プロジェクター、映写機のしくみとは?TTL露光計とは?

プロジェクター

写真のスライドを映写するのに使われ、幻灯機とも言います。

明るい電球からの光をコンデンサレンズで集めレンズで拡大して、スクリーンにうつしだします。

投影というはたらきは、写真レンズのちょうど反対です。
ですからスライドをうつすときは、上下・左右がひっくりかえった状態にしてキャリアーにさしこまないと正しい像を見ることができません。


映写機

シネカメラ(撮影機)でうつしたフィルムを投影するための機械です。
1こま1こまを投影するのはプロジェクターとかわりありません。

しかし、長いフィルムをおくっていき、ある瞬間は(1こまがちょうど正面にきたとき)止めてやらなくてはならないので、複雑な送り装置がついています。

フィルムが、1つのこまからつぎのこまに送られているあいだはシャッターを閉じて光を送らず、フィルムがとまったときだけ投影します。

ですから、見ている人は、1こま1こま止まった写真を見ているのです。
では、どうしていろいろな物が動いて見えるのでしょうか。

残像

物を見つめていてから目を閉じてもしばらくのあいだ(人間の目では1/20秒くらい)、まだその物が見えるように感じます。

これを、残像と言います。

火をつけた線香をふりまわすと、赤くてまるい輪に見えます。
これは、残像のために、網膜の上にできた前の像が消えないうちにつぎの像がうつり、それが続いているように見えるためです。

映画も、このような残像を利用したものです。

映写機では1秒間に24こまもフィルムが送られるので残像のはたらきで1こま1こまの絵が、続いて動くように見えるのです。

シネカメラ(撮影機)

フィルムの上に、つぎつぎと少しずつ違った写真をうつして動く物の様子をそのま記録するカメラです。

映画をつくるときには、ふつう35ミリ幅のフィルムを使いますが学校や家庭などでは、16ミリかか8ミリ幅のものを使います。

TTL露光計

ちかごろ、EEカメラのさらに進んだTTLというカメラが増えてきました。

TTLとは、スルー=ザ=レンズ(レンズを通り抜けて)という英語の頭文字だけをとった略称です。

正確には、TTL露光計、TTLカメラまたはTTL方式と言います。

写真をうつすときには、フィルムに適当な光の量をあたえなければなりません。
そのために、シャッター速度としぼりを調節するわけです。

露出計は、被写体(フィルムにうつるもの)の明るさを測り正しいシヤッター速度としぼりの値をしるために使います。

いままでの露光計には被写体以外の部分の明るさを測ってしまうという欠点がありました。

これは、露光計の受光部(被写体からくる光を受け入れるところ)を正しく被写体のほうにむけない場合(図1)や望遠レンズでせまい部分をうつすときのように明るさを測る範囲のほうが広すぎる場合(図2)などによくおこります。

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この欠点をなくしたのが、TTL露光計、またはTTLカメラです。
これは、露光計の受光部をカメラの中におき、レンズを通ってきた光すなわち実際にフィルムに届く光の量を測るのです。

ですからレンズを通して被写体の明るさを測るとも言えます。
そのためフィルムにうつる範囲と同じ部分の明るさを測ることができます。

TTL露光計は、一眼レフカメラとむすびついて発達しました。
一眼レフカメラではフィルムにうつる範囲とファインダーを通しての視野が一致します。

レンズを交換すると、ファインダーの視野もそれにつれてかわり一眼レフカメラにTTL露光計をくみこむとファインダーの視野とフィルムにうつる範囲と、露光量を測る範囲とが一致するわけです(図3)。

これは、露光計つきカメラとしては理想に近いものです。

TTLカメラには、そのほかにも長所があります。
拡大撮影や顕微鏡撮影のようにかんたんに露光量を測れないときにもTTL露光計は、正しい露光量をしめしてくれます。




カメラのしくみとは?電気シャッターのしくみとは?

