排出器のしくみ
養分が酸素といっしょになって体の中で使われると体の中には、いらなくなったものができてくるので、これを取り除く必要があります。
体の中でいらなくなったものを体の外に運びだすことを排出作用と言い、そのために必要な器官を排出器と言います。
消化器が動物によっていろいろ違ったように排出器もまた、さまざまです。
汗腺
汗腺は、皮膚の中にある細い管からできていて出口は皮膚の表面に開いています。
そして、汗腺のいちばん奥は、うねって糸まりのような小さい球になっています。
この球を、細いが血管(毛細血管)が取り囲んでいます。
この汗腺によって、血液中のいらなくなったものの一部は水分といっしょに、汗となって皮膚の表面に出るのです。
汗腺から水蒸気としてでる水分は体温を調節するための、大切なはたらきをしています。
カエルや魚をはじめ、下等な動物たちには、ふつう汗腺がなく、皮膚からいろいろなものを出しています。
これは、皮膚を潤したりする役目を持っていますが、その中には、体の中でいらなくなったものも、ふくまれています。
糞(大便)の排出
胃や腸の中で消化液のはたらきによって消化された食物は腸を通るあいだに、養分だけが、壁から吸いとられます。
こなれなかったものや、吸収されなかった残りかすは、大腸へ送られ、ここで、その中の水分が吸いとられ、だんだん硬くなります。
そして、糞(大便)として外に出されます。
鳥たちは、太くて短い大腸をもっており、糞は大腸の中に長くとどまらないで、外に出されます。
空を飛ぶのに、たいへん都合がよいわけです。
二酸化炭素の排出
養分が体の中で使われると、二酸化炭素ができます。
この二酸化炭素は、血液に溶けこんで肺に運ばれ呼吸作用で外へ排出されます。
尿(小便)の排出
体の中でいらなくなったものの大部分は血液により、腎臓に運ばれます。
腎臓はの中からいらなくなったものや多すぎるものを尿(小便)としてこしとるところです。
こしとられたものは、腎臓から出ている管を通って膀胱に入ります。
そして、そこにたまった尿は、膀胱のまわりにある筋肉を緩めると外に出るようになっています。
獣たちには、ふつう、膀胱がありますが、鳥には膀胱がなく腎臓から出ている管を通ると、総排出室というところから糞といっしょに排出されます。
は虫類では、トカゲとカメにだけ膀胱があります。
無脊椎動物の排出器
無脊椎動物も、高等な動物と同じように食物のうち消化・吸収されなかった残りかすは肛門を通じて体外に出しますしまた、からだの中で養分が使われたためにできた二酸化炭素はえらや気管などの呼吸器を通じて、体外に出します。
しかし、無脊椎動物は、ふつう、腎臓のような尿をこしとるための高等な排出器はもっておりません。
それでも、無脊椎動物の多くは、腎臓にかわる特殊な排出作用を営む特別な器官をもっています。
無脊椎動物の排出器のおもなものは、つぎの通りです。
マルピーギ管
こん虫類や、クモ類・多足類などの節足動物に見られる排出器です。
ふつう小腸の前方に細長い管のようなものが数本から数十本広がっていて、それを通じて体の細胞から体内のいらなくなったものをこしとり腸を通して肛門から体外に出します。
じん管
ミミズなどの環形動物がもっている排出器です。
これは、各体節にある曲がった管で体節器官とも言います。
じん管の入り口はじん口と言い、体節内に開いていて、そこから体内のいらないものを吸いとって体外に出します。
原じん管
環形動物よりもっと下等な動物に見られる排出器で1個または数個の細胞からできています。
細長い管の先が糸のようにわかれ、管の中には、いらないものを吐き出すためのせん毛の束があります。
このせん毛の束が、ろうそくの炎に似ているので、この細胞を炎細胞と言います。
収縮胞
アメーバやゾウリムシなどの原生動物がもっている特別な排出器(細胞器官の1つ)で伸びたり縮んだりすることによって体内(細胞内)のいらないものを外に出します。