たんぱく質の成分とは? わかりやすく解説!

たんぱく質の成分

たんぱく質には、たくさんの種類がありますがその組成はお互いによく似ています。

炭素・水素・酸素のほかに、窒素と硫黄をふくむことが炭水化物や脂肪と違う点です。


髪の毛や、つめを燃やすとくさいにおいがします。
髪の毛やつめは、ケラチンというたんぱく質からできていますがこのケラチンは硫黄をふくんだシスチンというアミノ酸をたくさんふくんでいます。

くさいにおいは、硫黄が燃えてできた二酸化硫黄のにおいなのです。

また、たんぱく質に水酸化ナトリウムの固体をくわえて熱すると鼻につんとくる蒸気がでてきます。
これは、たんぱく質中のグルタミンやアスパラギンが分解してできたアンモニアのにおいです。

たんぱく質を酸や塩基などといっしょに熱したりペプシンやトリプシンのような消化酵素をはたらかせたりするとだんだん分解してペプトンやペプチドや、いろいろの種類のアミノ酸を生じます。

ペプトソやペプチドは、分解を完全におこなえば最後にはアミノ酸になります。

天然のたんぱく質の分解によってえられるアミノ酸は、20数種知られていますがこの20数種のアミノ酸のなかには動物が生きていくためにどうしても食物からとり入れなくてはならないものがあります。

これが必須アミノ酸です。
その他のアミノ酸は、動物が体の中で心須アミノ酸やその他の物質からつくることができるのでとくに食物としてとらなくても大丈夫なのです。

ここで、たんぱく質の種類によってふくまれているアミノ酸の種類と量が非常に違う、ということに注意しましょう。

たとえばゼラチンは、トリプトファンやバリンのような大事なアミノ酸をふくんでいないのでゼラチンだけを食べていると、栄養不足になります。



また、小麦にふくまれているグリアジンというたんぱく質だけでネズミを飼っていると、ネズミは成長が遅くなるしトウモロコシにふくまれているツェインというたんぱく質だけあたえているとネズミの体重は、だんだん減ってやがて死んでしまいます。

グリアジンには、リジンが少ししかふくまれていないしツェインにはリジンとトリプトファンという心須アミノ酸がふくまれていないからです。

ふつう、動物性たんぱく質は、植物性のたんぱく質にくらべて心須アミノ酸を多くふくんでいて、栄養的にすぐれています。

たんぱく質と熱

牛乳を煮ると、表面にうすい膜ができ、たまごを茹でるとかたくなります。
このように、たんぱく質には熱によって変化して、かたまってしまうものがあります。

この変化は、たんぱく質の変性とよばれ、変性をうけたたんぱく質はもう、もとのたんぱく質にもどることはありません。

ゆでたまごが、生たまごより消化がいいのはたまごが熱による変性をうけたために消化酵素のはたらきをうけやすくなっているからです。

たんぱく質の変性は、熱のほかに酸・塩基・アルコールなどによってもおこります。
変性をうけると、いっぱんに溶けにくくなってかたまったり、沈殿を生じることが知られています。




脂肪の性質とは?脂肪の検出法とは? わかりやすく解説!

脂肪の性質

①きれいな脂肪は無色で、味もにおいもありません。
しかし動植物からとったままの、天然の脂肪はたいていうす黄色で特有のにおいと味をもっています。


これは、天然の脂肪の中に脂肪が酸化されて壊れたものや脂肪に溶けやすい色素などがまじっているためです。

②いっぱんに脂肪は水に溶けませんがニーテル・ベンゼン・クロロホルムにはよく溶けます。

また、アセトン・アルコールにもかなりよく溶けます。
脂肪は水に溶けないので動物の血液中やリンパ液中ではたんぱく質と結合して非常に小さな粒になってまじっています。

③脂肪は水よりも軽く、水にうきます。
水は4℃のとき 1立方センチが1グラムですが1立方センチの脂肪は、平均0.93グラムです。
したがって、水の上に浮くわけです。

④脂肪はよく燃えます。脂肪が燃えるとススが多くでるのは、炭素にくらべて酸素を少ししかふくんでいないため完全に酸化されずに一部が炭素のままで残り、これがススとなるからです。

脂肪の分子は炭素のほかに、酸素と水素とからつくられていますから純粋な脂肪が完全に燃えるとすべて二酸化炭素と水とになってしまい残りかすはでません。

⑤脂肪を水酸化ナトリウム水溶液と煮ると、ケン化します。

⑥脂肪を長くほうっておくと、酸敗します。
たとえば、バターなどを長く空気中にほうっておくと嫌なにおいや味がしたり、色がかおったりします。

このうち、酸っぱくなった原因は、脂肪が壊れて脂肪酸が生じたためです。
また、嫌なにおいがでるのは脂肪の中の不飽和脂肪酸が空気中の酸素と水分などによって壊されアルデヒドやケトンなどというものをつくるためです。

