送電線のしくみとは?変電所とは? わかりやすく解説!

送電線

電気は、発電所から私たちの住むところまで高い鉄塔にかけられた太い送電線を伝わって送られてきます。

送電線には、鉄塔にかけられたものだけでなく地下に埋められたケーブルもあります。

送電線にも、電気抵抗があります。
そのため、電気の一部が途中で熱にかわって、無駄になってしまいます。

この無駄をできるだけ少なくするためにできるだけ送電線の抵抗を小さくすることが必要です。

送電線の抵抗を小さくするには電気抵抗の小さい銅・アルミニウム(銀はいちばん抵抗が小さいが、値段が高すぎる)を使います。

また、同じ金属でも、太さが太いほど電気抵抗に小さくなりますから、送電線には、太い線を使います。

しかし、あまり太くすると、送電線の値段が高くなるばかりでなく重くなるので、がいしや鉄塔を丈夫にするためにも費用が余計にかかります。

がいし 鉄塔と電線をつないでいる陶器でできたものをがいし(碍子)と言います。
がいしは、絶縁するために使います。

ふつうの家庭で使われているがいしは、小さなものですが高圧線のがいしは、人よりも大きなものがあり絶縁がよく、丈夫なものが使われています。


電圧と送電線

電気の無駄を少なくするのに、電圧を高くする方法があります。

いま、同じ電力を送るときを考えてみましょう。
電力に、電圧と電流の積ですから、電圧が大きければ電流は小さくてよいことになります。

電流が小さければ電気抵抗のために無駄になる電気も少なくてすみます。
ですから、送電線に使う電圧は、だんだん高くなっています。

我が国での最高電圧は27万5000ボルトですが50万ボルトの送電線を建設中です。

このように、送電線の電圧はだんだん高くなっていきますが、そうかと言って、かぎりなく高くするわけにはいきません。

高圧線が、暗い夜に光ったり、雨降りの日にシージーなっていることがあります。

送電線が光るのは、コロナ放電といって電気が空気中に逃げていっているからです。

また音がするのは、がいしの表面を伝わって逃げる電気が小さな火花を出す音です。

電圧をあまり高くすると、コロナ放電などで失われる電気が増えます。
また、鉄塔を高くしたり、がいしも高い電圧に耐えるものにするなど費用がやはり高くなります。

コロナ放電をふせぐ方法として、1本の電線のかわりに2~4本の電線を20センチほど離して使うが方法があります。

25万ボルト以上の送電線では、この方法がよく使われ多導体方式、あるいは群導体方式と言われています。

送電線の鉄塔には、ふつう6本の電線がつられています。
これは、3本ずつ2組みになって、三相交流の電気を送っているからです。

2組みの電線が1つの鉄塔にかけられているわけは1組みの送電線が雷などで故障しても、もう1組みの送電線を使い停電をなるべく少なくするためです。

直流送電

電気が家庭の電灯だけに使われていたころは電気を送るには直流送電が使われていました。

しかし、電気を送る量が増えて、送る距離が遠くなると高い電圧が必要になり、電圧を上げたり下げたりする変圧器という便利な装置が使える、交流送電に切りかえられました。

しかしまた、送電に必要な電線の数が増えるにつれて1組み2本ですむ直流送電のほうがよいのではないかという考え方が出てきました。

直流送電にすると、コロナ放電も交流より少なくてすみます。

このように、直流送電が考えられはじめたのは交流から直流へまた、直流から交流へかえる水銀整流器や半導体整流器が発達してきたためです。

直流送電は、ケーブル送電線を使うとき、とくに有利です。

そのためイギリスとフランスをむすぶ海底ケーブルには10万ボルトの直流送電がおこなわれています。

変電所

発電機で起こす電気の電圧はふつう交流1万ボルトくらいです。

発電所には電圧を上げるための変圧器がふって高い電圧にかえて送り出します。

この高い電圧の電気を、安全で使いやすい電圧の電気にかえるところが、変電所です。

変電所には一次・二次・配電用と、いくつかの変電所があってしだいに電圧を下げるようになっています。



変圧器

変圧器(トランス)は電圧をかえる器械で、鉄の輪(鉄心)のまわりに2組みのコイルがまかれていて電磁誘導の法則を利用したもので1万のコイルから他のコイルに電流を誘導します。

