コオロギ・スズムシの飼いかた
コオロギもスズムシも、飼いかたは、ほとんど同じです。
これらの虫をとってきたら、湿った土を入れた口の広い瓶にはなし口を布か金網でふさいでおきます。
瓶のかわりに、めの細かいかごでもよいでしょう。
えさのやりかた
下に土を入れた入れものでは、直にキュウリなどをおくと土にかびがはえてしまいます。
それで、小さく切ったキュウリやカボチャは、ようじなどにさして、そのようじを土につきたてておきます。
えさは、同じものばかりでなく、ナシ・キャベツ・レタス・ネギなどをまぜてやると飽きないで、よく食べるようです。
また、育ちざかりの虫では、たんぱく質が必要です。
これには、ゆでたまごのきみや、かつおぶしの粉を野菜といっしょにやります。
たんぱく質が不足すると、虫たちは、共食いをすることがあります。
めすとおすの違い
鳴くほうが、おすです。
めすの跳ねのすじは、網のめのようになっていて、おすのように、すじが波形になっていません。
また、めすは、尻にたまごを生むのに使う長い針(産卵管)がありますが、おすにはありません。
観察することがら
鳴く様子
ふつうは暗いところで鳴きますが、飼っておくと光になれて明るいところでも、なくようになります。
なくときは、前跳ねを持ち上げますが、コオロギは45度ぐらいスズムシは、ほとんど直角に近いくらいあげます。
鳴くときの跳ねの動きなどを観察しましょう。
音を聞く部分
広い入れ物に3、4匹のめすを入れ、まん中におすを入れた小さなかごをおきます。
めすたちは、鳴いているおすのまわりに集まります。
めすの前足のすねを虫眼鏡で見ると立派な鼓膜のある耳がついています。
この耳で音を感じるので、めすは、おすのそばにいくことができるのでしょう。
しかし、もっとかんたんなしくみの耳が中足とうしろ足とにあると言われているので、前足がなくても音を感じるのです。
たまごの生みかた
腹のふくれためすは、産卵管を土の中に入れて、たまごを生みます。
生むときの様子や、産卵管を入れる深さ、たまごの数などを観察しましょう。
カイコの飼いかた
カイコは、チョウやガの仲間ですから、その形や習性や飼いかたまで、まえに述べたチョウの場合と似ています。
クワゴとカイコ
カイコは長いあいだ人に変われてきたので、たいへん飼いやすくなっています。
カイコの祖先にあたるものは、クワ畑などに住んでいて、クワゴと呼ばれます。
形はカイコにそっくりですが、色が黒く、ガも茶色です。
クワゴとカイコは、形は似ていても、性質はまったく違います。
たとえば、ふたのないボール箱に、カイコとクワゴとを入れておくとカイコはいつまでも、箱の底にいますがクワゴは、箱の壁をのぼって出ていってしまいます。
これは、カイコが長いあいだ飼いならされたため足を動かす筋肉が、クワゴにくらべて弱ってしまったためです。
またクワゴのガとカイコのガをくらべてみるとカイコのガは4まいの跳ねをもっていても、まったく飛べません。
しかしクワゴのガは、ほかのガと同じように、夜、電灯の光に飛んできます。
さらに、カイコは、人がまゆから生糸をとるために長いあいだ改良してきたので糸をはく力がたいへんすぐれています。
クワゴのまゆからは、わずか150~210メートルの糸しかとれませんがカイコのまゆからは、1000~1500メートルもの糸がとれます。
カイコのえさ
カイコは、新しいクワしか食べません。
クワには、ヤマグワとかロソウとか、いろいろな種類がありますが、そのいくつかをそろえることができればカイコがどの種類を好むなどの研究もできます。
カイコは、クワ以外の葉は、ほとんど食べませんがハリグワとチシヤは代用食になります。
しかし、これらは、クワがとぎれたときのつなぎにしかなりません。
近ごろは、カイコを人工飼料だけで飼う研究が進められています。
種紙とケゴ
カイコをはじめから飼うには、農業試験場か農業協同組合でカイコがたまごを生みつけた紙を、少しわけてもらいます。
この紙を種紙と言います。
たまごは、はじめは黄色ですが、しだいに茶色になり、やがて、紫色になると、小さな幼虫がかえります。この一令の幼虫をケゴと言います。
中くらいの大きさのカイコをわけてもらえば飼うのは、なおらくですが一生を観察するには、たまごから飼いはじめることが必要です。
飼育箱
観察用に少し飼うには、ボール箱などにふたをしたものがよいようです。
箱のふたの一部に穴をあけて、セロハンをはれば、観察に便利です。
箱にふたをするのは、クワの葉が乾くと、カイコが食べなくなるからですが大きくなるほど、乾いた場所を好むようになります。
それで、四令。五令ともなったら、ふたに穴をあけたりガラスやプラスチックのふたを、布のふたにかえたりします。
世話をするときの注意
ケゴのときには、小さくてやわらかい葉をあたえるか大きい葉は、刻んであたえます。
大きくなったら、硬い葉でも構いません。
幼虫が脱皮するまえは、じっとしていてえさを食べませんが、このとき、無理に動かすと脱皮しそこないます。
また、食べ残しの葉や糞は、かびるので毎日捨てるようにします。
葉は、食べ残しの量を考えながら、毎日新しいものと、かえてやりましょう。
それから、これは、ほかの虫の幼虫でも同じですが虫は手でさわらず筆を用いて、はき落とすように扱うのが安全です。
まゆをつくらせる準備
幼虫が五令の終わりになると、体が透き通ってきます。
こうなったら、葉のかわりに、まぶしというものを入れてやります。
こうすれば、カイコは、このまぶしを足場にして口から糸を吐き、きれいな形のまゆをつくることができるのです。