これを脂肪の酸敗といいます。
このとき銅や鉄などの金属イオンがそばにあると酸敗が早く進みます。
また、不飽和脂肪酸の多い脂肪のほうが酸敗しやすいようです。

脂肪の酸敗をふせぐためには、脂肪を触媒といっしょに水素で処理することが多くおこなわれています。
このように処理したものは融点があがり、常温で固体になります。

これを硬化油といいます。



脂肪の検出法

脂肪の存在はつぎのような方法で調べられます。

においによる調べ方

① 粉末の硫酸水素カリウムを試験管に少し入れそれに3,4滴のオリーブ油をくわえます。

そして、試験管の底を注意しながら、はじめはゆっくりと熱しだんだん火を強くしていくと、やがて、鼻をつくようなにおいのある気体が出てきます。

これは、オリーブ油の分子の中のグリセリンの部分が熱によって壊されグリセリン一分子から、水二分子がぬけて、アクロレインという物質にかわったからです。

油のかわりに、グリセリンを使っても同じようなにおいがします。

② 日本ろうそくの火をふきけして、においをかぐと鼻をつくようなにおいがします。
これは、日本ろうそくが、脂肪の一種である木ロウを原料にしているからです。このにおいも、アクロレインのためです。

ヨウ素液による調べ方

試験管にオリーブ油を0.5グラムとりクロロホルム20立方センチをくわえて、よく溶かします。

これに、ヨウ素のアルコール溶液を一滴くわえるとかっ色をしたヨウ素の色が消えてしまいます。
これは、オリーブ油の成分の不飽和脂肪酸が、ヨウ素と結合したからです。




脂肪のつくりと性質とは? 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とは?

脂肪の成分

脂肪を過熱水蒸気などで分解すると、グリセリンと脂肪酸とに分かれます。
これは脂肪が加水分解をしたのです。

この分解によってできた脂肪酸は、一種の酸なので水酸化ナトリウムをくわえると中和され、塩をつくります。

このような脂肪の分解を、ケン化といいます。


脂肪の加水分解を反応式であらわすと、下のようになります。

この式のなかで、Rというのは、アルキル基のことでR2、R3は炭素の数の違う
いろいろのアルキル基をあらわしています。(アルキル基というのはCnH2n+1という式であらわされる炭化水素の原子団でメチル基CH3―、エチル基C2H5―などがあります。

さて、動植物体に貯蔵されている脂肪の大部分はグリセリン一分子と、脂肪酸三分子とから三分子の水が分離された形の結合をしてできているのです。

これを中性脂肪ともいいます。

このグリセリンに結合している3つの脂肪酸は全部同じのものもありますが大部分の脂肪では、違った2種か3種の脂肪酸がむすびついています。

グリセリン

グリセリンは、脂肪をケン化してできたものでグリセロールともリスリンともいわれ、水やアルコールによく溶ける液体です。
甘味があり、その強さは、砂糖の6分の1ぐらいといわれています。

私たもの体の中では、グリセリンを酸化して、二酸化炭素と水にしたりぶどう糖をつくったりすることができるのでグリセリンはエネルギー源として、栄養となっていることがわかります。

グリセリンは、化粧品や医薬品の製造に利用されたりニトログリセリンをつくって、ダイナマイトの製造に使われたりしています。



脂肪酸

動植物体内では、脂肪酸がそのままの形であることはほとんどなく、グリセリンと結合して脂肪となっていたりコレステリンやアルコール類と、むすびついています。

ミツバチの巣の主成分である蜜ロウは脂肪酸と高級アルコールとが結合したものです。
脂肪酸は、炭素の原子からなる1本のくさりに水素原子がむすびついていていっぽうのはしに、カルボキシル基―COOHという酸性の原因になる原子団がついています。

天然の脂肪酸は、炭素の数が偶数のものですが炭素の数などによって、いろいろな種類の脂肪酸に分けられます。

低級脂肪酸と高級脂肪酸

酢酸CH3COOHのように、炭素の数の少ないものを、低級脂肪酸といいます。
ラク酸C3H7COOHなども、この仲間です。

また、炭素の数の多いものを、高級脂肪酸といいます。
酢酸は、水に溶けて酸性をしめしますが、炭素数の多い脂肪酸も、含水アルコールに溶けてリトマス紙を赤にかえたり塩基を中和させたりする酸の性質をもっています。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

脂肪酸には、炭素のくさりに水素が充分についているためヨウ素と結合しにくい性質をもったものと炭素のくさりにつく水素原子の数が不十分なため、ヨウ素と結合しやすい性質のものとがあります。

ヨウ素と結合しにくい脂肪酸を飽和脂肪酸といいます。
ステアリン酸・パルミチン酸などはほとんどすべての脂肪にふくまれている飽和脂肪酸です。

これにたいして、ヨウ素と結合しやすい脂肪酸を不飽和脂肪酸といいます。
オレイン酸・リノール酸・リノレン酸などがあります。

オレイン酸は、ほとんどすべての脂肪にふくまれています。
また、リノール酸、リノレン酸はすべての乾性油・半乾性油にふくまれているものです。



でんぷんの性質とは? わかりやすく解説!