1組みのコイル(1次コイル)に、交流の電圧を加えて電流を流すと鉄心の中には、磁界ができ、これが交流電流の規則正しい変化につれて、同じように規則正しい変化をします。

つまり、交流の磁界ができることになります。

この磁界は、もう1組のコイル(二次コイル)の中も通っていますから交流の電圧が二次コイルにできます。

そして、一次コイルに加えた電圧と、二次コイルにできる電圧の比は一次コイルと二次コイルのまき数の比に等しくなります。

一次コイルの電流をI、電圧をE、まき数をnとし二次コイルの電流を、I’電圧をE’、まき数をがn’とするとnI=n’I’、nE’=n’E の関係があります。

変圧器では、一次コイルと1次コイルのまき数をかえて二次コイルからいろいろな電圧を、自由に取り出すことができます。
送電線に交流が使われるのは、こういう便利な変圧器があるからです。

変圧器の一次コイルに直流を流しても二次コイルには電圧はできませんが、このわけは、電磁誘導の法則を考えてみればすぐわかります。

二次コイルの電圧は、磁界の変化で起こるわけですが一次コイルに直流電流を流しただけでは磁界も一定となり変化しないからです。

柱上変圧器

家庭にいちばん近いところにある変圧器は柱上変圧器といって、電柱の上に取り付けられているものです。

柱上変圧器の一次コイルは、ふつう6600ボル卜の配電線につながれ二次コイルの電圧は1000ボルトか2000ボルトです。
二次コイルからは引込線で家の中に電気がおくられています。

変圧器は、長いあいだ使っていると、かなり熱くなります。

そのために、ふつうの変圧器では鉄の管が何本もつけられた鉄の箱の中に、油づけにされています。




火力発電・原子力発電・地熱発電のしくみと特徴とは?

火力発電

日本は、むかしから水力発電の国でした。
しかし、電力の利用がさかんになるにつれて大きな水力発電所をつくる場所が、少まくなってきました。

また、日本の川に、夏と冬に水量がずっと減るので水力発電だけでは、電気が足りなくなります。
それで、電気的不足を補うために、火力発電所がつくられています。

火力発電は、蒸気タービンで、発電機をまわすのがふつうです。
燃料には、重泊・原油や石炭が使われています。

水力発電所は、たいてい山奥につくられていますが、火力発電所は石炭や重油を運ぶのに便利なように、海岸地方につくられています。

日本の工業地帯は、海岸ぞいに発達しているので電気をおくるのにたいへん都合がよいのです。

火力発電では、燃料の熱をできるだけ無駄なく使わなければなりません。

ボイラやタービンもだんだん改良されて、小さな火力発電所でもたくさんの電気を起こすことができるようになりました。

また、なるべく大きな発電機を使うほうが1キロワットあたりの費用が少なくてすむのでいまでは60万キロワットという大きな火力発電所ができています。

最近では、蒸気タービンのかわりにガスタービンを使う発電機もつくられています。

ガスタービンは、蒸気タービンより設備費が小さくてすみますが能率が低いので電気が足りなくなる夕方などだけに運転されています。


原子力発電

原子力発電は、原子の力を利用する、新しい発電方法です。

原子力発電は、ウランの原子が分裂したときに出す大きな熱を使って蒸気をつくり、あとは火力発電と同じように蒸気タービンで発電機をまわします。

ウランは自然の状態でも分裂を起こしますが1か所に集めると、分裂がさかんになる性質があります。
原子爆弾は、その特殊な例で、大爆発を起こすのです。

発電にウランを利用するには、いちどに爆発しないようしかもさかんに分裂を起こして熱を出すようにします。

その調節ができるようにしたのが、原子炉です。

原子炉は、ウランの燃料棒、熱を外にだす冷却系、核分裂をお越しやすくする減速材などを組みあわせてつくります。

燃料には、天然のウランか使うものや濃縮したウランを使うものなどがあります。

冷却方式には、ガス冷却方式・高圧水冷却方式のほか炉の中で水を沸騰させる方式などがあります。

現在では、これらの装置の改良やいろいろな組みあわせが開発されています。

ウラン235は、1キログラムが全部分裂したとすると石炭3000トンが燃えたときと同じくらいの熱量を出します。

ですから、一度原子炉をつくりさえすれば燃料を補給しないで、長い間運転ができます。
原子力発電は、これからの発電方法として、世界各国で研究されています。

世界最初の原子力発電は1951年にアメリカで出力100キロワットの発電に成功し実用的な発電は、1954年6月にソ連で出力5000キロワットの発電をはじめたのが最初です。

