おおぐま座・こぐま座・うしかい座・春の大三角形とは?

おおぐま座

名高い北斗七星のある星座で、1年のうちでも、春がいちばん見ごろです。
北の中空で、7つの星が大きなひしゃくをふせた形にならんでいます。

北斗は中国の言葉で「北のひしゃく」という意味です。
日本でも「ひしゃくぼし」といい、また「四三のほし」ともよんでいます。

7つの星のうち、真ん中の1つだけが少し光の弱い三等星で、ほかの6つは、みな二等星です。

二等星は全天で60ぐらいしかないのに、ここに6つも集まっているのです。


北半球の星は、みな、ほぼ北極星を中心としてまわっていますがなかでも北斗七星は、北極星のすぐ外をまわっています。

毎晩、その位置によって時間がわかりますし、しだいに位置をかえて春・夏・秋・冬の季節を教えるので昔から、大切な星座になっています。

そして、ますのヘりの2つの星をむすんだ線をますの口のほうへ、その長さの5倍ほど伸ばすと北極星に届くので、よく北の方角を確かめるときに利用されています。

この2つの星を「指極星」といいます。

また、えのはしから2つめの二等星のすぐそばに小さい星(五等星)があって、昔から視力テストに使われていました。

西洋ではアルコル(馬の乗り手)といって大きいほうの星を馬と見ています。

北斗七星は、ひしゃくの形に見えますがこれは地球に住んでいる私たちに、そう見えるだけで7つの星は、みんな距離が違います。

指極屋は70光年と60光年、えのはしの星は150光年以上の距離にあります。
距離が違うことは、どの星座の星にもいえることです。

ところで、この星座を、おおぐま座とよぶのは北斗七屋をクマの横腹と長い尾にまわりの小さい星を顔や足に見立てているからです。

春の夜には、クマは逆さまになっています。

神話

このクマは、もと、カリスト-という美し卜女の人でしたが女紙の憎しみを受けて、クマにかえられました。

そして子のアルカスが狩人となり、母であると知らずにクマを弓で射ようとしたのを、大神がクマにかえ親子とも星座にしたものといわれます。

アルカスがなったクマが、つぎのこぐま座です。

こぐま座

北極星があるので知られている星座です。

7つの星が、不思議にも小さい北斗七星の形に並んでいるのでおおぐま座にたいして、こぐま座とよびクマの親子の神話が生まれたのです。

こぐま座は北極星と、ますのへりの2つの星だけしか、よく見えません。
北極星というのは中国の名で、天の北極(地球の北極が真上の点)にある星ということです。

ほとんど動かないので、この星からまっすぐ下へ引いた地平線と交わる点が、真北にあたります。
このため、昔から北の方角を知るのに大切な星になっていました。

けれども、正しくいうと、北極星と天の北極とのあいだは見かけの月が2つ入るほど、あいています。

それで、この星も1日に1回、小さい円を描いて極を中心にまわっています。
これは極にカメラを向けて何時間かおくと北極星の動きが、白い線になってあらわれるので、よくわかります。

北極星は二等星です。

色がうす黄色で、直径は、太陽の8倍ほどですが800光年以上の遠い星です。
つまり、いま見ている、それだけ、昔の北極星というわけです。



うしかい座

おおぐま座の東(右)の下で、6つの星が、のしの形をつくっている大きな星座です。

春の半ばごろには、のしの形が、おとめ座の東に並びますが、だんだん起き上がって、夏になると西の空に、まっすぐたってきます。

この星座には、アークツールス(クマの番人)というオレンジ色の一等星が、輝いています。

北斗七星のえを、ずっと東のほうへ伸ばしていくと、しぜんに、この星に届きます。

こうして、いつも北斗の大ぐまについてまわっているので、クマの番人とよばれているのです。

日本では、「むぎぼし」といっています。

アークツールスは、距離が36光年、直径が太陽の30倍ほどです。
そして、オレンジ色に見えるのは温度が低いからで、4000度ぐらいです。

この星が名高いのは、1秒間に120キロメートルという、ものすごい速度で動いているからです。
それでも、満月の見かけの直径(2分の1度)だけ動いたのがわかるまでには、500年もかかります。

北斗七星のえの上には、猟犬座が、うしかい座の西には、髪の毛座の細かい星が、まばらに散らばって見えます。

春の大曲線と春の大三角形

北斗七星のえから、アークツールスに結んだ曲線を伸ばしていくと、おとめ座のスピカに届きます。

これを春の大曲線といいます。

また、アークツールスと、スピカと、しし座の尾の二等星デネボラを結んだ正三角形を春の大三角形といって、海上で船の位置を知るのに利用されます。

やがて、春も終わりに近づくと、うしかい座の下からは、初夏の星座が昇りはじめ、西には、ふたご・ぎょしゃなど、冬の温度が沈んでいきます。




しし座・かに座・うみへび座・カラス座・乙女座とは?