可溶性でんぷんとデキストリン

でんぷん粒を熱したり、あるいはうすい塩酸をはたらかせたりするとでんぷんは水に溶けやすい可溶性でんぷんになります。

可溶性でんぷんは、のりにしたり紙をすくときにまぜたり糸をつむいだりするときに利用されます。

可溶性でんぷんになると、でんぷんは少し壊れていますがこれがさらに壊されていくと、デキストリンとよばれるものになります。

デキストリンも、のりとして使われています。


でんぷんの糊化

でんぷん粒は、水をくわえただけでは、何の変化もおこしませんが
だんだんと温度を上げていくと、水を吸ってふくれはじめ
ある温度になるとふくれ方が急に激しくなり
ついにでんぷん粒が破れ、中からでんぷんがでてきます。

こうして、液はねばっこくなりのりができます。
このように、のりになることを糊化とい卜ます。

糊化温度

でんぷんからのりができるときの温度、正確には、でんぷん粒が急にふくれあがる温度を糊化温度といいます。

糊化温度は、どのでんぷんでも同じというわけではなく、そのでんぷんをふくむものによって、いろいろと違います。

糊化温度のいちばん低いのはトウモロコシのでんぷんで64~71℃いちばん高いのは、サツマイモのでんぷんで82~83℃です。

でんぷんの糖化

でんぷんに麦芽をはたらかせると、甘い水あめができます。
また、ごはんを口の中でよくかむと、だんだん甘みがついてきます。

これは、麦芽やだ液の中に、アミラーゼとよばれる酵素があってでんぷんを分解し、麦芽糖というものにかえるからです。

この反応を、でんぷんの糖化といいます。
できた麦芽糖は、砂糖によくにた物質で水によく溶け、甘みがあります。

アミラーゼは、このほかダイコン・ジャガイモなどいろいろな野菜にふくまれていますが、熱に弱いので料理のとき熱するとすぐ壊れてしまいます。

でんぷんにアミラーゼがはたらくとアミロースは完全に分解されて全部甘い麦芽糖にかわります。
ところが、アミロペクチンは、完全には分解しません。

これは、アミラーゼが、アミロペクチンのえだの分かれめに邪魔されてはたらきかけることができなくなるからです。

ヨウ素でんぷん反応

でんぷんにヨウ素をはたらかせると青くなることは19世紀のはじめからよく知られていました。

今でもこのヨウ素でんぷん反応はでんぷんを調べるときによく利用される大切な反応なのです。

ヨウ素でんぷん反応の液は、ヨウ化カリウムの20パーセント水溶液にヨウ素をくわえた、かっ色の液です。
この液の一滴をでんぷんの水溶液にくわえると、濃い青色から紫色になります。

このように着色したものを静かに温めていくと色は消えますが液を冷やすとまた色がつきます。

でんぷんには、アミロースとアミロペクチンの2つの成分かおりますがヨウ素でんぷん反応の色もそれぞれ違います。

アミロースは、この反応で青色になりますがアミロペクチンは、赤みをおびた青から紫色になります。
ヨウ素でんぷん反応は、でんぷんが分解されて麦芽糖になるともう見られなくなります。

それで、この反応を使ってでんぷんがどのくらい分解されたかを調べることができます。



実験

充分にかんで甘みのなくなったチューインガムをさらにかみでてくるだ液を集めます。
また、でんぷん1グラムを100立方センチの水とまぜて温めたでんぷん液をつくっておきます。

つぎに、何本かの試験管にでんぷん液1立方センチとだ液1立方センチをまぜ、体温くらいに温めておいて5分おきにヨウ素液を一滴ずつくわえていきます。

はじめは、ヨウ素液をくわえると、青い色になりますが時間が経つにつれて、反応の色がでなくなります。
これは、だ液によって、しだいにでんぷんが糖化されていくからです。

フェーリング液との反応

酒石酸カリウムナトリウムの塩基性溶液に硫酸銅を溶かしてつくった青色の溶液を、フェーリング液といいます。

試験管に、このフェーリング液を少しとってぶどう糖をくわえ、沸騰させると、それまで青かった液がたちまち赤くにごりはじめ、やがて赤い沈殿ができます。

これは、硫酸銅が、ぶどう糖で還元されて、赤い酸化第一銅にかわったからです。
フェーリング液を還元する性質は、ぶどう糖だけでなく、麦芽糖や乳糖も、もっています。

ところが、でんぷんには、この性質がありません。
また、でんぷんと同じように、ぶどう糖が結合してできたグリコーゲンにもありません。

そこで、でんぷんやグリコーゲンが分解されたかどうかを確かめるために
この反応が利用されます。

実験

まず、つぎのような2種類の溶液をつくります。
①結晶硫酸銅34.6グラムを500立方センチの蒸留水に溶かす。

②酒石酸カリウムナトリウム173グラムと水酸化ナトリウム50グラムを500立方センチの蒸留水に溶かす。

①と②の溶液を、それぞれ2立方センチずつとってよくまぜこれにだ液で消化したでんぷん液をくわえバーナーで熱します。

すると、赤い沈殿ができます。

これは、でんぷんの分解によって、麦芽糖ができた証拠です。
この麦芽糖が、フェーリング液を還元するのです。

だ液をくわえなかったでんぷん液は、反応しないことも確かめましょう。



炭化水素の種類と性質とは? わかりやすく解説!

石油や天然ガスの成分は、そのほとんどが炭化水素です。
いろいろな炭化水素は炭素原子のむすびつき方によって、種類も性質も違います。


炭化水素の種類

天然のもの、人工のものすべてをあわせて炭化水素を分類するとつぎのようになります。

天然ガスの成分になる炭化水素は、ほとんどパラフィン系炭化水素ですが石油の成分としては、パラフィン系・ナフテン系のほかに芳香族もふくまれます。

鎖式炭化水素と環式炭化水素の大きな違いは、鎖式炭化水素分子の炭素原子がくさりのようにつながっているのにたいして、環式炭化水素の分子は炭素原子側のようにつながっていることです。

