光の三原色とは?色のしくみと正体とは? わかりやすく解説!

光の三原色

太陽の光をプリズムで分散すると、赤から紫までの色の光にわかれます。
ところが、わかれた光をふたたび1つに集めると、またもとの白色光にもどります。

このことからわかるように、太陽の光は目で1つの色の光に見えていても実は、いろいろの色の光の集まりであることがわかります。


実験

3本の懐中電灯を、それぞれ赤・青・緑色のセロハンで包みます。
白い紙を壁にはり、それに懐中電灯の光を、いろいろまぜてうつしてみましょう。

赤と青の光をまぜると、赤紫ができ、赤と緑の光をまぜると、黄色ができます。
さらに、赤・青・緑の光をまぜると白紙には色が見えないで、白色光がうつるだけです。

このように、赤・青・緑の3つの色の光りをまぜてほかの色をつくることができるし、まぜる割合をかえると、違った色ができます。

しかし、青と緑をどんな割合でまぜても、赤はできません。
同じように緑と赤から青、青と赤から緑の光をつくることはできません。

つまり、赤・青・緑の光りは、互いに独立した色と考えることができ赤・青・緑の色の光を、光の三原色と言います。

補色

赤い光と青緑の光とを適当な割合でまぜあわすと、白色光になります。
このような2つの色を、互いに捕色(余色)と言います。

絵具の三原色

光をまぜあわせる場合、たとえば赤と青の色の光をまぜると、赤紫になります。
ところが、絵具の赤と青をまぜると紫色になります。

左の図のように、色のついていない白色光が黄色の絵具にあたるとその中で反射や屈折して、青・青紫・紫などの光は吸収されてしまいます。

しかし、赤・橙・黄・緑などの光は反射されて外へ出てきます。
そして、これらの光のうち黄色がいちばん強いので、絵具は黄色に見えるのです。

同じように青色の絵具では、赤・橙・黄などの光は吸収され残りの色が反射して外へ出てきますが、そのうち青色が強いので絵具は青く見えます。

そこで、黄色と青色の絵具をまぜると、互いに他の反射光を吸収しあい2つの絵具が共通して外に出す色が緑色の光だけになるので緑色に見えます。

絵具の場合には、いろいろな色をつくるのに必要な色は赤・青・黄の3つで、これを絵具の三原色と言います。

絵具の補色

光と同じように、絵具にも捕色があります。
たとえば、赤と青緑、黄と青紫などの絵具をまぜあわせると明るい灰色になります。
このように、まぜあわせると無彩色になる2つの色を、互いに補色と言います。

また、たくさんの色の絵具をまぜあわせるとすべての色光を吸収するので暗い灰色になります。

実験

図のようなこまを厚紙でつくり、半分ずつ、互いに補色の色をぬってまわしてみましょう。

全体が、うすい灰色に見えてきます。

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中間混合

このように、色をぬった円板で色をまぜあわせると色光と絵具の中間のまざり方をするので、中間混合と言います。



光の正体

目に見えるだけで、手にふれても何も感じられずにおいもない光は、むかしの人にとっては、大きな謎だったのです。

17世紀に入るころまで、光は、つぎのように考えられていました。

空気中には、目にも見えないしまた、手をふれても感じることができないエーテルとよばれているものがいっぱいあって、音が空気中を伝わるように光がこの中を伝わっていくと信じられていました。

粒子説と波動説

18世紀になってニュートンが、光は光源からつぎつぎに飛び出てくる、非常に小さな粒であると考えました。

光の反射や屈折などは、この考え方で、うまく説明することができます。
この考え方は、長いあいだ正しいと考えられていました。

しかし、シャボン玉や水たまりに浮かんだ油のうすい膜にはきれいな色がついて見えますが、これを、光が小さな粒であると考えたのではどうしても説明することができませんでした。

そこで、光は、音と同じような波ではないかと言われるようになりました。

電磁波としての光

こうして光の正体はなかなか掴めないまま、19世紀の前半が終わりました。

1864年、マクスウェルという人が、難しい方程式を使って光の速度と電気の波(電磁波)の速度がほとんど同じことを発見しました。

ラジオの電波や、赤外線・紫外線・X線なども、みな電磁波とよばれる横波の形で真空中を光の速度で伝わり、ただ波長だけが違っていることがわかったのです。

そして、ヘルツという人が、実験で電磁波を確かめました。

ところが、20世紀になって、原子についてのくわしい研究が進むにつれてまた、光が粒であると考えなければ説明できないいろいろなことがおこってきました。

金属に光をあてると、その表面から電子が飛出します。
このことなどは、光は粒であると考えなおさなければ、どうしても説明できません。

このようにして、いろいろに考えられてきた光は現在では光は、波の性質と粒の性質の両方をもっているもの、と考えられています。

私たちが身近に経験することは、すべて、光を波と考えて説明することができます。

ただ、原子のように、非常に小さなものの中でおこることがらを説明するにはどうしても、光を粒であると考えることが必要になるのです。




物体色とは?物の色が、赤く見えたり、青く見えたりするのはなぜ?

物の色

私たちの身のまわりにある物は、それぞれ違った色をしています。

けれども、光のないところでは、色を区別することはできないどころか物があるかないかさえもわかりません。

このように、光があって、はじめて色が見えるのですがどんな光をあてても、1つの物は、いつも同じ色に見えるとは言えません。

このことは、太陽の光で見たときと、蛍光灯の光で見たときとでは同じ物の色が、ずっと違った色に見えることからわかります。

では、どのようにして、物の色が、赤く見えたり、青く見えたりするのでしょう。


物体色

太陽光線のように、色のついていない光が赤い物にあたると、その内部で屈折し、反射します。

太陽光線にふくまれている、いろいろな光のうち赤色光だけが反射されて外へ出てきます。

ほかの色の光は、吸収されてしまいます。
そのため、赤色光だけが目に入るので、その物の色が赤く見えるのです。

また、赤いガラスを通して物を見たときも、同じことです。
光が赤いガラス中に入り込み、赤色光だけが吸収されないで、外に出てくるからです。

つまり、このガラスは赤い光にたいしては、透明体で、ほかの光には不透明体なのです。

透明な物でも、また不透明な物でも、中に入った光の中でもある色の光だけが外に出てきて、そのほかの色の光は内部で吸収されてしまうため色がついて見えるのです。

このようにして見える物の色を、物体色と言います。
ふつうに使われている絵具の色は、物体色です。

表面色

物体色にたいして、物の色には、表面色とよばれているものがあります。
金をうすく伸ばしてつくった金箔は、黄金色に輝いていますが光にすかしてみると、青色に見えます。

これは青い光だけを通して、ほかの色は中で吸収してしまい、外にださないからです。

では、なぜ黄金色に輝いて見えるのでしょうか。
これは、黄金色の光だけは金箔の内部に入らないで表面だけで反射してしまうためです。

しかも、金属の表面の反射に、ガラスの表面での反射と違って光の波長と金属によって反射率が違います。

ですから、金属の種類によって、表面からの反射光が違ってくるのでその金属特有の色に見えます。

それで、このような色を、表面色というのです。
金属の表面の色とか、アニリン染料の色はこれです。

高温物体の色

自分で光を出していない物は、外からきた光によって目に見えますし、またその色は、表面色か物体色のどちらかです。

ところが、木炭の火や、電球のフィラメントや電熱器のニクロム線のような物では自分で光を出します。

その光は、やはり色がついています。

電熱器のニクロム線に電流を通すと、はじめは、光がぜんぜん見えませんが二クロム線が熱くなると、うす暗い赤色になり、だんだん温度が上がるとともにあざやかな赤色になってきます。

さらに電流をますと、ニクロム線の色は、いっそうあざやかな赤色になります。

電球のフィラメントの場合も、同じです。
このことから、物の温度が非常に高くなると、光を出すことがわかります。

ろうそくの炎が明るいのは、つぎのような理由です。

ろうが不完全燃焼するために、炎の中にたくさんの炭素の粒ができています。

これが熱せられ、高温になって光を出すからです。

同じように、ストーブに石炭を入れて燃やすとあたたかさは感じますが、光は何も見えません。

ところが、強く石炭をたき、だんだんそばにいられないくらいになるとストーブの壁の鉄が赤くなってきます。

これは、高温になって、光を出しはじめたからです。

このように、物は温度があがると、光を出し、温度があがるにしたがってうす暗い赤色から、だんだん、黄色・白色と、光の色がかわっていき輝きが強くなっていきます。

このことを利用して、反対に、高い温度を測ることができます。
工場や実験室などで使われている光高温計(光高温度計)は、これを利用したものです。




空が青いのはなぜ?夕焼けが赤いのはなぜ? わかりやすく解説!

空の色

煙草の煙りに、横のほうから光をあててみると、煙りがよく見えます。

また、暗い部屋の中で、細い光線を使って同じことをするとその通り道がうすく光って見えるので、光線がまっすぐ進んでいく様子がよくわかります。


光の散乱

これは、光の散乱という現象なのです。

私たちがよく知っているように、大きな物に光があたったときは反射の法則にしたがって、光の進む方向がかわります。

ところが、反射する物の大きさが、小さくなると、この反射の様子がかわってきます。

煙草の煙りは、煙草が燃えてできた炭素のごく小さい粒の集まりです。
この炭素の粒はたいへん小さく、直径が数ミクロン(1ミクロンは1メートルの百万分の1)くらいしかありません。

光の波長は、赤色光でも0.7ミクロンくらいしかありませんが炭素の粒にも、大きなものもあれば、小さなものもまじっています。

もし、光の波長と同じくらいか小さいものがあると反射の法則は成り立たないで、光は、いろいろな方向に進みます。

この現象を光の散乱と言います。

煙草の煙り

散乱する光の量は青に近い光ほど、つまり、波長が短い光ほど多くなります。煙草の煙りは、炭素の粒です。

炭素の粒なら黒く見えるはずですが、粒が非常に小さいため、光の散乱がおこって波長の短い青や紫の光を多く散乱します。

そのため、煙草の煙りは、青く見えるのです。

しかし、人が煙草を吸って口から出した煙りでは、炭素の粒のまわりに水滴がついて粒が大きくなるので、青や紫の光のほかの色も散乱するため
白く見えるのです。

空の雲が白く見えるのも、雲をつくっている水滴が、光を散乱するからです。

青空の青

晴れわたった空が青いのも光の散乱で説明することができます。
空気の中には、ちりとか水滴などのごく小さい粒が、たくさん浮かんでいます。

この粒のため、波長の短い光のほうが、多く散乱されます。
そこで、晴れた空を見ると、青い光が目に入ってきて、青く見えるのです。

また、空気中にちりや水滴がなくても酸素や窒素の分子が光を散乱します。
しかし、このような分子の大きさは、ちりや水滴などより、ずっと小さいのでさらに波長の短い光を散乱します。

夕立の後などでは空気中のごみやちりなどが雨で洗い流されてしまうので、空気の分子のような小さな粒による散乱になります。

そのため、雨のあとは、いっそうすんだ青空に見えるのです。

夕焼けの赤

太陽が、頭の上にあるときにくらべて、朝日とか夕日の太陽の光は空気の中を通る距離が長くなります。

このような場合は、青い光は、途中で空気の中の小さな粒のため散乱されてしまい日に入らなくなります。

ところが、赤や黄色い光は、わりあい散乱されにくくほとんどが、まっすぐ通り抜けて進んできます。

そのため、朝焼けや夕焼けが赤く見えるのです。




赤外線と紫外線の利用と違いとは? わかりやすく解説!