カメラ

カメラには、レンズ・シャッター・しぼり、フィルムをおさめる部分などがあります。
レンズは、写真をうつそうとする物の実像を、フィルムの上につくります。

シャッターは、適当な時間だけ光をフィルムにおくる役目をします。
しぼりは、レンズの光を通す部分の広さをかえるはたらきをします。

フィルムにあたる光の量は、シャッターが開いている時間としぼりの面積との積に比例します。

いまでは多くのカメラに、うつそうと思うものにカメラをむけるだけでその明るさに応じたシャッター速度やしぼりを自動的に調整する電子の目(エレクトリックアイと言い、この装置をもったカメラを、EEカメラという)がくみこまれています。

電子の目が光に感じて、シャッター速度やしぼりを調節するのはこの部分に光電池などが使われ、これには、セレン光電池や硫化カドミウムと水銀電池とをくみあわせたものがあります。


電子シャッター式EEカメラ

ふつうのEEカメラは、光電池などによって生じた電流で電流計の針をふらせその針のふれた角度からシャッターやしぼりを自助的に調整しています。

ところが最近開発された電子シャッター式EEカメラではうつされるものの明るさを電流の流れの大小にかえて、これをコンデンサーにためコンデンサーにたまる電気がいっぱいになるまでの時間をシャッターが開いている時間になるようにしてあります。

そのため、非常に正確な露出時間が得られます。
また、シャッター速度は今までのカメラのように50万分の1とか100分の1とかという決まった時間ではなくどんな時間のシャッター速度でも得られます。

ですから、非常に暗いところでも必要な時間だけシャッターを開けておくことができます。

カメラのレンズ

カメラのレンズは、虫眼鏡のように、1枚の凸レンズだけというわけにはいきません。
明るく、広い範囲をうつすために、何枚ものレンズを組み合わせたレンズが使われています。

これは、1枚のレンズではいろいろな収差があってはっきりした像をつくることができないからです。

ふつうのカメラには、3枚のトリプレット型が4枚のテッサー型レンズが使われています。
近頃の高級なカメラには10枚近くのレンズが組み合わさってできたレンズが使われています。

使う目的によって、レンズには、広角レンズ・望遠レンズなどがあります。
広角レンズは、焦点距離が短く同じ大きさのフィルムの上に広い範囲をうつすことができます。

望遠レンズは、焦点距離が長く、小さな部分を拡大してうつすことができます。

コーティング

カメラのレンズをよく見ると、紫色や、だいだい色に色づいています。

これは、コーティング(反射防止膜)といってうすい金属(ふっ化マグネシウム・氷晶石など)の膜をレンズの表面につけて、光の反射を減らし、フィルムのほうへ行く光を増やしています。

立体写真

私たちが、物を立体的に見ることができるのは左右の目が、少しずつ違った形に見えることによります。

遠くと近くにある2つの物をよく見て、左右の目を、かわるがわる閉じてみましょう。
2つの物の関係が、少し違って見えるのに気がつくでしょう。

写真は1つのレンズで1つの面の上にうつした物ですからこれをいくら左右の目で見ても、写真の中の景色は、立体的には見えません。

実際に両目で見たと同じように立体的な感じを出すのが立体写真(ステレオ写真)です。




望遠鏡のしくみとは?望遠鏡の種類とは? わかりやすく解説!

望遠鏡

遠くの物を、大きくはっきり見るためには、望遠鏡を使います。
遠くの景色を見る双眼鏡や、芝居の舞台やスポーツなどを見るためのオペラグラスなどは、望遠鏡の一種です。


望遠鏡のしくみ

望遠鏡も、顕微鏡と同じように対物レンズと接眼レンズの2種類のレンズからできています。

対物レンズは凸レンズのはたらきをもち遠くの物からやってくる平行な光線を焦点に集め、焦点に倒立した実像をつくります。

この実像を、接眼レンズで、虫眼鏡と同じ原理で拡大して見るのです。

私たちが物を見るとき、物の大小の感じは網膜の上にできるその物の像の大小によります。

レンズの中心を通る光は曲げられませんからそれは、物の両はしから目の中心にやってくる光線がつくる角(視角という)の大小によって決まります。

したがって、同じ物でも遠方にあると小さく、近くにおると大きく感じます。
このことは、決まった幅のレールでも、遠くのほうへいくにつれてせまくなるように見えることでもわかるでしょう。