パラフィン系炭化水素

パラフィン系炭化水素の分子は、水素原子の数が炭素原子の数の2倍より2個多い割合でつくられています。

たとえば、メタン分子は炭素1原子と水素4原子からエタン分子は炭素2原子と水素6原子からできています。

パラフィン系炭化水素のうち、分子にふくまれる炭素原子の少ないものは気体やや多くなると液体、炭素原子の数が15以上になると固体になります。

また、パラフィン系炭化水素は、水にはまったく溶けずアルコールには少し溶けるものと、よく溶けるものとがあります。

ほかの物質と化合しにくいのが特徴です。

炭素原子数が四で、しかも分子式が同じでありながら構造式の違うブタンとイソブタンがあります。

このように分子式が同じで構造式が違うものを異性体とよびます。

異性体は、炭素原子が四個以上のパラフィン系炭化水素には必ずあり分子の構造が違うために性質も違ってきます。

たとえば、正オクタンとイソオクタンは異性体ですがガソリンの成分としては、はるかにイソオクタンのほうがすぐれています。

オレフィン系炭化水素

モノオレフィン系炭化水素の分子は、炭素原子が同じ数のパラフィン系炭化水素分子とくらべると、水素原子が2個少ないのが特徴です。

たとえばモノオレフィソ系のエチレンの水素の数はパラフィン系のエタンより2個少なくなっています。

これは、分子中の炭素原子の結合の手が一か所、2本でむすびあっているためにおこることでこのようなむすびつき方を、二重結合といいます。

モノオレフィン系炭化水素のおもなものはエチレン・プロピレン・ブチレンなどです。

モノオレフィン系炭化水素は、水には溶けませんがアルコールには溶けます。
また、二重結合をもっているので、その部分が他の物質とむすびつきやすく付加反応や重合反応をおこしやすいのです。

ジオレフィン系炭化水素は、分子内に二重結合を2つもっていて性質はモノオレフィン系炭化水素によくにています。



アセチレン系炭化水素

アセチレン系炭化水素はオレフィン系炭化水素にくらべると分子内の水素原子の数が、さらに2個少なくなっています。

たとえば、炭素原子2個のアセチレン系炭化水素アセチレンは三重結合をもっていて、その構造式はH-C≡C-Hです。
水素原子の数がエチレンよりも少ないのはこのためです。

この三重結合は二重結合よりさらに不安定なのでアセチレンは他の物質と反応して化合物をつくりやすい性質があります。

ナフテン系炭化水素

ナフテン系炭化水素は、炭素原子数が同じである場合には分子式はモノオレフィン系炭化水素と同じですが、構造式が違います。

ナフテン系炭化水素には二重結合がなく、炭素原子が輪のようにつながっています。

性質は安定で、パラフィン系に似ています。

芳香族炭化水素

芳香族炭化水素は、ベンゼン核をもっているのが特徴です。
ベンゼン核は、左にしめしたように炭素原子6個が輪のようにつながり、1つおきに二重結合をもったものです。

この二重結合は、オレフィン系と違って、非常に安定です。

多環式芳香族炭化水素は、ベンゼン核が1個(単環式)ではなく2個以上あるものをいいます。



合成繊維の性質とは? わかりやすく解説!

合成繊維は、繊維をつくっている長い分子を合成したものです。
レーヨン(再生繊維)やアセテート(半合成繊維)の原料はセルロースのようにすでに天然の長い分子としてできあかっているものでこれをいちど溶かして、繊維の形にしたり、あるいは性質をかえるために酢酸をくっつけたりしたものです。

ところが、合成繊維は、石油・天然ガスなどから繊維を形づくるものを合成しておき、それを一列につないで天然のセルロースのように、長い分子にしたものです。


合成繊維の性質

引っぱりの強さが非常に大きく水にぬれても、その強さはほとんどかわりません。
洗濯もたやすく、ワイシャツなどは、夜洗っておけばつぎの日の朝には乾いていてアイロンをかける必要もありません。

また繊維として大切な折り曲げに耐える強さ(屈曲強度)摩擦に耐える強さ(摩擦強度)も、非常にすぐれています。

このほかに、燃えにくいとか酸・塩基に強いとか多くのすぐれた性質をもっています。

熱にたいして弱いという欠点をもってはいますが科学の進歩とともに、この点も改良されるでしょう。

ナイロン

カロザーズによって発明された繊維でベンゼンや石炭酸からつくったアジピン酸・ヘキサメチレンジアミンを原料にしてつくられます。

分子のむすびつき方により、6ナイロンや66ナイロンなどいろいろな種類がありますが現在日本で工業化されているのは6ナイロンが多いようです。

高い温度に熱して溶かしたものを細い穴を通して冷たい空気の中に引っ張り出し糸にします。

ナイロン糸は婦人用のくつ下にナイロンをちぢらせたウーリーナイロンは男子用のくつ下に使われます。

そのほか、レインコート・雨傘の布地、自動車のタイヤコード漁網などがつくられています。



ビニロン

日本で発明された合成繊維です。
アセチレンと水を原料にしてポリビニルアルコールをつくりこれをボウ硝の溶液の中におしだして糸にし(湿式紡糸)さらに、ホルマリンで処理して繊維にします。

学生服・作業衣・漁網・ロープなどに使われています。

アクリロニトリル系繊維

アメリカでつくられているオーロンが有名で日本ではエクスラン・ボンネル・カシミロン・ペスロン・カネカロンなどの商品名で売られています。

セーターや下着類としても多量に使われています。

ポリエステル繊維

日本では、テトロンが代表的なもので原料はエチレングリコールとテレフタル酸です。
木綿などとまぜてワイシャツ・婦人服などに使用されています。

これらのほか、ビニリデン・ポリエチレン繊維ポリプロピレン繊維などがあります。



アセタール樹脂・ポリカーボネート・繊維素合成樹脂の性質と用途とは?

