光の屈折とは?水中にある物の見え方とは? わかりやすく解説! 全反射とは?

水中にある物の見え方

水の中に沈めた物を、水面の上から見ると実際より浅いところにあるように見えます。

これは、その物から出た光が、水面で屈折して目に入るからです。
つまり、その光を反対に伸ばした方向に、その物があるように見えるわけです。

光が、空気中から水中に入るときの屈折率は、4/3です。
言いかえると、空気の水にたいする屈折率は3/4になります。

そのため、水の中にある物は、本当の深さの3/4の深さのところにあるように見えるのです。

川を渡ろうとして、浅いと思ったのに、川が深くて驚いたり棒を水の中につけると、水面から下が折れているように見えたりします。

これも、空気と水のさかいで、光が屈折するからです。


実験

茶碗に小石を入れて、その小石が茶碗のふちに隠れて見えないような位置に目をおきます。

つぎに目の位置をそのままにして茶碗に水を入れていくと、小石が見えるようになるでしょう。

これは、はじめ小石と目のあいだには空気しかなかったので光がまっすぐ進み、茶碗のふちに邪魔されて、小石が見えなかったのです。

ところが、茶碗に水を入れると小石から出た光が水面で屈折し目の方向に進むようになるので、見えてくるのです。

平行ガラスを通る光

ガラス窓を通して外の景色を見ると、曲がって見えることがあります。

外からきた光は、空気からガラスの中に入るときとガラスの中から空気中にでるときとの2回屈折してから、目に届きます。

このとき、ガラスの厚さがどの部分も同じだと、どこからでた光も同じように屈折するので、またそのまま目に入ります。

しかし、ガラスの表面にでこぼこがあると屈折のしかたがいろいろになるので物がゆがんで見えます。

つぎの実験で、光がガラスで屈折する様子を調べてみましょう。

実験

顕微鏡に使うスライドガラスを何まいかあわせたものを左の図のように白紙の上にたて、その位置を紙の上に書きとっておきます。

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ガラスのむこう側に、虫ピンAとBをたてガラスごしにA・Bが一直線に見えるところに、虫ピンCとDをたてます。

ガラスをとりのぞき、ABをむすぶ線とCDをむすぶ線をそれぞれガラスの面まで伸ばすと、ABをむすぶ線とCDをむすぶ線はガラスの面で曲がっていることがわかります。

また、ABをむすぶ線とCDをむすぶ線は互いに平行になっていることがわかります。



全反射

金魚鉢の中を、図のように、水面の下から見ると水面が鏡のように光り、金魚が逆さまにうつっているのが見えることがあります。

実験

ガラスの水槽の中に石鹸水をうすく溶かして入れ水の上には煙りを入れて、ふたをしておきます。

小さな穴を中心にあけた黒い紙でふたをした懐中電灯で図のように照らします。

入射角をだんだん大きくしていくと、水面から出た光の屈折角は入射角より大きいので入射角がある角度(約48.5度、これを臨界角という)を越えると水面からでないで、反射するようになります。

けれども、屈折率の小さい物から大きい物へと光が進むときは入射角をどのようにかえても、このような反射は起こりません。

ふつう、光が水面にあたったときは一部の光は屈折して空気中にでますが、残りの光は反射します。

ですから、反射光線も屈折光線も、もとの光より弱くなります。

ところが入射角が臨界角を越すと全部の光が反射するのでもとの光と同じ明るさになります。

このような反射を全反射と言います。

木の葉にたまった水滴や水中の泡が銀色に光って見えるのは、みな、全反射のためです。

直角プリズムによる全反射

直角二等辺三角柱のガラスを、直角プリズムと言います。
全反射は、光がガラスから空気に進むときにも起こります。

この場合、ガラスの臨界角は、約42度です。

直角プリズムに、光を右の図のようにあてると入射角が45度なので、全反射が起こって、光の進む方向がかわります。

どんなに磨いた金属でも、光を全部反射することはできません。

ところが、全反射を利用すれば、光の強さを弱めないで方向をかえることができます。

ですから、双眼鏡や望遠鏡には、直角プリズムが使われています。




光の屈折とは?空気から水に入る光の特徴とは?屈折率とは?