望遠鏡は、対物レンズと接眼レンズの組みあわせによって視角を大きくして、見やすくしてくれます。

望遠鏡の倍率

望遠鏡を通して遠くにある物の像を見たときの視角が望遠鏡を使わないで直接、目で見たときの視角の何倍になっているか、という数を望遠鏡の倍率と言います。

望遠鏡の倍率は、つぎの式で計算します。



望遠鏡のいろいろ

望遠鏡には、レンズを使った屈折望遠鏡と反射鏡を使った反射望遠鏡とがあります。

屈折望遠鏡

ふつうの天体望遠鏡は、ケプラー式望遠鏡で、像が倒立像となるので天体を観察するには構いませんが、地上の景色を見るときは不便です。

地上用望遠鏡は、プリズムやレンズをたくさん使って、正立した像にかえています。
ふつう、接眼レンズは凸レンズですが凹レンズでも拡大された像を見ることができます。

そのためには、対物レンズの焦点を、凹レンズのうしろ側の焦点に一致させます。
すると対物レンズを通った光は、焦点に集まる前に接眼レンズにあたり散らされて平行光線になってでてきます。

こうして、凹レンズを接眼レンズとして使うと、正立した像をつくることができます。これをガリレオ式望遠鏡と言います。

オペラグラスは、ふつう、ガリレオ式望遠鏡を2つ組みあわせた望遠鏡です。
双眼鏡は、プリズムを使って、像を正立にするとともに、鏡筒の中で光を往復させ全体の長さを短くして持ち運びに便利なようにしてあります。

反射望遠鏡

球面鏡による光の反射を利用した望遠鏡です。

凹面鏡によってつくった遠方の物の実像を、接眼レンズで拡大してみます。

質が同じで、屈折率にむらのない大きなガラスはなかなかつくれないので大きなレンズよりも、大きな反射鏡をつくるほうがかんたんです。

そのため、最近つくられる大きな望遠鏡は、ほとんど反射望遠鏡です。




顕微鏡のしくみとは?顕微鏡の種類とは? わかりやすく解説!

光学器械

レンズや鏡の性質を利用して、遠くの物を見たり小さな物を大きくして見たり物の長さを測ったりする器械を、光学器械と言います。

光学器械には、顕微鏡・望遠鏡・双眼鏡・カメラ・映写機・測量器械など
いろいろなものがあります。



顕微鏡

凸レンズを1枚しか使わない虫眼鏡では10倍よりずっと大きい倍率をだすことは困難です。
もっと大きな倍率にまで、物を拡大して見るには、顕微鏡を使います。

顕微鏡は、16世紀の終わりごろに考えだされ19世紀に入ってからドイツで著しく進歩しました。

このため、19世紀の終わりごろから、いろいろな病原体がつぎつぎと発見され伝染病をふせぐ方法を考えだすのに、有要な役割りをはたしてきました。

顕微鏡のしくみ

顕微鏡は、違ったはたらきをする2枚のレンズからできています。
しかも、その2枚のレンズは、それぞれ2枚以上のレンズが組みあわさってできているのがふつうです。

ここでは、しくみをかんたんに説明するため1枚ずつのレンズでできているものとして考えをすすめましょう。

調べようとする物の近くにあるのが対物レンズです。

対物レンズは、焦点からわずかに外側にある実物の大きく引き伸ばされた実像をつくります。

目に近いところにあるのが接眼レンズです。
接眼レンズは、虫眼鏡のようにはたらき対物レンズでできた大きな像をさらに大きく引き伸ばして虚像をつくり、これを目で見るのです。

