鉱物標本・岩石標本のつくりかたとは? わかりやすく解説!

鉱物標本のつくりかた

採集してきた標本は、すぐに整理するように心がけましょう。

日時が経つと、採集地を忘れたり、他の産地のものとまじったり壊れたりすることが多いからです。

標本は水に溶けやすいものや、壊れやすいものは別ですがやわらかい歯ブラシなどで、ほこりや泥をとります。

とくに大きな標本は、転がらないようにして厚さ3センチぐらいの木の台の上に、しっかりとすえます。

手にのるぐらいの標本は、紙でつくった標本箱に入れます。

大事な標本は、ガラス蓋のついたものか、プラスチックの箱に入れ綿でよくおさえます。
標本が非常に小さいときは、管瓶に入れておきます。

鉱物には、岩塩やハクテッ鉱などのように、湿り気を嫌うものがあります。
このような標本は、ガラス瓶に入れて、密封します。

キアン鉱やホウエン鉱は、直射日光にあてると、表面がくもります。
黒い紙で包んでおけば、いつまでも、光沢を保っています。


鉱物標本の整理のしかた

標本には、記号・番号などをつけておきます。

採集地や記録を調べたり、また、あとで他の標本とまじったものを区別したりするのに、たいへん便利です。

記号や番号は、標本のすみに、エナメルで小さく書きます。
標本が小さくて直接書けない場合は、標本箱に書きます。

記号は、採集した順序に、通し番号をつける方法、日付と番号をくみあわせる方法、分類番号をくみあわせる方法があります。

いずれも長所と短所があるので、目的により、適当な方法を選びます。

つぎにラベルを用意します。

ラベルと標本とをひきあわせるのには、標本番号によりますから番号は、見やすいところにするためふつうは左上に書きます。
つぎに、鉱物名・産地・採集日・採集者を書きこみます。

鉱物名が、すぐに決まらなくても産地や採集日など、わかることは書きこんでおきます。
とくに、産地はできるだけくわしく、できれば地形図上の位置と見比べられるようにしておくと便利です。

標本箱にラベルを入れたら、その上にセルロイドなどを同じ大きさに切って、かぶせます。こうすると、ラベルが汚れません。

鉱物の分類のしかた

鉱物標本を整理するために鉱物を分類するには、つぎのような方法があります。

鉱物の形による方法

鉱物の性質のところで述べたように、鉱物の形でわけます。

  1. 正六面体・正八面体・正四面体・斜方12面体などの等じく晶系群
  2. 柱状結晶の群
  3. 針状結品の群
  4. 板状結晶の群
  5. 結晶形をしめさない群

鉱物の光沢による方法

これは、硬度による方法とあわせると、便利です。

  1. 金属光沢のある鉱物の群
  2. 亜金属光沢のある鉱物の群
  3. 非金属光沢のある鉱物の群

鉱物の硬度による方法

つぎのように分類しておけば、モースの硬度計がなくても鉱物を分類することができます。

  1. ガラスより硬い(硬度5より大)
  2. 爪とガラスの中間の硬さ(硬度2.5~5)
  3. 爪よりやわらかい(硬度2より小)

