宇宙の考え方の歴史とは?天動説と地動説の違いとは?

最後に、宇宙についての考え方が昔からどのようにかわってきたか調べてみましょう。


昔の人が考えた宇宙

遠い昔の人たちは、ほとんど例外なしに自分たちの住んでいるところが、宇宙の中心だと考えていました。

いまから4、5千年前のカルデア人は、陸地は海に囲まれ、海の外側は、壁で仕切られていると考えていました。

壁の上には、お椀を伏せたようなまる天井が置かれていてその内側に星が散りばめられているというのです。

エジプト人は、世界のまわりを、高い山がぐるりと取り囲みその真ん中の、お椀の底のようなところに自分たちが住んでいて星に天井からつるされているものと考えていました。

昔のインド人は世界は、まるい球面の一部を切り取ったようなものでこれが、幾匹かのゾウの背の上に乗っておりゾウは大きなカメの甲羅の上に立ちそのカメは、とぐろをまいた大ヘビの上に乗っていると考えていました。

そして、世界の中央には、高い山がそびえ太陽や月はその山のまわりをまわっていて太陽が山の影になったときが夜だというのです。

天動説

ギリシア時代になると、交通の発達によって世界はもっと広いものだということがわかりやがて、地球はまるくて太陽や月と同じような天体の1つであることもわかるようになりました。

紀元前2、3百年ごろ、ギリシアの学者アリスタルコスは宇宙の中心は太陽で地球やほかの惑星は太陽のまわりをまわっているのだという、すすんだ考えを唱えました。

しかし、たいていの人たちは、宇宙の中心は地球でそのまわりをほかの天体がまわっているという天動説を信じていたようです。

二世紀ごろの天文学者プトレマイオスは地球中心の説を完成し、図のような宇宙を考えています。

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この考えは、ローマ時代に受け継がれ、キリスト教にも取り入れられて、それから1000年ほどのあいだで絶対に正しいものとされていました。

このほかの自由な考えかたは禁じられ科学の進歩が、ほとんど止まってしまったのです。



地動説

一五、六世紀になると、コロンブスのアメリカ発見やマゼランの世界一周など、遠洋航海がさかんにおこなわれました。

こうして地球はまるいということが確かめられましたが陸地の見えない海の上では星の観測によって船をすすめる方角を包めなければなりません。

天文の研究がすすむにつれて天動説では説明できないことがでてきました。

いまから400年ほど前、ポーランドの学者コペルニクスは太陽が宇宙の中心にあって地球は太陽のまわりをめぐる1つの惑星にすぎないということを明らかにしました。

この地動説を押し進めようとしたガリレオは教会から、その考えを取り消すように命じられ「それでも地球はまわる」といったという話が残っています。

こうして太陽中心説の正しいことが、しだいに学者たちによって明らかにされてきましたが宇宙全体についての考えは昔にくらべて、それほどすすんでいませんでした。

今の宇宙の考えかた

20世紀になると太陽もまた、銀河系のかたすみにある1つのありふれた恒星であることがわかりました。

さらに大望遠鏡の発明によって、銀河系はたくさんの小宇宙の1つで、広い海に浮かぶ1つの島のようなものであることも知られています。

このような宇宙の考えかたの進歩は、ちょうど私たちが小さい子どものときには自分が天地のすべての中心だと思いこんでいますが、大きくなるにつれて、自分が、家族、町村、県、国、そして世界………というようにより大きな社会の中の一員だということが、わかってくるのに似ています。




宇宙の広がりとは? 宇宙の果てとは? わかりやすく解説!

大きくなる宇宙

小宇宙の運動の速度をはかってみると、ほとんどすべてのものが銀河から遠ざかるように動いていることがわかります。

しかも、その遠ざかる速度は、距離の違い小宇宙ほど大きくたとえば2倍の距離にある小宇宙は2倍の速度で遠ざかっていることが観測されています。


実験

ゴム風船をふくらませて、その上にいくつかの点をマジックでつけます。
そして風船をしだいにふくらませていくと点と点のあいだの距離は、しだいに離れていきます。

どれか1つの点をもとにして考えると、それから遠いものほど速い速度で遠ざかっていくのがわかります。

いま、この風船を大宇宙、点の1つ1つを小宇宙と考えれば銀河系から遠い小宇宙ほど、速い速度で遠ざかるのは宇宙が全体として大きくなっているからだということになりましょう。