対物レンズは、倒立した実像をつくり接眼レンズは、虫眼鏡としてはたらくので、正立した虚像をつくります。

したがって、顕微鏡全体としては、倒立した虚像になります。
つまり、実物とくらべて上下・左右が反対になっています。

顕微鏡の倍率

顕微鏡の倍率は対物レンズの倍率と接眼レンズの倍率をかけあわせたものになります。

たとえば、対物レンズの倍率が10倍で、接眼レンズの倍率が5倍ならば全体で50倍になります。

対物レンズと接眼レンズの倍率は、それぞれレンズの筒のところに×5とか、×10のように刻んであります。

ふつう、対物レンズの倍率は、3~40倍くらいで最高100倍くらいまで、接眼レンズの倍率は5~15倍くらいで、最高20倍くらいです。

そのため、ふつうの顕微鏡で見られる最高の倍率は、2000倍くらいです。

顕微鏡のいろいろ

顕微鏡には観察するものや、観察のしかたによって、いろいろな種類があります。

生物顕微鏡

植物や動物の細かいしくみやはたらきを観察したり細菌を観察したりするときに使われる、いちばんふつうの顕微鏡です。

金属顕微鏡

金属のしくみや、表面の様子を観察するための顕微鏡です。
金属は光を通さないので上から光をあてて反射させ、その反射光線により観察します。

そのため、接眼レンズと対物レンズの間に半透明の鏡をななめにいれておき
これに横から光をあて、その光を対物レンズを通して金属にあてます。

金属で反射された光は、ふたたび対物レンズを通って像をむすびこれを接眼レンズで大きくしてみます。

偏光顕微鏡

岩石をつくっている鉱物が、どういう鉱物からできているかを観察するための顕微鏡です。
最近では、いろいろな物の結晶を観察するときにも使われています。

光を電磁波とみたとき、ある方向だけに振動している波を、偏光と言います。

太陽や電灯の光は、いろいろな方向に振動している横波がまじっていますがこの光を電気石にあてると電気石は結晶軸の方向に振動する光だけを通すので偏光をとりだすことができます。

このような偏光を通して試料を観測すると、結品の性質がよくわかります。



位相差顕微鏡

無色透明な試料の屈折率の違いを利用して透明な試料に明暗をつけて観察する顕微鏡です。

生物顕微鏡では、試料に色がついていたり光の通り方が場所によって違うため、目で見ることができるのです。

ですから、無色透明な物は見ることができません。

しかし、無色透明な物でも、まわりの物と屈折率が違えばそのちがいを利用して明暗のある像をつくることができます。

この方法を位相差法と言い、これを利用したのが位相差顕微鏡です。

生物顕微鏡で無色透明な試料を観察するときには試料を染料につけて色をつけないと観察できません。
色をつけると生きている物を殺してしまうので生きたまま観察することはできません。
しかし位相差顕微鏡を使うと、無色透明な試料を生きたまま観察できます。

これらの顕微鏡は人間の目に見える光線(可視光線)を使った顕微鏡ですがこのほかに、赤外線を使った赤外線顕微鏡、紫外線を使った紫外線顕微鏡もあります。

赤外線顕微鏡は、半導体の結晶を調べたりするときに使われます。
紫外線顕微鏡は可視光線より波長の短い紫外線を利用するのでほかの顕微鏡よりはっきりした像をえることができます。

また、片目で長い間観察していると目が疲れるので両方の目で見るようにした双限顕微鏡もあります。

電子顕微鏡

ふつうの顕微鏡は、目に見える光を使います。
ですから生物顕微鏡や位相差顕微鏡などを、光学顕微鏡と言います。

光学顕微鏡では、光の波長(0.5ミクロンくらい)よりも小さい物ははっきり見分けることができません。

倍率をあげて2000倍くらいより大きくしても、大きなぼやけた像が見えるだけです。
これは、光が一種の波であるためにおこる、どうしてもさけられない現象です。

目に見える光より波長の短い放射線に、紫外線やエックス線・ガンマ線があります。
しかしエックス線やガンマ線を顕微鏡に使うのに適当なレンズがありません。

紫外線を使った顕微鏡だけが実際に使われていますがそれでも0.01ミクロンより小さい物は、やはり見ることができません。

このため、1920年ごろから、もっと大きな倍率でしかもはっきりした像をつくるため、光のかわりに電子の流れを利用した電子顕微鏡が考えられはじめました。

電子は、-の電気を帯びているので、走っている電子は磁界を通ると曲がります。

この性質を利用して、ちょうど光をガラスのレンズで屈折させるように電磁石を使って電子を集めたり、散らしたりすることができます。

これを、電子レンズと言います。

電子は、空気の中を走ることができないので電子顕微鏡の内側は真空にしてあります。
また、電子レンズには、数万ボルトもの高い電圧がかけてあります。

電子顕微鏡では、像を直接見ることができないので蛍光板にあてて目に見える像をつくったり、写真にうつしてみます。

電子顕微鏡で見ることができる物の大きさは、0.001ミクロンくらいまでです。




眼鏡の特徴と性質とは?近視・遠視・乱視とは?