屈折のしかた

光は空気なら空気、水なら水というように、同じ物質の中ならば、まっすぐに進む性質があります。

しかし、光が、ななめに空気中から水やガラスなどの中へ進むとき空気と水やガラスのさかいめで、光の一部は反射しますが残りは水やガラスの中へ入っていきます。

このとき、質の違った物のさかいめで、光の進む方向がかわります。
これを光の屈折と言います。

同じように、水やガラスから、空気中に光がでてくるときも、屈折します。


空気から水に入る光

ふろの中で、手を縦にすると、指が短く見えたり川の中に立っている人の足が短く見えたり川やプールが実際より浅く見えたりすることがあります。

これは、水から出た光が空気中に出るときに屈折して進むからです。

実験

懐中電灯の先に、20センチくらいの黒い紙の筒をはめます。
筒の先には、真ん中に直径3ミリくらいの穴のあいた黒い紙をはります。

この懐中電灯を、図のように、動かないようにスタンドにとりつけておきます。

この懐中電灯を光源にして、水を入れていない洗面器の底をななめに照らし底にできた小さな明るい点の位置を、鉛筆で印をつけておきます。

つぎに、懐中電灯をつけたままにしておいて、静かに洗面器に水を入れていくと底の光った点は、しだいに光源に近いほうに動いていきます。

これは、光が、空気中から水の中へ入るとき屈折するからです。

屈折率

光の屈折の割合は空気とか、水・氷・ガラスなど物によって、だいたい決まっています。
光が空気中から、いろいろな物の中に入るときの屈折の割合をその物の屈折率と言います。

空気中を進んできた光が、物の面にあたった点に立てた垂線と屈折した光(屈折光線)がつくる角度を、屈折角と言います。

また、この垂線と、入ってきた光(入射光線)がつくる角を入射角と言います。
空気中から水中に光を入れたときのように、入射角が屈折角より大きいときは屈折率が1より大きいと言います。

ふつう、透明な物は、みな屈折率が1より大きいのです。



実験

水の屈折率は、つぎのようにして、測ります。

うすい板を右下の図のように、T字形に切り、2本の虫ピンA・Bを板に立てます。
そして、水をいっぱいに入れたビーカーの中に、この板を沈め、まっすぐに立てます。

いろいろ口を動かしてみて、さらに2本の虫ピンC・Dを、A・Bと重なって見えるように立て、A・B・C・Dが一直線に見えるようにします。

つぎに板をビーカーから取り出し水面の位置に、直線EFをひきます。

AとB、CとDをむすび、それぞれ伸ばすとこの2本の直線の交わる点Gは、EFの上にあります。

つぎに、Gを中心として円を描きABとCDの延長がその円と交わる点を、K・Hとします。
Gを通り、EFに垂直に交わる線に、KとHから垂線をおろし、J・Iを決めます。

HIの長さを、JKの長さで割ると、だいたい4/3になります。これが水の屈折率となるわけです。

空気から空気に光が入るときは、屈折はおこりません。このときの屈折率は1になります。

空気は、すべての物の中で、いちばん屈折率の小さい物です。

空気のように、屈折率の小さい物から、ガラスや水のように屈折率の大き
い物に光が入るときは、光は、そのさかいの面から遠ざかるように曲がります。

反対に、屈折率の大きい物から、屈折率の小さい物に光が入るときはそのさかいの面に近づくように、屈折します。

また、同じ物の中を光が通る場合でも、その光の色によって、屈折率が違います。
赤・橙・黄・緑・青・青紫・紫の順に、屈折率は大きくなります。




鏡の特徴と種類による性質とは?実像・虚像とは?