赤外線

赤外線は、目に見える赤い光よりさらに波長の長い光(1センチ~0.8ミクロンくらい)です。

光といっても、目に見えませんから、不可視光線(これにたいして目に見える光線を可視光線という)ということもあります。

赤外線は、太陽スペクトルの赤色の外側にあります。
このことは、つぎの実験で確かめることができます。


実験

まず、水銀温度計の水銀の入っている管球部を、黒いきれで包んでおきます。
この部分を、太陽スペクトルの赤色の外側の、目には何も見えないところにおきます。

すると、温度計の水銀柱があがって、高い温度をさすようになります。
このことから、赤色の隣りには、目には何もみえないが何か温度計に熱をあたえるものがきていると考えることができます。

これが、赤外線なのです。

赤外線には、このように物をあたためるはたらきがあるので、熱線とも言われます。

赤外線の利用

太陽からは、私たちが物を見るのに役立つ光のほかに赤外線が出ていて、地球をあたためています。
このほかにも、温度の高い物からは、必ず赤外線が出されています。

電熱器のニクロム線のヒーターも、電流を通すと赤く光りますがそばに近づくとあたたかく感じることからわかるように、赤外線が出ています。

また、赤くなった木炭からも、赤外線が出ています。

ふつうの電球では、フィラメントが高い温度に熱せられて光を出していますがそのうちの3分の2くらいは赤外線で物を照らすのに役立っているのは残りの3分の1くらいにすぎません。

つまり、電球で使われた電気の3分の2は、熱になってしまうわけです。

ところが、蛍光灯は、目に見える光しか出さないので、同じだけの電気を使えばふつうの電球よりはるかに明るい光を出すことができます。

また、赤外線の物をあたためるはたらきを利用して物をかわかすのに赤外線電球が広く使われています。

赤外線は、うすい物をかわかすのに適していますからペンキやラッカーの塗膜を乾かしたり織物の湿り気を取り除いたりするのに利用されています。

赤外線写真

赤外線は、ふつうの光より波長が長いので、空気中の塵や雲・霧などのため
その進む道を満たされることが少なく、よく通り抜けていきます。

それで、赤外線に感じやすいフィルムで写真をうつすと遠くにある景色が、はっきりとうつります。

木の葉や草などの緑色は赤外線をよく反射するので赤外線カラー写真には赤くうつります。

また、私たちの体や身近にある物からは、弱い赤外線が出ているのでこれを利用して、暗いところでも写真を撮ることができます。



紫外線

赤外線と同じように、不可視光線です。

紫外線は、目に見える光のうち、波長がいちばん短い紫色の光よりさらに波長が短く(100~3800オングストロームくらい)太陽光線のスペクトルでは、紫色の外側にあるので、外線とよばれています。

太陽からは紫外線がたくさん出ていますが、地面までくるのはごくわずかです。
これは、空気中の塵のために、方向が曲げられ、散らばってしまうためです。

また、紫外線をいちばん吸収してしまうのは、地球をおおっている大気の厚い層です。
紫外線をよく吸収するのは、空気中の窒素・駿素ですがこのほかに、地上30キロメートルくらいの高さにあるオゾン層も紫外線をよく吸収します。

そのため、最近では、太陽からくる紫外線を高い空で調べる実験がおこなわれるようになりました。

これは、ロケットに観測器械を積んで打ち上げ、紫外線を調べるのです。

このように、大じかけに紫外線を調べるのは、地球の大気に紫外線があたると高空の大気中に電離層という層ができて、この層が無線通信に使う電波の伝わり方に、大きな影響をあたえているからです。

紫外線の利用

紫外線には、細菌を殺す力があります。
そのため、日光消毒といって衣類や本を太陽の光にあてて、消毒することができます。

人工的に紫外線をつくり、殺菌に使うものに、殺菌灯があります。

この殺菌灯は、蛍光灯と同じような原理で水銀の蒸気に電子をあてて紫外線をたくさん出させます。

また、強い太陽の光に長い時間あたっていると海水浴や山登りのときにわかるように、皮膚が黒くなります。

これも、太陽の光にふくまれている紫外線のためです。
健康のために紫外線は必要なもので体の中でビタミンDをつくるはたらきがあります。

ビタミンDが不足すると骨の発育が悪くなり、くる病などの病気にかかりやすくなります。

また、太陽の光に布や紙をさらしておくと、色がかわります。
これも紫外線のはたらきで、化学変化か起こったためです。

夏の海岸や高い山で写真を撮ると、露出がうまくいかなくて写真が白っぽくうつるのは、フィルムに紫外線が感光するからです。

このようなとき、UVフィルターやスカイライトフィルターなどの紫外線をよく吸収するフィルターを使うと、写真がきれいに撮れます。

紫外線は、このように化学作用が強いので化学線とも言われます。

蛍光灯

紫外線があたると、目に見える光を出す物があります。
この光を蛍光と言い、蛍光を出す物を、蛍光物質(蛍光体)と言います。

私たちが使っている蛍光灯は、ガラス管の内側に蛍光物質をぬり、その中で水銀の蒸気に電子をあてて、紫外線を出させるようにしたものです。

水銀の蒸気からでた紫外線がガラス管の内側の蛍光物質にあたると蛍光物質が目に見える光線を出します。

紫外線は、紫外線があたると蛍光がでる物があることを利用して真珠や古い文書が、本物か偽物かを見分けるのにも使われています。




虹が見えるのはなぜ? わかりやすく解説!

雨があがった後に太陽がでると、虹が見えることがあります。

虹ができるのは、雨がやんだばかりのとき、まだ空気中に水滴がたくさんありこれがプリズムのようなはたらきをして、太陽の光を分散し、七色にわけるからです。


実験

水を入れたフラスコと、厚紙を用意して、図のような装置をつくります。
厚紙にあけた穴を通ってくる太陽光線をフラスコにあてます。

すると、光はフラスコの水によって屈折されたり反射されて、厚紙の上に、きれいな円形の虹をつくります。

虹が見えるわけ

空気中に浮かんでいる水滴に、太陽からきた光(平行光線)があたりその中で屈折と反射をして、ふたたび空気中にでてきます。

このときに赤の光は、入ってきた光の方向と42度の角度、紫の光は40度の角度ででていきます。

それで、下の図のように、太陽と見る人をむすんだ線と42度をなす方向から赤い光40度をなす方向から紫の光ができます。

この方向は、色によって違うので、外側が赤でそれから順に、紫までかわっていく光が見えるのです。

虹では、赤から紫までの光がくる方向がきまるだけで、虹の位置は決まりません。
ですから、虹にむかって進んでいっても虹がだんだん下がっていくように見えるのです。

私たちが実際に見る虹では、無数の水滴が空に浮かんでいてそのおのおのに、これまで説明したようなことがおこっているのです。

もし、私たちが空の高いところにいて、まわりに水滴がいっぱいあれば見る人の目を通り、太陽光線に平行な直線にたいして、42度と40度の方向にそれぞれ赤と紫の輪が見え、そのあいだに、橙・黄・緑・青・青紫の輪が見えます。

しかし、実際には、私たちは地上にいて虹を見るので輪の下の方は地面にさえぎられて見えないので、半円の虹が見えることになります。




プリズムとスペクトルとは?色の光の屈折率とは?

プリズム

下の図のようなガラスの三角柱を、ガラスのプリズムと言います。
プリズムは、ふつグガラスでできていますが、特殊な研究に使われるものは水晶や岩塩などで作ることもあります。

このプリズムを通して物をみるとまっすぐ前にある物は見えないで横か上下にある物が見えます。

このわけは光がプリズムを通るときに、屈折して、光の進む方向がかわるからです。


光の分散

もし物の色が白ければプリズムを通してみると、どうなるでしょうかこのときは、白い物のはしに色がついて見えます。

また、太陽光線や電球の光を、プリズムを通して白い紙の上にうつしてみると赤から紫までのいろいろな色があらわれます。

このことは、私たちが色のない白い光だと思っていた太陽光線や電球の光(太陽光線にくらべて少し赤い感じがするが、とくに色があるとは言えない)は本当は赤から紫までのいろいろな色が集まっていると考えられます。

色の違った光はプリズムを通るとき、屈折する割合(屈折率)が、それぞれ違います。

そのため、プリズムをでるときに、色によって出る方向が違ってくるので白紙にあたる場所も違ってきます。
それで紙の上に、屈折する割合によって、色がわかれてついて見えるのです。

このように、1つの光がいろいろにわかれることを、光の分散と言います。
プリズムでわかれた光を、またプリズムで1つに集めると、ふたたび白い光にもどります。

分光器

さらに精密に光をいろいろな色の光にわけて調べるには分光器という器械を使います。

そのしくみは、下の図のように、レンズL1の焦点のところにスリットとよばれる細い隙間があり、レンズのうしろにはプリズムがおいてあります。

スリットを通ってきた光は、レンズを通った後では平行光線になってプリズムにあたり、プリズムで分散されて色によって、少しずつ違った方向に出ていきます。

これらの光をレンズで集めてやると、Pへ色によって違った位置に集まります。
Pのところへカラーフィルムをおけば、カラー写真が撮れます。



スペクトル

フィルムにうつったものはスリットの像ですがうつり方は、うつそうとする光によって、いろいろ違います。

もし太陽光線なら、赤から橙・黄・緑・青・青紫・紫と切れ目なく続いた写真が撮れます。

水銀ランプやネオンサインの光を使うと、ところどころにぽつんぽつんと、離れ離れにならんだ何本かの色のついた写真が撮れます。

このように、プリズムによってつくられた色の帯がならんでいる状態をスペクトルと言います。

太陽光線のように、切れ目なく続いたスペクトルを、連続スペクトルと言います。
水銀ランプやネオンサインの光のように、離れ離れにあらわれるスペクトルを線スペクトルと言います。

色の光の屈折率

同じ物質でも光の色が違うと、屈折率は違います。
また、同じ色の光にたいしても物質が違えば、それぞれ屈折率は違います。

それで、屈折率をあらわすときは物質と光の色を、はっきりさせなくてはなりません。

しかし、目で感じた光の色によって、屈折率を決めるのは正確ではありません。赤の色といっても、いろいろあります。

正確に色をあらわすには、色によって違う光の波長を決めてその波長の光にたいする屈折率をあらわすことにしています。

光を波と考えてもよいことは、よく知られていることです。
波長は、1センチの1億分の1を、1オングストローム(Å)と言いこれを単位にして光の色のかわりに使っています。

たとえば、6500Åは赤色光になります。




プロジェクター、映写機のしくみとは?TTL露光計とは?