眼鏡

私たちが、正しくものを判断するためには目で物を見ることがたいへん役に立ちます。
目を常に注意して、いつまでも大事に使いましょう。

しかし、生まれつきや、目の使い方が悪いと、目がその役目をしなくなります。
そんなときには、ふつう眼鏡をかけて、目のはたらきを助けています。

では、眼鏡は、どんなしくみをもっているでしょうか。


目のしくみ

私たちの目は2つあって、それぞれ、直径が2センチくらいの球のような形をしています。
光は空気から角膜に入り、つぎに水晶体というレンズのはたらきをするものを通ったのち網膜の上に、上下・左右が反対になった実像をむすびます。

網膜には、光を感じる視細胞がありこれによって光の刺激が大脳に伝えられ、はじめて物が見えるのです。

目のしくみは、カメラとよく似ています。
角膜から水晶体までの部分が、カメラのレンズにあたり網膜はフィルムにあたります。

また、カメラのしぼりにあたる物が、紅彩です。

明るさにより、開いたり閉じたりして適当な強さの光が、網膜の上にあたるように調節します。

物までの距離がかわったときにも、網膜の上にはっきりした像をむすぶために水晶体を引き伸ばしたり、縮ませたりして水晶体の焦点距離をかえます。

これも目の調節作用と言います。

このはたらきにより、ふつう目から20センチくらいのところから非常に遠いところまで、はっきり見ることができます。

非常に遠いところを見るときは、水晶体は伸びきった状態になり近くの物を見るときは、水晶体は強くふくらんでいます。

若い人は、近くの物まで見ることができますが年をとると水晶体を強くふくらませることができなくなり、近くの物が見にくくなります。

これを老眼と言い、老眼の人は、凸レンズの眼鏡を使います。

近視と近眼鏡

水晶体の焦点距離が短すぎると、遠くの物の像が網膜よりも前にできてしまい、網映の上にはっきりむすばせることができません。

また、眼球の奥行が深すぎても、同じことになります。

このような人は、近くの物を見るときならよいのですが遠くの物をはっきり見ることができません。

これを近視、または近眼と言います。
近視の人は、凹レンズの眼鏡を使い、これを近眼鏡と言います。

近眼鏡として、どんな凹レンズを使ったらよいでしょうか。

非常に遠くの物からやってくる平行な光をその人がはっきり見ることのできるいちばん遠くの点(遠点という反対に、はっきり見えるいちばん近い点を近点という)から出てきた光のように、光広げるはたらきのある凹レンズを使えばよいのです。

つまり、凹レンズの前側の焦点が、その人の目の遠点にあるようにすればよいのです。

遠視と遠眼鏡

水晶体の焦点距離が長すぎるか、眼球の奥行が浅すぎると近くの物の像は、網膜よりうしろにできてはっきり網膜の上にむすばなくなります。

これを遠視または、遠眼と言います。

遠視の人は、老眼の人と同じように、近くの物をはっきり見ることができません。

このような人は、凸レンズの眼鏡を使います。

見たいと思う、いちばん近くからでた光を近点からやってきたように光を集める凸レンズを使えばよいのです。



眼鏡の度

近視や遠視の人が、どのようなレンズを眼鏡として使えばよいかを正確にあらわすには、焦点距離で言えばよいのです。

実際には、一を、メートルで測った焦点距離で割った数が使われています。
これをレンズの度と言い、ジオプトリーという名前をつけてよんでいます。

たとえば、焦点距離25センチのレンズの度は、1÷0.25=4
4ジオプトリーです。

乱視と乱眼鏡

目の故障には近視・遠視・老眼などのほかに乱視があります。
これは、ふつうのレンズにもおこる非点収差が、目におこったのです。

非点収差とは下の図のように、一点からでた光がレンズを通ったあと一点に集まらないで、違った位置にある互いに垂直な線の像をつくることです。

したがって、物が点でなく、複雑な形をしていると、その一点一点が、離れた位置で、しかも、線のように伸びた像をつくるので、はっきりした像にはなりません。

このような目が、乱視です。
原因は、目の角膜が、正しい球形でなく、すこしゆがんだ形をしているためです。

このようなとき、正しく見えるようにするには、シリンドリカルレンズを使います。

このレンズは、1つの方向には全く光を曲げるはたらきがなくそれに垂直な方向にだけ光を曲げるはたらきをもっています。

このレンズを、その人の角膜のゆがみにあった方向にはめた眼鏡を使うと正しく見えます。

これが乱眼鏡です。

乱視のほかに、近視や遠視があるときにはレンズの1つの面がシリンドリカルレンズでもう1つの面が近視や遠視のための球面になったレンズを眼鏡として使わなければなりません。

検眼鏡には、乱視の程度とくに光を強く曲げる方向と弱く曲げる方向を決めるような装置がついています。




虫眼鏡の特徴と性質とは? わかりやすく解説!

