物理的性質
石炭の色・つや・割れかたなどの性質を物理的性質と言います。
色
炭化が進むにつれて、枯れ木のような色からだんだん黒くなります。
条こん色
素焼きの面を、岩石や鉱物でこすると、粉にしたときの色がわかります。
これを条こん色といいます。
これも、炭化が進むほど黒ずんできます。
つや
炭化が進むほど、つやがでます。
割れ口
もろくて質が一定でない石炭を叩いて割ると、でこぼこの割れ口ができます。
質が一定であると貝がらを割ったときのような割れ口になります。
もろさ
炭化が進んで、質が一定になるほど、細かく砕けやすくなります。
比重
ふつう炭化が進むほど大きくなります。
しかし、石炭の中の燃えないものの量、言い換えれば灰の分量が多いと炭化の進んでいない石炭でも重いことがあります。
火つきの温度
木材では、摂氏470度、泥炭では280度です。
表に見られるように炭化が進むほど高い温度が必要となります。
炭カロリー
石炭の発熱量というのは、石炭1キログラムが完全に燃えたときだす熱量でキロカロリーであらわします。
そして、この1キロカロリーを一炭カロリーとして使います。
炭カロリーは、炭化が進むにつれて大きくなります。
化学的性質
炭素・水素・酸素の量
491ページの表にもしめしたように炭化が進むにつれて、駿素は激しく減りますし水素も少し減りますが炭素はほとんど残りますから、その割合が急に増えます。
ねばりけ(粘結度)
石炭を火の中に投げ入れると、石炭の種類によっては燃えながら溶けて、カルメラのようにねばりけがでて、固まってくるものがあります。
このような性質を石炭の粘結性といってコークスからくるのに大切な性質となっています。
こうして固まるときに、あまりガスを出さないで硬いコークスをつくる石炭を強粘結性の石炭と呼びガスを出してやわらかいコークスをつくるものを、弱粘結性の石炭と言います。
この粘結性は、れきせい炭と、やや炭化の進んだ亜れきせい炭にだけあります。
組織
石炭の面をよく見ると、つやのある部分と、つやのない部分とが、しまをつくっています。
つやのある部分は、輝炭とよばれ、木の幹のようなところが炭化したものでときには、もとの植物の細胞が残っています。
にぶいところに、暗炭といい、小枝・木の葉・腐った木が炭化した部分であって花粉・胞子・種子がふくまれているときもあります。
このほか、木炭のように見える炭母炭とよばれる部分もときどき見られます。
これは、山火事などでできた天然の木炭だと考えられています。
日本のものでは、特に岩手県久慈の石炭に多くふくまれています。
また、コハクも、むかしの植物の樹脂がかわったものと考えられています。