光の直進
自動車のヘッドライトや灯台の光・雨戸の節穴から差し込む光などがまっすぐな光のすじになっているのを見ることがあります。
このように、光は、まっすぐ進む性質をもっています。
実験1
長さ50センチくらいの太いゴム管を、曲げたりまっすぐにしたりして、いっぽうから覗いてみましょう。
ゴム管をまっすぐにしたときは前にある物が見えますが、曲げると見えません。
これは、光が直進する性質があるのでゴム管が曲がっていると入ってきた光が途中でつきあたってしまい、目にこないからです。
実験2
画用紙に、数本の虫ピンを、いっぽうから見たとき虫ピンが重なって見えるように1列に立てます。
つぎに、虫ピンをぬいて、そのあとにものさしをあてると直線になっていることがわかります。
これでも、光が直進することがわかります。
針穴写真機
雨戸の小さな穴から光が差し込むと、うしろのふすまに外の景色が逆さまにうつることがあります。
針穴写真機(ピソホールカメラ)は、このことを利用したカメラです。
このカメラを使って、光の進み方や、物の形のうつる様子を調べてみましょう。
像のむすび方
外の景色を、針穴写真機で見ると、景色が逆さまにうつって見えます。
このように実物のある場所と違ったところに、その物の形が見えるのを像といいます。
針穴写真機の像のむすび方は、つぎのようなしくみになっています。
図のAからでた光は、針穴を通って、パラフィン紙にうつります。
同じように、Bからでた光はB’にうつります。
AとBのほかからでた光も、それぞれ、針穴を通ってパラフィン紙の上にうつります。
これは、光が直進する証拠です。
もし光が途中で曲がったり、折れたりすれば、像はできないでしょう。
針穴写真機は、レンズを使っていない、かんたんなカメラですからふつうの写真機のように、ピントをあわす必要はありません。
針穴写真機の作り方
厚紙を図のように切り抜き、点線のところを折り曲げて、外箱と内箱をつくります。
箱の内側は光がもれたり、反射したりしないように、すみで黒くぬりつぶしておきます。
外箱と内箱とが、抜き差しできるように組み合わせ外箱の前面には、赤く焼いた針を刺して、レンズにあたる小さな穴をあけます。
穴は、なるべくふちをきれいにあけます。
穴をあけた面と反対側の内箱の面には、パラフィン紙か、すりガラスをとりつけます。
実験
針穴写真機を使って、つぎのような実験をしてみましょう。
① 内箱を深く差し込んでいくと、像は小さくなり引き抜いていくと、像は大きくなります。
② 火のついたろうそくか電球を針穴写真機でうつしてみるとその像は逆さまにうつります。
③ こんどは、ろうそくや電球を、左に動かしてみるとろうそくの像は、右にうつります。
ろうそくを反対に右に動かすと、その像は左にうつります。
②と③から、針穴写真機の像は、上下・左右が反対にうつることがわかります。
④ 針穴を少しずつ大きくしていくと、穴が大きくなるほど、像が明るくなっていきます。
しかし、穴を大きくすると、像は明るくなりますが、だんだん像がぼやけていきます。
つまり、針穴は、あまり大きくても、小さくてもよくなく直径が0.2ミリくらいがよいようです。
光の速さ
夏になると、打ち上げ花火が見られます。
離れたところで見ていると、花火が消えてからしばらくしてドーンという音が聞こえます。
これは、音の速さにくらべて、光の速さのほうが、ずっと速いからです。
このことは夕立のときに稲妻が光ってから、かみなりが聞こえることでも、わかります。
むかしの人は、光が伝わるのには、時間はかからないと考えていました。
ところが短いけれども時間がかかるということを、最初に考えたのはイタリアのガリレオ・ガリレイです。
ガリレオは、隣り合った小山の上で、提灯の光で合図しあいそのあいだを光が伝わるのにかかる時間を測ろうとしました。
しかし、光の速さにくらべて距離が近すぎたのでこの実験では、光の速さを測ることができませんでした。
光の速さを測った最初の人は、デンマークの天文学者レーマーでガリレオが実験に失敗してから、およそ70年くらいあとのことです。
レーマーは、1676年に木星をまわっている衛星が見えたり見えなかったりする時間によって光の速さを測り光は1秒間におよそ31万キ口メートルの速さであることを発見しました。
その後、1849年に、フランスの物理学者フィゾーが、下の図のような実験装置を使い、もっと正確な速さを測り、光の速さは1秒間に31万3000キロメートルという数値を計算しました。
光の速さは、その後しばしばはから1秒間に約29万9790キロメートル進むことがわかりました。
また、光の速さは水の中では空気の中での速さのおよそ3/4になることもわかりました。
光年
地球と星とは、非常に離れているのでそのあいだの距離をあらわすにはキロメートルなどを使っては数字がならびすぎるので、光年という単位を使います。
一光年は、光が1年間かかって届く距離のことで、およそ9.5兆キロメートルです。
夜空に見える地球にいちばん近い恒星でも、4.3光年もあり地球から太陽までの距離の30万倍もあります。