春の星座

よく晴れた春の夜に、すぐ目につく星座は北斗七星のあるおおぐま座と、南の空のしし座、その東のおとめ・からす・うしかい座などです。

西の空には、ふたご・おおいぬ・こいぬ・オリオン座などまだ冬の星座が残っています。
では、まず、南の空の星から、調べてみましょう。


しし座

黄道の12の星座を代表するもので、ちょうど、ライオンの形に見えます。
大きさも、北斗七星ほどあります。

ししは西(右)向きに腹ばいになっていて西の半分は、6つの星が西洋の草かり鎌の形に、ならんでいます。

鎌のえに白く光っているのは一等星レグルス(小さい王)です。
この星は黄道(太陽の通る道)の真上にあるので、ときどき月に隠されます。

このように、星が月に隠されることを「星食」または「えんべい」といって月の位置を確かめるのに利用されます。

色の白い星や青い星は、温度が高くて太陽のような黄色い星(表面温度は6000度くらい)の2倍ほどあります。

レグルスも1万度以上あり距離は70光年です。
ししのお尻は、東(東)にずっと離れた、3つの星がつくる三角形です。

はしの二等星はデネボラ(ししの尾)で海上で船の位置を知るのに利用される星の1つです。

かに座

しし座のすぐ西にある小さな星座です。
カニの形には見えませんが、晴れた夜うす白く見える散開星団がほぼ、黄道の上に見えます。

白く見える散開星団が、ほぼ、黄道の上に見えます。

これは、プレセベ(かいばおけ)という名で距離は520光年、双眼鏡でなら、はっきりしますし大望遠鏡では、400以上の星が見えます。

かに座の右下に青く光っている一等星はこいぬ座のプロキオンで、天の川のへりにあります。

うみへび座

かに座の下で、5つ6つかたまっている星がうみへびの頭で、それから小さい星が、東のほうへ長く続いています。

たしかに空にはうみへびの姿に似ています。

しし座のレグルスの右下に赤く、ぽつんと光っている二等星はアルファード(さびしい星)といわれまた、ヘビの心臓ともよばれていて、すぐ目につく星です。

ギリシア神話では、つぎのような伝説が語り伝えられています。



神話

しし座・かに座・うみへび座はギリシアの大力士ヘルクレスに大事されて星になったものといわれます。

ヘラクレスは、大神ゼウスが人間に生ませた子でそのために大神の后に憎まれ、一生のあいだに12の冒険をやらされました。

その第一は、ネメヤという森に住んでいる大獅子大事でした。

この獅子は、牛や馬をもりもり食べていた恐ろしい大獅子で、ヘラクレスが大事にでかけ弓で射ても矢が跳ね返り、太い棒でなぐってもわらのように、折れてしまいます。

ついにくみついて、のどをしめ、ようやく殺しました。
ヘラクレスは、その皮をはいで、いつも体に巻きつけていました。

第二の冒険は、レルナイアという沼に住んでいた首が9つもあるヒドラという化けヘビを退治することでした。

ヘラクレスが、その首を叩き落とすとそばから新しい首がはえるので切り口を火で焼いてやっと退治しました。

このときヘビを助けるために沼から大きなカニが這い出してきましたが、足で踏み潰して、たちまち、殺してしまいました。

こういうわけで、いま、うみへび座といわれているのはヒドラという沼のヘビだったのです。

からす座

うみヘび座の背中にのっている小さい星座で、4つの三等星がはっきり台形をつくっています。

日本では「ほかけぼし」とよんでおり帆掛け船の形に見えますが、なかなか、カラスの姿には見えません。

このすぐ西にあるコップ座は、見えにくい星座でコップの形もはっきりしません。

おとめ座

しし座の東隣りにある黄道の星座で、秋分の日には太陽の位置がここにくるので有名です。

目につくのは5つの星のYの字でえのはしに一等星スピカが白く輝いています。

この星は日本で、「真珠星」といっているようにいかにも美しい星で、距離は250光年、直径は太陽の8倍ほどですが明るさは250倍で、温度は約2万度もあるのです。

からす座の四角形の上の辺を東へ伸ばすと、自然にスピカに届きます。

神話

おとめ座の女神は、はじめ人間の味方をして下界に住み正義(正しい道)をまもらせようと努力していました。

しかし、人間が嘘をついたり武器をつくって戦争をするようになったので愛想をつかして天に帰り、この星座になったといわれます。

スピカとは、麦のほのことですが女神のもっている麦のほの先にある星なので、この名でよばれています。

こんどは、北の空の星に、目を向けてみましょう。




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