鏡にうつる像

鏡の前に立つと、自分の像を、自分で見ることができます。
また、透き通ったガラスや水でも、少しは表面で反射するので鏡のように物がうつることがあります。

鏡にうつった物の像が見えるのは物からの光が鏡で反射されて目に入っているためです。


実験1

上の図のように、透き通ったガラス板を方眼紙の線にそって垂直に立てガラス板の前に、火のついたろうそくを立てます。

するとガラス板にろうそくの像がうつります。

この像を見ながら、像に重なるように、ガラス板の反対側にもう1本のろうそくに火をつけておきます。

ガラス板から2つのろうそくまでの距離を測ってみると、等しいことがわかります。
ですから、鏡に物を近づけたり遠ざけたりすると像も、近づいたり、遠のいたりします。

実験2

図のように表面が平らな鏡(平面鏡)の前に、ろうそくのような小さな光源をおきます。

すると、Aから出た光は、鏡の面ですべて反射します。

ろうそくから出た光は、みな鏡の面で入射角と反射角は同じように反射するので反射光を反対側に伸ばすと、鏡の裏側の点Bに集まります。

目がこの反射光をうけるので、Aにあるろうそくが、Bにあるように見えるのです。

また、Bにあるように見えるろうそくを像と言い鏡にうつった像は、もとの物を左右が反対になっています。

全身をうつす鏡

自分の全身を平面鏡にうつすとき、頭の先から足の先までうつすにはどのくらいの大きさの鏡が必要でしょうか。

左の図のように、人間が鏡の前にたっているとしましょう。
足のさきAから出た光は、Dで反射して目Bに入ります。

入射角と反射角は同じですから、直線DCは足の先から目までの高さABの半分のところを、通っていることがわかります。

ですから、DEはABの半分です。

目と頭の先の場合も、同じように、HGがFBの半分のところを通っています。
ですから、HEは、FBのちょうど半分になります。

つまり、全身をうつすには、身長の半分の大きさがあればよいわけです。

2枚の鏡

2枚の鏡ABとBCを上の図のように直角においてその前に物Dをおくと、鏡に像が3つうりつります。

これは、Dからでた光が、それぞれの鏡に一度反射して目に入ったときにできる像EとFのほかに、はじめABの鏡で反射した光がさらにCBの鏡で反射して、目に入るときにできる像があるためです。

