緑樹でも、冬の寒さにたえるために夏から秋にかけて糖分や脂肪をたくさんたくわえています。
冬芽のいろいろ
春になると樹木は葉を出したり花を咲かせたり枝を伸ばさなければなりません。
そのために、冬のあいだ、まる裸に見える落葉樹でも、よく見ると芽をつけていて、春がくるのをまっています。
この冬越しをする芽を、冬芽と言います。
冬芽は寒さに負けないように、つぎのようにいろいろ保護されています。
① たくさんのりん片葉という、うろこのようなもので硬く包まれている芽
ケヤキ・ブナ・ナラ・イヌシデ・カエデ・ツツジ
② 2、3枚のりん片葉がくっついて、帽子のように芽を包んでいるもの
トネリコ・ホオノキ
③ 古い葉の柄のもとに包まれているもの
スズカケノキ・ハクウンボクーリョウブ
④ たくさんの毛をもったりん片葉につつまれているもの
モクレン・ヤナギ
⑤ 葉のつけねのところに、隠れている芽
サルナシ・マタタビ
⑥ りん片葉の上が、油(樹脂)おおわれているもの
トチノキ
また、冬芽には、アオギリ・アカメガシワ・ムラサキシキブなどのように、りん片葉のないはだかの芽があります。
けれどもこれらのものには、まわりのところに細かい毛がはえていて寒さをふせいでいます。
副芽
春になると、冬芽が伸びて開きはじめます。
しかし、早く開き過ぎたため遅霜でせっかく伸びた芽が枯れてしまうことがあります。
このようなとき、ポプラ・ニワトコ・ブドウ・ハクウソボクなどでは枯れた葉のわきから、副芽というかわりの芽を伸ばします。