四季の生物
春の麦畑にはヒバリがさえずり、夏の昼にはアブラゼミが鳴き秋の澄んだ空にはアカトンボが飛び回っています。
私たちのまわりをとりまいている、自然の世界を観察すると季節のうつりかわりは、さまざまの生物によって彩られていることがわかります。
生物は、種類によって、くらしよい環境がきまっており気温・湿度・日光の強さなどを敏感に感じとります。
そして、1年のうち、これらの条件がいちばん適した時期に、さかんな活動をおこないます。
日本のような温帯地方では、とくに四季の変化がはっきりしていますが、そのうつりかわりを、私たちに教えてくれるのは、おもに生物です。
このように、季節と生物とは、切っても切れない、深い関係があります。
季節による動物のかわりかた
動物たちは、それぞれ、まわりの様子にあった暮らしをしています。
季節がかわると、気温や湿度や光の強さがかわります。
そのなかでも、動物はとくに、気温の変化に感じやすいのです。
動物たちは種類によって、くらしよい温度がだいたい決まっているので、季節によって毛や羽根をかえたり、住みよい場所に移ったりして生きていきます。
エチゴノウサギやライチョウは、1年中同じところに住んでいますが夏にはかっ色だった毛や羽根が、冬になって雪が降ると、ほとんど抜け落ちて、白色の毛や羽根がはえてきます。
このように、身をまもる道具のない動物は、まわりの色と同じ色にかわるので敵の目から逃れやすいのだと考えられます。
鳥の仲間には、羽根があって、遠くのほうまで移動できるので季節によって、住むところをかえるものが、たくさんいます。
南の国から、春わたってくるツバメ、冬に北国からやってくるツグミ・カモなどのわたり鳥、また、山奥と人里のあいだを移動するウグイスやヒヨドリなどの漂鳥は季節のうつりかわりを、とくによく教えてくれます。
姿や色ばかりでなく、鳴き声やさえずりも、はっきり聞きわけられるほど、季節によってかわります。
ことに、たまごを生んだり、ひなを育てたりするころの鳴き声やさえずりは、ほかのときとは、大分違ってくるので、すぐにわかります。
海や川の魚にも、季節によって、住む場所をかえるものがあります。
サケ・マス・アユが川にのぼる時期、サンマ・ニシン・イワシが海岸に近づくときも、だいたい決まっています。
夏のあいだ、田んぼなどで、うるさくないていたカエルたちも秋になると、鳴き声も姿も、見せなくなります。
寒い冬がくるので、土の中などにもぐって、冬眠をはじめるのです。
昆虫は、種類が多く、どこにでもいるので、人目につきやすい動物です。
そして、温度や湿度の変化を感じやすいので季節がかわると、いっせいに姿を消したり現したりして暮らしかたを大きくかえます。