鉱物の用途による方法

  1. 金属をとる鉱物
  2. 物理的性質を利用する鉱物
  3. 化学工業に使われる鉱物
  4. 宝石になる鉱物



岩石標本のつくりかた

岩石標本は、採集する場所で、ほぼ形を整えてしまうのがふつうです。

岩石標本の形は、いっぱんに長方形をしていますが、その大きさと形は全部同じように揃えたほうが見やすく、整理もしやすくなります。

学校で使う標本でしたら、縦8センチ、横9.5センチぐらいあったほうが、便利です。
岩石標本も、採集してきたら、すぐ整理するように心がけましょう。

岩石標本の整理のしかた

標本の裏側のすみに、小さく番号をつけます。

マジックで、直接書くか、白いエナメ片をさきにぬっておいて乾いてから、その上に黒のエナメルで書きます。

番号のつけかたも、鉱物の場合と、ほぼ同じです。
ラベルは、左上に標本番号を記入し、岩石名・産地・採集者名を書きこみます。

地質時代や糸状などについては、必要があれば、書きこんでおきます。

紙でつくった標本箱に入れた原本はまとめて、木製の箱(モロブタ)に入れるか、標本タンスに整理します。

岩石の分類のしかた

標本を整理するには、つぎのような分類にしたがうと、便利です。

  1. 火成岩――(ア)深成岩 (イ)火山岩
  2. 堆積岩
  3. 変成岩

このほか、火成岩の分類には、酸性・中性・アルカリ性という化学成分上のわけかたがあります。

白い岩石・灰色の岩石・黒色の岩石というのはだいたい、このわけかたにあてはまります。




岩石・鉱物の採集と注意することとは?採取用具とは?

採集用具

岩石や鉱物を採集するためにでかけるときは、つぎのような道具を用意します。


ハンマー 

一方が正四角形、他方が平たくなっているハンマーが標準形です。
岩石を大きく割るときは、四角なほうを形を整えるときは平たくなったほうを使います。

そのほか、一方がとがった探鉱ハンマーや化石ハンマーといって一方はうすく平らに、他方は細くとがっているものもあります。

タガネ

岩石を大きく割ったり、岩石の中の鉱物を掘り出したりするのに使います。

折尺・スケール

鉱物の大きさや、産出場所を正確に測るのに使います。

色鉛筆

鉱物の産状などをスケッチするのに用います。
赤鉛筆は、採集した岩石や鉱物のすみに、仮の印をつけておくのに使います。

空き缶

壊れやすい鉱物は、紙や綿で包み、空き缶に入れます。

クリノメーター

地層や岩石の走向・傾斜を測るのに使います。
めもりの読みかたに注意すれば、磁石の代わりにもなります。

管瓶

小さな鉱物を入れます。底に綿を少し入れると、管の底が割れません。

虫眼鏡(ルーペ)

小さな鉱物を探したり、採集地で小さな鉱物を見分けるのに便利です。

ノ-卜

方眼になっている手帳が便利です。採集地での記録に用います。

筆記用具

万年筆や、鉛筆などです。

ピンセット

細かい鉱物を掘り出したりつまみとったりするのに使います。

古新聞

鉱物や岩石が、こすれあって、欠けたりしないように、紙で包みます。

地図

採集には、必ず地図を持っていきます。
国土地理院発行の地形図で、5万分の1、2万5000分の1、1万分の1などが適当です。

布袋

ふくろには、ひもをつけておきます。岩石や鉱物の標木の持ち運びに便利です。

磁石

磁性のある鉱物を見分けたり採取したりするのに使います。



採集の準備

鉱物や岩石を採集する場所は、足場が悪く汚れやすいので、汚れてもよい服装で、出かけます。

キャラバンシューズや地下足袋をはきます。リュックサックも、ぜひ用意したいものです。

鉱物や岩石を採集する場所は、非常にかぎられています。
参考書でよく調べたり、よく知っている人に聞いて、場所を確かめてから出かけます。
できれば、いちど採集したことのある人に、案内を頼むのもよいでしょう。

鉱物や岩石のよい標本

鉱物は、大きいことよりも、結晶形が整っているもの・色がよく出ているもの欠けていないものであることが大切です。

岩石の標本は、岩石そのものが、変化を受けていないことが大切です。
多くの岩石は表面が風化してかわっていても、割ってみると内部は変化していません。

そのような岩石は、はじめに大きく割って内部の変化していない部分を標本にします。
また、まわりの岩石を見て、代表的な標本を選ぶことも必要です。

鉱物・岩石の採集場所

海岸の大きく崩れた崖・道路や鉄道の新しい切り通し石切り場・鉱山・鉱山の石捨て場などは、鉱石のよい採集地です。

天然にできたものは、二度と同じものをつくることができません。

ですから、掘り出したものを大切にすることはもちろんのことですが根こそぎ掘りつくすことは、やめなければなりません。




油田のできるところとは?油田の分布と石油の利用とは?