プロジェクター

写真のスライドを映写するのに使われ、幻灯機とも言います。

明るい電球からの光をコンデンサレンズで集めレンズで拡大して、スクリーンにうつしだします。

投影というはたらきは、写真レンズのちょうど反対です。
ですからスライドをうつすときは、上下・左右がひっくりかえった状態にしてキャリアーにさしこまないと正しい像を見ることができません。


映写機

シネカメラ(撮影機)でうつしたフィルムを投影するための機械です。
1こま1こまを投影するのはプロジェクターとかわりありません。

しかし、長いフィルムをおくっていき、ある瞬間は(1こまがちょうど正面にきたとき)止めてやらなくてはならないので、複雑な送り装置がついています。

フィルムが、1つのこまからつぎのこまに送られているあいだはシャッターを閉じて光を送らず、フィルムがとまったときだけ投影します。

ですから、見ている人は、1こま1こま止まった写真を見ているのです。
では、どうしていろいろな物が動いて見えるのでしょうか。

残像

物を見つめていてから目を閉じてもしばらくのあいだ(人間の目では1/20秒くらい)、まだその物が見えるように感じます。

これを、残像と言います。

火をつけた線香をふりまわすと、赤くてまるい輪に見えます。
これは、残像のために、網膜の上にできた前の像が消えないうちにつぎの像がうつり、それが続いているように見えるためです。

映画も、このような残像を利用したものです。

映写機では1秒間に24こまもフィルムが送られるので残像のはたらきで1こま1こまの絵が、続いて動くように見えるのです。

シネカメラ(撮影機)

フィルムの上に、つぎつぎと少しずつ違った写真をうつして動く物の様子をそのま記録するカメラです。

映画をつくるときには、ふつう35ミリ幅のフィルムを使いますが学校や家庭などでは、16ミリかか8ミリ幅のものを使います。

TTL露光計

ちかごろ、EEカメラのさらに進んだTTLというカメラが増えてきました。

TTLとは、スルー=ザ=レンズ(レンズを通り抜けて)という英語の頭文字だけをとった略称です。

正確には、TTL露光計、TTLカメラまたはTTL方式と言います。

写真をうつすときには、フィルムに適当な光の量をあたえなければなりません。
そのために、シャッター速度としぼりを調節するわけです。

露出計は、被写体(フィルムにうつるもの)の明るさを測り正しいシヤッター速度としぼりの値をしるために使います。

いままでの露光計には被写体以外の部分の明るさを測ってしまうという欠点がありました。

これは、露光計の受光部(被写体からくる光を受け入れるところ)を正しく被写体のほうにむけない場合(図1)や望遠レンズでせまい部分をうつすときのように明るさを測る範囲のほうが広すぎる場合(図2)などによくおこります。

この欠点をなくしたのが、TTL露光計、またはTTLカメラです。
これは、露光計の受光部をカメラの中におき、レンズを通ってきた光すなわち実際にフィルムに届く光の量を測るのです。

ですからレンズを通して被写体の明るさを測るとも言えます。
そのためフィルムにうつる範囲と同じ部分の明るさを測ることができます。

TTL露光計は、一眼レフカメラとむすびついて発達しました。
一眼レフカメラではフィルムにうつる範囲とファインダーを通しての視野が一致します。

レンズを交換すると、ファインダーの視野もそれにつれてかわり一眼レフカメラにTTL露光計をくみこむとファインダーの視野とフィルムにうつる範囲と、露光量を測る範囲とが一致するわけです(図3)。

これは、露光計つきカメラとしては理想に近いものです。

TTLカメラには、そのほかにも長所があります。
拡大撮影や顕微鏡撮影のようにかんたんに露光量を測れないときにもTTL露光計は、正しい露光量をしめしてくれます。




カメラのしくみとは?電気シャッターのしくみとは?

カメラ

カメラには、レンズ・シャッター・しぼり、フィルムをおさめる部分などがあります。
レンズは、写真をうつそうとする物の実像を、フィルムの上につくります。

シャッターは、適当な時間だけ光をフィルムにおくる役目をします。
しぼりは、レンズの光を通す部分の広さをかえるはたらきをします。

フィルムにあたる光の量は、シャッターが開いている時間としぼりの面積との積に比例します。

いまでは多くのカメラに、うつそうと思うものにカメラをむけるだけでその明るさに応じたシャッター速度やしぼりを自動的に調整する電子の目(エレクトリックアイと言い、この装置をもったカメラを、EEカメラという)がくみこまれています。

電子の目が光に感じて、シャッター速度やしぼりを調節するのはこの部分に光電池などが使われ、これには、セレン光電池や硫化カドミウムと水銀電池とをくみあわせたものがあります。


電子シャッター式EEカメラ

ふつうのEEカメラは、光電池などによって生じた電流で電流計の針をふらせその針のふれた角度からシャッターやしぼりを自助的に調整しています。

ところが最近開発された電子シャッター式EEカメラではうつされるものの明るさを電流の流れの大小にかえて、これをコンデンサーにためコンデンサーにたまる電気がいっぱいになるまでの時間をシャッターが開いている時間になるようにしてあります。

そのため、非常に正確な露出時間が得られます。
また、シャッター速度は今までのカメラのように50万分の1とか100分の1とかという決まった時間ではなくどんな時間のシャッター速度でも得られます。

ですから、非常に暗いところでも必要な時間だけシャッターを開けておくことができます。

カメラのレンズ

カメラのレンズは、虫眼鏡のように、1枚の凸レンズだけというわけにはいきません。
明るく、広い範囲をうつすために、何枚ものレンズを組み合わせたレンズが使われています。

これは、1枚のレンズではいろいろな収差があってはっきりした像をつくることができないからです。

ふつうのカメラには、3枚のトリプレット型が4枚のテッサー型レンズが使われています。
近頃の高級なカメラには10枚近くのレンズが組み合わさってできたレンズが使われています。

使う目的によって、レンズには、広角レンズ・望遠レンズなどがあります。
広角レンズは、焦点距離が短く同じ大きさのフィルムの上に広い範囲をうつすことができます。

望遠レンズは、焦点距離が長く、小さな部分を拡大してうつすことができます。

コーティング

カメラのレンズをよく見ると、紫色や、だいだい色に色づいています。

これは、コーティング(反射防止膜)といってうすい金属(ふっ化マグネシウム・氷晶石など)の膜をレンズの表面につけて、光の反射を減らし、フィルムのほうへ行く光を増やしています。

立体写真

私たちが、物を立体的に見ることができるのは左右の目が、少しずつ違った形に見えることによります。

遠くと近くにある2つの物をよく見て、左右の目を、かわるがわる閉じてみましょう。
2つの物の関係が、少し違って見えるのに気がつくでしょう。

写真は1つのレンズで1つの面の上にうつした物ですからこれをいくら左右の目で見ても、写真の中の景色は、立体的には見えません。

実際に両目で見たと同じように立体的な感じを出すのが立体写真(ステレオ写真)です。




望遠鏡のしくみとは?望遠鏡の種類とは? わかりやすく解説!

望遠鏡

遠くの物を、大きくはっきり見るためには、望遠鏡を使います。
遠くの景色を見る双眼鏡や、芝居の舞台やスポーツなどを見るためのオペラグラスなどは、望遠鏡の一種です。


望遠鏡のしくみ

望遠鏡も、顕微鏡と同じように対物レンズと接眼レンズの2種類のレンズからできています。

対物レンズは凸レンズのはたらきをもち遠くの物からやってくる平行な光線を焦点に集め、焦点に倒立した実像をつくります。

この実像を、接眼レンズで、虫眼鏡と同じ原理で拡大して見るのです。

私たちが物を見るとき、物の大小の感じは網膜の上にできるその物の像の大小によります。

レンズの中心を通る光は曲げられませんからそれは、物の両はしから目の中心にやってくる光線がつくる角(視角という)の大小によって決まります。

したがって、同じ物でも遠方にあると小さく、近くにおると大きく感じます。
このことは、決まった幅のレールでも、遠くのほうへいくにつれてせまくなるように見えることでもわかるでしょう。

望遠鏡は、対物レンズと接眼レンズの組みあわせによって視角を大きくして、見やすくしてくれます。

望遠鏡の倍率

望遠鏡を通して遠くにある物の像を見たときの視角が望遠鏡を使わないで直接、目で見たときの視角の何倍になっているか、という数を望遠鏡の倍率と言います。

望遠鏡の倍率は、つぎの式で計算します。



望遠鏡のいろいろ

望遠鏡には、レンズを使った屈折望遠鏡と反射鏡を使った反射望遠鏡とがあります。

屈折望遠鏡

ふつうの天体望遠鏡は、ケプラー式望遠鏡で、像が倒立像となるので天体を観察するには構いませんが、地上の景色を見るときは不便です。

地上用望遠鏡は、プリズムやレンズをたくさん使って、正立した像にかえています。
ふつう、接眼レンズは凸レンズですが凹レンズでも拡大された像を見ることができます。

そのためには、対物レンズの焦点を、凹レンズのうしろ側の焦点に一致させます。
すると対物レンズを通った光は、焦点に集まる前に接眼レンズにあたり散らされて平行光線になってでてきます。

こうして、凹レンズを接眼レンズとして使うと、正立した像をつくることができます。これをガリレオ式望遠鏡と言います。

オペラグラスは、ふつう、ガリレオ式望遠鏡を2つ組みあわせた望遠鏡です。
双眼鏡は、プリズムを使って、像を正立にするとともに、鏡筒の中で光を往復させ全体の長さを短くして持ち運びに便利なようにしてあります。

反射望遠鏡

球面鏡による光の反射を利用した望遠鏡です。

凹面鏡によってつくった遠方の物の実像を、接眼レンズで拡大してみます。

質が同じで、屈折率にむらのない大きなガラスはなかなかつくれないので大きなレンズよりも、大きな反射鏡をつくるほうがかんたんです。

そのため、最近つくられる大きな望遠鏡は、ほとんど反射望遠鏡です。




顕微鏡のしくみとは?顕微鏡の種類とは? わかりやすく解説!