日本では、1963年10月に、原子力研究所の動力試験炉ではじめて2400キロワットの発電実験がおこなわれました。

そして、1965年には、茨城県東海村に建段された東海発電所で出力16万6千キロワッ卜の発電がはじめられました。

原子力発電は、原子炉からでる放射線による被害をなくすことが必要ですし燃料のウランが高くつくという欠点がありました。

しかし現在では、技術の進歩によって火力発電にちかい費用で電力がえられるようになっています。

地熱発電

地熱発電は、地下にたまった水蒸気や熱水を取り出しこれによって蒸気タービンをまわして発電する方法です。

地熱発電の方法には、地下から取り出した水蒸気で直接にタービンをまわす直接式、水蒸気の中の不純物を取り除くために、熱交換器を使って別の水蒸気を発生させてタービンをまわす間接式水蒸気をふくんだ熱水から蒸気を取り出してタービンをまわす熱水分離式などがあります。

イタリアやニュージーランドでは、早くから実用化されています。
日本では、岩手県にある松川地熱発電所(出力2万キロワット)大分県の大岳発電所(出力1万1000キロワット)があります。




水力発電のしくみと種類と方法とは? わかりやすく解説!

発電所

電気をつくりだすためには、発電機をまわす力が必要です。
発電機をどのような動力でまわすかによって水力発電・火力発電・原子力発電などいろいろな方法があります。

日本では、1952年ごろまでは、水力発電による発電量が火力発電による発電量より多く水主火従(水力発電による電気をおもに使い、火力発電は補助的に使うこと)の時代でした。