油田と地質のつくリ

石油がたまるのに都合のよい地質のつくりには、つぎのようなものがあります。

背斜構造

地層がしゅう曲して、馬の背のようにもちあがったところを、背斜といいます。
ですから、水より軽い石油は、そこにできた高まりのところに集まるのでそこを掘れば、いちどにたくさんの石油がとれます。

単斜構造

地層がまがらないで、そのまま傾いている地質構造を単斜構造といいます。
しかし、この場合は、油そう岩の上のほうに石油をふうじこめておくようなつくりになっていなければ、地表へ逃げてしまいます。


油田の分布

油田は、世界各地に分布しています。

しかし、石油の産出量を国別にみると毎年、アメリカ合衆国が、世界の半分以上をしめています。

ところが、まだく乱されていない量をくらべてみますとイラン・イラク・サウジアラビアなどの中近東が半分以上をしめいちばん石油を使っているアメリカは24パーセントにすぎません。

世界各国、とくにアメリカが、中近東の石油開発に力を入れているのはこのためです。

地質時代別に見ると世界全体としは新生代第三紀にできた地層から産するのが多いようです。

しかし、中国・ソ連・アメリカ東部・アメリカ中西部には古生代の地層のもの、中近東には中生代の地層のものが、かなり発達しています。

日本の油田

日本の石油は、ほとんど新生代第三紀の中ごろにできた地層だけからでています。
しかも、その分布は、新潟から秋田までの日本海の海岸沿いの地域と北海道中央部の平地帯にかぎられています。

それは、これらの地帯が、むかし石油ができるのに都合のよいつくりの地形だったからです。

しかし、その規模は小さく、しゅう曲も激しすぎるし断層も多いので日本全体の石油産出量や、1つの井戸がくみあげる石油の量はわずかです。

したがって、日本で使う石油の量の1パーセントにもなりません。
そこで、大部分は輸入で補っています。

しかし、最近は、日本の石油開発技術者たちは東南アジアや中近東で油田を探しあて、安い石油を日本にもってこようと努力しています。

石油の利用

原油を熱していくと、沸点の違いによって、いろいろな油にわけることができます。
そして、それぞれ重要な燃料や原料となっています。

また、石油を産する地方には、天然ガスがいっしょにでることがあります。

これはそのまま燃料に使うこともありますがこれから、揮発油などをつくることもできます。

最近では、ナイロン・ポリエチレン・ビニルなど合成樹脂や合成繊維をつくるのになくてはならない重要な材料になっています。




石油のできかたとは?油田のできかたとは? わかりやすく解説!

石油と原油

石油は、炭素と水素の複雑な化合物である炭化水素からできていてたいへんカロリーの高い液体鉱物です。

天然の石油は、原油とよばれていますがこれはたくさんの種類の炭化水素が混合しているものです。

原油は大きく、パーラフィン系の炭化水素が多いものとナフテン系の多いものとにわけられます。

石油を人工的につくる試みは、70年ほど前からおこなわれていました。
1926年、フィッシャーは、一酸化炭素と水素とから石油によく似た炭化水素(人造石油)をつくりました。

これを手がかりにして、石油のできかたを探ろうと試みましたが人造石油をつくる条件が、石油のできる自然の条件とかなりかけ離れているので石油のできかたを知る決め手にはなりませんでした。


石油をふくむ岩石

石油をふくんでいる地層は、サ岩などの粒の粗い岩石からできています。
しかし、その近くには、必ず、デイ岩やケツ岩が広く分布しています。

このデイ岩やケツ岩の厚い地層は山脈が、むかし山脈であったところに沿って分布しています。

石油になるまで

石油をつくりだした岩石(母岩)と考えられる黒いデイ岩やケツ岩の中にはむかし海の底に住んでいた生物の化石が、ほとんど見つかりません。

それにも関わらず、生物から分解してできたと思われる有機物が、たくさんふくまれています。

これは、そのころの海の表面近くに、たくさんのプランクトンが住んでいてこれが死んで海の底へ沈み、そして、海の底で酸化されずに有機物として残り石油としてたまったためでしょう。