光学器械

レンズや鏡の性質を利用して、遠くの物を見たり小さな物を大きくして見たり物の長さを測ったりする器械を、光学器械と言います。

光学器械には、顕微鏡・望遠鏡・双眼鏡・カメラ・映写機・測量器械など
いろいろなものがあります。



顕微鏡

凸レンズを1枚しか使わない虫眼鏡では10倍よりずっと大きい倍率をだすことは困難です。
もっと大きな倍率にまで、物を拡大して見るには、顕微鏡を使います。

顕微鏡は、16世紀の終わりごろに考えだされ19世紀に入ってからドイツで著しく進歩しました。

このため、19世紀の終わりごろから、いろいろな病原体がつぎつぎと発見され伝染病をふせぐ方法を考えだすのに、有要な役割りをはたしてきました。

顕微鏡のしくみ

顕微鏡は、違ったはたらきをする2枚のレンズからできています。
しかも、その2枚のレンズは、それぞれ2枚以上のレンズが組みあわさってできているのがふつうです。

ここでは、しくみをかんたんに説明するため1枚ずつのレンズでできているものとして考えをすすめましょう。

調べようとする物の近くにあるのが対物レンズです。

対物レンズは、焦点からわずかに外側にある実物の大きく引き伸ばされた実像をつくります。

目に近いところにあるのが接眼レンズです。
接眼レンズは、虫眼鏡のようにはたらき対物レンズでできた大きな像をさらに大きく引き伸ばして虚像をつくり、これを目で見るのです。

対物レンズは、倒立した実像をつくり接眼レンズは、虫眼鏡としてはたらくので、正立した虚像をつくります。

したがって、顕微鏡全体としては、倒立した虚像になります。
つまり、実物とくらべて上下・左右が反対になっています。

顕微鏡の倍率

顕微鏡の倍率は対物レンズの倍率と接眼レンズの倍率をかけあわせたものになります。

たとえば、対物レンズの倍率が10倍で、接眼レンズの倍率が5倍ならば全体で50倍になります。

対物レンズと接眼レンズの倍率は、それぞれレンズの筒のところに×5とか、×10のように刻んであります。

ふつう、対物レンズの倍率は、3~40倍くらいで最高100倍くらいまで、接眼レンズの倍率は5~15倍くらいで、最高20倍くらいです。

そのため、ふつうの顕微鏡で見られる最高の倍率は、2000倍くらいです。

顕微鏡のいろいろ

顕微鏡には観察するものや、観察のしかたによって、いろいろな種類があります。

生物顕微鏡

植物や動物の細かいしくみやはたらきを観察したり細菌を観察したりするときに使われる、いちばんふつうの顕微鏡です。

金属顕微鏡

金属のしくみや、表面の様子を観察するための顕微鏡です。
金属は光を通さないので上から光をあてて反射させ、その反射光線により観察します。

そのため、接眼レンズと対物レンズの間に半透明の鏡をななめにいれておき
これに横から光をあて、その光を対物レンズを通して金属にあてます。

金属で反射された光は、ふたたび対物レンズを通って像をむすびこれを接眼レンズで大きくしてみます。

偏光顕微鏡

岩石をつくっている鉱物が、どういう鉱物からできているかを観察するための顕微鏡です。
最近では、いろいろな物の結晶を観察するときにも使われています。

光を電磁波とみたとき、ある方向だけに振動している波を、偏光と言います。

太陽や電灯の光は、いろいろな方向に振動している横波がまじっていますがこの光を電気石にあてると電気石は結晶軸の方向に振動する光だけを通すので偏光をとりだすことができます。

このような偏光を通して試料を観測すると、結品の性質がよくわかります。



位相差顕微鏡

無色透明な試料の屈折率の違いを利用して透明な試料に明暗をつけて観察する顕微鏡です。

生物顕微鏡では、試料に色がついていたり光の通り方が場所によって違うため、目で見ることができるのです。

ですから、無色透明な物は見ることができません。

しかし、無色透明な物でも、まわりの物と屈折率が違えばそのちがいを利用して明暗のある像をつくることができます。

この方法を位相差法と言い、これを利用したのが位相差顕微鏡です。

生物顕微鏡で無色透明な試料を観察するときには試料を染料につけて色をつけないと観察できません。
色をつけると生きている物を殺してしまうので生きたまま観察することはできません。
しかし位相差顕微鏡を使うと、無色透明な試料を生きたまま観察できます。

これらの顕微鏡は人間の目に見える光線(可視光線)を使った顕微鏡ですがこのほかに、赤外線を使った赤外線顕微鏡、紫外線を使った紫外線顕微鏡もあります。

赤外線顕微鏡は、半導体の結晶を調べたりするときに使われます。
紫外線顕微鏡は可視光線より波長の短い紫外線を利用するのでほかの顕微鏡よりはっきりした像をえることができます。

また、片目で長い間観察していると目が疲れるので両方の目で見るようにした双限顕微鏡もあります。

電子顕微鏡

ふつうの顕微鏡は、目に見える光を使います。
ですから生物顕微鏡や位相差顕微鏡などを、光学顕微鏡と言います。

光学顕微鏡では、光の波長(0.5ミクロンくらい)よりも小さい物ははっきり見分けることができません。

倍率をあげて2000倍くらいより大きくしても、大きなぼやけた像が見えるだけです。
これは、光が一種の波であるためにおこる、どうしてもさけられない現象です。

目に見える光より波長の短い放射線に、紫外線やエックス線・ガンマ線があります。
しかしエックス線やガンマ線を顕微鏡に使うのに適当なレンズがありません。

紫外線を使った顕微鏡だけが実際に使われていますがそれでも0.01ミクロンより小さい物は、やはり見ることができません。

このため、1920年ごろから、もっと大きな倍率でしかもはっきりした像をつくるため、光のかわりに電子の流れを利用した電子顕微鏡が考えられはじめました。

電子は、-の電気を帯びているので、走っている電子は磁界を通ると曲がります。

この性質を利用して、ちょうど光をガラスのレンズで屈折させるように電磁石を使って電子を集めたり、散らしたりすることができます。

これを、電子レンズと言います。

電子は、空気の中を走ることができないので電子顕微鏡の内側は真空にしてあります。
また、電子レンズには、数万ボルトもの高い電圧がかけてあります。

電子顕微鏡では、像を直接見ることができないので蛍光板にあてて目に見える像をつくったり、写真にうつしてみます。

電子顕微鏡で見ることができる物の大きさは、0.001ミクロンくらいまでです。




眼鏡の特徴と性質とは?近視・遠視・乱視とは?

眼鏡

私たちが、正しくものを判断するためには目で物を見ることがたいへん役に立ちます。
目を常に注意して、いつまでも大事に使いましょう。

しかし、生まれつきや、目の使い方が悪いと、目がその役目をしなくなります。
そんなときには、ふつう眼鏡をかけて、目のはたらきを助けています。

では、眼鏡は、どんなしくみをもっているでしょうか。


目のしくみ

私たちの目は2つあって、それぞれ、直径が2センチくらいの球のような形をしています。
光は空気から角膜に入り、つぎに水晶体というレンズのはたらきをするものを通ったのち網膜の上に、上下・左右が反対になった実像をむすびます。

網膜には、光を感じる視細胞がありこれによって光の刺激が大脳に伝えられ、はじめて物が見えるのです。

目のしくみは、カメラとよく似ています。
角膜から水晶体までの部分が、カメラのレンズにあたり網膜はフィルムにあたります。

また、カメラのしぼりにあたる物が、紅彩です。

明るさにより、開いたり閉じたりして適当な強さの光が、網膜の上にあたるように調節します。

物までの距離がかわったときにも、網膜の上にはっきりした像をむすぶために水晶体を引き伸ばしたり、縮ませたりして水晶体の焦点距離をかえます。

これも目の調節作用と言います。

このはたらきにより、ふつう目から20センチくらいのところから非常に遠いところまで、はっきり見ることができます。

非常に遠いところを見るときは、水晶体は伸びきった状態になり近くの物を見るときは、水晶体は強くふくらんでいます。

若い人は、近くの物まで見ることができますが年をとると水晶体を強くふくらませることができなくなり、近くの物が見にくくなります。

これを老眼と言い、老眼の人は、凸レンズの眼鏡を使います。

近視と近眼鏡

水晶体の焦点距離が短すぎると、遠くの物の像が網膜よりも前にできてしまい、網映の上にはっきりむすばせることができません。

また、眼球の奥行が深すぎても、同じことになります。

このような人は、近くの物を見るときならよいのですが遠くの物をはっきり見ることができません。

これを近視、または近眼と言います。
近視の人は、凹レンズの眼鏡を使い、これを近眼鏡と言います。

近眼鏡として、どんな凹レンズを使ったらよいでしょうか。

非常に遠くの物からやってくる平行な光をその人がはっきり見ることのできるいちばん遠くの点(遠点という反対に、はっきり見えるいちばん近い点を近点という)から出てきた光のように、光広げるはたらきのある凹レンズを使えばよいのです。

