熱の対流
熱が物の中を伝導するのではなく、水や空気のあたたまり方のようにあたたまった液体や気体がうつっていくことによって熱が温度の高いところから低いところにうつることを、熱の対流といいます。
煙突は、空気の対流をさかんにして、かまにたくさんの空気を吸い込み燃料をよく燃やすしくみです。
煙突があると、あたためられた空気やガスの通り道があるので外側の空気と混じらず、あたたかいままなのでよくのぼっていきますから、対流がさかんになるのです。
自然におこなわれる対流にまかせておいたのでは水や空気があたたまるのに時間がかかったりあたたまり方が平均しないので、困ることがあります。
そのようなときには、手で水をかきまぜたり、扇風機で空気をかきまぜたりして人工的に対流を起こすと、都合のよいことがあります。
水を使って温度を調べる実験で、水をよくかきまぜるのも人工的に対流を起こしているのです。
強制対流と自然対流
このように、人工的に起こした対流を、強制対流と言います。
これにたいして、自然におこなわれる対流を、自然対流といいます。
冷蔵庫
冷蔵庫の氷をおく場所や冷却部は、冷蔵庫の上のほうにつくってあります。
これは、冷やされた冷たい空気が重くなって下にさがり下の空気が浮き上がって氷のところにいって冷やされるようになっています。
これをくりかえして、冷蔵庫内の空気が、全部冷たくなるようにしてあります。
冷蔵庫も、対流を利用しているのです。
対流式ストーブ
対流を利用して、部屋全体をあたためるためのストーブを、対流式ストーブと言います。
ストーブにはこのほか、人のいるところなどだけに熱がいくようにした反射式ストーブがあります。
対流を利用するのにも、自然対流を利用する場合と扇風機とくみあわせて強制対流で、あたたかい空気を部屋全体に送る温風ストーブがあります。
ストーブの熱によって部屋の中に起こる自然対流はガラス箱の中の線香の煙りの対流と、ほとんど同じようにおこなわれます。
ストーブで熱せられた空気は、上に上がって天井にあたり天井に沿って広がり、壁にそっておりてきます。
おりてくるとき、天井や壁やその付近の空気で冷やされてだいたい、床にそってストーブのところにもどってきます。
部屋のあたため方
ストーブで、自然のままの対流で部屋をあたためる場合天井近くの温度は高くなり、床の温度は低くなります。
自然の対流では、なかなか、部屋全体の温度は同じになりません。
天井と床との温度差が、10度以上になることは、めずらしくありません。
ふつうの住宅などのように、天井の低いところは床との空気の温度差は、5度以下にするのがよいのです。
そうしないと、頭と足のところの空気の温度差が大きくなりこの温度差が3度以上になると、気もちが悪くなります。
部屋をあたためるには、まず、隙間風をなくすこと、天井や壁には熱を伝えにくい物を使い、ガラス窓から、熱が逃げないようにすることなどが大切です。
また、床下から風が入ったりしないようにしたり、熱が逃げないようにすることも大切です。
壁から熱が伝導で逃げやすかったり、隙間風の多い家ではストーブをつけても、なかなか、部屋中同じようにあたたまりません。
壁が厚くて、材料もよく、熱が逃げにくく隙間風も少ない部屋は、部屋の中が同じようにあたたまります。
ストーブをおく場所は、窓際がよいでしょう。
窓から入る冷たい空気が、直接体にあたらず、室内の温度を同じようにすることにもなるからです。
朝鮮には、オンドルというものがありこれは床の下にあたたかい煙りの通り道をつくって、床の下から部屋をあたためます。
また、ソ連にあるペチカというものは、壁の中に煙りを通して、部屋をあたためます。