種の散りかたとは? 茎・葉・芽・根で増える植物とは?

種の散りかた

花が落ちて、実が熟し、種ができると種はいろいろな散らばりかたをして仲間を増やします。


風で飛ばされる種

タンポポ・ワタ・トウワタ・ヤナギなどの種には、たくさんの毛がはえています。

また、キリ・マツ・カエデなどの種には、羽根がついています。
そのため、これらの種は、風に飛ばされて散らばります。

また、ランの仲間の種は、1ミリにも足りない小さなものですが、やはり、風に吹かれて散らばります。

水に浮かぶ種

ヤシ・ハマオモトなどの種は、水に浮きやすいので海や川の水に運ばれて散らばります。

実が弾けて飛ばされる種

ホウセンカ・カタバミ・ゴマなどでは実がよく熟したとき、勢いよく弾けて種を飛ばします。

また、地中海地方や北アメリカにあるテッポウウリというウリの仲間は、実が熟して地面に落ちると中の汁がほとばしり出て、種を吹き飛ばします。

動物に運ばれる種

カキ・ビワ・ブドウ・アケビ・クワ・イチゴ・スイカ・トマトなどの実は、よく鳥や獣に食べられます。

いっしょに食べられた種は、消化されないで糞といっしょに外に出されます。
ですから、このような植物が思わぬところに、はえていることがあります。

スミレ・カンアオイ・クサノオウなどの種は、胚珠だったころ子房についていた部分が、まだ、種にのってついています。

アリは、これらの種を、巣に持ち込み、種についている余分なところだけを食べて、種は、巣の外に捨ててしまいます。

このため、そこに、新しい植物がはえるようなこともあります。

ニンジン・ゴボウ・ヌスビトハギ・イノコズチ・オナモミ・メナモミなどの種は、かぎやとげがついていて人や動物の体につき遠くまで運ばれます。

荷物などについて運ばれる種

アリタソウ・ノボロギク・ヒメジョオン・ブタクサなどの帰化植物は外国からきた荷物などに種がついてきてそれが、だんだん増えていったものです。

茎で増えるもの

茎は、丈夫で養分が多く、芽や根を出しやすいものです。
ですから、茎で増える植物は、少なくありません。

オランダイチゴの増えかた(走茎)

オランダイチゴは、種で増えるほか、茎でも増えます。

茎が伸びて地面に触れると、そこから根を出します。やがて、そこから芽を出して増えていきます。

このような茎を走茎(ランナーまたはストロンとも言う)と言います。
ヘビイチゴなども、やはり走茎で増えます。

ジャガイモの増えかた(塊茎)

ジャガイモは、ふつう種ができません。

そのかわり、地下茎の一部が養分をたくわえて丸いいもになり、これから芽を出して増えるのです。

このいもを塊茎と言います。

畑で、ジャガイモを育てるには春、この塊茎を畑に植えて芽を出させるのです。
このほか、サトイモやコンニャクも塊茎で増えます。

タケやハスの増えかた(根茎)

タケやハスなどでは、地下茎が根のように地中をはっています。
そして、ところどころから芽を出し、新しい体をつくります。

このような地下茎を、根茎と言います。シダやショウガなども根茎で増えます。

ユリやニンニクの増えかた(りん茎)

ユリやニンニクなどでは、短い地下茎が養分をたくわえた厚い葉につつまれていて、球になっています。

このような茎を、りん茎と言います。このりん茎は、芽を出して新しい植物になります。

チューリップ・スイセン・グラジオラスなどの球根も、みな、このりん茎で、これを土の中に植えて増やします。

かぶわかれ

イネ・ムギなどのように、根もとのふしから横に芽を出して、そこから新しい茎が伸びて、かぶがどんどん大きくなることがあります。

このような増えかたを、かぶわかれと言います。

シャクヤクやキクなどの草花も、かぶわかれして、かぶがどんどん大きくなります。
これらの草花は、かぶわけをして増やすことができます。



根で増えるもの

根も茎と同じように芽を出したり新しく根を出したりすることがあります。

サツマイモの増えかた(唹呎)

サツマイモやダリアの球根などでは根に養分がたまって、いもになっています。このような根を、塊根と言います。

塊根からは、芽を出して、新しくはえてきます。

根わけ

キクなどでは、根の一部を切り取っておくと、これから芽を出して新しく増えます。

これを利用して、植物を増やすことができます。これを根わけと言います。

タンポポの根なども細かく切っておくと、よく芽を出します。

葉や芽で増えるもの

葉は、茎や根にくらべると、芽や根がでにくいものです。
しかし、キクなどは、さし葉で増やすことがあります。
自然には、このような葉で増える例が、シダの仲間に多く見られます。

また、芽も養分を多くたくわえると自分で根を出して育つことができます。

クモノスシダの増えかた(走葉)

クモノスシダやオリツルシダなどは、葉が伸びて先が地面に触れると、そこから根をだして新しいかぶになります。

このような葉を走葉と言います。

ヤマノイモのむかご(肉芽)

ヤマノイモには、つるのところどころにまるい玉がついています。

これは、わき芽(茎の変形)が養分をたくわえて大きくなったもので肉芽と言います。

これが地に落ちると、芽を出して新しく増えるのです。

オニユリのむかご(りん芽)

オニユリにも、むかごと言われるものができます。

これは、わき芽(葉の変形)に養分がたまったもので、りん芽(珠芽)と言われます。

これが地面に落ちると、やはり、芽を出して増えていきます。




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