つまり、凹レンズの前側の焦点が、その人の目の遠点にあるようにすればよいのです。

遠視と遠眼鏡

水晶体の焦点距離が長すぎるか、眼球の奥行が浅すぎると近くの物の像は、網膜よりうしろにできてはっきり網膜の上にむすばなくなります。

これを遠視または、遠眼と言います。

遠視の人は、老眼の人と同じように、近くの物をはっきり見ることができません。

このような人は、凸レンズの眼鏡を使います。

見たいと思う、いちばん近くからでた光を近点からやってきたように光を集める凸レンズを使えばよいのです。



眼鏡の度

近視や遠視の人が、どのようなレンズを眼鏡として使えばよいかを正確にあらわすには、焦点距離で言えばよいのです。

実際には、一を、メートルで測った焦点距離で割った数が使われています。
これをレンズの度と言い、ジオプトリーという名前をつけてよんでいます。

たとえば、焦点距離25センチのレンズの度は、1÷0.25=4
4ジオプトリーです。

乱視と乱眼鏡

目の故障には近視・遠視・老眼などのほかに乱視があります。
これは、ふつうのレンズにもおこる非点収差が、目におこったのです。

非点収差とは下の図のように、一点からでた光がレンズを通ったあと一点に集まらないで、違った位置にある互いに垂直な線の像をつくることです。

したがって、物が点でなく、複雑な形をしていると、その一点一点が、離れた位置で、しかも、線のように伸びた像をつくるので、はっきりした像にはなりません。

このような目が、乱視です。
原因は、目の角膜が、正しい球形でなく、すこしゆがんだ形をしているためです。

このようなとき、正しく見えるようにするには、シリンドリカルレンズを使います。

このレンズは、1つの方向には全く光を曲げるはたらきがなくそれに垂直な方向にだけ光を曲げるはたらきをもっています。

このレンズを、その人の角膜のゆがみにあった方向にはめた眼鏡を使うと正しく見えます。

これが乱眼鏡です。

乱視のほかに、近視や遠視があるときにはレンズの1つの面がシリンドリカルレンズでもう1つの面が近視や遠視のための球面になったレンズを眼鏡として使わなければなりません。

検眼鏡には、乱視の程度とくに光を強く曲げる方向と弱く曲げる方向を決めるような装置がついています。




虫眼鏡の特徴と性質とは? わかりやすく解説!

虫眼鏡

1枚の凸レンズに、えをつけて、見やすくした物が、虫眼鏡です。
細かくてみにくい物を、大きく拡大して見やすくするのに使います。


虫眼鏡の像

凸レンズでも、物とレンズとの距離が、焦点より短いときは実像ができなくて、虚像となります。

ですから、実物より大きくて、正立虚像となります。

明視の距離

目は、あまり近くの物を見ることはできません。
目が疲れないで、いちばんはっきり見ることができる距離を明視の距離と言います。

これは、ふつう25センチくらいですから虫眼鏡でも像を目から25センチくらいにつくります。
このためには、見ようとする物をレンズの焦点から、少し内側におきます。

虫眼鏡の倍率

虫眼鏡を通してみる像の大きさが実物の何倍かという数を、虫眼鏡の倍率と言います。

虫眼鏡のレンズの焦点距離をFセンチ、明視の距離を25センチとします。
目をできるだけ虫眼鏡に近づけてみたときの倍率は、つぎのような式であらわされます。

また、目をレンズの焦点においてみたきの倍率は、

ふつう、かんたんですから、あとの式を使って計算しています。

したがって、焦点距離が小さいほど、大きな倍率がえられます。
しかし焦点距離があまり小さいとレンズは強くふくらんだ形となり、よい像ができません。

虫眼鏡は、ふつう10倍くらいまでです。



実験

虫眼鏡の倍率を、つぎのようにして、測ってみましょう。

2本のものさしを用意して、図のように下のものさしが明視の距離(25センチ)になるようにします。

2本のものさしのめもりを、むかいあわせて平行におきます。下のものさしを右の目で見ます。

上のものさしは、虫眼鏡を通して左の目で見ながら、上下に動かします。
そして、上のものさしのめもりのはしと、下のめもりのはしが同じところに重なって見えるようにします。

ここで上のものさしの像1センチの長さにたいして下のものさしの長さが何センチになるかを読みます。
たとえば、上のものさしの1センチが、下のものさしでは2.5センチならこの虫眼鏡の倍率は、2.5倍となります。

虫眼鏡の収差

レンズによってできる像が完全でないことを、レンズの収差と言います。

虫眼鏡によってできる像もよく注意して見るといろいろ欠点を持っていることがわかります。

方眼紙を焦点距離の短い虫眼鏡で見てみましょう。
方眼紙の線は、まっすぐですが、虫眼鏡を通してみるとふちのほうはゆがんで、糸巻きのような形に見えます。

これは、ゆがみといわれる収差の一種です。

つぎに、下の写真は、凸レンズの焦点の内側にスクリーンをおき凸レンズに太陽光線をあてたときに見られる像です。

これは、色収差とよばれるものです。

光の色によって屈折率が違うため、像の大きさも違います。
そのため、完全に像が重ならず、少しずれているため色づいて見えるのです。

このほか、レンズの収差には、球面収差・こま・非点収差・曲がりなどがありこれらの収差を取り除くのは、なかなか難しいことです。




レンズによってできる像とは?実像・虚像とは? わかりやすく解説!

凸レンズの像

暗い部屋の中で、火をつけたろうそくを、机の上に立てます。

凸レンズの面をろうそくの炎に向けておき、ろうそくの反対側にレンズの軸と直角に白い紙をおきます。

この紙とレンズの位置をいろいろとかえてみるとろうそくの形が紙の上に、上下・左右とも反対にうつります。

これが、凸レンズによってできる像です。

ところで、像のできる位置は、1か所とはかぎりません。
凸レンズを動かさないで、ろうそくと紙を動かせば炎の像を何回もうつしだすことができます。

しかし、凸レンズとろうそくを動かさなければ像のできる位置は、1か所しかありません。


実験

凸レンズとすりガラスとろうそくを用意します。

凸レンズを太陽にむけて固定しておき、すりガラスを動かしてみて太陽光線が一点に集まるところを探し、焦点距離を測っておきます。

つぎに、暗い部屋の中で、凸レンズを固定しておき火をつけたろうそくを、焦点距離の2倍より遠いところにおいてみましょう。

ろうそくの反対側で、すりガラスを前後に動かしてみると逆さまの小さな像が、焦点と焦点距離が2倍のところとの間にできます。

ろうそくを、焦点距離の2倍のところにおいてみましょう。

すると、そのろうそくと大きさの等しい、逆さまの像がろうそくと反対側の、焦点距離の2倍のところにできます。

ろうそくを、焦点と焦点距離の2倍のところとの間においてみましょう。
すると、実物より大きな逆さまの像が、ろうそくと反対側で焦点距離の2倍より遠いところにできます。

ろうそくを、焦点のところにおいてみますと、像はどこにもできません。

ろうそくを、焦点より内側におしてみましょう。
すると、像をすりガラスにうつすことはできませんが、ろうそくを立てたほうにレンズを通して実物より大きな、正立の像を見ることができます。

このようにしてできた像は、ろうそくより大きいことも小さいこともあります。

そして、ろうそくが凸レンズの焦点に近いほど、大きな像ができます。

ろうそくの像がすりガラスの上にできているとき、すりガラスを取り除いてすりガラスのあった位置の25センチくらいうしろから凸レンズを見てみましょう。

すると、すりガラスがあった位置に、はじめと同じような像が見られます。



凹レンズの像

凹レンズを使い、凸レンズと同じようにろうそくの炎の像を、紙の上にうつしてみましょう。

しかし、ろうそくと紙をどんな位置にもってきても、像はできません。

紙を取り除いて、凹レンズを通してろうそくの炎を見てみましょう。
すると、上下・左右とも同じで、実際のろうそくより小さな像が見えます。

レンズの像のもとめ方

レンズの焦点距離と、物の位置がわかっていると球面鏡のときと同じように、図を書いて像の位置や大きさをもとめることができます。

レンズの像を図でもとめるときには、物のはしの一点からひいたつぎにあげる3本の光線のうち、どれか2本を選びそのまじわる点をもとめれば、その点が物のはしの一点の像となります。

① レンズの軸に平行に進み、レンズを通ったあと焦点を通る光線、または焦点から出たように進む光線。

② レンズの中心を通り、そのまま、まっすぐに進む光線。

③ 焦点を通り、またはレンズのむこう側の焦点にむかいレンズを通ったあと、レンズの軸に平行に進む光線。

この3本の光線のうち、2本の光線がまじわる点をもとめるとこの点が、はじめに光線をひきだした点の像になります。

実験の①~⑤までの像を図でもとめてみると、図のようになります。

実像

光が実際に集まってできる像を実像と言います。

凸レンズでは、物を焦点より遠いところにおいたとき逆さまの実像(倒立実像)ができます。

虚像

凸レンズの実験で、ろうそくを焦点の内側に入れると、像ができませんでした。
このとき、ろうそくを、レンズを通して反対側から見ると実物より大きな像が見えます。

このようなときに、レンズを通った光を反対側に伸ばしてみると、一点に集まります。
光は、実際にはその点を通りませんが、レンズを通ったあとで光がその点から出てくるように見えます。

そこで、このような像を虚像と言います。

虚像は、物のある側に、実物と同じむきの像(正立虚像)になります。
1枚のレンズでは、実像は倒立実像、虚像は正立虚像になります。




レンズの種類とは?レンズを通る光の進み方とは?