潜望鏡

図のように、2枚の鏡を使うと直接自分の目に見えないところでも見ることができます。

潜望鏡は、2枚の鏡の反射を、上手に利用したものです。
潜水艦が海の中から海上を見渡したり前に邪魔な物があって見えないときなどに使われています。

かんたんな潜望鏡をつくってみましょう。

ボール紙で、上の図のような箱をつくりそのむかいあった面の両はしに四角い穴をあけます。

穴と反対側のすみには、鏡を45度の角度ではめこみます。

こうして、目を穴のところにおくと上の窓から入ってきた光は鏡で2回反射して目に入るので邪魔されて見えなかった物でも、見ることができます。

万華鏡

万華鏡は百色眼鏡とも言われ、のぞいてみると、きれいな模様が見えるおもちゃです。

万華鏡に、細長い3枚の鏡を、60度にくみあわせたものです。
万華鏡をつくってみましょう。

3枚の細長いガラス(スライドガラスがよい)か用意して片面に、黒いラッカーか、すみをぬります。

黒くぬったほうを外側にして、三角形の筒をつくり、紙でまいてはりつけます。

つぎに、この筒の片ほうの口にセロハン紙をはりその上に厚紙で三角形の筒をつくってはめ、上のほうを3ミリくらいだします。

この中に、色のついたセルロイドを小さく切って入れ、その上にパラフィン紙をはり、反対側には、のぞき穴のあいた紙をはります。

できあがったら、明るいほうにむけて、のぞきながらまわすときれいな模様がいろいろとかわりながら見えます。

球面鏡

鏡には、平面鏡のほかに、自動車についているフェンダーミラーのように表面が球面になっているものがあります。

このような鏡を球面鏡と言います。

球面鏡には、凸面鏡と凹面鏡とがあります。
光のくるほうにむかって表面が飛び出している鏡を凸面鏡、へこんでいる鏡を凹面鏡と言います。

図のように、球面鏡の表面を通る円の中心を、球の中心と言います。
この球の中心と鏡の中心とをむすんだ線を、鏡の軸と言います。

凸面鏡

凸面鏡に、太陽光線のような平行光線を、鏡の軸に平行にあてて見ると光は、広がるように反射されます。

ところで、反射された光の方向を、凸面鏡の球の中心のほうに伸ばしてみるとその線は、鏡の軸の上の一点に集まります。

この点を、凸面鏡の焦点と言います。焦点から凸面鏡の中心までの距離を凸面鏡の焦点距離と言います。



凹面鏡

凹面鏡は、凸面鏡とは反対に光を集めるように反射します。
凹面鏡の鏡の軸に平行に、太陽光線のような平行光線をあててみると光は、鏡の軸の上の一点に集まります。

この点を、凹面鏡の焦点と言います。凹面鏡の焦点距離は焦点から鏡の中心までの距離となります。

実験1

凸面鏡に、火のついたろうそくを、遠くから近づけてみましょう。
凸面鏡にうつったろうそくの像は、だんだん大きくなっていきます。

このとき、ろうそくの像は実物のろうそくと同じ方向に立った、正立の像になります。

実験2

焦点距離のわかっている凹面鏡の前に火のついたろうそくを立て、反射した光を、すりガラスにあててみましょう。

すりガラスとろうそくを、いろいろな位置に動かしてみると位置によって違った像がうつります。

① ろうそくを、焦点距離の2倍より遠いところにおくと逆さまの、実物より小さな像が、焦点と球の中心との間にできます。

② ろうそくを、焦点距離の2倍のところにおくとろうそくと凹面鏡との距離と同じ距離に逆さまの実物と大きさの等しい像ができます。

③ ろうそくを、球の中心と焦点との間におくと逆さまの、実物より大きな像が球の中心より離れたところにできます。

④ ろうそくを、焦点のところにおくと、像はできません。

⑤ ろうそくを、焦点より内側におくと、像はできません。
しかし、凹面鏡の後ろ側に、ろうそくと同じ方向にたった実物より大きな像を見ることができます。

球面鏡の像のもとめ方

球面鏡の焦点距離と、物の位置とがわかっているときには図によって像の位置や大きさをもとめることができます。

球面鏡の像を図でもとめるときには、物のはしの一点からひいたつぎに挙げる3本の光線のうち、どれか2本を選びその交わる点をもとめれば、その点が、物のはしの一点の像となります。

① 球面鏡の軸に平行に進み、反射されたあと、焦点を通るように進む光線。

② 球面鏡の球の中心を通り、反射されたあと、もときた道を反対に進む光線。

③ 球面鏡の熊点をとおり、反射されたあと、球面鏡の軸に平行に進む光線。

このようにして光線をひき、そのうちの2本の光線が交わる点をもとめると、この点がはじめに光線をひきだした点の像になります。

実験2の①から⑤までの像を図でもとめると、下の図のようになります。

実像

球面鏡の像を図からもとめるとき、2本の光線が交わるときには実際にその点に光線が集まって像ができています。

このように、実際に光が集まってできる像を実像と言います。

虚像

球面鏡の像を図からもとめるとき、2本の光線がまじわらなければ反対の方向に光線をのばしてみると、2本の光線はまじわります。

この点には、実際には光線が集まってはいませんがちょうどこの点から光線がでているように見えます。

このような像を、虚像と言い、平面鏡の場合は、いつも虚像です。
しかし、凹面鏡の焦点の上に物をおいたときには、虚像もできません。

凸面鏡の像

凸面鏡の像は、実物より小さい、正立した虚像(正立虚像)になります。
これは、凸面鏡に入ってきた光線が、ちょうど像の位置から光が出ているように広げられるためです。

このため、凸面鏡では、広い範囲のものを小さな鏡にうつすことができます。

凹面鏡の像

凹面鏡の像は、物を焦点より遠いところにおいたときは逆さまの実像(倒立実像)になります。

物を焦点の上においたときには、像はできませんが焦点より内側におくと、正立虚像になります。

球面鏡の利用

凸面鏡は、広い範囲がうつせますから、自動車のサイドミラーや見通しの悪い交差点などで、自動車が走ってくるのを見るためのカーブミラーなどに使われています。

凹面鏡は、光を集めるはたらきがありますから顕微鏡や反射望遠鏡などの反射鏡や、医者の額帯鏡などに使われます。

また、光を集めて遠くまで照らすために自動車のヘッドライトや懐中電灯などの反射鏡にも使われています。




光の反射とは?鏡面反射と乱反射とは? わかりやすく解説!

