ショウジョウバエの飼いかた
ショウジョウバエは、体長2~5ミリぐらいの小さなハエです。
体は黄色か茶色で、目が赤いのが特徴です。
歩きかたがゆっくりしていますからノミバエなどと区別がつきます。
ショウジョウバエの採集
ショウジョウバエはどこにでもいますが腐りかかった果物や野菜によく集まります。
そのほか、キノコ、クヌギの木の液などに集まるものもいます。
ですから、人家の近くではごみ捨て場、山や畑では草や木を切り倒してある所、キノコのはえる場所などが、おもな採集場所になります。
ショウジョウバエは小さいので見つけても、とらえにくいものです。
このような場所では、捕虫網をできるだけ地面に近づけて左右にたんねんにふるのがよいようです。
また、果物(とくにバナナがよい)を刻んで1、2日おくと強い香りがしてきます。
これを数個の紙コップに少しずつ入れて林の中の日の当たらないところに、つるしておきます。
そうすると、この中にたくさんのショウジョウバエが集まりますから上から捕虫網をそっとかぶせ、紙コップを軽く叩きます。
捕虫網は、めが細かく、30センチぐらいの柄のついたものが適当です。
捕虫網から、採集瓶にうつすには、吸虫管を使います。
採集瓶の中に砂糖水に浸した紙を入れておけば、1週間ぐらいは生きています。
えさのつくりかた
たまごを生ませるためには、つぎのようなえさをつくります。
- 水……………………100立方センチ
- 寒天………………1.2~1.5グラム
- トウモロコシの粉……20グラム
- 糖蜜……………8グラム
- プロピオン酸………0.4立方センチ
水は60立方センチと40立方センチにわけ60立方センチのほうに寒天を入れ、それが溶けるまでにます。
40立方センチのほうにはトウモロコシの粉を入れてかきまぜます。
寒天がよく溶けたら、溶いたトウモロコシの粉と糖蜜を入れて数分間にたてて火からおろし、これにプロピオン酸を入れて、よくかきまぜてから、えさ瓶に注ぎます。
えさ瓶がよく冷えたら乾燥イーストをうすくお湯に溶かしたものを、1、2滴たらします。
これに紙を入れ、綿の栓をして、名前を書きこむラベルを貼っておきます。
こうしてつくったえさは、2、3日そのままにしてイーストが表面に白くはびこるまでまってから使います。
トウモロコシの粉のかわりにきな粉を糖蜜のかわりに赤砂糖を使ってもよいのですが、ややたまごの生みかたが少なくなるようです。
プロピオン酸は、カビがはえるのをふせぐためにいれるもので多すぎると成虫が死んでしまうこともありますから、注意しましょう。
えさびん、綿の栓、えさに入れる紙、イーストをたらすピペットは、そのつどオーブンまたは乾燥器に入れて熱をくわえ130度ぐらいの温度にし、約1時間そのままにしておきます。
えさびんやピペッ卜は熱湯や消毒用アルコールで洗っても構いません。
これはかびや細菌をふせぐためで、うまくたまごをうませて幼虫をとるためには、ぜひ必要なことです。
飼うときの注意
1つのびんに、あまりたくさんのショウジョウバエを入れすぎると死んでしまうことがあります。
ふつう10~20匹ぐらいが適当です。
この1つのえさびんの成虫は、2、3日間で100個以上のたまごを生みます。
たまごは、ふつう24時間ぐらいでふ化し、20日ほどで成虫になります。
この成虫を新しいえさびんにうつしてやります。
カビがはえているのを見つけたら、すぐに新しいえさ瓶にうつしてやらないと幼虫は育ちません。
また、使ったえさびんは、きれいに洗っておきます。
ショウジョウバエは、20~25度の温度を好み夏や冬は飼いにくいので、はじめは、春か秋に飼ってみましょう。
観察することがら
ショウジョウバエは、たまご・幼虫・さなぎ・成虫の順に、完全変態をします。
それぞれの特徴や変化の様子を、短い期間に観察できます。
また、何種類ものショウジョウバエが採集できたときには、その違いをくらべてみるのもよいでしょう。
成虫を観察するには、えさ瓶から、空の瓶にうつしエーテルで麻酔して動かないようにします。
麻酔が強すぎると死んでしまいますから注意しなければなりません。