レンズの種類

ガラス・水晶・プラスチックなどのように透明な物の両面を球面、あるいは球面と平面に磨いたものを、レンズと言います。

光は、空気からレンズに入るときと、レンズから空気に出るときにそのさかいの面で屈折して、進む方向をかえます。

このレンズの性質を利用して小さな物を見るための顕微鏡、遠くのものを見るための望遠鏡、測量器械・カメラ・撮影機・映写機・眼鏡などいろいろな光学器械がつくられています。

レンズは、これらの器械の中心となるはたらきをしています。

レンズには、いろいろな形のものがありますがそのはたらきによって、凸レンズと凹レンズの2つにわけられます。


凸レンズ

下の図のように、ふちの部分より中心のほうが厚くなっているレンズを、凸レンズと言います。

凸レンズは、虫眼鏡や年よりの人がかける老眼鏡などのレンズに使われています。

凹レンズ

ふちの部分より、中心のほうがうすくなっているレンズを、凹レンズと言います。

凹レンズは、近視の人がかける眼鏡などに使われています。

レンズを通る光

レンズを通る光の屈折のしかたは、レンズの形によってたいへん違います。

実験

凸レンズ・凹レンズと紙を用意します。
レンズに太陽の光が直角に、あたるようにして紙にレンズを通ってきた光をあてます。

この紙を、レンズからだんだん遠ざけてみましょう。

凸レンズでは、はじめはレンズと同じくらいの面積が明るくなっていますが遠ざけるにしたがって、だんだん明るい部分

が小さくなり、やがては小さな点になります。
しかし、さらに紙を遠ざけると、明るい部分は広がっていきます。

凹レンズでは、紙を遠ざけていくと、明るい部分は大きくなっていきます。

このように、凸レンズは光を集め、凹レンズは光を広げる性質があります。

レンズの焦点

凸レンズでは、レンズからある距離のところに光が集められて小さな点となります。
この点は、光が集まって温度が高くなるので、紙などをそこにおくと、こげだします。

この点が、凸レンズの焦点です。

凹レンズでは、レンズから紙を遠ざけていくと明るい部分がだんだん大きくなるため、レンズのうしろ側には焦点はありません。

しかし、図のように、レンズを通った光を反対の方向に伸ばすと、一点に集まります。

この点が、凹レンズの焦点になります。



レンズの焦点距離

レンズの中心から焦点までの距離を、レンズの焦点距離と言います。

光がレンズの左からきたとき焦点は凸レンズではレンズより右、凹レンズでは左にできます。

また、光が右からくれば、凸レンズでは左、凹レンズでは右にできます。
このように、1つのレンズには焦点が2つあり、焦点距離は、どちらも同じです。

実験

ボール紙で、図のような箱をつくり1つの箱をもう1つの箱にさしこんで、動かせるようにします。

外側の箱のはしに、レンズの直径の半分ほどの間隔で、細長い穴を2つあけます。
そして、その上に焦点距離を測ろうとするレンズをのせてセロハンテープでとめます。

内側の箱のはしには、半透明の紙か、すりガラスをつけます。
用意ができたら、レンズのついているほうを太陽に向けます。

凸レンズのときは内側の箱を動かし、2本の明るい線が小さな点になる位置を決めます。
このときのレンズからすりガラスまでの長さが、焦点距離です。

凹レンズのときは、レンズのところにあけた穴の間隔のちょうど2倍の間隔の目印を、すりガラスの上につけておきます。

そして、2本の明るい線がこの目印と重なる位置を探します。
このときのレンズからすりガラスまでの長さが、焦点距離となります。

このようにしてレンズの焦点距離を測ると中心とふちの厚さの違いが大きいほど、焦点距離が短いことが、わかります。

レンズの軸

下の図のように、レンズの表面を通る円の中心を、球の中心と言います。
この球の中心とレンズの中心とをむすんだ線を、レンズの軸と言います。

レンズのはたらきとプリズム

凸レンズは光を集め、凹レンズは光を広げるはたらきがあります。

このようなレンズのはたらきは、レンズは厚さと角度とがだんだんかわるプリズムからできていると考えれば、よくわかるでしょう。

プリズムは光を屈折させて、光の進む方向をかえます。
このとき光は、いろいろな色にわかれます。

しかし、プリズムの光を屈折させるはたらきが小さいときにはプリズムは、ただ光の方向をかえるだけということもできます。

プリズムでは、光はプリズムの厚いほうへ曲げられます。
また、レンズでも同じように、レンズの厚いほうへ光は曲げられます。
そして、光の曲がり方は、レンズの軸から離れるほど大きくなります。

そのため凸レンズは、はしの部分より中心のほうが厚くなっているので光が集まるのです。
反対に凹レンズは中心がうすく、はしのほうが厚くなっているので、光が広がるのです。

ところで、レンズに入ってきた光はレンズの面で一度屈折し、光がレンズからでるときも屈折します。

そのとき、光は、平らな面で屈折するのと同じように屈折します。

レンズを通る光の進み方

凸レンズでは、レンズの軸に平行に進んできた光はレンズを通るときに曲げられて、焦点を通るように進みます。

また、焦点を通るように進んできた光は、レンズを通ると軸に平行に進みます。

凹レンズでは、軸に平行に進んできた光はレンズを通ると、図のように焦点から出たように進みます。

また、むこう側の焦点にむかう光は、レンズを通ったあと、軸と平行に進みます。




光の屈折とは?水中にある物の見え方とは? わかりやすく解説! 全反射とは?

水中にある物の見え方

水の中に沈めた物を、水面の上から見ると実際より浅いところにあるように見えます。

これは、その物から出た光が、水面で屈折して目に入るからです。
つまり、その光を反対に伸ばした方向に、その物があるように見えるわけです。

光が、空気中から水中に入るときの屈折率は、4/3です。
言いかえると、空気の水にたいする屈折率は3/4になります。

そのため、水の中にある物は、本当の深さの3/4の深さのところにあるように見えるのです。

川を渡ろうとして、浅いと思ったのに、川が深くて驚いたり棒を水の中につけると、水面から下が折れているように見えたりします。

これも、空気と水のさかいで、光が屈折するからです。


実験

茶碗に小石を入れて、その小石が茶碗のふちに隠れて見えないような位置に目をおきます。

つぎに目の位置をそのままにして茶碗に水を入れていくと、小石が見えるようになるでしょう。

これは、はじめ小石と目のあいだには空気しかなかったので光がまっすぐ進み、茶碗のふちに邪魔されて、小石が見えなかったのです。

ところが、茶碗に水を入れると小石から出た光が水面で屈折し目の方向に進むようになるので、見えてくるのです。

平行ガラスを通る光

ガラス窓を通して外の景色を見ると、曲がって見えることがあります。

外からきた光は、空気からガラスの中に入るときとガラスの中から空気中にでるときとの2回屈折してから、目に届きます。

このとき、ガラスの厚さがどの部分も同じだと、どこからでた光も同じように屈折するので、またそのまま目に入ります。

しかし、ガラスの表面にでこぼこがあると屈折のしかたがいろいろになるので物がゆがんで見えます。

つぎの実験で、光がガラスで屈折する様子を調べてみましょう。

実験

顕微鏡に使うスライドガラスを何まいかあわせたものを左の図のように白紙の上にたて、その位置を紙の上に書きとっておきます。

ガラスのむこう側に、虫ピンAとBをたてガラスごしにA・Bが一直線に見えるところに、虫ピンCとDをたてます。

ガラスをとりのぞき、ABをむすぶ線とCDをむすぶ線をそれぞれガラスの面まで伸ばすと、ABをむすぶ線とCDをむすぶ線はガラスの面で曲がっていることがわかります。

また、ABをむすぶ線とCDをむすぶ線は互いに平行になっていることがわかります。



全反射

金魚鉢の中を、図のように、水面の下から見ると水面が鏡のように光り、金魚が逆さまにうつっているのが見えることがあります。

実験

ガラスの水槽の中に石鹸水をうすく溶かして入れ水の上には煙りを入れて、ふたをしておきます。

小さな穴を中心にあけた黒い紙でふたをした懐中電灯で図のように照らします。

入射角をだんだん大きくしていくと、水面から出た光の屈折角は入射角より大きいので入射角がある角度(約48.5度、これを臨界角という)を越えると水面からでないで、反射するようになります。

けれども、屈折率の小さい物から大きい物へと光が進むときは入射角をどのようにかえても、このような反射は起こりません。

ふつう、光が水面にあたったときは一部の光は屈折して空気中にでますが、残りの光は反射します。

ですから、反射光線も屈折光線も、もとの光より弱くなります。

ところが入射角が臨界角を越すと全部の光が反射するのでもとの光と同じ明るさになります。

このような反射を全反射と言います。

木の葉にたまった水滴や水中の泡が銀色に光って見えるのは、みな、全反射のためです。

直角プリズムによる全反射

直角二等辺三角柱のガラスを、直角プリズムと言います。
全反射は、光がガラスから空気に進むときにも起こります。

この場合、ガラスの臨界角は、約42度です。

直角プリズムに、光を右の図のようにあてると入射角が45度なので、全反射が起こって、光の進む方向がかわります。

どんなに磨いた金属でも、光を全部反射することはできません。

ところが、全反射を利用すれば、光の強さを弱めないで方向をかえることができます。

ですから、双眼鏡や望遠鏡には、直角プリズムが使われています。




光の屈折とは?空気から水に入る光の特徴とは?屈折率とは?

屈折のしかた

光は空気なら空気、水なら水というように、同じ物質の中ならば、まっすぐに進む性質があります。

しかし、光が、ななめに空気中から水やガラスなどの中へ進むとき空気と水やガラスのさかいめで、光の一部は反射しますが残りは水やガラスの中へ入っていきます。

このとき、質の違った物のさかいめで、光の進む方向がかわります。
これを光の屈折と言います。

同じように、水やガラスから、空気中に光がでてくるときも、屈折します。


空気から水に入る光

ふろの中で、手を縦にすると、指が短く見えたり川の中に立っている人の足が短く見えたり川やプールが実際より浅く見えたりすることがあります。

これは、水から出た光が空気中に出るときに屈折して進むからです。

実験

懐中電灯の先に、20センチくらいの黒い紙の筒をはめます。
筒の先には、真ん中に直径3ミリくらいの穴のあいた黒い紙をはります。

この懐中電灯を、図のように、動かないようにスタンドにとりつけておきます。

この懐中電灯を光源にして、水を入れていない洗面器の底をななめに照らし底にできた小さな明るい点の位置を、鉛筆で印をつけておきます。

つぎに、懐中電灯をつけたままにしておいて、静かに洗面器に水を入れていくと底の光った点は、しだいに光源に近いほうに動いていきます。

これは、光が、空気中から水の中へ入るとき屈折するからです。

屈折率

光の屈折の割合は空気とか、水・氷・ガラスなど物によって、だいたい決まっています。
光が空気中から、いろいろな物の中に入るときの屈折の割合をその物の屈折率と言います。

空気中を進んできた光が、物の面にあたった点に立てた垂線と屈折した光(屈折光線)がつくる角度を、屈折角と言います。

また、この垂線と、入ってきた光(入射光線)がつくる角を入射角と言います。
空気中から水中に光を入れたときのように、入射角が屈折角より大きいときは屈折率が1より大きいと言います。

ふつう、透明な物は、みな屈折率が1より大きいのです。



実験

水の屈折率は、つぎのようにして、測ります。

うすい板を右下の図のように、T字形に切り、2本の虫ピンA・Bを板に立てます。
そして、水をいっぱいに入れたビーカーの中に、この板を沈め、まっすぐに立てます。

いろいろ口を動かしてみて、さらに2本の虫ピンC・Dを、A・Bと重なって見えるように立て、A・B・C・Dが一直線に見えるようにします。

つぎに板をビーカーから取り出し水面の位置に、直線EFをひきます。

AとB、CとDをむすび、それぞれ伸ばすとこの2本の直線の交わる点Gは、EFの上にあります。

つぎに、Gを中心として円を描きABとCDの延長がその円と交わる点を、K・Hとします。
Gを通り、EFに垂直に交わる線に、KとHから垂線をおろし、J・Iを決めます。

HIの長さを、JKの長さで割ると、だいたい4/3になります。これが水の屈折率となるわけです。

空気から空気に光が入るときは、屈折はおこりません。このときの屈折率は1になります。

空気は、すべての物の中で、いちばん屈折率の小さい物です。

空気のように、屈折率の小さい物から、ガラスや水のように屈折率の大き
い物に光が入るときは、光は、そのさかいの面から遠ざかるように曲がります。

反対に、屈折率の大きい物から、屈折率の小さい物に光が入るときはそのさかいの面に近づくように、屈折します。

また、同じ物の中を光が通る場合でも、その光の色によって、屈折率が違います。
赤・橙・黄・緑・青・青紫・紫の順に、屈折率は大きくなります。




超音波の性質とは?超音波の利用とは? わかりやすく解説!