宇宙のはじめ

宇宙がしだいに大きくなっているという考えかたを逆にすれば、はじめは宇宙が小さくかたまっていたということになります。

ゴム風船の実験のたとえでいえば、空気を抜いてしまったゴムのかたまりのようなものであったわけです。

宇宙が大きくなっていく割り合いは、わかっていますからそれから、逆算すると、宇宙が最初の一点にかたまっていたのはいまから、どのくらい前かということがわかります。

計算してみると、約百億年前ということになります。
これは宇宙がはじまってからの年齢といえましょう。

宇宙の果て

宇宙は大きくなっているといいますがそれならば、この宇宙には、いったい果てがあるのか、ないのか果てがあるとすれば、どんな形をしていてその大きさはどのくらいかという疑問がわいてきます。

この問題については、いろいろな説がでていますが残念ながらまだ、そのなかのどれが正しいかを観測で確かめるところまでいっていません。

ただ、いままでに観測されている最も遠い小宇宙の距離が約100億光年ですから少なくとも100億光年の彼方までは宇宙が広がっていることは確かです。




銀河系の外の宇宙、小宇宙とは? わかりやすく解説!

アンドロメダ小宇宙

ちょっと見ると星雲と似ていますが実はまったく正体の違う天体に、小宇宙があります。

なかでも、有名なアンドロメダ小宇宙は地球の北半球に住む私たちが肉眼で見ることのできるただ1つの小宇宙です。

つまり、銀河系と同じようにたくさんの星や星間物質のまとまりをつくっている大きな天体なのです。

ところが、アンドロメダ小宇宙は、非常に遠い距離にあるのでちょっと見ると、銀河系の中にある星雲のような感じをあたえます。

そこで、小宇宙のことを星雲とよぶ習わしが、いまでも残っていてたとえばアンドロメダ星雲という場合も少なくありません。

なお、銀河系内の星雲と区別して、銀河系星雲とよぶこともあります。


小宇宙の種類

小宇宙には、つぎのように、いろいろな形のものがあります。

渦巻き小宇宙

アンドロメダや、猟犬座の小宇宙などは、渦巻き型をしています。
銀河系も、渦巻き小宇宙の1つです。

なかには、エリダヌス座の小宇宙のように棒の両はしから、渦巻きがでている、棒渦巻き小宇宙もあります。

楕円小宇宙

カシオペア座の小宇宙や、アンドロメダ小宇宙の両わきにくっついている小宇宙などのように、全体が楕円形のものです。

不規則小宇宙

形が不規則で、南半球の空に、肉眼でも明るく見える大マゼラン雲小マゼラン雲などが知られています。

小宇宙の距離と大きさ

小宇宙の距離は、大マゼラン雲・小マゼラン雲など、近いもので約20万光年・アンドロメダ小宇宙は、約200万光年です。

遠いものでは何十億光年というのも、たくさんあります。

大きさは、約千光年から数万光年で銀河系やアンドロメダ小宇宙のように10万光年以上のものは特に大型です。



小宇宙のグループ

恒星の世界に、連星や星団などのまとまりがあるように小宇宙の世界にも、いろいろな組やグループが見られます。

アンドロメダ小宇宙は、渦巻き型のものと両わきの2つの楕円小宇宙と組になったものです。
銀河系も、近くの大マゼラン雲および小マゼラン雲とともに三重の小宇宙の組をつくっていると考えられています。

小宇宙群

数個から数十個の小宇宙がグループをつくっているのを小宇宙群といいます。

銀河系・アンドロメダ小宇宙・さんかく座小宇宙など約20個で1つの小宇宙群をつくっています。

島宇宙

小宇宙は、ちょうど広い海に浮かんでいる島のようにあちこちに散らばっています。
小宇宙のグループは群島にあたります。

そして、これらの数え切れない小宇宙を浮かべている広い海にあたるのが、大宇宙なのです。
このようなたとえから、小宇宙のことを島宇宙ということもあります。




銀河系小宇宙とは? 天の川とは? わかりやすく解説!