アセタール樹脂

充分精製したホルムアルデヒドを重合させてつくったもので見かけはポリアミドによく似ています。

性質と用途

性質もポリアミドに似ていますが、いろいろな点でさらにすぐれており金属のかわりになる合成樹脂としていちばん注目されています。

歯車、ベアリング、いろいろな機械部品、薬品瓶などがつくられていますがそのうちにもっと値段が安くなるといわれていますので、使い道はさらに広くなるでしょう。


ポリカーボネート

ビスフェノールとホスゲンとからつくられ、やや黄色みがかった合成樹脂です。

性質と用途

叩いても踏みつけても割れない非常に丈夫な合成樹脂です。
熱にも強く、長いあいだ日光にてらされても強さがかわりません。

この樹脂も金属のかわりに使うことのできる材料でたとえば保安帽・歯車・機械部品・熱湯消毒のできるほ乳瓶・医療用器具・薬品瓶などに使われます。

繊維素合成樹脂

天然高分子である繊維素に、硝酸をはたらかせるとセルロイドの原料になる硝酸繊維素ができますがこれはたいへんよく燃えるので、火事の危険があります。

硝酸のかわりに、酢酸や、ラク酸をはたらかせると安全な酢酸繊維素やラク酸繊維素ができます。

これに可塑剤をまぜると、繊維素合成樹脂になります。

性質と用途

繊維素合成樹脂は、丈夫で割れにくく、美しい見かけをもっています。
セルロイドは加工しやすく、眼鏡の枠や、くしなどの雑貨がつくられ酢酸繊維素を原料としたものは、難燃セルロイドといわれ写真や映画のフィルムとかねじまわしの柄、おもちゃなどに使われます。



新しい合成樹脂

合成樹脂に関係する学問や工業は、すばらしい勢いで進歩しています。
最近も、つぎつぎと新しい合成樹脂が生みだされています。

その中から、工業的に使い道の多いものを、いくつかとりあげて説明しましょう。

アイオノマー

ポリニチレンの仲間ですが、完全に透明で破れにくいフィルムをつくることがで、包装材料として期待されています。

ポリフェニレンオキシド

200℃以上の温度で長時間使っても、性質がかわらず薬品にも強いのでステンレス鋼のかわりに使われるようになるかもしれません。

ポリスルホン

割れにくく熱にも強いので、やはり金属のかわりになるでしょう。

ポリイミド・ポリアミドイミド・ポリペンゾイミダソール

宇宙開発のためにつくられた耐熱性合成樹脂でいずれも、300℃以上の温度に耐えられますのでロケットやミサイルの重要な電気部品に使われています。



メタクリル樹脂・ポリエチレン・ポリプロピレン・フッ素樹脂・ポリアミドの性質と用途とは?

メタクリル樹脂

アセトンと青酸からつくられる樹脂です。
石油化学製品から直接つくる方法も考えられています。

性質と用途

合成樹脂の中で最も光線を通しやすく、また丈夫で割れにくく日光にてらされても性質がかわりません。

ですから、ヘリコプターの風防ガラス、看板の材料、照明器具、光学レンズなど使い道の広い樹脂です。
美しい真珠光沢のあるボタンもこれでつくられますしコンタクトレンズや入れ歯の材料にも使われます。


ポリエチレン

ポリエチレンは、石油の分解ガスからとれるエチレンを重合させてつくりますがこの重合法には、高圧法・中圧法・低圧法の3つがありつくりかたによって、できるポリエチレンの性質も少し違ってきます。

性質と用途

ポリエチレンは、可塑剤をくわえなくても、柔らかい製品がえられるのが特徴ですが高圧法のものより、中・低圧法のもののほうが硬くて丈夫で溶ける温度も高くなります。
水や薬品に強く、電気を通さないのは、すべてのポリエチレンに共通した性質です。

ポリエチレンのいちばん大きな用途は食料品や雑貨などを包む袋や温床などに使うフィルムです。

また、軽くて壊れにくい性質を利用してごみ箱・バケツ・たらい、ジュースやビールの運搬箱、水筒、薬品瓶などたくさんの種類の製品がつくられています。

ポリエチレンは、安くて使いやすい合成樹脂ですから我が国では、合成樹脂の中で、いちばん多く製造されています。

ポリプロピレン」

石油からとれるプロピレンガスを原料としポリエチレンの低圧法によくにた方法でつくられます。

性質と用途

およその性質は、ポリエチレンとよく似ていますので、使い道も似ています。
しかし、ポリエチレンよりもさらに耐熱性がよく丈夫で見かけも美しいものがつくられます。

最近は、荷造り用の丈夫なひも、またこれを編んでつくった袋や敷物などにも
たくさんのポリプロピレンが使われています。



フッ素樹脂

フッ素原子が結合したエチレンやプロピレンを重合させてつくった樹脂で、みかけばポリエチレンによく似ています。

性質と用途

あらゆる薬品におかされず、低温から高温まで性質かかわらず電気を通さず、まったく水を吸わないというすばらしい性質をもっていますが残念なことに、値段が高く成形しにくいという欠点があります。