その後、効率のよい火力発電所がつぎつぎと建設され火力発電による発電量のほうがはるかに多くなり火主水従の時代になっています。

それから、発電の近代化を目指し、原子力発電所が各地で建設され日本でも、1973年には、およそ240万キロワッ卜の発電ができるようになる予定です。


水力発電

水力発電では、水車の回転で、発電機をまわします。
水車をまわすには、水の流れが必要です。

しかし、ふつうの川の流では、雨がふればたくさん流れ晴天が続くと水が減ってしまうので、電気を起こすにはいろいろと不便です。

それに、日本の川では、ふつう水の多い年と少ない年とでは水の量が3倍以上も違います。

そこで、たくさんの水があるところたとえば、大きな湖などから流れ出る川などを利用します。
そして、湖の出口に水門をつけ、水の量を調節しています。

ダム式発電所

湖がないところではダムをつくり、川をせき止めて、人工の湖をつくります。

ダムをできるだけ高くしてダムの下につくった発砲所に水圧鉄管を通して水を落とし発電するしくみになっています。

これがダム式発電所です。

ダムの高さが高いほど、たくさんの電気を起こすことができます。
また、大きな川をせきとめるには、横にも広くつくらなければなりません。

ですから、水力発電では、まずダムをつくることが大きなしごとになります。

ダムは、発電に利用するだけでなく川の流れを調節することができるので川下の水害や干害をふせぐのにも、役に立ちます。



水路式発電所

大きなダムをつくるかわりに本流とは別に流れのゆるやかな人工の川(水路)をつくってそれに導いた水を利用して発電する発電所を、水路式発電所と言います。

これは、流れのゆるやかな水路と流れの急な本流との高さの差を利用したものです。

高さの差が大きくなったところで鉄管で水を一気に落として、その力で発電機をまわすのです。

ダム水路式発電所

ダム式発電所と水路式発電所の両方の長所を備えた発電所がダム水路式発電所です。

この発電所は、ダムでせき止めた水を下流まで水路で導き高さの差を大きくしています。
黒部川第四発電所は、ダム水路暴発電所です。

揚水式発電所

ダム式発電所で、発電機を電動機として使い水車をポンプとして使えば、電気を起こすかわりに水をダムにためることができます。

このようにつくられた発電所を揚水式発電所と言います。

夜の余った電気を使って水をため、昼の必要なときに発電します。

落差

落差というのは、ダムの上と下の水面の高さの違いです。
発電所で起こる電力は、この落差と水量をかけあわせた数に比例します。

ですから、流れが急で水の少ない川の発電所と流れはゆるやかだが水の多い川とでは同じくらいの応力を出させることになります。

落差の大小により、発電機に使われる水車が違います。

落差の大きいところではペルトン水車、小さいところではフランシス水車やカプラン水車が使われています。

日本は山国なので、落差の大きい発電所はたくさんありますが水の量が少ないのがふつうです。

もしも、海の干満の差を利用した発電所ができれば落差は小さいけれど、水量が非常に多い発電所ができるはずです。

このような発電を潮力発電と言い、フランスにつくられています。




直流と交流とは?マイクロホンとは? わかりやすく解説!

直流と交流

電気には、直流と交流があります。

私たちが家庭や工場で使っている電気のほとんどは交流です。
それから、懐中電灯などに使う乾電池から流れでる電流は直流です。


直流

電池には+と-の極があり、電流は+から-の極にむかって流れます。

このように、電流の流れる方向がかわらないものを直流といいDCの記号であらわします。

電気分解やめっきをするときには、交流ではできません。
そのため、交流を直流にしてから使います。

また、電動機を非常に速く回転させたり回転速度を自由に調節することは、交流では難しいのです。

そのため、電車や電気機関車では交流を直流に直し直流電動機をまわして走ります。

交流

交流発電機のところで説明したように、界磁が回転すると電機子コイルには、方向が規則正しく変化する電流が流れます。

このような電流を、交流と言い、ACの記号であらわします。
交流の波の形を、交流波形と言います。

そして、この波形の山から山、または谷から谷までを一周波と言い1秒間の周波の数を周波数と言います。

そして、W波数はヘルツであらわします。

日本では、50ヘルツの交流れを使っているところと60ヘルツの交流を使っているところがあります。

コイルと交流

コイルに電流を流すとコイルには磁界ができます。
しかし、コイルに直流を流したときと、交流を流したときとでは交流を流したときのほうが電流が流れにくくなります。

これは、コイルに交流を流したときにはコイルが自己誘導という現象を起こしたからです。

コイルに交流を流すと、電流の向きと大きさが絶えず変化するのでコイルの中の磁界の強さが、電流の変化につれてかわります。

ところで、磁界が変化すると電磁誘導によって磁界の変化をさまたげるような向きに電流が流れます。

このように、コイルを流れる電流の変化によって起こる電磁誘導を自己誘導と言います。

そのため、コイルに交流を流すとコイルの自己誘導によって常に電流が変化するのがさまたげられ交流はコイルを流れにくくなりコイルは交流に対して抵抗としてはたらきます。



マイクロホン

マイクロホンは、音波を振動板に受けて、それを電流にかえるしくみです。

電磁誘導を利用したマイクロホンにはダイナミックマイクロホン(可動コイルマイクロホン)やリボンマイクロホン(ベロシティーマイクロホン)などがあります。

ダイナミックマイクロホン

ダイナミックマイクロホンのしくみは、磁石のN極とS極のあいだにコイルがまいてありこのコイルは、振動板の振動につれて動くようになっています。

音波によって振動板が振動すると振動板といっしょにコイルが振動するのでコイルには、磁石の磁界によって電流が生じます。

そのため、音波の振動にしたがった電流をえることができます。

リボンマイクロホン

リボンマイクロホンのしくみはアルミニウムなどのうすい金属のリボンが磁石のN極とS極のあいだにつるしてあります。

音波によってリボンが振動すると音波の変化にしたがった誘導電流がリボンに流れるようになっています。

ダイナミヅクマイクロホンもリボンマイクロホンも非常に感度がよくさかんに使われています。

とくにリボンマイクロホンは横からくる音にはあまり感じない性質があるので、対談の放送のときなどによく使われます。




原子磁石とは?直接発電とは? わかりやすく解説!