そのころの海の底には、ほとんど酸素がありませんでした。

これは、底に住む生物の化石が見つからないことやオウテッ鉱がよく見つかることからも考えられます。

このオウテッ鉱は水中に溶けていた鉄分が酸化されずに、硫黄とむすびついて沈殿したものです。

また、石油のでる地域を調べてみると酸素の多いふつうの海水との流通が悪かったこともわかります。



石油のもと=腐泥

たくさんの微生物の死骸が、海の底に沈みこれが泥の中にうすめられて、酸化されないで発酵して分解したものを腐泥といいます。

腐泥が土砂の下じきとなり、長い年月のあいだ圧力や1000度以下の地熱をうけてできたのが原油と考えられています。

油田のできかた

母岩の中で全体に散らばってできはじめた石油の粒はもっと隙間の多いサ岩やレキ岩の中へうつりはじめます。

その隙間の粗い岩石の上に、隙間のない岩石(泥岩など)があると石油は上へ逃げ出すことができません。

そして、もっぱら、粒の粗い岩石の中にたまっていきます。
こういう岩石を油そう岩とよび、上にかぶってくる粒の細かい岩石をぼう岩とよびます。

こんな油そう岩の中には石油といっしょにたいへん塩分の多い水が地下水としてたまっています。
しかし、石油のほうが軽いので、この水の層の上に集まります。

石油川の上には石油から蒸発してできたガスの層がのっています。




石炭の利用しかたとは? 石炭の利用に便利な分類とは?

石炭の利用のしかた

石炭は、日本では足利時代から、燃料として使われていました。
また、ヨーロッパでは、古代ローマ時代から使われ歴史のうえでは、産業革命の原動力にまで発展したのです。

そして、19世紀の末ごろから、石炭の使い道が、急に広がりました。

これは、石炭を乾留したときに、ガスや、ガス液・タール・コークスなどの物質がえられることがわかり、これを利用する方法がつぎつぎに研究されたからです。


石炭の利用に便利な分類

たくさんガスがでるか、どんなコークスができるかなどということは石炭の性質によって違ってきます。
そういう性質から、石炭をつぎのようにおけると、実用上便利です。

①一般用炭

そのまま燃料として使うもので、かっ炭やれきせい炭が使われます。

②ガス用炭

家庭用のガスをとるための石炭で、れきせい炭が使われます。

③ガス発生ろ用炭

発熱柚の大きいガスをとるために使われる石炭でれきせい炭や亜れきせい炭が使われます。

④原料炭

1000度以上で高温乾留して、コークスをつくるときに使われる石炭をいいます。
このコークスは緻密で硬いほどよいので揮発分や灰分の少ない、れきせい炭が理想的です。

なお、乾留したときにできるタールからは、医薬品になどいろいろな原料もできます。

石炭の使用量

世界中で、毎年20億トンほどの石炭がほりだされています。

日本では、毎年5000万トンを産出していますが、その大部分は亜れきせい炭ですから、74.1パーセントは一般用炭として利用されます。

また、原料炭は19.5パーセント、ガス発生ろ用炭は6.4パーセントにすぎません。

ですから、工業用原料炭は。毎年輸入しなければなりません。




炭田の分布と埋蔵量はどのくらい? わかりやすく解説!