虫眼鏡

1枚の凸レンズに、えをつけて、見やすくした物が、虫眼鏡です。
細かくてみにくい物を、大きく拡大して見やすくするのに使います。


虫眼鏡の像

凸レンズでも、物とレンズとの距離が、焦点より短いときは実像ができなくて、虚像となります。

ですから、実物より大きくて、正立虚像となります。

明視の距離

目は、あまり近くの物を見ることはできません。
目が疲れないで、いちばんはっきり見ることができる距離を明視の距離と言います。

これは、ふつう25センチくらいですから虫眼鏡でも像を目から25センチくらいにつくります。
このためには、見ようとする物をレンズの焦点から、少し内側におきます。

虫眼鏡の倍率

虫眼鏡を通してみる像の大きさが実物の何倍かという数を、虫眼鏡の倍率と言います。

虫眼鏡のレンズの焦点距離をFセンチ、明視の距離を25センチとします。
目をできるだけ虫眼鏡に近づけてみたときの倍率は、つぎのような式であらわされます。

また、目をレンズの焦点においてみたきの倍率は、

ふつう、かんたんですから、あとの式を使って計算しています。

したがって、焦点距離が小さいほど、大きな倍率がえられます。
しかし焦点距離があまり小さいとレンズは強くふくらんだ形となり、よい像ができません。

虫眼鏡は、ふつう10倍くらいまでです。



実験

虫眼鏡の倍率を、つぎのようにして、測ってみましょう。

2本のものさしを用意して、図のように下のものさしが明視の距離(25センチ)になるようにします。

2本のものさしのめもりを、むかいあわせて平行におきます。下のものさしを右の目で見ます。

上のものさしは、虫眼鏡を通して左の目で見ながら、上下に動かします。
そして、上のものさしのめもりのはしと、下のめもりのはしが同じところに重なって見えるようにします。

ここで上のものさしの像1センチの長さにたいして下のものさしの長さが何センチになるかを読みます。
たとえば、上のものさしの1センチが、下のものさしでは2.5センチならこの虫眼鏡の倍率は、2.5倍となります。

虫眼鏡の収差

レンズによってできる像が完全でないことを、レンズの収差と言います。

虫眼鏡によってできる像もよく注意して見るといろいろ欠点を持っていることがわかります。

方眼紙を焦点距離の短い虫眼鏡で見てみましょう。
方眼紙の線は、まっすぐですが、虫眼鏡を通してみるとふちのほうはゆがんで、糸巻きのような形に見えます。

これは、ゆがみといわれる収差の一種です。

つぎに、下の写真は、凸レンズの焦点の内側にスクリーンをおき凸レンズに太陽光線をあてたときに見られる像です。

これは、色収差とよばれるものです。

光の色によって屈折率が違うため、像の大きさも違います。
そのため、完全に像が重ならず、少しずれているため色づいて見えるのです。

このほか、レンズの収差には、球面収差・こま・非点収差・曲がりなどがありこれらの収差を取り除くのは、なかなか難しいことです。




レンズによってできる像とは?実像・虚像とは? わかりやすく解説!

凸レンズの像

暗い部屋の中で、火をつけたろうそくを、机の上に立てます。

凸レンズの面をろうそくの炎に向けておき、ろうそくの反対側にレンズの軸と直角に白い紙をおきます。

この紙とレンズの位置をいろいろとかえてみるとろうそくの形が紙の上に、上下・左右とも反対にうつります。

これが、凸レンズによってできる像です。

ところで、像のできる位置は、1か所とはかぎりません。
凸レンズを動かさないで、ろうそくと紙を動かせば炎の像を何回もうつしだすことができます。

しかし、凸レンズとろうそくを動かさなければ像のできる位置は、1か所しかありません。


実験

凸レンズとすりガラスとろうそくを用意します。

凸レンズを太陽にむけて固定しておき、すりガラスを動かしてみて太陽光線が一点に集まるところを探し、焦点距離を測っておきます。

つぎに、暗い部屋の中で、凸レンズを固定しておき火をつけたろうそくを、焦点距離の2倍より遠いところにおいてみましょう。

ろうそくの反対側で、すりガラスを前後に動かしてみると逆さまの小さな像が、焦点と焦点距離が2倍のところとの間にできます。

ろうそくを、焦点距離の2倍のところにおいてみましょう。

すると、そのろうそくと大きさの等しい、逆さまの像がろうそくと反対側の、焦点距離の2倍のところにできます。

ろうそくを、焦点と焦点距離の2倍のところとの間においてみましょう。
すると、実物より大きな逆さまの像が、ろうそくと反対側で焦点距離の2倍より遠いところにできます。