反射のしかた

庭に落ちているガラスが光ったり走っている自動車のガラス窓がピカッと光ったりします。

これは、みな太陽の光を跳ね返しているからです。
光は、鏡などにあたると跳ね返る性質をもっています。

この光が跳ね返ることを、光の反射と言います。


反射の角度

庭に落ちているガラスは、どこから見ても光っているわけではありません。
反射した太陽の光が、目に入ったときだけ光って見えるのです。

つぎの実験で、鏡にあたった光が、どのように反射するか調べてみましょう。

実験

内側を黒くぬった箱を用意します。
図のように、箱の奥に方眼紙をはり、下に鏡をおきます。

用意ができたら、箱の上側に、細い隙間をいくつかつくりこの隙間から光を差し込ませ、鏡にあてます。

いろいろな方向から光を入れて、差し込む光と鏡で反射する光の通り道を、鉛筆で方眼紙にうつしとります。

光が鏡にあたって反射した点から鏡に直角に線を方眼紙に書くと入ってきた光と反射した光の角度が等しいことがわかります。

入ってきた光(入射光線)と、鏡の面に垂直な線とのあいだにできる角度を入射角といい、鏡に反射した光(反射光線)と鏡に垂直な線とのあいだにできる角度を、反射角と言います。

この実験から、光が反射するときは、入射角と反射角は等しく入射光線と反射光線とは垂線にたいして互いに反対側にあることがわかります。

光が、鏡に垂直にあたるときは、光はもと来た道に返ります。

乱反射

机などのように、自分で光を出していない物が、どの方向からも見えるのはその表面に細かいでこぼこがあって表面にあたった光がいろいろな方向に反射して、反射した光が目に入るからです。

鏡などは、表面がなめらかです。
そのため、ある決まった方向から入ってきた光は、決まった方向に反射されます。

鏡面反射と乱反射

このように、一定の方向に反射することを鏡面反射(正反射)机の表面などのように、いろいろな方向に反射することを乱反射といいます。

私たちのまわりにある物に、たいてい乱反射をするのでどこからでも見ることができます。

暗い室内で、本の上にすきガラスとすりガラスをおきます。
これを電球でてらすと、すりガラスは白く見えますが、すきガラスはよく見えません。

これは、すりガラスの表面が、ザラザラしているので決まった方向から入ってきた光でも、乱反射し、いろいろな方向へ光を出すからですりガラスが光を出しているのと、同じことになります。




影のでき方とは?影と日食・月食の関係とは? わかりやすく解説!

透明体と不透明体

ガラスやセロハンを通して物を見ると、よく見えますが本や手の平などを目の前におくと隠されてしまい、見ることができません。

ガラスやセロ(ンは光をとおすので、物の光が目に届くため見えるのです。
手や本は、光を通さないので、その物の光が目に届かないため、見えないのです。

このように、物には、光を通す物と、通さない物があります。
光を通さない物は、あてられた光を跳ね返したり、吸い込んだりします。

光を通す物を透明体と言い、通さない物を不透明体と言います。
透明体には、空気・水・ガラス・セロハンなどがあり不透明体には、金属・木・岩石などがあります。

しかし、木の皮のように不透明体の物でも、うすくすると、光を通すようになります。

反対に、水でも深くなると、光を通さなくなります。


影のでき方

影ふみ遊びをしたことがあるでしょう。影は、いつも太陽の反対側にできます。

太陽の光をうけたとき反対側に人の影がはっきりできるのは、光が直進するためです。
もし、光が曲がって進めば、人のうしろにも光がまわり影ができないはずです。

本影と半影

電灯の光を、図のように小さな穴を通して出し穴の前にボールをおいて、その影を壁にうつします。

AとBとのあいだには、光がこないので、はっきりした影ができます。
このように光源が小さいときは、いちめんに暗い影ができます。

つぎに、電球をむきだしにした光源を使って、ボールの影をつくってみましょう。
すると、光源を小さくしたときのような、はっきりした影はできません。
真っ暗な部分と、そのまわりに、少しくらい影ができます。

光が進む道を調べてみると、影のAの部分は光源のE~Fの部分から光がくるので完全に暗くはなりません。
Hでは、光源のより小さな部分E~Gからくる光しか届かないのでÅよりは暗くなります。
HからCにうつるにしたがって、だんだん暗くなり、Cのところでは完全に暗くなります。