世界の炭田

炭田とは、石炭層をはさんだ地層が分布している地域を言います。

世界の石炭の埋蔵量は、約6~7兆トンと言われています。
その半分ちかくはアメリカにあってカナダ・ソ連・イギリス・ドイツ・中国という順序で大きな炭田を持っています。


しかし、ブラジルやエジプトのように国土が広くてもほとんど石炭のでない国もあります。

このように炭田が発達しているかどうかは、国土の広さよりもむかし石炭のできるような状態が、そこにあったかどうかによります。

古生代の後半には、特に北半球で、石炭のできる状態がよく発達したため、全世界の炭田面積の3分の2ちかくは、北半球にあります。

いちばん古いものは、陸上植物が地球にあらわれて栄えはじめたデボン紀後期の石炭です。

しかし、いちばん良質の石炭をふくんでいるのは石炭紀から二畳紀にできた地層です。

中生代にできた石炭は、その埋蔵量もずっと少なく炭田もほとんどが小さいものばかりです。

しかし白亜紀にできた北アメリカの炭田やジュラ紀にできた満州の炭田は、たいへん大きなものです。

新生代第三紀の炭田は、新生代に地殻運動の盛んに起きている太平洋をとりまく国々に発達してします。
このほかに、ドイツのかっ炭がとれる大きな炭田も、この時代のものです。

日本の炭田

日本では、世界全体の様子と全く違っていて古生代にできた炭田はほとんどありません。
中世代のものも、三畳紀の舞鶴(京都府)・成羽(岡山県)・大嶺(山口県)の三炭田をのぞいては、小さいものばかりです。

これにくらべて、第三紀の前半にできた炭田から産出する石炭量は日本の石炭産出量全体の95.5パーセントもしめています。

北九州・北海道・常磐などの大きな炭田はみなそうです。

これらの炭田の石炭は、新しい時代にできたわりあいに炭化が進んでいます。
それは、日本が、第三紀の地殻変動をさかんに受けたからでしょう。
そして、国土のせまいわりには、総埋蔵量が多く、212億トンといわれています。

日本では、炭化のもっとも進んだ無煙炭や工業用にどうしても必要な粘結性の強いれきせい炭がたいヘん不足しています。

そのうえ、石炭の層がうすかったり、切れていたり、まがったりしていて外国にくらべて、あまりよい状態ではありません。




石炭の性質とは?物理的性質・化学的性質とは? わかりやすく解説!

物理的性質

石炭の色・つや・割れかたなどの性質を物理的性質と言います。

炭化が進むにつれて、枯れ木のような色からだんだん黒くなります。

条こん色

素焼きの面を、岩石や鉱物でこすると、粉にしたときの色がわかります。
これを条こん色といいます。

これも、炭化が進むほど黒ずんできます。

つや

炭化が進むほど、つやがでます。

割れ口

もろくて質が一定でない石炭を叩いて割ると、でこぼこの割れ口ができます。
質が一定であると貝がらを割ったときのような割れ口になります。

もろさ

炭化が進んで、質が一定になるほど、細かく砕けやすくなります。

比重

ふつう炭化が進むほど大きくなります。

しかし、石炭の中の燃えないものの量、言い換えれば灰の分量が多いと炭化の進んでいない石炭でも重いことがあります。

火つきの温度

木材では、摂氏470度、泥炭では280度です。
表に見られるように炭化が進むほど高い温度が必要となります。

炭カロリー

石炭の発熱量というのは、石炭1キログラムが完全に燃えたときだす熱量でキロカロリーであらわします。

そして、この1キロカロリーを一炭カロリーとして使います。
炭カロリーは、炭化が進むにつれて大きくなります。


化学的性質

炭素・水素・酸素の量

491ページの表にもしめしたように炭化が進むにつれて、駿素は激しく減りますし水素も少し減りますが炭素はほとんど残りますから、その割合が急に増えます。

ねばりけ(粘結度)

石炭を火の中に投げ入れると、石炭の種類によっては燃えながら溶けて、カルメラのようにねばりけがでて、固まってくるものがあります。

このような性質を石炭の粘結性といってコークスからくるのに大切な性質となっています。

こうして固まるときに、あまりガスを出さないで硬いコークスをつくる石炭を強粘結性の石炭と呼びガスを出してやわらかいコークスをつくるものを、弱粘結性の石炭と言います。

