空気の膨張
物をあたためると多くの物はふくらみ、体積が大きくなります。
あたためられて体積が大きくなることを、熱によって体積が膨張したと言います。
空気もあたためると、膨張します。
万年筆のインキが少なくなったとき万年筆を使っているとインキが出過ぎて困ることがあります。
これは、インキ入れの中の空気が多くなりその空気が手であたためられて膨張し、インキを押し出すからです。
また、ピンポンの玉が少しへこんだときこれをあつい湯の中に入れると、また、もと通りにふくらみます。
これも、ピンポン玉の中の空気が膨張して、ピンポンエをもと通りにするからです。
むかし、まだ飛行機もなく、空気より軽い水素なども知られていなかったころヨーロッパで、祭りなどのとき、火気風船というものを飛ばしました。
これは、風船の下で火をたいて、熱せられ膨張して軽くなった空気を風船の中に入れて飛ばしたのです。
また、夏、地面が熱せられると、地面のそばの空気の温度も上がり膨張するので、軽くなって上昇します。
この空気は、上空で冷えて、空気中にふくまれていた水蒸気が雲になります。
空気は、熱しなくても、圧力が小さくなると、膨張します。
また圧力をくわえると、縮みます。
気球に水素を詰めて何千メートルも高いところへ上げるとき地上で気球に水素をたくさん詰めこんでおくと、上空にのぼったときまわりの空気の圧力が小さくなるので、水素が膨張して気球は破れっしてしまいます。
それで地上では少ししぼんだ気球にしておきます。
実験
ゴム風船に空気をすこしだけふきこみまだしぼんだままの風船を湯の中に入れてあたためてみましょう。
すると、風船はだんだんとふくらんでいきます。
つぎに、ふくらんだ風船を冷たい水の中に入れてみましょう。すると風船はしぼんでしまいます。
これは、湯の中に風船を入れると風船の中の空気があたためられて膨張しふくらんだ風船を水に入れるとしぼむのは、中の空気が冷やされて収縮するからです。
温度と気体の体積
気体の体積は、温度によって変化しますが、また、圧力によっても変化します。
それで、温度をかえたとき、気体の体積がどのように変化するかを調べるには圧力がかわらないようにしておいて、調べなければなりません。
シャルルの法則
気体は、圧力をかえないで温度を1℃上げるとその気体の0℃のときの体積の1/273だけ膨張します。
これは、シャルルという人が見つけたのでシャルルの法則と言います。
また、その後、ゲイ=リュサックと言う人がくわしく確かめたので、ゲイ=リュサックの法則とも言われます。
液体や固体も、温度を上げると、膨張しますが、気体はもっともよく膨張します。
また、液体や固体の膨張の大きさは、その種類によって違いますが気体は種類が違っても、膨張の大きさがほとんど違いません。
これは、気体の膨張のしかたの特色です。
実験1
20立方センチ用の注射器を用意します。
まず注射針をガスの炎で赤く焼いて根元のところで折り曲げ空気が通らないようにして、いらないところは、切り捨てます。
つぎに、注射器の中をよく乾かし、ピストンを10立方センチのところに押し込んで曲げた針をしっかりつけます。
この注射器の空気の入っているところを室温と同じにしたビーカーの水の中につけて、だんだん温度を上げていきます。
すると、注射器の中の空気が膨張して、ピストンを押し上げるので水の温度と注射器のめもりを調べていきます。
はじめの水の温度が8℃ぐらいのとき、水心温度が50℃ぐらいになると空気は、約1.5立方センチほど膨張するでしょう。
また、水が沸騰して100℃になると、空気は約3立方センチぐらい膨張するでしょう。注射器を冷ますと、空気はもとの体積にもどります。
この実験では、ピストンは、だいたい自由に動けるようになっていますから注射器の中の空気の圧力は、いつも外の空気の圧力と同じと考えられます。
空気の温度は約90℃上がって体積は3立方センチ膨張しました。
ですから、1℃あたり、3/90立方センチ、つまり、1/30立方センチ膨張したわけです。
もとの体積が10立方センチですから、堆積は1℃あたりもとの体積の約1/300だけ膨張したことがわかります。
自動車のエンジンや、ディーゼル機関などはガソリンや重油を燃やし空気を熱して空気の圧力を急に高くし、その力でピストンを押し下げて、車をまわしています。
実験2
小さなフラスコを用意して、中をよく乾かしておきます。
ゴム栓にワセリンなどをぬって抜けやすいようにして空気がもれないようにをしておきます。
フラスコの口のところを、試験管ばさみではさみ、弱い火で中の空気を熱してみましょう。しばらくすると、ポンと音を立てて、栓が飛び上がります。
この実験で、体積をかえないようにして気体を熱すると気体の圧力が大きくなることがわかるでしょう。