原子磁石

電子の運動

鉄が磁化することを、分子磁石という小さな磁石を考えて説明しましたが学問が進んで物質をつくっている原子の構造がはっきりしてくると原子1つ1つが小さな磁石になりうると考えられるようになりました。

原子は、中心に+の電気をもった原子核がありそのまわりを-の電気をもった電子がまわっています。

この電子の動きが、電気の流れ(電流)をつくりだすわけです。
しかし、原子が磁石になるのは、もう1つの原因があるのです。
それは、電子が自分で「こま」のようにまわっているためなのです。

この電子が原子孩のまわりをまわる運動を太陽のまわりをまわる地球の公転にあたるとすれば電子の「こま」のような迎動は、地球の自転にあたるわけです。

電子が自転すると、電子のもっている電気もまわることになります。

この場合も電流が流れる場合と同じように磁界をつくります。
そのため原子は磁石になります。
これを原子磁石と言います。

このように、金属が磁石になるのは電子の公転によるよりも、おもに自転によっているというわけです。


金属の結晶と磁石

ところで原子が磁石になるならば鉄が磁石になって、銅が磁石にならないのはなぜでしょう。

鉄・銅・銀などの金属は常温では結晶といって規則正しく原子がくっつきあってならんでいます。

ところが、この規則正しいならび方が問題なのです。

鉄の中の電子は自転の向きが、みんなそろっていますが銅の場合は、隣りどうしの原子で電子の自転の向きが反対のときに結晶ができるのです。

それで、銅の原子磁石は、隣りどうしで、互いに打消しあって全体としては磁石の性質が出てこないというわけです。

鉄の電子の自転の向きがそろっているならふつうの鉄は、なぜ磁石になっていないのでしょう。

金属の結晶は、ごく小さく、だいたい0.01ミリぐらいのものでこれを磁区と言います。
金属は、この磁区がたくさん集まってできているわけです。

以前、分子磁石について述べましたがこの磁区が分子磁石をさしていると考えればよいわけです。

分子磁石によって、磁石の説明をしたのはドイツのウェーバーという人ですが分子磁石にあたる磁区が確認されるようになって分子磁石の説が非常にすぐれた考えであったことがわかってきたのです。



直接発電

近頃、小型の通信機や人工衛星の電源としてかんたんで小型な発電機が必要になってきました。

そこで今までに考えられてきた方法を大きくわけると①熱エネルギーの利用、②光エネルギーの利用、③化学エネルギーの利用の3つになります。

MHD発電

ふつう、熱エネルギーで発電するには石炭・重油などを燃料にしていますが、能率があまりよくないのでそれにかわるものとして、MHD発電が研究されています。

MHD発電は2000℃以上に熱して電気を通すようにした気体を高速度で磁界の間に流すとファラデーの法則により図①のように電気を直接に取り出すことができます。

太陽電池

光エネルギーから、直接電気をおこす太陽電池は人工衛星の電源や無人灯台・無人無線中継所などの電源として利用されています。

太陽電池は、シリコンという物質にひ素をまぜてつくった結晶を輪切りにして、うすい板(基板)をつくりこの板の表面にほう素を染みこませてうすい膜をつくったものです(図②)。

太陽の光があたると、うすいまくが+極、基板が-極になって電気が起こります。

1つあたり、0.5ボルトの電気が起こります。

燃料電池

化学エネルギーを直接電気にするものに、燃料電池があります。
燃料電池にもいろいろなものが考えられていて図③は水素を燃料にした燃料電池のしくみです。

+極は炭素に銀や銅をふくませたもの-極は炭素に白金やバラジウムをふくませたものです。

これを、40~50%の水酸化カリウムの水溶液にひたし両側から、一気圧くらいの水素と酸素を吹き付けると約1.1ボルトの電気が起こります。




交流電動機・誘導電動機・同期電動機とは? わかりやすく解説!