この粘結性は、れきせい炭と、やや炭化の進んだ亜れきせい炭にだけあります。

組織

石炭の面をよく見ると、つやのある部分と、つやのない部分とが、しまをつくっています。

つやのある部分は、輝炭とよばれ、木の幹のようなところが炭化したものでときには、もとの植物の細胞が残っています。

にぶいところに、暗炭といい、小枝・木の葉・腐った木が炭化した部分であって花粉・胞子・種子がふくまれているときもあります。

このほか、木炭のように見える炭母炭とよばれる部分もときどき見られます。
これは、山火事などでできた天然の木炭だと考えられています。

日本のものでは、特に岩手県久慈の石炭に多くふくまれています。
また、コハクも、むかしの植物の樹脂がかわったものと考えられています。




石炭のでき方とは?石炭のできる場所とは? わかりやすく解説!

石炭

石炭と言うのは、大むかしの木や葉が厚く積もり土砂の中にうずまって、長い年月のあいだ地熱や圧力をうけてできたものでよく燃える岩石とも言えます。


石炭ができる場所

石炭は、植物からできたものですが、その植物は、もとのままでは残っていません。

石炭になるまでには、熱をうけ、押し縮められて性質もかわり、たいへん小さくなっています。

石炭は、厚さが1~3メートル、ときには十数メートルという層をつくっていることがあります。

こういう炭層の石炭を、もとの植物の大きさに直してみるとものすごく厚かったことが、そうそうされます。

ですから、このような場所ではたくさんの木が折り重なるようにして積もったことになります。

しかし。森林の木や葉が積もっても、空気に触れていればすぐに腐ってしまい、石炭のもとになる物資は、なくなってしまうでしょう。

ですから、石炭ができるときには、そのような分解をしてしまう前に木や葉が土砂の中に、埋め込まなければなりません。

したがって、石炭は、土砂のよく積もるような沼・湖・海岸の近くでしかも森林のよく発達したところにだけできます。



炭化作用

植物の幹や葉が水中に入って土砂をかぶりますと、空気の酸化作用や、酸素を使って生きている酸化バクテリアや昆虫などの作用がにぶり、腐りにくくなります。

さらに土砂がたまるにつれて、植物は、どんどん地下に沈んでいきます。
すると、植物質中の酸素と水素がむすびつき、水となってでていきます。
あとに残ったのが炭素をたくさんふくんだ泥炭です。

これが炭化作用の前半で、泥炭化作用とよばれています。

つぎに、上に厚く積もった土砂の重みや地殻の変動による圧力や火山・温泉の作用などで、水分や揮発分が逃げていきます。
これが後半の炭化作用です。

こうして、植物は、泥炭やかっ炭になりつぎに、れきせい炭となって、ついには無煙炭となります。

つぎの表でもわかるように、木材から無煙炭になるにつれて炭素の量はしだいに増え、水素と酸素の量は、だんだん減ってきます。

そして、炭素の量の多い石炭を炭素の量の少ない石炭に対して炭化作用の進んだ石炭といいます。

石炭の黒いのは、炭素が多いからです。

石炭の分類

炭化作用の進み具合で、左の表のように石炭を分類することができます。

日本のように火山の多いところでは火山の熱で、蒸し焼きにされてできたオコリとよばれる無煙炭の一種やチクラとよばれるれきせい炭、または、せん石とよばれる天然のコークスがあります。




物理探査・化学探査とは?地下資源の探査と種類とは?

