育児用の巣
これまで述べた巣は、もちろん育児用にも使われますが、ここで述べるのは、育児用にだけ使われる巣です。
このような巣は非常に多くの動物がつくるので、ここでは、そのうちの代表的なものだけを説明することにしましょう。
カヤネズミやヒメネズミの巣
獣で、育児用の巣をつくるのはカヤネズミやヒメネズミぐらいたものでしょう。
カヤネズミは、日本のあたたかい地方のカヤや、カヤツリグサなどがたくさんはえたところにいます。
小さなキツネ色のかわいいネズミで、ふだんは、ほかのネズミのように地下に穴を掘って住んでいます。
しかし、子を育てるころになるとカヤなどの茎の地上1メートルぐらいのところにウグイスの巣によく似た巣をつくります。
巣はカヤの葉を縦に細かく裂き、それをまとめて直径8センチぐらいの球形にしたものです。
入り口は横に開いています。そして、その中に5~9匹ぐらい子を生みます。
こんなところに巣をつくるのはたぶん、ヘビなどの恐ろしい敵を避けるためでしょう。
ヒメネズミは、日本の森林にたくさんいるクリ色のネズミで巣はカヤネズミの巣によく似ていますがクヌギやクリなどの葉でつくってあります。
アリゲーターの巣
トカゲやヘビ・カエル・サソショウウオなどは、あまり巣らしい巣をつくりません。
カメは、土に穴を掘ってたまごを生み、土をかけておくだけです。
トカゲやヘビなどは枯れ葉の下などに直にたまごを生みます。(ただし、マムシは卵胎生で、子を生みます)
しかし、これらのものでも、まれには、かなり、立派な巣をつくるものがあります。
たとえば、アメリカのアリゲーターというワニは枯れ葉や草を集めて、直径2.5メートル、高さ1メートルの山をつくり上から20センチぐらいのところに20~30個のたまごを生みます。
そして、めすはそばにいて、たまごをまもっています。
モリアオガエルの巣
モリアオガニルは、日本の山地に住むカエルで白い泡て包まれたたまごを水辺の木の上に生みます。
そして、その泡の中でオタマジャクシがかえり、しばらく中で泳いでいますが、やがて泡が破れてオタマジャクシは下に落ち、水の中に入ります。
スゴモリアマガエルの巣
南アフリカに住むスゴモリアマガエルは浅い池に泥で噴火口のような巣をつくります。
おすガエルは、池の底の泥を前足で掘って輸のような形にし水面の上に10センチぐらいでるまで積み上げます。
輪の直径は30センチぐらいです。
これができあがると、鳴いてめすをよび、たまごを生ませます。
たまごからオタマジャクシがかえると、この輪の中で大きくなり小さなカエルになってからはじめて外に出るのです。
このような輪の中には、オタマジャクシを食べる水生昆虫や、そのほかの小さい動物が入れないのでオタマジャクシは安全に成長することができます。
グーラミィの巣
魚は、ふつう巣をつくりませんが、なかには例外もあります。
ダーラミィは、マライ地方に住む熱帯魚で泡の浮き巣をつくるので有名です。
おすが、口の中からねばっこい泡を出し、これをたくさん集めて巣をつくります。この巣は、水面に浮かんでいます。
めすがたまごを生むとおすは、このたまごを口にくわえて巣の中に入れ、巣のそばにがんばって、たまごをまもります。