地球の内部は、目で見ることも、人がいって調べることもできません。
人が実際に調べることができるのは、科学の進歩した現在でも、せいぜい地下5キ口ぐらいまでです。
それより下は、ほかの方法で間接的に調べるほかないのです。
そのため、むかしは地上のありさまから内部を想像するだけでしたが、近代になって、地球物理学という学問が進歩し、地球内部を実験的に調べる手がかかりがいくつも考えだされるようになりました。
それらの方法のうち主なものは、地震・重力・隕石の構造・地球の自由振動・地球潮汐を調べることなどです。
このほか、アメリカでは「深海ボーリング計画」をはじめました。
これは海底に穴をあけて、地球の過去や成因を調べるものです。
地震を調べる
恐ろしい地震も、いっぽうでは、地球内部を調べる手がかりとして大きな役割りをもっています。
池の中に石を投げると、石が落ちたところを中心にして波がまわりに伝わるのが見られます。
地震の場合もこれと同じで、地震の起こった震源を中心にして地震波が地球のあちこちに伝わっていきます。
地震波には、縦波と横波があります。
これらの波が、物質を伝わっていく速さはその物質の硬さと密度によって決まります。
ふつう硬い物質・密度の小さい物質ほど速くなります。
同じ物質では、縦波のほうが横波よりも速く伝わります。
また、縦波はどんな物質でも伝わりますが横波は液体の中を伝わらない性質を持っています。
実際に地震が起こった場合、震源からでた地震波は同じ物質を伝わっていくと、遠いところよりも近いところに速く達します。
しかし、物質によって地震波の伝わる速さがかわりますから近いところよりも遠いところに速く伝わることもあります。
たとえば砂や土など、伝える速度の遅いものを通って近くにいく場合よりも固い岩石のような伝える速度の速いものを通って遠くへ行くほうが速いこともあるのです。
このように、地震波が各地に届く時間は、距離だけでなく通る道筋によっても違ってきます。
この違いをくわしく調べると、地球内部のつくりがわかるわけです。
重力を調べる
地球上の物質に、すべて地球の引力で下にひかれています。この力を重力といいます。
地球上の・各地で、この軍力をはかってみると、場所によって少し違っています。
この原因の一部は地球の形や運動によるものなので地球内部のつくりには関係しません。
しかし、地表に近いところに重い物質があるなど地表のつくりに関係しているものもあります。
隕石を調べる
夜、大空に見られる流れ星は、地球の外から飛びこんでくる小さな星のかけらです。
その大部分は、地球をとりまいている空気との摩擦で燃えきってしまいますが
なかには、燃え残ったものが地上に落ちてくることがあります。
これが隕石です。
星は、地球と同じような天体と考えられますからその一部の隕石の成分やその割合を調べると地球内部の手がかりが得られわけです。
地球の自由振動
地球は固い球ですが、実際には伸びたり縮んだりして振動することがわかっています。
しかしどのくらいの時間で振動をくりかえすか、その周期を測ることは最近までできませんでした。
その後、非常に長い周期の振動を測れる地震計がつくられて地球の自由振動の周期も測られました。
それによると地球は54分ぐらいで、伸び縮み振動をおこなうことがわかりました。
いっぽう、現在考えられている地球と同じような、密度や硬さの球を考えてその自由振動の周期を計算してみると、結果が一致します。
このことは、現在考えられている地球内部のつくりが本当のものに近いことをしめす証拠になります。
地球潮汐を調べる
月や太陽の引力によって、地球上で潮の干満が起こることはよく知られています。
実際には、地球もこの引力によって多少形を加えます。
このことを地球潮汐と言います。
地球潮汐の大きさは、地球の硬さと関係があります。
それで、地球潮汐の大きさを測ると地球の硬さを調べる手がかりになります。
深海ボーリング計画
アメリカでおこなわれているこの計画はおもにマントルの熱対流を確かめることです。
熱対流が起きていれば、海底山脈中の火山からはマントル内の物質がはき出されて新しい地殻がつくられます。
そして古い地殻は対流によってはしへはしへと運ばれていきます。
したがって、海底の地殻は、海の中央よりも、はしのほうが古いはずです。
そこで海底堆積物のいちばん下を探って、熱対流を裏付けようとしています。
このほか、この計画は海流の影響による堆積物の違いや生物なども調べます。