天の川

夏の夜の夕涼みで、だれにも馴染み深い天の川はその名の通り、夜空を流れる銀色の川のように見えます。

銀河というよび名や、七夕の物語は、中国から伝わったものです。


昔の人は、天の川を空のつぎめがほころびてそこから外の世界の光がもれてくるのだというように考えていました。

ギリシア時代に、天の川が非常にたくさんの星の集まりだと考えた学者がいましたが、後に望遠鏡でこのことをはじめて観測で確かめたのは有名なガリレオ=ガリレイです。

天の川は、夏の夜空に美しく見られるだけではありません。
その続きが秋から冬・春の空にかかりぐるっと、ひとまわりしています。

私たちのまわりの星や星間物質に、1つのまとまりをつくっているのです。

それが光の帯のように見えるのは、そのまとまりが平たい円盤のような形をしていると考えると、うまく説明できます。

この円盤の中に、いっぱい星がつまっていてその中の1つの点に太陽系があるとしましょう。

この星の世界の四方上下を見渡します。

そうすると、円盤の平たい面にそってずっと遠くまで星が広がっているのですから幅のせまい部分にたくさんの星が重なり合って、全体としてはまるくつながった光の帯に見えます。

これが天の川の正体なのです。



銀河系小宇宙

言葉をかえていうと、天の川は私たちのまわりにある星の集まりを天球に散りばめたものといえるわけです。

そこで、これらの星の集まりを天の川小宇宙あるいは銀河系小宇宙といい、ふつうは銀河系といっています。

銀河系の渦巻き

銀河系の中には、おもに、水素でできた星間物質が広がっています。

この水素ガスは、波長21センチメートルという電波を出していますが、その電波を電波望遠鏡で観測した結果それらは銀河系の円盤の面にそって平たい渦巻きの形をしていることがわかりました。

そして多くの星が、この渦巻きの方向に並んでいることも知られています。

銀河系の姿

銀河系をずっと離れたところから見たとすれば真上からは、大きな渦巻きに、真横から見れば平たい円盤の形に見えるだろうと考えられます。

その大きさは、中心のかたまりにあたる部分の直径が約1.5万光年そのまわりに広がっている平たい渦巻きの直径が、約10万光年です。

太陽系は銀河系の中心から約2.7万光年ほど離れたところにあることも、わかっています。

厚さは、太陽系の付近で約5000光年くらいです。

なお、球状星団や、星やガスの一部は銀河系の平たい円盤をまるく包むように散らばっています。
これを銀河系のハロ、またはコロナとよんでいます。

銀河系の回転

銀河系の中の星や星間物質は、それぞれものすごい速度で中心のまわりを回転しています。

中心からの距離によって回転の速度は違い太陽系付近の星で、毎秒250メートルです。

銀河系はこんな大スピード運動しているのですが中心のまわりを1回転するには、約2億年もかかります。




星団と星雲とは? 散光星雲・暗黒星雲とは? わかりやすく解説!

星団

恒星が、いくつかまとまって1つのかたまりになっているのを星団といいます。

太陽系の天体を、1つの家族のようなものだとすれば星団は町か村のようなものといえるでしょう。

星団は、つぎのような2つの種類にわけられます。


散開星団

星の集まりがまばらで、形にもまとまりがありません。
集まっている星の数は、数十から数百ぐらいです。

現在、およそ900ほど知られており、プレアデス(おうし座)や宝石箱星団・ペルセウス座の二重星団などが有名です。

球状星団

整った球のような形をしていて、数千から数十万の星がぎっしりと集まっています。現在、130個ほど知られています。

日本では、ケンタウルス座のオメガ星団・ヘラクレス座や猟犬座の球状星団などが見られます。

星間物質と星雲

星と星とのあいだは、決して、からっぽの真空ではありません。
星間物質とよばれる気体で塵の混じりあったもので、満たされています。

満たされているといっても、非常にうすくところどころに、やや、濃く固まっている部分があります。

これを星間雲といい、ほとんど水素からできています。
この星間雲のそばに、たまたま温度の高い恒星があるとその光で星間雲が輝き、星雲として観測されます。

オリオン星雲は、肉眼でも見えるので有名です。
星雲には、いろいろな形があり、つぎのようにわけられます。

散光星雲

オリオン星雲などのように、不規則な形をしている星雲です。

惑星状星雲

小さな望遠鏡で見ると、ちょうど惑星のように見える星雲で環状(指輪)星雲はドーナツ型、ふくろう星雲は楕円型をしております。

暗黒星雲

馬の頭星雲のように、明るい散光星雲の手前にある星間雲が後ろの光をさえぎって自分の形を黒く浮き上がらせている星雲です。

また、S字状星雲などは、天の川の光をさえぎって黒く見える星雲です。




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