ろうそくを、焦点のところにおいてみますと、像はどこにもできません。

ろうそくを、焦点より内側におしてみましょう。
すると、像をすりガラスにうつすことはできませんが、ろうそくを立てたほうにレンズを通して実物より大きな、正立の像を見ることができます。

このようにしてできた像は、ろうそくより大きいことも小さいこともあります。

そして、ろうそくが凸レンズの焦点に近いほど、大きな像ができます。

ろうそくの像がすりガラスの上にできているとき、すりガラスを取り除いてすりガラスのあった位置の25センチくらいうしろから凸レンズを見てみましょう。

すると、すりガラスがあった位置に、はじめと同じような像が見られます。



凹レンズの像

凹レンズを使い、凸レンズと同じようにろうそくの炎の像を、紙の上にうつしてみましょう。

しかし、ろうそくと紙をどんな位置にもってきても、像はできません。

紙を取り除いて、凹レンズを通してろうそくの炎を見てみましょう。
すると、上下・左右とも同じで、実際のろうそくより小さな像が見えます。

レンズの像のもとめ方

レンズの焦点距離と、物の位置がわかっていると球面鏡のときと同じように、図を書いて像の位置や大きさをもとめることができます。

レンズの像を図でもとめるときには、物のはしの一点からひいたつぎにあげる3本の光線のうち、どれか2本を選びそのまじわる点をもとめれば、その点が物のはしの一点の像となります。

① レンズの軸に平行に進み、レンズを通ったあと焦点を通る光線、または焦点から出たように進む光線。

② レンズの中心を通り、そのまま、まっすぐに進む光線。

③ 焦点を通り、またはレンズのむこう側の焦点にむかいレンズを通ったあと、レンズの軸に平行に進む光線。

この3本の光線のうち、2本の光線がまじわる点をもとめるとこの点が、はじめに光線をひきだした点の像になります。

実験の①~⑤までの像を図でもとめてみると、図のようになります。

実像

光が実際に集まってできる像を実像と言います。

凸レンズでは、物を焦点より遠いところにおいたとき逆さまの実像(倒立実像)ができます。

虚像

凸レンズの実験で、ろうそくを焦点の内側に入れると、像ができませんでした。
このとき、ろうそくを、レンズを通して反対側から見ると実物より大きな像が見えます。

このようなときに、レンズを通った光を反対側に伸ばしてみると、一点に集まります。
光は、実際にはその点を通りませんが、レンズを通ったあとで光がその点から出てくるように見えます。

そこで、このような像を虚像と言います。

虚像は、物のある側に、実物と同じむきの像(正立虚像)になります。
1枚のレンズでは、実像は倒立実像、虚像は正立虚像になります。




レンズの種類とは?レンズを通る光の進み方とは?

レンズの種類

ガラス・水晶・プラスチックなどのように透明な物の両面を球面、あるいは球面と平面に磨いたものを、レンズと言います。

光は、空気からレンズに入るときと、レンズから空気に出るときにそのさかいの面で屈折して、進む方向をかえます。

このレンズの性質を利用して小さな物を見るための顕微鏡、遠くのものを見るための望遠鏡、測量器械・カメラ・撮影機・映写機・眼鏡などいろいろな光学器械がつくられています。