探査

地下には石炭・石油・金属鉱床をはじめとして、いろいろな地下資源があります。
これら、地下資源や地下水・温泉などを調査することを探査と言います。


物理探査

人工的または自然に起きたいろいろな現象を、おもに地人万観測してその観測したものをもとにして地下の構造や鉱床を調査する方法を物理探査といいます。

物理探査には、現在つぎのような方法が広く用いられています。

電気探査

地表に電極を差し込んで、地下に電流を流し、地下を通った電流を別の電極で受け地下の物質の電気抵抗の大小を測定するものです。

その測定した結果により、岩石の種類、表土の厚さ地下水面の深さなど、地下の様子を調べるものです。

重力探査

重力計を用いて地下の物質や構造を水底する方法です。
地下に質量の大きい物質があると、重力の方向はその物質のほうに偏ります。

これによって、地下にある物質の密度分布から鉱床に位置や深さ、地層の状態などを調べるものです。

地震探査

火薬を爆発させて人工地震を起こし地表の各地点にあらかじめ設けられた地震計に、その波の伝わりかたを記録します。

そして、その記録を調べることにより、地下の構造や鉱床などを探査する方法です。

音波探査

水中から等しい間隔で繰り返し音波を出して、跳ね返ってくる波を記録しそれを調べることによって、海底資源や大陸棚の様子を調べるものです。

磁力探査

地下には、磁鉄鉱をはじめとして、磁石のように磁化されている物質があります。
この磁化されている物質によって生じる地磁気のごくわずかな異常を測定して
その物質の分布を水底する方法です。

この方法は、磁鉄鉱のほかにニッケル鉱などの探査にもよく用いられています。

放射能探査

ガイガ=ミュラーカウンターやシンチレーションカウンターと言われる放射能を測定する器械を用いて探査する方法です。

この方法は、ウラン・トリウムなどのような放射性元素をふくんでいる物質を
探査するのによく用いられています。



化学探査

化学的な方法によって鉱床を探査するとをいいます。

この方法は、川の水や地下水に溶けている成分の種類や量を化学分析によって調べ、その結果から、鉱床のあるなしを見分けるものです。

また、鉱床が地表にあらわれていないときはその表土を化学分析することにより地下の鉱床を調査します。

そのほかの探査

地質調査

地表にでている露頭を観測して、地下の状態を推定するものです。

地質調査は、岩石の種類・特徴、地層の重なりかた地層の走向や傾斜、地層の厚さ、マグマの活動、火成岩の産出状態などを調べるものです。

ボーリング

地表から地中に直径20~50ミリの穴をあけて、地下の地質構造を調べたり地下資源をとったりする作業を、ボーリングまたは試錐と言います。

ボーリングには手掘り・機械掘り、つなの上下動による衝撃によるもの回転式の機械によるものなど、いろいろな方法があります。

人工衛星によるもの

最近、人工衛星による資源の開発が注目を浴びています。

これに、人工衛星のうち、実用衛星とよばれるものでとくに、そのうちの資源衛星(地球資源観測衛星)と言われる衛星です。

この資源術星は、広い地域の航空写真をとり、断層やその破砕帯から新しい油田を発見したり、地表の赤外線を測って地表の温度をもとめ火山の噴火を予測したりします。

また、実用衛星のうち海洋衛星は、海流から魚群を見つけたり大陸棚の海底地形から海底の資源を発見したりします。

このような方法で、アラビアの油田を見つけたところもあります。

このように、これからの探査は、たんに地表からおこなうばかりでなく人工衛星などを用いて地球上のいたるところから地ド資源を見つけるようになるでしょう。




鉱床のでき方とは?火成鉱床・堆積鉱床とは? わかりやすく解説!

鉱床

地殻の中には、銅や鉄をふくんだ鉱物がごくせまいところに集まって分布しているところがあります。これを鉱床といいます。

私たちの日常生活や、いろいろな工業に役に立つ鉱物はおもに鉱床にある特殊な岩石から産します。

鉱床という言葉は、鉱物ばかりでなく石炭・石油・地下水・温泉などにも広い意味で使うことがあります。


鉱床と鉱石

銅の原料となるオウドウ鉱や、亜鉛の原料となる閃亜鉛鉱などいろいろな有用鉱物は銅や亜鉛の原料としては役に立たない石英とか方解石というような不用の鉱物といっしょに産出されるのがふつうです。