この中央の、光がまったくこないCとDのあいだのまるい部分を本影と言います。そして、本影の外側の少しくらい部分を、半影といいます。
 
半影は、本影から離れるにつれて明るくなり、半影のはしは、はっきりしません。

日光にてらされて、木の葉の影が地面にうつっているのを見ると半影ができていてそのふちは、はっきりしていません。

本彫と半影ができるのは、太陽や電灯のように、光源が大きい場合です。
電灯にくらべて、ずっと光る部分が大きい蛍光灯を光源として使うと本影はほとんどできません。

ですから、電球より蛍光灯のほうが、物をてらすのには、よい光源であると言えます。

間接照明も、光を散らして影をできるだけつくらないためとまぶしさを少なくするために使われています。

反対に、影絵などで、なるべく影をはっきりさせたいときは光源をできるだけ小さくして、半影をつくらないようにします。

光が穴から差し込むときも、本影と半影ができます。
このときも、穴が小さいほど、半影が少なくなり、穴の形がはっきりとうつります。

針穴写真機は、このことを利用したカメラです。



影の長さ

太陽の光でできる影に、昼ごろは短く、朝や夕方には長くなります。
これは太陽が、昼間は高いところにあり、朝や夕方は低くなるからです。

影と日食

太陽・月・地球が、図のように、一直線にならんだとき、日食がおこります。

日食のときは、月の影が地球の上にできます。
地球上の人が、月の本影の中に入ると、光は全くこないので、太陽が見えません。

これを、皆既日食と言います。

また、地球上の人が、月の半影の中に入ると太陽の光が一部さえぎられて太陽がかけて見えます。これを部分日食と言います。

影と月食

太陽・地球・月が、一直線にならんだとき、月食がおこります。
満月が、地球の本影の中に全部入ったとき、地球上からは月が光らないので見えません。

これを皆既月食と言います。

また、月の一部が地球の本影に入ったとき、月が欠けて見えます。これを部分月食と言います。




光の直進とは?光の速さ、光年とは? わかりやすく解説!