交流電動機

交流電動機のおもな種類には回転磁界と、うず電流を使った誘導電動機と、回転磁界と電磁石の吸引力を使った同期があります。


誘導電動機

回転磁界の中に銅板をおけば、うず電流ができて電流と磁界との間に力がはたらくことは、まえに述べました。

もし、このとき銅板を回転しやすくしておけば銅板は回転する磁界にしたがって、ぐるぐるまわるでしょう。

これを応用したものが、誘導電動機(インダクションモーター)です。
回転磁界の中の銅板のかわりに、銅線でハツカネズミがぐるぐるまわす、かごのようなものをつくっておいてみても同じです。

かごはぐるぐるまわります。

かごの横棒には磁界の変化によってうず電流が流れ、それによってかごが回転するのです。

かごの回転がだんだん速くなり回転磁界の速さと同じになると、かごは磁界の変化を感じなくなります。
磁界の変化がなければ、うず電流は流れなくなり、回転力はなくなります。

しかし、かごの回転が遅くなってくると磁界の変化を感じることになり、また回転力が出てきます。

このようにして誘導電動機は回転磁界の速さより少し遅い速さでまわります。

回転磁界のまわる速さは交流電流の周波数(1秒間に電流の方向がかわる回数)と三相交流を流すコイルの数で決まります。

たとえば、まえの回転磁界の図からわかるように磁極をつくるコイルが3つあるときには、1ヘルツで1回転します。

このようなかご型誘導電動機は起動回転力(まわりはじめの回転力)は弱いのですがほかの電動機のように整流子などの火花のでる部分がなく鉱山などで使っても爆発の危険がありません。

また、構造がかんたんで壊れにくく家庭(冷蔵庫・井戸・扇風機など)や工場や農業用などの電動機のうちでは、もっとも広く使われています。



同期電動機

シンクロナスモーターとも言い、誘導電動機とは違って回転磁界の速さとまったく同じ速さで回転します。

磁界の中に互いに反対の磁極が向きあうように磁石をおいて外側の界磁のほうを回転させれば、NとSの吸引力によって中の磁石も回転します。

これが同期電動機の原理です。

磁針を使えば、この実験がかんたんにできます。
磁針に対して棒磁石の異なった極を近づけ棒磁石をうまくまわしてやると磁針がこれにつれてぐるぐるまわります。

まえの説明で、外側の磁石のかわりに回転磁界を使い内側に電磁石をおけばよいわけです。

回転磁界とまったく同じ速さでまわるので同期電動機は、電源の周波数が一定であれば回転数はいつも一定になるので、紡績機械や空気圧縮機・電気時計などに使われます。

同期電動機は、構造は交流発電機と同じで発電機として使っていたものを電動機として使うこともできます。




交流発電機・直流発電機とは?三相交流とは?

発電機

電磁誘導を応用して、機械エネルギーを電気エネルギーにかえるものを発電機と言います。
工場や家庭で使われる電気の大部分は、この発電機で起こされます。

発電機には、発電する電気の種類から交流発電機と直流発電機にわけられます。


交流発電機

発電機は、磁界をつくるための界磁(磁界をつくる部分)とコイルにあたる電機子からできています。

いま、A図の位置に磁石があるとき電機子コイル内に磁力線が4本できたとします。

磁石を回転させると、B図の位置では磁力線が2本になりさらに、C図の位置では磁力線はなくなります。

続いてD図の位置まで磁石を回転させると、磁力線の数はふたたび4本になりますが、A図とは磁力線の方向が反対になります。

このように磁石の位置で電機子コイル内の磁力線の数がかわります。
これをグラフにあらわしたのがグラフAです。

交流発電機では、界磁を一定の速度でぐるぐるまわすしくみになっていますから電機子内の磁力線の数は、時間とともにグラフBのようにかわります。

いっぽう、電磁誘導の原理から、コイルにできる電圧はコイル内の磁力線の変化が大きいほど大きくなるので電圧の変化は、グラフCのようになります。

グラフCでは、電圧の大きさがある方向(ここでは+の方向)の大きな値から、時間とともに0になり、つぎに-の方向の値となりふたたび0になって、これを繰り返すことをしめしています。

このように、電圧の向きが時間とともに規則正しくかわる電気を、交流電気と言います。
そして、交流電気をつくる発電機を、交流発電機と言います。

実際に使われている大きな発電機では界磁には電磁石を使っていますが、これは永久磁石ではだんだん力が弱くなりますしまた、界磁の強さをかえて電圧を変化させたいときがあるからです。