レンズは、これらの器械の中心となるはたらきをしています。

レンズには、いろいろな形のものがありますがそのはたらきによって、凸レンズと凹レンズの2つにわけられます。


凸レンズ

下の図のように、ふちの部分より中心のほうが厚くなっているレンズを、凸レンズと言います。

凸レンズは、虫眼鏡や年よりの人がかける老眼鏡などのレンズに使われています。

凹レンズ

ふちの部分より、中心のほうがうすくなっているレンズを、凹レンズと言います。

凹レンズは、近視の人がかける眼鏡などに使われています。

レンズを通る光

レンズを通る光の屈折のしかたは、レンズの形によってたいへん違います。

実験

凸レンズ・凹レンズと紙を用意します。
レンズに太陽の光が直角に、あたるようにして紙にレンズを通ってきた光をあてます。

この紙を、レンズからだんだん遠ざけてみましょう。

凸レンズでは、はじめはレンズと同じくらいの面積が明るくなっていますが遠ざけるにしたがって、だんだん明るい部分

が小さくなり、やがては小さな点になります。
しかし、さらに紙を遠ざけると、明るい部分は広がっていきます。

凹レンズでは、紙を遠ざけていくと、明るい部分は大きくなっていきます。

このように、凸レンズは光を集め、凹レンズは光を広げる性質があります。

レンズの焦点

凸レンズでは、レンズからある距離のところに光が集められて小さな点となります。
この点は、光が集まって温度が高くなるので、紙などをそこにおくと、こげだします。

この点が、凸レンズの焦点です。

凹レンズでは、レンズから紙を遠ざけていくと明るい部分がだんだん大きくなるため、レンズのうしろ側には焦点はありません。

しかし、図のように、レンズを通った光を反対の方向に伸ばすと、一点に集まります。

この点が、凹レンズの焦点になります。



レンズの焦点距離

レンズの中心から焦点までの距離を、レンズの焦点距離と言います。

光がレンズの左からきたとき焦点は凸レンズではレンズより右、凹レンズでは左にできます。

また、光が右からくれば、凸レンズでは左、凹レンズでは右にできます。
このように、1つのレンズには焦点が2つあり、焦点距離は、どちらも同じです。

実験

ボール紙で、図のような箱をつくり1つの箱をもう1つの箱にさしこんで、動かせるようにします。

外側の箱のはしに、レンズの直径の半分ほどの間隔で、細長い穴を2つあけます。
そして、その上に焦点距離を測ろうとするレンズをのせてセロハンテープでとめます。

内側の箱のはしには、半透明の紙か、すりガラスをつけます。
用意ができたら、レンズのついているほうを太陽に向けます。

凸レンズのときは内側の箱を動かし、2本の明るい線が小さな点になる位置を決めます。
このときのレンズからすりガラスまでの長さが、焦点距離です。

凹レンズのときは、レンズのところにあけた穴の間隔のちょうど2倍の間隔の目印を、すりガラスの上につけておきます。

そして、2本の明るい線がこの目印と重なる位置を探します。
このときのレンズからすりガラスまでの長さが、焦点距離となります。

このようにしてレンズの焦点距離を測ると中心とふちの厚さの違いが大きいほど、焦点距離が短いことが、わかります。

レンズの軸

下の図のように、レンズの表面を通る円の中心を、球の中心と言います。
この球の中心とレンズの中心とをむすんだ線を、レンズの軸と言います。

レンズのはたらきとプリズム

凸レンズは光を集め、凹レンズは光を広げるはたらきがあります。

このようなレンズのはたらきは、レンズは厚さと角度とがだんだんかわるプリズムからできていると考えれば、よくわかるでしょう。

プリズムは光を屈折させて、光の進む方向をかえます。
このとき光は、いろいろな色にわかれます。

しかし、プリズムの光を屈折させるはたらきが小さいときにはプリズムは、ただ光の方向をかえるだけということもできます。

プリズムでは、光はプリズムの厚いほうへ曲げられます。
また、レンズでも同じように、レンズの厚いほうへ光は曲げられます。
そして、光の曲がり方は、レンズの軸から離れるほど大きくなります。

そのため凸レンズは、はしの部分より中心のほうが厚くなっているので光が集まるのです。
反対に凹レンズは中心がうすく、はしのほうが厚くなっているので、光が広がるのです。

ところで、レンズに入ってきた光はレンズの面で一度屈折し、光がレンズからでるときも屈折します。

そのとき、光は、平らな面で屈折するのと同じように屈折します。

レンズを通る光の進み方

凸レンズでは、レンズの軸に平行に進んできた光はレンズを通るときに曲げられて、焦点を通るように進みます。

また、焦点を通るように進んできた光は、レンズを通ると軸に平行に進みます。

凹レンズでは、軸に平行に進んできた光はレンズを通ると、図のように焦点から出たように進みます。

また、むこう側の焦点にむかう光は、レンズを通ったあと、軸と平行に進みます。




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