光の直進

自動車のヘッドライトや灯台の光・雨戸の節穴から差し込む光などがまっすぐな光のすじになっているのを見ることがあります。

このように、光は、まっすぐ進む性質をもっています。


実験1

長さ50センチくらいの太いゴム管を、曲げたりまっすぐにしたりして、いっぽうから覗いてみましょう。

ゴム管をまっすぐにしたときは前にある物が見えますが、曲げると見えません。

これは、光が直進する性質があるのでゴム管が曲がっていると入ってきた光が途中でつきあたってしまい、目にこないからです。

実験2

画用紙に、数本の虫ピンを、いっぽうから見たとき虫ピンが重なって見えるように1列に立てます。

つぎに、虫ピンをぬいて、そのあとにものさしをあてると直線になっていることがわかります。

これでも、光が直進することがわかります。

針穴写真機

雨戸の小さな穴から光が差し込むと、うしろのふすまに外の景色が逆さまにうつることがあります。

針穴写真機(ピソホールカメラ)は、このことを利用したカメラです。
このカメラを使って、光の進み方や、物の形のうつる様子を調べてみましょう。

像のむすび方

外の景色を、針穴写真機で見ると、景色が逆さまにうつって見えます。
このように実物のある場所と違ったところに、その物の形が見えるのを像といいます。

針穴写真機の像のむすび方は、つぎのようなしくみになっています。
図のAからでた光は、針穴を通って、パラフィン紙にうつります。

同じように、Bからでた光はB’にうつります。
AとBのほかからでた光も、それぞれ、針穴を通ってパラフィン紙の上にうつります。

これは、光が直進する証拠です。
もし光が途中で曲がったり、折れたりすれば、像はできないでしょう。

針穴写真機は、レンズを使っていない、かんたんなカメラですからふつうの写真機のように、ピントをあわす必要はありません。



針穴写真機の作り方

厚紙を図のように切り抜き、点線のところを折り曲げて、外箱と内箱をつくります。
箱の内側は光がもれたり、反射したりしないように、すみで黒くぬりつぶしておきます。

外箱と内箱とが、抜き差しできるように組み合わせ外箱の前面には、赤く焼いた針を刺して、レンズにあたる小さな穴をあけます。

穴は、なるべくふちをきれいにあけます。
穴をあけた面と反対側の内箱の面には、パラフィン紙か、すりガラスをとりつけます。

実験

針穴写真機を使って、つぎのような実験をしてみましょう。

① 内箱を深く差し込んでいくと、像は小さくなり引き抜いていくと、像は大きくなります。

② 火のついたろうそくか電球を針穴写真機でうつしてみるとその像は逆さまにうつります。

③ こんどは、ろうそくや電球を、左に動かしてみるとろうそくの像は、右にうつります。
ろうそくを反対に右に動かすと、その像は左にうつります。

②と③から、針穴写真機の像は、上下・左右が反対にうつることがわかります。

④ 針穴を少しずつ大きくしていくと、穴が大きくなるほど、像が明るくなっていきます。

しかし、穴を大きくすると、像は明るくなりますが、だんだん像がぼやけていきます。
つまり、針穴は、あまり大きくても、小さくてもよくなく直径が0.2ミリくらいがよいようです。

光の速さ

夏になると、打ち上げ花火が見られます。
離れたところで見ていると、花火が消えてからしばらくしてドーンという音が聞こえます。

これは、音の速さにくらべて、光の速さのほうが、ずっと速いからです。
このことは夕立のときに稲妻が光ってから、かみなりが聞こえることでも、わかります。

むかしの人は、光が伝わるのには、時間はかからないと考えていました。
ところが短いけれども時間がかかるということを、最初に考えたのはイタリアのガリレオ・ガリレイです。

ガリレオは、隣り合った小山の上で、提灯の光で合図しあいそのあいだを光が伝わるのにかかる時間を測ろうとしました。

しかし、光の速さにくらべて距離が近すぎたのでこの実験では、光の速さを測ることができませんでした。

光の速さを測った最初の人は、デンマークの天文学者レーマーでガリレオが実験に失敗してから、およそ70年くらいあとのことです。

レーマーは、1676年に木星をまわっている衛星が見えたり見えなかったりする時間によって光の速さを測り光は1秒間におよそ31万キ口メートルの速さであることを発見しました。

その後、1849年に、フランスの物理学者フィゾーが、下の図のような実験装置を使い、もっと正確な速さを測り、光の速さは1秒間に31万3000キロメートルという数値を計算しました。

光の速さは、その後しばしばはから1秒間に約29万9790キロメートル進むことがわかりました。

また、光の速さは水の中では空気の中での速さのおよそ3/4になることもわかりました。

光年

地球と星とは、非常に離れているのでそのあいだの距離をあらわすにはキロメートルなどを使っては数字がならびすぎるので、光年という単位を使います。

一光年は、光が1年間かかって届く距離のことで、およそ9.5兆キロメートルです。

夜空に見える地球にいちばん近い恒星でも、4.3光年もあり地球から太陽までの距離の30万倍もあります。




光の進み方と光の明るさとは?発光体・光源・光度・照度とは?

