石油と原油
石油は、炭素と水素の複雑な化合物である炭化水素からできていてたいへんカロリーの高い液体鉱物です。
天然の石油は、原油とよばれていますがこれはたくさんの種類の炭化水素が混合しているものです。
原油は大きく、パーラフィン系の炭化水素が多いものとナフテン系の多いものとにわけられます。
石油を人工的につくる試みは、70年ほど前からおこなわれていました。
1926年、フィッシャーは、一酸化炭素と水素とから石油によく似た炭化水素(人造石油)をつくりました。
これを手がかりにして、石油のできかたを探ろうと試みましたが人造石油をつくる条件が、石油のできる自然の条件とかなりかけ離れているので石油のできかたを知る決め手にはなりませんでした。
石油をふくむ岩石
石油をふくんでいる地層は、サ岩などの粒の粗い岩石からできています。
しかし、その近くには、必ず、デイ岩やケツ岩が広く分布しています。
このデイ岩やケツ岩の厚い地層は山脈が、むかし山脈であったところに沿って分布しています。
石油になるまで
石油をつくりだした岩石(母岩)と考えられる黒いデイ岩やケツ岩の中にはむかし海の底に住んでいた生物の化石が、ほとんど見つかりません。
それにも関わらず、生物から分解してできたと思われる有機物が、たくさんふくまれています。
これは、そのころの海の表面近くに、たくさんのプランクトンが住んでいてこれが死んで海の底へ沈み、そして、海の底で酸化されずに有機物として残り石油としてたまったためでしょう。
そのころの海の底には、ほとんど酸素がありませんでした。
これは、底に住む生物の化石が見つからないことやオウテッ鉱がよく見つかることからも考えられます。
このオウテッ鉱は水中に溶けていた鉄分が酸化されずに、硫黄とむすびついて沈殿したものです。
また、石油のでる地域を調べてみると酸素の多いふつうの海水との流通が悪かったこともわかります。
石油のもと=腐泥
たくさんの微生物の死骸が、海の底に沈みこれが泥の中にうすめられて、酸化されないで発酵して分解したものを腐泥といいます。
腐泥が土砂の下じきとなり、長い年月のあいだ圧力や1000度以下の地熱をうけてできたのが原油と考えられています。
油田のできかた
母岩の中で全体に散らばってできはじめた石油の粒はもっと隙間の多いサ岩やレキ岩の中へうつりはじめます。
その隙間の粗い岩石の上に、隙間のない岩石(泥岩など)があると石油は上へ逃げ出すことができません。
そして、もっぱら、粒の粗い岩石の中にたまっていきます。
こういう岩石を油そう岩とよび、上にかぶってくる粒の細かい岩石をぼう岩とよびます。
こんな油そう岩の中には石油といっしょにたいへん塩分の多い水が地下水としてたまっています。
しかし、石油のほうが軽いので、この水の層の上に集まります。
石油川の上には石油から蒸発してできたガスの層がのっています。