陶器と磁器の種類・原料・製法とは? わかりやすく解説!

陶磁器の種類

陶磁器の種類は非常に多く、細かく分ければきりがありませんがふつう、土器・陶器・石器・磁器のように分けられます。


陶土と磁土

陶磁器の主原料は、陶土と磁土です。
陶土も磁土も粘土の一種ですが、粘土のなかでもとくにカオリナイトを多量にふくみアルカリ・石灰・酸化鉄などの溶けやすい不純物が少ないものです。

磁土は、とくに良質のもので、カオリナイトを95~98パーセントふくみ陶土は磁土よりやや品質がおちるものです。

陶磁器の原料

主原料は陶土や磁土ですが、そのほかに、粘土の性質を調節したり製品を美しくするために、つぎのような原料を使います。

脱粘料

粘土のねばり気が強いと、成形しにくいうえに乾きにくいので、ねばり気を少なくする材料をくわえます。

これが脱粘料です。脱粘料には炭素・コークス・ケイ砂・粘土を焼いた粉などがあります。

溶質料

粘土を溶けやすくし、よく焼いてかたくするために粘土のほかに材料をくわえます。
これを溶質料といいます。溶質料には長石・ホウ砂・石灰などがあります。

うわぐすり

陶磁器の素地のめをふさいで、よごれにくく、また美しくするために陶磁器の表面にかけるものをうわぐすりといいます。

うわぐすりの成分は、ガラスとまったく同じでケイ酸ナトリウムやケイ酸カリウムなどが主成分になっています。

着色料

陶磁器に美しい色をつけたり、模様を書いたりするのに使う材料を、着色料といいます。
着色料は、ガラスの着色料と同じように、重金属の酸化物を使います。

着色料には、酸化鉄(黄色・緑色・青磁色)・酸化クロム(黄色・緑色)・酸化マンガン(かっ色)・酸化スズ乳白色)などがあり、それぞれの色をあらわします。

また、同じ着色料でも、条件によって色が違ってくることがあります。


陶磁器の製法

陶磁器の製法は、種類によって多少違いますが、ふつう、つぎのようにつくります。

①原料の処理と調合

細かく砕いた粘土を水で解いてどろどろにしさらにボールミルを使って、細かくします。

これを.流れている水に入れると、粒の大きいものは早く沈み粒の小さいものだけ運ばれて、沈澱池に沈みます。

こうしてできた粒のそろった粘土はよく乾かし脱燃料などの原料を正確にはかってまぜます。

調合した原料は、水をまぜてよくねります。
これを生地土といいますがふつうは、これをすぐ成形せずかわかないように注意して、貯蔵室で数週間貯蔵してから成形します。

②陶磁器の成形

美術品など複雑な形のものをつくるときには機械を使わずに、手で形を整えます。
これを手工法といいます。

工場では、円板を回転させ、その上に生地土をおいてへらか使って成形するろくろ法やセッコウの型の中に流しこんで成形する流しこみ法生地土を金属の型におしこんで成形する押圧法などが使われています。

② 乾燥

こうして成形した陶磁器は、まだ水分をたくさんふくんでいるので急に焼くと水分がいちどに蒸発して、ひびが入ってしまいます。

ですから、水分をよく蒸発させ乾燥してから、素焼きをします。

④素焼き

乾燥したままのものは、もろくて壊れやすいので、いちど焼いて丈夫にします。
この作業を素焼きといい、できたものも素焼ききといいます。

素焼きの温度はいろいろあります。
磁器や陶器は、ふつう低い温度で焼き、うわぐすりをかけないものは高い温度で焼きます。

⑤うわぐすりかけと本焼き

素焼きにうわぐすりをかけるには、うわぐすりの中に浸す方法やうわぐすりを流したり、はけでぬったりする方法があります。

うわぐすりをかけたものは、くっつかないように注意して、かまの中にならべます。
素焼きは、うわぐすりをかけたときに水分を吸っているのではじめはゆっくり温度を上げ、100~120℃ぐらいで水分を蒸発させます。

つぎに、だんだん温度を高め本焼きします。
本焼きの最高温度は、硬質磁器で1300~1435℃、軟質磁器では1150~1300℃、陶器は1100℃ぐらいです。

本焼きは、短くても10時間、長いものでは、30~50時間ぐらいの時間をかけます。

⑥冷却とかま出し

本焼きの終わった陶磁器を急に冷やすと外側と内部の冷え方が違ってくるので歪みができて、ゆがんだり割れたりします。

そこで、かまの中に入れたままにしたり、だんだん低い温度の空気をかまにふきこんだりして、ゆっくり冷やします。

冷却が終わったら、かまの口をあけ、手を入れることができるくらい冷やして取り出し、でき具合を調べて、悪いものは取り除きます。

レンガ

レンガの原料はほとんど粘土ですがねばりげの多すぎるときには、砂をくわえます。

原料を細かく砕き、よくこねて、21×10×6センチのわくにつめて乾燥させます。
これをかまに入れて焼きます。

レンガが赤い色をしているのは原料の中にかなりの量の酸化鉄がふくまれているからです。

原料の粘土を、細かく砕いてよくこね、型に入れて成形します。これを乾燥して焼きますが。

そのまま焼くとレンガのように赤くなるので、還元炎で焼きます。
そうすると、酸化鉄が還元されるので、黒っぽい色になります。

ふつうの瓦は、銀灰色で、たたくと金属のようなすんだ音のするものが良質です。
また、水を18パーセント以下しか吸いません。

赤色や青色の瓦は、うわぐすりをかけて焼いたものです。

タイル

浴室や便所など、ところにはるタイルには、いろいろの種類がありますが上質なものは、原料として磁土を使います。
ふつう、素焼きの上にうわぐすりをかけて本焼きします。

赤々青など美しい色をしたものがありますが色はどれもいちようでなければ、かべや床にはったときむらができるのでエアーコンプレッサーを使って、うわぐすりを吹き付けます。



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