超音波

発音体の振動数が、だんだん大きくなると、私たちが感じる音の高さがだんだん高くなって、キーンというような感じになります。

もっと高くなると、チーというような感じになります。

ところが、振動数がおよそ1万5000ヘルツくらいになるとたいていの人には、音として感じられなくなります。

そして、振動数が2万ヘルツ以上になると、発音体から音波がでていても人間の耳には、音として聞こえません。

このように、振動数がおよそ2万ヘルツ以上になったときの音波を超音波と言っています。

超音波は、ふつう1000ヘルツを単位として、キロヘルツ(kHz)であらわします。
1万5000ヘルツなら15キロヘルツと言います。


水中の超音波

超音波は、空気中ではすぐ弱まってしまうので、あまり遠くまで届きません。
ところが、水の中では強い超音波をつくると、非常に遠くまで伝わります。

超音波が水を伝わる速さは、ふつうの音波と同じで1秒間に約1500メートルくらいです。

超音波は、水中を伝わるとき、ふつうの音波のように、横のほうに広がっていかず超音波を出す振動体の正面へだけ伝わる性質をもっています。
この性質は、指向性と言われ、超音波の利用に、たいへん都合のよい性質です。

音響測深機

航海や漁業のためにも海の深さを、正しく知ることは大切なことです。

むかしは、長い綱の先に重りをつけて、船からその綱を海底までたらしその綱が海底についたときの綱の長さで海の深さを測りました。

しかし、このやり方は、不便な点が多く、海流などに邪魔されると数値もあまり正確ではなくなります。
そこで、超音波を利用した、音響測深機がつくられました。

いま、船の底から下のほうへむけて、ごく短い時間だけ超音波をおくりだしたとします。

これを超音波パルスと言います。

するとこのパルスは、海の底まで進み、そこで反射されて、また船にもどってきます。
これは、ちょうど山にむかって声を出したとき山びこが聞こえてくるのと同じわけです。

そこで、たとえばこのパルスが船を出てから5分の1秒経ってもどってきたとするとパルスが海の底に達するまでの時間は、10分の1秒です。

超音波の速さが、毎秒1500メートルとすれば、10分の1秒間に走った距離は150メートルですから、これがそこの海の深さになるわけです。

音響測深機は、実際にはこのような計算をしないでも針が自動的に深さをしめすようにつくられています。



魚群探知機

超音波パルスを、海の底へむけて送り出すと、そのパルスは海の底から反射されてもどってきますが、もし、途中に魚の群れがいるとそこからも反射してもどってきます。

もちろん、魚の群れで反射した超音波のほうが、速くもどってきます。
このことを応用した器械が、魚群探知機です。

この器械は、多くの漁船に、さかんに使われています。

魚群探知機を使うときは船は走りながら、続けてパルスを出してこのパルスと反射してきたパルスを動いている記録紙に、記録させます。

それで、もし魚の群れが船の下に入ると、すぐわかるのです。

見えない傷の検査

電車や汽車の車軸を通す軸や、船や飛行機のプロペラをつける軸には非常に大きな力がかかるため、もし弱いところがあるとそこから折れやすいので危険です。

たとえば、すと言って、金属の内部に小さな穴があったりむらがあったりすると、そこから折れやすくなります。

これらの傷は外から見たのでは、なかなかわかりません。

ところが、軸のはしから超音波を送り込んで検査をするとふつうはむこうのはしで反射するのに、すなどのある金属はその部分でも反射がおこるので、すぐわかります。

この反射パルスは、オシロスコープという機械で、見ることができます。

これと同じ原理で、裏側の手の届かない物の厚さも超音波パルスの反射を利用して測ることができます。

体の中を診察する

みなさんは、X線(レントゲン線)で体の中を診察することができることを知っていますね。

これと同じように、近ごろでは、超音波パルスを体の中へ送り込んでその反射で、脳や呼吸器や消化器などの病気を診察することもできるようになりました。

液体の内部を揺さぶる

液体の中に超音波を通すと、液体のどの部分もひどく揺さぶられるのでふつうでは混ざりにくい水と油を混ぜ合わせたりすることもできます。

また、粒の細かい写真感光材料や化粧品・ワクチンなどをつくるのにも利用されています。

液体の内部がひどく揺さぶられると、細菌がいても死んでしまうので缶詰や瓶詰の中を、超音波で殺菌することもできます。

超音波の利用は、このほかにも、精密器械をつくる金属の表面をみがいたり細工したりするなど、いろいろあります。

そして、これからも、新しい利用の方法が、考えられることでしょう。




鏡の特徴と種類による性質とは?実像・虚像とは?

鏡にうつる像

鏡の前に立つと、自分の像を、自分で見ることができます。
また、透き通ったガラスや水でも、少しは表面で反射するので鏡のように物がうつることがあります。

鏡にうつった物の像が見えるのは物からの光が鏡で反射されて目に入っているためです。


実験1

上の図のように、透き通ったガラス板を方眼紙の線にそって垂直に立てガラス板の前に、火のついたろうそくを立てます。

するとガラス板にろうそくの像がうつります。

この像を見ながら、像に重なるように、ガラス板の反対側にもう1本のろうそくに火をつけておきます。

ガラス板から2つのろうそくまでの距離を測ってみると、等しいことがわかります。
ですから、鏡に物を近づけたり遠ざけたりすると像も、近づいたり、遠のいたりします。

実験2

図のように表面が平らな鏡(平面鏡)の前に、ろうそくのような小さな光源をおきます。

すると、Aから出た光は、鏡の面ですべて反射します。

ろうそくから出た光は、みな鏡の面で入射角と反射角は同じように反射するので反射光を反対側に伸ばすと、鏡の裏側の点Bに集まります。

目がこの反射光をうけるので、Aにあるろうそくが、Bにあるように見えるのです。

また、Bにあるように見えるろうそくを像と言い鏡にうつった像は、もとの物を左右が反対になっています。

全身をうつす鏡

自分の全身を平面鏡にうつすとき、頭の先から足の先までうつすにはどのくらいの大きさの鏡が必要でしょうか。

左の図のように、人間が鏡の前にたっているとしましょう。
足のさきAから出た光は、Dで反射して目Bに入ります。

入射角と反射角は同じですから、直線DCは足の先から目までの高さABの半分のところを、通っていることがわかります。

ですから、DEはABの半分です。

目と頭の先の場合も、同じように、HGがFBの半分のところを通っています。
ですから、HEは、FBのちょうど半分になります。

つまり、全身をうつすには、身長の半分の大きさがあればよいわけです。

2枚の鏡

2枚の鏡ABとBCを上の図のように直角においてその前に物Dをおくと、鏡に像が3つうりつります。

これは、Dからでた光が、それぞれの鏡に一度反射して目に入ったときにできる像EとFのほかに、はじめABの鏡で反射した光がさらにCBの鏡で反射して、目に入るときにできる像があるためです。

