水銀は、天然にはおもに硫化物となって存在しています。
この天然の水銀硫化物を辰砂といいます。
純粋な辰砂は、赤色ですが、ふつうは不純物をふくみ、暗かっ色をおびています。
おもな産地は、イタリア・スペイン・日本・アメリカ合衆国などです。
水銀の製法
水銀をつくるには、まず下の図のような製造装置で加熱室に辰砂を入れ、空気をおくりながた熱しします。
すると辰砂中の硫黄と酸素が結合し、水銀と二酸化硫黄とになります。
このとき、高温のために、水銀も蒸気になって二酸化硫黄とまじりあっているので、これを冷やして分けます。
水銀の性質
水銀は銀白色の金属で、ふつうの温度では液体になっています。
水銀の比重は0℃で13.5955、ふつうの温度で液体になっている物質のなかではもっとも重く、鉄などを入れると浮いてしまいます。
また、水銀は非常に表面張力が強いのでガラスなどの容器に入れても容器を濡らすことがありません。
水銀は、ふつうの温度では酸化しませんが300℃以上に熱すると、赤色の酸化第二水銀を生じさらに、500℃ぐらい熱すると、また酸素を発生します。
また、しめった空気中では、ふつうの温度でも表面に酸化物ができます。
水銀は、塩酸や希硫酸とは反応しませんが、濃硫酸といっしょに熱すると、二酸化イオウを発生して溶けます。
硝酸とは、酸化窒素を発生して反応しますが硝酸がうすいときは硝酸第一水銀が、硝酸が濃いときは硝酸第二水銀ができます。
また、水銀は、イオウやハロゲン族元素とは直接化合してそれぞれ硫化物やハロゲン化物をつくります。
アマルガム
水銀は、鉄・コバルト・タンダステンをのぞくすべての金属を溶かし化合して合金をつくります。
この水銀と他の金属との合金のことを、アマルガムといいます。
水銀がアマルガムをつくる性質は食塩の電気分解や金・銀の製法などに利用されます。
また、銀などのアマルガムは、虫歯の穴をふさぐ材料として使われています。
水銀の用途
水銀は、アマルガムとして使われるほかにも、非常に広い用途があります。
水銀を利用した物で日常生活によく見られるものには温度計・体温計などがあります。
そのほか気圧計・電量計などの計器や、整流器・真空ポンプ・電流断続器などの器具にも利用されています。
また、水銀軟こうとして医薬品にも使われますし水銀ランプ(太陽燈)や蛍光燈にも使われるなど、非常に広く利用されています。