発光体

私たちは光が全くないところでは、なにも見ることができません。
物が見えるのは、その物からきた光が、私たちの目に入り、網膜を刺激するからです。

物から目に入ってくる光には、その物が、自分自身で出している光とほかの物からきている光を跳ね返している光とがあります。


発光体

太陽や電灯のように、自分で光を出す物を、発光体と言います。
太陽・恒星・電灯、燃えているろうそくや炭火などは、よく見かける発光体です。

暗体

椅子や月のように、自分で光を出さない物を暗体と言います。
暗体が見えるのは、電灯や太陽からきた光が反射されて、目に入るからです。

光源

発光体の中でも、物を見るためや写真を撮るために使われているものをとくに光源と言います。

炭火や線香の火は物を照らすためには使いませんから、発光体でも光源にとは言いません。

電球にさわってみるとわかるように光を出す物は、ふつう、光といっしょに熱も出します。

点光源

光源が非常に小さくて、点のように見える場合、点光源と言います。

そばで見ると大きい電灯も、遠くのほうから見れば、砂粒のように小さく見えるので、このようなときは点光源と考えることができます。

光源の明るさ

明るい電灯で照らされている物は、ろうそくで照らされているものより明るく見えます。

また、電灯に近づければ明るく見え、離していくと照らされている部分がだんだん暗くなります。

同じように、1本のろうそくで照らすよりも2本つけたときのほうがずっと明るくなることも知っているでしょう。

では、明るさはどのようにして決めるのでしょうか。

光度

光源の強さを測るのには、カンデラ(cd)という単位を使います。

40ワッ卜の電球は、約50カンデラ、100ワッ卜の電球は約130カンデラです。
私たちが部屋の照明に使うのは、数カンデラから数百カンデラです。

まぶしさ

光源が小さくて、点のような物であるとき光源の明るさをあらわすには、光度だけで充分です。

しかし、光源が蛍光灯のように大きなものであるときはその大きさ、つまり面積を考えなくてはなりません。

かがやき

光源の単位面積として、一平方センチをとり、この光度をBとすると全体の光度はBに総面積をかけたものになります。

このように、光源に大きさがある場合は、その光源の一平方センチあたりの光度をその光源の輝き(あるいは輝度)と言います。

この場合、光源が傾いていると、光は横のほうにそれてしまうので全体の光度は減ってしまいます。

もし、光源が完全に横を向いてしまうと、光はまったくでないことになります。
このことは、平らな板を正面から見れば、そのままの大きさに見えますが傾けていけば、だんだん小さくなっていくことでわかるでしょう。

ろうそくをたくさん集めると、電灯と同じ明るさにすることができます。
しかし、ろうそくの炎を見つめてもまぶしくないのに、電球のフィラメントはまぶしくてたまりません。

これは、ろうそくの炎のほうが、輝きが小さいからです。このように、一平方センチあたりからでる

光度、つまり、輝きが大きいほど、私たちの目には、まぶしく感じるのです。

このことは、電球と蛍光灯をくらべてみると、よくわかります。
蛍光灯は、電球にくらべて光っている部分がずっと広いので全体としては明るくても、目にまぶしく感じません。



面の明るさ

電球などで白い紙を照らしてみると、光源からの距離や紙の傾きで、紙の面の明るさは違ってきます。

その明るさは、紙の一平方センチが1秒間に受ける光の量が多ければ明るくなり、少なければ暗くなります。

照度

面の明るさを測るものさしには照度という言葉を使いその単位には、ルクス(lx)を使います。

実験

暗くした部屋か暗室で、机の上に、山形に折った小さな紙をおき左右から同じワット数の電球で照らします。

まず、両面の明るさが等しくなる位置をもとめてみましょう。

つぎに、ワット数の違う電灯で、左右から照らし両面の明るさが等しくなる位置を探してみましょう。

それには、露出計を使えば、正確に確かめることができます。

この実験から、ある点の照度(ルクス)は光源の強さ(カンデラ)と光源からの距離(メートル)によって違うことがわかります。

くわしく調べると、光源からの距離が2倍になると照度は1/4、3倍になると1/9、4倍になると1/16になることがわかります。

つまり、照度は、光源の強さに比例し、光源からの距離の2乗に反比例します。

また、同じところでも、光のあたる面が光源の方向に垂直なときがもっとも明るく、ななめになるほど暗くなります。

ルーメン

光源から、ある範囲にでる光の全量が光量です。この光量を測る単位は、ルーメン(lm)を使います。

1ルーメンというのは、1カンデラの光源を中心とした半径メートルの球面の上の1平方メートルの面積の中に、1秒間にくる光の量を言います。

光の標準

光度には、基準になるものがありません。
しかし、それでは不便なので、光度の標準になるものが決められました。
それが標準電球です。

日本でつくられた標準用の電球が1957年の照明国際委員会で、すぐれたものとして認められました。

蛍光体とりん光体

発光体は、たいてい熱を出します。
けれども、ホタルの光や夜光塗料の出す光は、さわっても熱くありません。
つまり、熱をもっていないわけです。

また、赤インキや石油は、光を外からあてると、緑色や紫色の光を出しあてられた光とは、違った色に光ります。

この光は、外からあてた光を取り去ると、もとのように光らなくなります。
このような発光体を、蛍光体(蛍光体物質)と言います。

たくさん使われている蛍光灯は、ランプの管の中の水銀蒸気から出る紫外線が竹の内側にぬってある蛍光体にあたり、光を出すのです。

また、ほかから光がこなくても、夜光塗料のように光をたす物質があります。このような発光体を、りん光体(りん光物質)と言います。

りん光体は、ほかから光がこなくなっても、しばらくのあいだは光を出します。

夜光塗料は昼間、太陽の光にさらしておくと、夜にたっても5、6時間は光を出します。




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