定滑車と動滑車の仕事の量のあらわし方とは? わかりやすく解説!

滑車と仕事

滑車を使うと、力で得をしたり力の方向をかえることができることがわかりました。

動滑車を1つ使って重りを上げる場合には、ひもを引く力が重りの重さの半分の力ですみますから、力で得をしていることになります。

しかし、重りを10センチ上げるにはひもを2倍の20センチ引き上げなければなりません。

また、定滑車を用いると力の方向がかわるだけで力の大きさの損得はありません。

したがって、10グラムの重りを10センチだけ上げるには20グラムの力で、10センチだけたぐればよいのです。


定滑車と動滑車の仕事

動滑車のひもの一方は同定されています。

他方のひもを引き上げるとき、固定されている方のひもの分までつり上げなければならないため、ひもを引く長さは重りを上げる距離の2倍かかります。

これを、動滑車の仕事の量で考えてみましょう。

仕事の量は、物体におよぼした力の大きさとその力によって物体が動いた距離との積であらわします。

ですから、動滑車を使ったときの仕事の量はつぎのような式であらわすことができます。

(重りの重さの1/2倍の力)×(重りが動いた距離の2倍)=(重りの重さに等しい力)×(重りが動いた距離)

となります。

ですから、仕事の量には、かわりがありません。
したがって、動滑車を用いないで重りを上げる場合も動滑車を用いる場合も、仕事に損得はありません。

定滑車を用いたときの仕事は重りの重さに等しいカで重りが動いた距離だけ動かせばよいので、定滑車の仕事の量はつぎのような式であらわされます。

(重りの重さに等しい力)×(重りが動いた距離)

したがって、定滑車の場合にも、仕事に損得はありません。

たとえば、10キログラムの荷物を2メートル持ち上げたときの仕事の量は10(kg)× 2(m)= 20(kgm) となります。
 
これを、定滑車を用いて、滑車に仕事をさせるときは10キログラムの荷物を滑車が上向きに2メートルほど動かすことになります。

つまり、滑車が荷物に、10(kg)× 2(m)= 20(kgm)の仕事をしたわけです。

滑車が、荷物に仕事をするためには人が滑車にそれだけの仕事をしなければなりません。

定滑車の場合、人が、ひもを引く力の大きさは荷物の重さに等しいカで2メートルだけ下に引っ張ればよいのですから10(kg)× 2(m)= 20(kgm)の仕事を、人が定滑車にしています。

動滑車の場合には、10キログラムの半分の力でひもを引く距離は荷物が動いた距離の2倍の距離ですから。

10(kg) × 1/2 × 2(m) × 2 = 20(kgm)の仕事を、人が動滑車にしています。



組み合わせ滑車の仕事

定滑車と動滑車を組み合わせた滑車では動滑車を使うことによって、力で得をして距離で損をしています。

定滑車を使うことによって、力の方向がかわるだけで力でも距離でも損得はありません。

たとえば、下の右図のように、定滑車1つと、動滑車1つの組み合わせ滑車で、40キログラ厶の重りを、1メートル上げたとき、組み合わせ滑車がする仕事は、つぎのようになります。

40(kg)× 1(m)= 40(kgm)

滑車が、それだけの仕事をするには人が滑車にそれだけの仕事をしなければなりませんから仕事の量は40(kg) × 1/4 × 1(m) × 4 = 40(kgm)となります。

また、定滑車と動滑車をそれぞれ3つずつ組み合わせた滑車では滑車が60キログラムの重りを1メートル引き上げたときの仕事の量は60キログラムメートルです。

滑車が、重りにそれだけの仕事をしたわけですから人が、それだけの仕事をしなければなりません。

ですから、滑車を使っても、仕事で得したということはありません。
このことは、滑車にかぎらず、てこ・斜面・輪軸などの場合にも成り立っています。

人が機械を利用するのは、仕事で得をするためではなくて力が距離で得をするためです。

実際には、摩擦がありますから機械が物体にする仕事よりも少し大きな仕事を、人が機械にあたえなければなりません。

ひもを斜めに引いたときの仕事

今までは、物体にはたらいている力の向きに、物体が動く場合でした。
ところが物体が動く方向と力の向きが、違っている場合もあります。

定滑車で、重りを引き上げるとき、ひもを引く力は、引く方向に関係なく、重りの重さと等しい力で、引っ張ればよいわけです。

ところが、動滑車で、重りを引き上げるときは、ひもを引く力の大きさが、引く方向によって違っています。

動滑車の場合、ひもを引く方向が、鉛直方向であるときは引く力の大きさが、重りの重さの半分でよいのですが図のような方向に引くときは、力の大きさが重りの重さの半分より大きくなります。

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これは、固定されているひもが、支点の役目をしているからです。
したがって、動滑車の場合、ひもを引く方向が、鉛直方向であるときがひもを引く力の大きさは、いちばん小さくてすみます。




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