原子磁石とは?直接発電とは? わかりやすく解説!

原子磁石

電子の運動

鉄が磁化することを、分子磁石という小さな磁石を考えて説明しましたが学問が進んで物質をつくっている原子の構造がはっきりしてくると原子1つ1つが小さな磁石になりうると考えられるようになりました。

原子は、中心に+の電気をもった原子核がありそのまわりを-の電気をもった電子がまわっています。

この電子の動きが、電気の流れ(電流)をつくりだすわけです。
しかし、原子が磁石になるのは、もう1つの原因があるのです。
それは、電子が自分で「こま」のようにまわっているためなのです。

この電子が原子孩のまわりをまわる運動を太陽のまわりをまわる地球の公転にあたるとすれば電子の「こま」のような迎動は、地球の自転にあたるわけです。

電子が自転すると、電子のもっている電気もまわることになります。

この場合も電流が流れる場合と同じように磁界をつくります。
そのため原子は磁石になります。
これを原子磁石と言います。

このように、金属が磁石になるのは電子の公転によるよりも、おもに自転によっているというわけです。


金属の結晶と磁石

ところで原子が磁石になるならば鉄が磁石になって、銅が磁石にならないのはなぜでしょう。

鉄・銅・銀などの金属は常温では結晶といって規則正しく原子がくっつきあってならんでいます。

ところが、この規則正しいならび方が問題なのです。

鉄の中の電子は自転の向きが、みんなそろっていますが銅の場合は、隣りどうしの原子で電子の自転の向きが反対のときに結晶ができるのです。

それで、銅の原子磁石は、隣りどうしで、互いに打消しあって全体としては磁石の性質が出てこないというわけです。

鉄の電子の自転の向きがそろっているならふつうの鉄は、なぜ磁石になっていないのでしょう。

金属の結晶は、ごく小さく、だいたい0.01ミリぐらいのものでこれを磁区と言います。
金属は、この磁区がたくさん集まってできているわけです。

以前、分子磁石について述べましたがこの磁区が分子磁石をさしていると考えればよいわけです。

分子磁石によって、磁石の説明をしたのはドイツのウェーバーという人ですが分子磁石にあたる磁区が確認されるようになって分子磁石の説が非常にすぐれた考えであったことがわかってきたのです。



直接発電

近頃、小型の通信機や人工衛星の電源としてかんたんで小型な発電機が必要になってきました。

そこで今までに考えられてきた方法を大きくわけると①熱エネルギーの利用、②光エネルギーの利用、③化学エネルギーの利用の3つになります。

MHD発電

ふつう、熱エネルギーで発電するには石炭・重油などを燃料にしていますが、能率があまりよくないのでそれにかわるものとして、MHD発電が研究されています。

MHD発電は2000℃以上に熱して電気を通すようにした気体を高速度で磁界の間に流すとファラデーの法則により図①のように電気を直接に取り出すことができます。

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太陽電池

光エネルギーから、直接電気をおこす太陽電池は人工衛星の電源や無人灯台・無人無線中継所などの電源として利用されています。

太陽電池は、シリコンという物質にひ素をまぜてつくった結晶を輪切りにして、うすい板(基板)をつくりこの板の表面にほう素を染みこませてうすい膜をつくったものです(図②)。

太陽の光があたると、うすいまくが+極、基板が-極になって電気が起こります。

1つあたり、0.5ボルトの電気が起こります。

燃料電池

化学エネルギーを直接電気にするものに、燃料電池があります。
燃料電池にもいろいろなものが考えられていて図③は水素を燃料にした燃料電池のしくみです。

+極は炭素に銀や銅をふくませたもの-極は炭素に白金やバラジウムをふくませたものです。

これを、40~50%の水酸化カリウムの水溶液にひたし両側から、一気圧くらいの水素と酸素を吹き付けると約1.1ボルトの電気が起こります。




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