使い道としては、電気の高度絶縁材料として宇宙科学の発展に大きな役目を果たしているほか化学工場のパイプやタンクの内ばり、機器のパッキングなどにまた家庭用品には、この樹脂をぬりつけた「油のいらないフライパン」などがあります。

ポリアミド

石炭または石油と空気と水を原料にして合成されますが原料の種類によって、いろいろな性質のポリアミドをつくることができます。

合成繊維ナイロンは、ポリアミドの一種です。

性質と用途

ポリアミドは、丈夫で摩擦に強いのがいちばんの特徴で繊維にして丈夫な靴下や織物がつくられていることは、みなさんも知っているでしょう。

また、滑りやすい性質を利用して油のいらない歯車・戸車・かっ車などがつくられていて金属材料のかわりに使える合成樹脂の1つです。



塩化ビニル樹脂・酢酸ビニル樹脂・スチレン樹脂の性質と用途とは?

塩化ビニル樹脂

アセチレンと塩酸を反応させてできる塩化ビニルを重合したもので、もっとも安いプラスチックの1つです。

くわえる可塑剤(合成樹脂を柔らかくする薬品)の量により、性質や見かけがかわります。


性質と用途

可塑剤をいれたものを、軟質塩化ビニル樹脂、いれないものを硬質塩化ビニル樹脂とよびます。

軟質塩化ビニル樹脂からは、フィルム、ふろしき、テーブルかけホース、電線のおおいなどがつくられ、硬質塩化ビニル樹脂は丈夫で薬品にも強いので、水道や工場用のパイプ、波板、雨どい透明な瓶、容器などがつくられます。

塩化ビニリデン樹脂

塩化ビュル樹脂に、塩素がさらに結合した形の樹脂です。

性質と用途

油や薬品に強く、燃えにくく水蒸気などの気体を通しにくい性質をもっています。
また、低温でも柔らかいので、ほとんど繊維やフィルムとして使われています。

緑色の防虫網、美しい色のテントや日やけ、ビーチパラソルなどはこの繊維を織ってつくります。
また、フィルムは、冷蔵庫に食べ物などを入れるときに家庭でも使いますし、ソーセージなどの包装にも使われています。

酢酸ビニル樹脂

アセチレンと酢酸から合成される酢酸ビュルを重合させてつくります。
夏の温度(30℃くらい)で柔らかくなってしまいますのでこれで形のある品物をつくることはできません。

性質と用途

日本でつくられているチューインガムのほとんどは酢酸ビュル樹脂に砂糖や香料をねりこんだものです。
この樹脂の、ほかの大切な使い道は、接着剤や塗料です。

学校の工作で使う接着剤は、でんぷんのり以外はほとんど酢酸ビニル樹脂が主原料です。
しかし、日本でつくられる酢酸ビニル樹脂の大部分はつぎに説明するポリビニルアルコールの原料になっています。



ポリビニルアルコール

酢酸ビニル樹脂をメチルアルコールに溶かし水酸化ナトリウムをはたらかせてつくります。

性質と用途

温水に溶けるという、合成樹脂の中では珍しい性質をもっていますので、水溶性接着剤などにも使われます。

油には強いので、食品や機械部品の包装材料に使われていますが大部分は合成繊維ビニロンの製造原料にむけられます。

スチレン樹脂

ベンゼンとエチレンから合成されるスチレンを重合させてつくります。
スチロール樹脂ともいいます。

性質と用途

無色透明で、成形しやすく薬品に強く電気を通さないなどの性質をもっていますが、ややもろいのが欠点です。

合成ゴムやアクリロニトリルを共重合させて性質を改良した耐衝撃性スチレン樹脂、すなわちAS樹脂・ABS樹脂などもつくられています。

スチレン樹脂は、テレビやラジオの前部の文字板、いろいろな台所用品、おもちゃ、文房具、アイスクリームなどの食品カップなどに使われます。

また、この樹脂をスポンジのように膨らませたものは割れ物の包装材料や断熱材などの用途があります。
ABS樹脂に、丈夫で割れにくいので今まで金属が使われていたもののかわりに美しいめっきをつけた成形品にして使われています。



ポリエステル樹脂・エポキシ樹脂・ウレタン樹脂・ケイ素樹脂の性質と用途とは?

ポリエステル樹脂

フタル酸とマレイン酸をまぜ、これにエチレングリコールをくわえて縮合させ
できた樹脂をスチレンに溶かすのが代表的なつくり方です。

原料の種類、組みあわせをかえるといろいろ性質のかわったポリエステル樹脂になります。(ポリエステル繊維とは別のものです)

この樹脂に、重合触媒や促進剤などを少しくわえると熱や圧力をあまりくわえなくても成形できます。

性質と用途

ポリエ不テル樹脂は、化学薬品や熱にかなり強くとくにガラス繊維といっしょに成形すると強化ポリエステルとよばれる丈夫な製品になります。

住宅や工場で使われる、半透明の波板・薬品タンク、ボートやヨッ卜航空機の部品、保安帽など、いろいろなところに使われています。


エポキシ樹脂

エポキシ樹脂は、エピクロルヒドリンとビスフェノールとからつくられるものが代表的です。
これを固めるには、硬化剤(アミンまたは酸無水物)をまぜなければなりません。

性質と用途

エボキシ樹脂は、何にでもよくつくので、万能接着剤として有名です。
とくに軽金属にたいして、すぐれた接着力をしめすので航空機の組み立てなどにも使われています。

接着性がよいばかりでなく、電気を通さず、薬品にも耐えるので電子機器をはじめ、いろいろの工業で、大切な使い道があります。

ウレタン樹脂

座布団やマットレスのクッションなどによく使われているスポンジはウレタン樹脂からつくったものです。
これは、ジイソシアネートとポリエーテルまたはポリエステルとを反応させてつくります。