潜望鏡

図のように、2枚の鏡を使うと直接自分の目に見えないところでも見ることができます。

潜望鏡は、2枚の鏡の反射を、上手に利用したものです。
潜水艦が海の中から海上を見渡したり前に邪魔な物があって見えないときなどに使われています。

かんたんな潜望鏡をつくってみましょう。

ボール紙で、上の図のような箱をつくりそのむかいあった面の両はしに四角い穴をあけます。

穴と反対側のすみには、鏡を45度の角度ではめこみます。

こうして、目を穴のところにおくと上の窓から入ってきた光は鏡で2回反射して目に入るので邪魔されて見えなかった物でも、見ることができます。

万華鏡

万華鏡は百色眼鏡とも言われ、のぞいてみると、きれいな模様が見えるおもちゃです。

万華鏡に、細長い3枚の鏡を、60度にくみあわせたものです。
万華鏡をつくってみましょう。

3枚の細長いガラス(スライドガラスがよい)か用意して片面に、黒いラッカーか、すみをぬります。

黒くぬったほうを外側にして、三角形の筒をつくり、紙でまいてはりつけます。

つぎに、この筒の片ほうの口にセロハン紙をはりその上に厚紙で三角形の筒をつくってはめ、上のほうを3ミリくらいだします。

この中に、色のついたセルロイドを小さく切って入れ、その上にパラフィン紙をはり、反対側には、のぞき穴のあいた紙をはります。

できあがったら、明るいほうにむけて、のぞきながらまわすときれいな模様がいろいろとかわりながら見えます。

球面鏡

鏡には、平面鏡のほかに、自動車についているフェンダーミラーのように表面が球面になっているものがあります。

このような鏡を球面鏡と言います。

球面鏡には、凸面鏡と凹面鏡とがあります。
光のくるほうにむかって表面が飛び出している鏡を凸面鏡、へこんでいる鏡を凹面鏡と言います。

図のように、球面鏡の表面を通る円の中心を、球の中心と言います。
この球の中心と鏡の中心とをむすんだ線を、鏡の軸と言います。

凸面鏡

凸面鏡に、太陽光線のような平行光線を、鏡の軸に平行にあてて見ると光は、広がるように反射されます。

ところで、反射された光の方向を、凸面鏡の球の中心のほうに伸ばしてみるとその線は、鏡の軸の上の一点に集まります。

この点を、凸面鏡の焦点と言います。焦点から凸面鏡の中心までの距離を凸面鏡の焦点距離と言います。



凹面鏡

凹面鏡は、凸面鏡とは反対に光を集めるように反射します。
凹面鏡の鏡の軸に平行に、太陽光線のような平行光線をあててみると光は、鏡の軸の上の一点に集まります。

この点を、凹面鏡の焦点と言います。凹面鏡の焦点距離は焦点から鏡の中心までの距離となります。

実験1

凸面鏡に、火のついたろうそくを、遠くから近づけてみましょう。
凸面鏡にうつったろうそくの像は、だんだん大きくなっていきます。

このとき、ろうそくの像は実物のろうそくと同じ方向に立った、正立の像になります。

実験2

焦点距離のわかっている凹面鏡の前に火のついたろうそくを立て、反射した光を、すりガラスにあててみましょう。

すりガラスとろうそくを、いろいろな位置に動かしてみると位置によって違った像がうつります。

① ろうそくを、焦点距離の2倍より遠いところにおくと逆さまの、実物より小さな像が、焦点と球の中心との間にできます。

② ろうそくを、焦点距離の2倍のところにおくとろうそくと凹面鏡との距離と同じ距離に逆さまの実物と大きさの等しい像ができます。

③ ろうそくを、球の中心と焦点との間におくと逆さまの、実物より大きな像が球の中心より離れたところにできます。

④ ろうそくを、焦点のところにおくと、像はできません。

⑤ ろうそくを、焦点より内側におくと、像はできません。
しかし、凹面鏡の後ろ側に、ろうそくと同じ方向にたった実物より大きな像を見ることができます。

球面鏡の像のもとめ方

球面鏡の焦点距離と、物の位置とがわかっているときには図によって像の位置や大きさをもとめることができます。

球面鏡の像を図でもとめるときには、物のはしの一点からひいたつぎに挙げる3本の光線のうち、どれか2本を選びその交わる点をもとめれば、その点が、物のはしの一点の像となります。

① 球面鏡の軸に平行に進み、反射されたあと、焦点を通るように進む光線。

② 球面鏡の球の中心を通り、反射されたあと、もときた道を反対に進む光線。

③ 球面鏡の熊点をとおり、反射されたあと、球面鏡の軸に平行に進む光線。

このようにして光線をひき、そのうちの2本の光線が交わる点をもとめると、この点がはじめに光線をひきだした点の像になります。

実験2の①から⑤までの像を図でもとめると、下の図のようになります。

実像

球面鏡の像を図からもとめるとき、2本の光線が交わるときには実際にその点に光線が集まって像ができています。

このように、実際に光が集まってできる像を実像と言います。

虚像

球面鏡の像を図からもとめるとき、2本の光線がまじわらなければ反対の方向に光線をのばしてみると、2本の光線はまじわります。

この点には、実際には光線が集まってはいませんがちょうどこの点から光線がでているように見えます。

このような像を、虚像と言い、平面鏡の場合は、いつも虚像です。
しかし、凹面鏡の焦点の上に物をおいたときには、虚像もできません。

凸面鏡の像

凸面鏡の像は、実物より小さい、正立した虚像(正立虚像)になります。
これは、凸面鏡に入ってきた光線が、ちょうど像の位置から光が出ているように広げられるためです。

このため、凸面鏡では、広い範囲のものを小さな鏡にうつすことができます。

凹面鏡の像

凹面鏡の像は、物を焦点より遠いところにおいたときは逆さまの実像(倒立実像)になります。

物を焦点の上においたときには、像はできませんが焦点より内側におくと、正立虚像になります。

球面鏡の利用

凸面鏡は、広い範囲がうつせますから、自動車のサイドミラーや見通しの悪い交差点などで、自動車が走ってくるのを見るためのカーブミラーなどに使われています。

凹面鏡は、光を集めるはたらきがありますから顕微鏡や反射望遠鏡などの反射鏡や、医者の額帯鏡などに使われます。

また、光を集めて遠くまで照らすために自動車のヘッドライトや懐中電灯などの反射鏡にも使われています。




光の反射とは?鏡面反射と乱反射とは? わかりやすく解説!

反射のしかた

庭に落ちているガラスが光ったり走っている自動車のガラス窓がピカッと光ったりします。

これは、みな太陽の光を跳ね返しているからです。
光は、鏡などにあたると跳ね返る性質をもっています。

この光が跳ね返ることを、光の反射と言います。


反射の角度

庭に落ちているガラスは、どこから見ても光っているわけではありません。
反射した太陽の光が、目に入ったときだけ光って見えるのです。

つぎの実験で、鏡にあたった光が、どのように反射するか調べてみましょう。

実験

内側を黒くぬった箱を用意します。
図のように、箱の奥に方眼紙をはり、下に鏡をおきます。

用意ができたら、箱の上側に、細い隙間をいくつかつくりこの隙間から光を差し込ませ、鏡にあてます。

いろいろな方向から光を入れて、差し込む光と鏡で反射する光の通り道を、鉛筆で方眼紙にうつしとります。

光が鏡にあたって反射した点から鏡に直角に線を方眼紙に書くと入ってきた光と反射した光の角度が等しいことがわかります。

入ってきた光(入射光線)と、鏡の面に垂直な線とのあいだにできる角度を入射角といい、鏡に反射した光(反射光線)と鏡に垂直な線とのあいだにできる角度を、反射角と言います。

この実験から、光が反射するときは、入射角と反射角は等しく入射光線と反射光線とは垂線にたいして互いに反対側にあることがわかります。

光が、鏡に垂直にあたるときは、光はもと来た道に返ります。

乱反射

机などのように、自分で光を出していない物が、どの方向からも見えるのはその表面に細かいでこぼこがあって表面にあたった光がいろいろな方向に反射して、反射した光が目に入るからです。

鏡などは、表面がなめらかです。
そのため、ある決まった方向から入ってきた光は、決まった方向に反射されます。

鏡面反射と乱反射

このように、一定の方向に反射することを鏡面反射(正反射)机の表面などのように、いろいろな方向に反射することを乱反射といいます。

私たちのまわりにある物に、たいてい乱反射をするのでどこからでも見ることができます。

暗い室内で、本の上にすきガラスとすりガラスをおきます。
これを電球でてらすと、すりガラスは白く見えますが、すきガラスはよく見えません。

これは、すりガラスの表面が、ザラザラしているので決まった方向から入ってきた光でも、乱反射し、いろいろな方向へ光を出すからですりガラスが光を出しているのと、同じことになります。




影のでき方とは?影と日食・月食の関係とは? わかりやすく解説!

透明体と不透明体

ガラスやセロハンを通して物を見ると、よく見えますが本や手の平などを目の前におくと隠されてしまい、見ることができません。

ガラスやセロ(ンは光をとおすので、物の光が目に届くため見えるのです。
手や本は、光を通さないので、その物の光が目に届かないため、見えないのです。

このように、物には、光を通す物と、通さない物があります。
光を通さない物は、あてられた光を跳ね返したり、吸い込んだりします。

光を通す物を透明体と言い、通さない物を不透明体と言います。
透明体には、空気・水・ガラス・セロハンなどがあり不透明体には、金属・木・岩石などがあります。

しかし、木の皮のように不透明体の物でも、うすくすると、光を通すようになります。

反対に、水でも深くなると、光を通さなくなります。


影のでき方

影ふみ遊びをしたことがあるでしょう。影は、いつも太陽の反対側にできます。

太陽の光をうけたとき反対側に人の影がはっきりできるのは、光が直進するためです。
もし、光が曲がって進めば、人のうしろにも光がまわり影ができないはずです。

本影と半影

電灯の光を、図のように小さな穴を通して出し穴の前にボールをおいて、その影を壁にうつします。

AとBとのあいだには、光がこないので、はっきりした影ができます。
このように光源が小さいときは、いちめんに暗い影ができます。

つぎに、電球をむきだしにした光源を使って、ボールの影をつくってみましょう。
すると、光源を小さくしたときのような、はっきりした影はできません。
真っ暗な部分と、そのまわりに、少しくらい影ができます。

光が進む道を調べてみると、影のAの部分は光源のE~Fの部分から光がくるので完全に暗くはなりません。
Hでは、光源のより小さな部分E~Gからくる光しか届かないのでÅよりは暗くなります。
HからCにうつるにしたがって、だんだん暗くなり、Cのところでは完全に暗くなります。

この中央の、光がまったくこないCとDのあいだのまるい部分を本影と言います。そして、本影の外側の少しくらい部分を、半影といいます。
 
半影は、本影から離れるにつれて明るくなり、半影のはしは、はっきりしません。

日光にてらされて、木の葉の影が地面にうつっているのを見ると半影ができていてそのふちは、はっきりしていません。

本彫と半影ができるのは、太陽や電灯のように、光源が大きい場合です。
電灯にくらべて、ずっと光る部分が大きい蛍光灯を光源として使うと本影はほとんどできません。

ですから、電球より蛍光灯のほうが、物をてらすのには、よい光源であると言えます。

間接照明も、光を散らして影をできるだけつくらないためとまぶしさを少なくするために使われています。

反対に、影絵などで、なるべく影をはっきりさせたいときは光源をできるだけ小さくして、半影をつくらないようにします。

光が穴から差し込むときも、本影と半影ができます。
このときも、穴が小さいほど、半影が少なくなり、穴の形がはっきりとうつります。

針穴写真機は、このことを利用したカメラです。



影の長さ

太陽の光でできる影に、昼ごろは短く、朝や夕方には長くなります。
これは太陽が、昼間は高いところにあり、朝や夕方は低くなるからです。

影と日食

太陽・月・地球が、図のように、一直線にならんだとき、日食がおこります。

日食のときは、月の影が地球の上にできます。
地球上の人が、月の本影の中に入ると、光は全くこないので、太陽が見えません。

これを、皆既日食と言います。

また、地球上の人が、月の半影の中に入ると太陽の光が一部さえぎられて太陽がかけて見えます。これを部分日食と言います。

影と月食

太陽・地球・月が、一直線にならんだとき、月食がおこります。
満月が、地球の本影の中に全部入ったとき、地球上からは月が光らないので見えません。

これを皆既月食と言います。

また、月の一部が地球の本影に入ったとき、月が欠けて見えます。これを部分月食と言います。




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