直流発電機

交流発電機によってつくられた電圧の変化はグラフDのように直すことができます。

つまり、一方向の電圧を、+の方向にかえたわけです。

こうすれば、でこぼこはありますが、電圧の方向はいつも+です。
このでこぼこを小さくすれば、直流の電気がえられます。

直流発電機のしくみは、交流発電機と反対に界磁が止まっていて、その中を電機子が回転するようになっています。

そして、電機子コイルは、半円周の金属板につながり止まっているブラシが、これをこするようになっています。

いま、A図では、金属板aにはブラシbが金属板a’にはブラシB’がつながっています。

電機子が回転して、B図のようになると金属板a’にはブラシbが、金属板aにはブラシb’がつながります。

つまり、金属板aとa’の間には電機子コイルと同じ交流の電圧があらわれますがブラシbとb’の間には、Dのような直流電圧(脈流)があらわれます。

実際の自流発電機では、数百個も金属板を使って電機子コイルとたくみにつなぎ、電圧のでこぼこを少なくしてなめらかな直流がえられるように、工夫しています。

模型用の電動機は、直流発電機としくみが似ていて直流発電機の図と同じようなしくみのものもあるし金属板が3個のものもあります。

この金属板は、交流を直流に直すはたらきをするので整流子と言います。



三相交流

私たちの家庭に送られてくる電気の電線はみな2本ですが工場に送られてくる高圧線の送電線はみな3本で1組みになっています。

これは三相交流と言って、下の図のようなしくみの発電機から取り出した電気を、送っているからです。

三相交流では、3本の電線に流れる電流の変化が図のA・B・Cのように、時間とともに規則正しくずれています。

3本の電線の電流は、どの時間をとっても+のものがあれば必ず-のものがあり、その合計はいつも0になります。

つまり、三相交流では、3本の電線で3種類の交流電気を送り帰り道を共通にすれば、帰り道には電線がいらないことになります。

ふつうの交流電気を3種類送るのに必要な6本の伝染にくらべて半分の3本ですむわけです。

さて、三相交流を使うと交流電動機などに使われている回転磁界をつくることができます。

三相交流電流IA・IB・ICを、コイルA・B・Cに流すとします。
すると、Aコイルの電流IAは、図のt1という時間に正の最大値となりAの位置にN極を生じます。

時間がt2になると、こんどはIBが正の最大値となりますからBコイルの位置にN極ができます。

つぎに時間t3になると、Cの位置にN極ができます。
時間t4では、IAがふたたび正の最大値となってAの位置にN極がもどってきます。

このように三相交流を使えば実際に磁石を動かさなくてもちょうど磁石を回転させたときと同じような磁界をつくることができます。

これを、回転磁界と言います。




電磁誘導とは?レンツの法則・フレミングの右手の法則とは?

磁石でつくられる電流

釘のような軟鉄の棒に、エナメル線をまいて電流れを流すと軟鉄の棒が磁石になります。

それで、この反対に磁石で電気を起こすことができないだろうかと考えたのが、イギリスのファラデーでした。

ファラデーは、つぎのような実験をして発電機の原理である電磁誘導を、1831年に発見しました。


ファラデーの実験

ファラデーのはじめの実験は、つぎのようなものでした。
下の図のように、鉄の輪のまわりに、A・B二組みのコイル(導線を螺旋状にまいた物)をつくりました。

Aのコイルは、スイッチを通して電池にBのコイルは検流計(わずかな電流でも感じるようにした感度のよい電流計)につなぎます。

① スイッチを入れたり、切ったりするとそのたびにコイルに電流が流れて、検流計の針が動く。

② スイッチを入れたときと、切ったときとではコイルBをながれる電流の向きが、反対になる。

このことは、検流計の針の動き方でわかる。

しかし、スイッチを入れたままでは、コイルBには電流が流れない。
この実験の結果を、ファラデーは、つぎのように考えました。

「スイッチを入れるとコイルAに電流が流れ、鉄の輪の中に磁界ができる。
スイッチを切ると、磁界はなくなる。

この磁界は、コイルBの中も通っているのでスイッチを入れたり、切ったりすることによってコイルBの中の磁界もできたりなくなったりする。

しかし、コイルBに電流が流れるのは、コイルの中に磁界があるかないかによるのではなくこの磁界が変化したかしないかによる。

そして、磁界が増えたときと、減ったときとでは反対の向きの電流が流れる」

このファラデーの考え方は、まえの実験の結果を、うまく説明しています。

電磁誘導

ファラデーの実験では、コイルに電流を流して、磁界をつくりました。
しかし、電磁誘導を起こすには磁界を変化させてやればよいのですから、もっとかんたんな磁界をつくる方法に、磁石を使う方法があります。

