地球の周りを空気が取り巻いているように太陽の光球の周りにも、うすいガスの層が取り巻いています。
これを太陽の大気といいます。
しかしふつうは、光球の強い光に邪魔されて、見ることができません。
そこで、太陽の天気を研究するには、光球からくる強い光を通さないで大気のかすかな光だけを拾い上げる、特別な装置を使ったり月が光球をすっかり隠す、皆既日食を利用します。
彩層
皆既日食のとき、月が光球をおおい隠した瞬間うす赤い色の光が、周りを取り巻いているのが見られます。
これは彩層とよばれ、光球より温度の高いガスでできていて厚さは、1万キロメートルくらいあります。
普段の日に、彩層の様子を調べるには彩層のうす赤い光だけ取り出す特別な望遠鏡を使います。
すると、ときどき太陽のふちから数万キロの高さに光の炎が燃えたっているのを見ることがあります。
激しい勢いで、下から上に飛び出していくのもあれば高いところに、突然明るい点があらわれそこから光が滝のように表面に落ちていく場合もあります。
また、地球上の雲のように、ぽっかりと上に浮かんでいることもあります。
これらは、プロミネンス(紅炎)といわれていて大きな黒点の上空にあらわれるのがふつうです。
また彩層からくるうす赤い光をながめていると大きな黒点の付近が急に明るくきらめくことがあります。
これを太陽面の爆発といいますが太陽の大気中で起こるもっとも激しい嵐で光のほかに強い紫外線や、電気をもった粒を吹き出します。
コロナ
太陽のいちばん外側は、コロナがとりまいています。
コロナは、彩層よりさらにうすいガスの大気で密度は、空気の数兆分の1、光の強さは光球の100万分の1ほどしかありません。
下は彩層に続き、上は数百万キロメートルの高さにまで広がっています。
黒点の数が多くあらわれる時期にはコロナはまるく広がって中心から放射状の光の筋が走り、ダリアの花のようです。
黒点が少ししか見えない年には、ひしゃげて、東西の平たい形をしています。
昔は皆既日食がコロナを見ることのできるただ1つの機会でしたが最近では望遠鏡の中に光球を遮る円板を置き人工の日食を起こさせるコロナグラフが発明されてコロナの内側の明るい部分は、いつでも観測できるようになりました。
しかし空気中にごみの多い平地では、この器械を使ってもコロナは見えません。
そこでコロナの観測は、空気のよく澄んだ高い山の上でおこなっています。
日本では、飛騨山脈の乗鞍岳の山頂近くに、コロナ観測所がつくられています。