冬と夏の衣服
冬の衣服と夏の衣服とでは衣服を着る目的がたいへん違います。
冬に衣服を着るのは、寒さをふせぐため、つまり保温のためです。
冬には、体のまわりのあたためられた空気を逃がさないようにすることが、まず第一の目的です。
そのために、衣服が熱の良導体ですと、伝導で体温が冷めてしまいますから綿布とか毛織物などの、熱の伝導率が小さい繊維でできた厚い衣服を着ます。
熱の伝導率は、綿布や毛織物より、空気のほうが小さいので、体のまわりにあたためられた空気がたくさんあって、逃げないようにするのが保温にはもっともよいのです。
空気をよくふくんだ衣服を、何枚か重ねて着るとあたたかいのはきれときれとのあいだにも空気がたまるからです。
夏には太陽の放射熱をふせぐため、白い衣服などを着ます。
また、汗を発散させるため、対流がさかんになるように風通しのよいうすい衣服を選びます。
保温の利用
私たちの身のまわりには、魔法瓶などのように保温のために使うものがいろいろあります。
魔法瓶
魔法瓶は、その名の通り、不思議な瓶です。
厚い湯を入れておけば、長いあいだ冷めにくくまた、冷たいものをいれておけば、長いあいだ冷たいままです。
これは、魔法瓶の中にある熱は外へ逃げず外からの熱も入ってこないようになっているからです。
このためには、熱が伝導・対流・放射で伝わるのをさまたげなくてはなりません。
魔法瓶は、二重になったガラスからできています。
そして、ガラスとガラスのあいだの空気をぬいて、真空にしてあります。
また、二重ガラスの内側には、鏡のように銀めっきがしてあります。
ガラスの瓶と、コルクなどの栓は熱の不良導体で伝導によって熱が逃げるのをふせいでいます。
また、ガラスとガラスとのあいだは、空ですから、熱の対流・伝導はありません。
さらに、銀めっきがしてあるので、熱が放射によって逃げだすこともありません。
魔法瓶は、低温のことを研究していたイギリスのジュワーという人が1893年に発明したものです。
そのため魔法瓶のことを、ジュワー瓶ということもあります。