コイルのそばに磁石をおいて、この磁石を動かしても反対に、磁石をそのままにして、コイルを動かしてもやはり同じようにコイルに電流が流れます。

また、上の図のようにしてコイルに入れる磁石の動かす速さをかえたり、コイルのまき数をかえたりしてみると、コイルに流れる電流がかわり検流計の針の動き方がかわります。

磁石を動かす速さが速いほど、またコイルのまき数が多いほどコイルに大きな電圧が起こり、多くの電流が流れます。

このように、磁界の変化でコイルに電圧ができ電流が流れることを電磁誘導と言い電磁誘導でできた電流を誘導電流と言います。

発電機は、この電磁誘導の原理を利用して電気を起こしています。

いままでの説明から、電磁誘導を起こすための磁界の変化には2つの方法があります。

その1つは、2つのコイルを用いて、1つのコイルの電流を変化させてもう1つのコイルに交わる磁界を変化させる方法でありもう1つは一定の磁界(つくり方は、永久磁石でも電磁石でもよい)のもとでコイルの位置を変化させ、コイルと交わる磁界を変化させる方法です。

電磁誘導でコイルにあらわれる電圧は、磁界の変化に比例します。

このときに流れる電流は誘導電圧に比例し誘導電流が流れる回路の抵抗に反比例します。

レンツの法則

誘導電流の流れる方向は
コイルの中の磁界の変化をさまたげるような方向になります。
これはドイツの物理学者レンツが発見したので、レンツの法則と言います。



フレミングの右手の法則

右手の人さし指・親指・中指がそれぞれ直角になるようにして人さし指が磁界の向き、親指が導線の運動の向きとすれば導線の中には、中指のさす向きに電流が流れます。

このような法則を、フレミングの右手の法則と言います。

いままでは、電磁誘導を受けるものがコイルでしたがこれが1本の導線である場合にはフレミングの右手の法則にしたがった現象が起きます。

この場合、導線に生じた電流と磁界の間には力がはたらきます。
その力は、フレミングの左手の法則によるわけで導線の動く向きと反対向きにはたらきます。

言いかえると、導線の中を流れる電流は運動をさまたげる向きに流れるということができます。

ファラデーの実験では、1つのコイルの電流を変化させるともう1つのコイルには交わっている磁界の変化をさまたげるような向きに電流が流れます。

うず電流

電磁誘導を受けるものがコイルでも導線でもなく銅板であったら、うず電流という現象が起きます。

そこで、銅板のまえで磁石を動かす場合を考えてみましょう。
図のように、S極を左へ動かすとS極がまえのほうにフレミングの右手の法則により、回転するように流れるうず電流が生じます。

このうず電流は磁石の運動方向に対してまえのほうにS極がまた、うしろのほうにN極ができるような流れ方をします。

銅版を動けるようにしておけば、磁石のS極と銅板にできる極とが反発・吸引して銅板は左に動きます。

つまり、銅板が磁石に引かれる力となるわけでこれが誘導電動機の原理です。

実験

電気の実験で、電圧があるかどうかを調べるのに便利な器械に、テスターという検流計があります。

このテスターと模型用の電動機2個を使って、発電機の実験をしてみましょう。

左の図のように電動機2個の回転軸をつないでいっしょに回転するようにします。

まず、電動機に電池をつなぎ、それぞれまわることを確かめておきます。

図のように、1つの電動機の電機子は別に電池につなぎブラシの間にテスターをつなぎます。
テスターのつまみを直流電圧の1ボルトくらいの位置におきます。

別の電動機を電池につないで回転させるとテスターの針が、わずかですが動きます。
もし、反対方向に針が動くときには、テスターのつなぎ方を反対にします。

この実験から、電動機の界磁に電流を流しておき電機子を外からの力でまわすと電圧が起きることがわかります。

発電機のしくみは、このことを応用したものです。




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