このように、有用な元素の集まった岩石を鉱石といいそのうち、採掘の目的となるものを鉱石鉱物、役に立たない不用なものを脈石鉱物と言います。

しかし、どんなに役に立つ鉱物であっても採掘の目的に適わないものは鉱石とは言えません。

たとえば、方解石や石英は金属の原料をとる目的では脈石鉱物になりますがこれらの鉱物の結晶がよく、また、整った形として産し光学材料や装飾として採則の目的に適うならば、鉱石鉱物となるわけです。

このように、鉱石鉱物と脈石鉱物は、鉱物の種類によって決まるのではなく採掘の目的に適うかどうかによって決まるのです。

鉱床のできかた

鉱床は、いろいろな形で分布していますがふつう岩石の割れ目を満たしている状態で分布することが多いようです。

とくに、金属元素をふくれ金属鉱床はそのできかたや産出される状態がいろいろあり火成鉱床・堆積鉱床・変成鉱床に大きくわけられます。



火成鉱床

マグマがゆっくり冷え固まるときに特定の元素が集まって火成岩や、火成岩の近くの岩石の中に鉱床をつくることがあります。

これを火成鉱床といいます。

火成鉱床は、マグマが冷え固まるときの温度や、マグマにふくまれる成分などによって、いろいろな種類の鉱床ができます。

正マグマ鉱床

マグマが冷え固まる初期のころに、密度の大きい鉱物が結晶して出てきてマグマだまりの下のほうに沈殿してできる鉱床です。

このときできる鉱床は、鉄・ニッケル・コバルト・白金などをふくむ鉱物です。

ペグマタイト鉱床

造岩鉱物にならなかった元素の大部分は、残ったマグマの中に集まり火成岩の割れ目などに入って、石英・長石・雲母などの大きな結晶をつくります。

そして、これら結晶とともにタングステン・リチウム・ベリリウムなどをふくんだ金属鉱物も結晶として産出します。

このようにしてできる鉱床をペグマタイト鉱床といいます。

気成鉱床

造岩鉱物が結品として出て、残ったマグマの中のガスの圧力が大きくなると
マグマは岩石中やその割れ目などに入ってスズ・モリブデン・タングステン・銅などをふくんだ鉱物が結晶して鉱脈をつくることがあります。

これを気成鉱床と言います。

熱水鉱床

マグマの温度が下がって、熱水溶液になりこれが岩石中やその割れ目などに入ってつくる鉱床を、熱水鉱床といいます。

このとき金・銀・銅・鉛・亜鉛・水銀などをふくむ鉱物が結晶としてでます。

接触交代鉱床

残ったマグマのガスや熱水溶液が、とくに石灰岩の中に浸透するとその岩石と化学反応を起こして、スカルンとよばれる岩石ができます。

そして、このスカルンの中に、鉄・銅・鉛・亜鉛などをふくんだ鉱物が結晶としてでることがあります。

これを接触交代鉱床といいます。

堆積鉱床

堆積岩ができるときと同じように川底や湖底に堆積してできる鉱床を堆積鉱床といいます。

漂砂鉱床

火成岩にふくまれていた成分が風化して細かくなり重さの違いなどによって水底に沈殿してできる鉱床を漂砂鉱床といいます。

このようにしてできる鉱床には、砂鉄・砂金・ダイヤモンドなどがあります。

沈殿鉱床

湖水にふくまれる鉄分や塩分が沈殿してできる鉱床を沈殿鉱床と言います。

これには、岩塩・セッコウ・鉄・マンガン・ウランなどがあります。

残留鉱床

熱帯や亜熱帯地方で、風化作用によって有用な鉱物が集まってできる鉱床を残留鉱床といいます。

これには、ボーキサイト・陶土などがあります。

変成鉱床

すでにできている鉱床が、変成作用をうけてできる鉱床を変成鉱床と言います。
おもな銅山には銅硫化鉄鉱(キースラーガー)といわれる鉱床がケッショウヘン岩中に産することがあります。

これは変成鉱床の1つです。




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