ゴム状のものや、塗料などに使う液状樹脂もつくられています。

性質と用途

ウレタン樹脂は、ゴムのような弾性があるので、クッション用スポンジに適した材料です。
また、すり減りにくいのでタイヤに使うのに具合がよいのですが今はまだ値段が高いのでそれほど広く使われていません。

しかし、木工品の塗料や、ケミカルシューズの接着剤としては重要なものです。


ケイ素樹脂

ケイ素と塩化メチルなどからつくられるケイ素樹脂(シリコーンともいう)は分子の本体が無機化合物なので、ほかの合成樹脂よりも高い温度によく耐えます。

油状からゴム状まで、いろいろありますが電気を通さず、水をはじき泡を消すなどのおもしろい性質をもっています。

性質と用途

ケイ素樹脂のいちばん大きな特徴は、高温(250℃)から低温(零下65℃)まで柔らかさや強さなどの性質がかわらないことです。

使い道は、電気の絶縁材料が第一でこれを利用したモーターは、非常に小型になり水に浸かっても平気です。

そのほか、防水剤・潤滑油・パッキングなど非常に広い用途がありますが、値段の高い樹脂です。



石灰石の性質と用途とは? わかりやすく解説!

石灰石の性質

石灰石は、おもに炭酸カルシウムからできています。

炭酸カルシウムは、純粋な水には溶けませんが二酸化炭素をふくんだ水には図の式のように反応して炭酸水素カルシウムになり、溶けます。


このため、二酸化炭素をふくんだ水が石灰岩のわれめを通るとこの反応によって石灰岩が溶け、長いあいだに、大きな洞穴になります。

これを石灰どう(鍾乳洞)といいます。
石灰どうでは、天井から炭酸水素カルシウムをふくんだ水がおちるとき途中で水分や二酸化炭素が逃げて、まえと逆の変化がおきます。

こうして、炭酸カルシウムができてかたまり、長いあいだに、つららのようになります。これを鍾乳石といいます。

水が地面に落ちてから同じような変化がおこると下からのびて、たけのこのようになります。これを石筍といいます。

石灰石(炭酸カルシウム)を熱すると、二酸化炭素を発生して生石灰(酸化カルシウム)ができます。
この生石灰を水に溶かすと、消石灰(水酸化カルシウムとなります。

また石灰石(炭酸カルシウム)は、酸と反応して二酸化炭素を発生し、その酸の塩となります。

石灰石の用途

石灰石は、生石灰・消石灰の原料になるほか、ガラス・セメントの原料にもなります。
また、鉄や銅の冶金で炉の材料や原料中にふくまれる二酸化ケイ素を取り除くためにも使われます。

炭化カルシウム

炭化カルシウムには、力ーバイドともいわれます。
酸化カルシウムと炭素(コークス・木炭をまぜて電気炉で2300℃ぐらいに熱すると、図の①式のような反応で、炭化カルシウムができます。

純粋な炭化カルシウムは、白くてにおいがありませんがふつうは不純物をふくんでいるので、灰色でいやなにおいがあります。
炭化カルシウムは水と反応して②式のようにアセチレンを出します。

アセチレンは燃えやすい気体で灯火用や高熱発生用の燃料として使われるほか
合成繊維や合成樹脂の原料としてなくてはならないものです。

また、炭化カルシウムを電気炉で1000℃ぐらいに熱し、これに窒素をおくると、図のような反応で石灰窒素(カルシウムシアナミドと炭素の混合物)ができます。

この方法は、空気中の窒素の利用法として非常に大切です。

石灰窒素は窒素肥料として使われるほか、カルシウムシアナミドは硫酸アンモニウム・尿素・グアニジンなどの原料として重要です。



セメントの種類・原料とは? セメントの性質とは? わかりやすく解説!

セメントの種類

セメントとは、広い意味では、セッコウ・しっくい・水ガラスなどをふくみ非常に種類が多いのですが、ふつうはポルトランドセメントをさします。

そこで、ここではボルトランドセメソトについて調べることにします。

ポルトランドセメントの原料

セメントの原料には、つぎの5つがあります。

① 石灰質原料 もっともふつうに使われるのは、石灰石です。
この石灰石にふくまれている、アルミニウムや酸化鉄などの不純物はつぎにのべるように原料の一種になりますから、とりのぞく必要はありません。

② アルミニウム原料 粘土がもっともふつうの原料です。
粘土には、アルミニウムばかりでなく、二酸化ケイ素・酸化鉄などもふくまれているので、セメントに必要な原料を、いちどに3つも供給することができるわけです。

③ 二酸化ケイ素原料 粘土にふくまれている二酸化ケイ素だけでは足りないのでケイ砂やケイ石などを使います。

④ 酸化鉄原料 粘土や石灰石にふくまれている酸化鉄だけでは足りないので砂鉄や黄鉄鉱を焼いたものなど、鉄分の多いものが使われます。

⑤ セッコウ まえの4つの原料だけでは、セメントが早くかたまりすぎるのでそれをふせぐためにセッコウをくわえます。

天然に産出するセッコウのほかに、ほかの工業で副産物としてできる硫酸カルシウムも使われています。


ポルトランドセメントの製造

セメン卜の製造法は、原料を混合するときに水をくわえるかどうかで乾式法と湿式法に分けることができます。

①乾式法 まず、原料を粗く砕き、乾燥させて適当な割合にまぜます。

この割合が非常に大切で、これが違うとできたセメントの性質も非常に違ってきます。

つぎに、まぜあわせた原料を粉砕機で細かく砕いて粉末にします。
この粉末を回転炉に入れて熱します。

原料はこの回転炉のいっぽうから他のはしにいくまでに約1400℃ぐらいに熱せられ、大豆か梅干しぐらいの大きさの焼けた固まりになります。

これを、クリンカーといいます。

できたクリンカーは冷却室で冷やし、3パーセント以下のセッコウをくわえてふたたび粉砕機でくだき、細かい粉とします。

この粉末が、ポルトランドセメントです。

②湿式法 乾式法では、原料をよく乾燥させますが湿式法では、原料に水をくわえて砕き、どろどろにしてまぜあわせます。

つぎに、調合がよくできているかどうかを確かめてポンプで回転炉に入れます。
回転炉の中では、原料がまず乾燥されあとは、乾式法と同じようにして、セメントができます。

湿式法では、製品の品質が均一なことや、グリンカーが柔らかく砕きやすいこと
粉末が飛びちらないことなどが有利な点てすが回転炉の中で乾燥するために、燃料がたくさんいるという欠点があります。

ポルトランドセメントの性質

ポルトランドセメントは、比重3.1~3.2ぐらいの青っぽい灰色の粉末です。
成分はふつう酸化カルシウム63~66パーセント、二酸化ケイ素20~24パーセント酸化アルミニウム4~6パーセント、酸化第二鉄0~5パーセント、酸化マグネシウム1~2パーセント、三酸化イオウ1~3パーセントなどです。

セメントに水をくわえてこね、しばらくおくと固まります。

これをセメントの硬化といいます。硬化がなぜおこるかはくわしくわかっていませんが、つぎのように考えられています。

セメントに水をくわえると、セメントの成分が加水分解をおこします。
できた物質は、はじめはコロイド状になっていますが、しだいに結晶をつくります。
いっぽう、加水分解のとき、水酸化カルシウムができますがこれが空気中の二酸化炭素を吸って、炭酸カルシウムになります。

この2つの理由で、セメントが固まるというのです。




ガラスの種類・原料・成形とは? ガラスの性質とは? わかりやすく解説!

ガラスの種類

ガラスは非常に種類が多く、また分類のしかたもいろいろありますがふつうはつぎの表のように化学成分によって分類します。


ガラスの原料

ソーダガラスの原料はケイ砂・石灰石・炭酸ナトリウムです。
カリガラスの原料は、このうちの炭酸ナトリウムのかわりに炭酸カリウムを使ったものです。

また、鉛ガラスの原料は、カリガラスの原料のうち、石灰石を酸化鉛にかえたものです。

ケイ砂は、長石質の岩石が風化してできたものですからいろいろな不純物が混じっていますが、おもな成分は二酸化ケイ素です。

二酸化ケイ素は酸性酸化物なので酸性原料といわれます。

炭酸ナトリウムは、塩基性塩なので塩基性原料といわれアンモニアソーダ法で、石灰石と食塩とから大量につくられます。
炭酸カリウムも塩基性原料で、天然の硫酸カリウムから生産されます。

石灰石と酸化鉛は、同じように塩基性原料です。石灰石のおもな成分は炭酸カルシウムです。
また、酸化鉛は、ほとんどが四三酸化鉛で、一部分一酸化鉛がまじっています。

ガラスの製法

まず、原料をまぜますが、このときまぜる原料の割合を決めるのが非常に大切でガラスの品質のよしあしは、このまぜる割合によって決まります。

まぜあわせた原料を、バッチといいますが
ふつうの板ガラスやガラス瓶をつくっている工場ではバッチだけでなく、古いガラスのくずをまぜて使います。

このくずガラスをカレットと卜います。
カレットは、いちどガラスとなっているのですから原料の配合の心配はなく、便利です。

ふつう、カレットをまざる量は、10~30パーセントですが50パーセント以上まぜることもあります。

原料の調合がすんだら、これに熱をくわえて溶かします。
工芸ガラスなどをつくる小さな工場では融解炉の中で、るつぼを使って溶かします。

いっぽう、板ガラスなどを大量につくる工場では耐火レンガでつくった、大きなタンクを使って溶かします。

原料を1300~1500℃ぐらい熱すると熱分解や化合によってカルシウムのケイ素酸塩やナトリウムのケイ酸塩ができ、種ガラスとなります。

るつぼ融解の場合は、溶けたガラスを全部とりだしてから原料を入れますが、タンク融解の場合は、いっぽうの囗から溶けたガラスをとりだしもういっぽうの口から原料を入れて、連続的に作業ができます。

ガラスの成形

種ガラスは、そのままでは使えませんから、成形をします。
ガラス製品は種類が多く、その成形法にもいろいろな方法があります。

人工吹き成形法

むかし、ガラスの成形はすべて、人工によっていました。
いまでも工芸品や理化学器械の一部は、この方法でつくられています。

人工吹き成形法は、左の写真のように長い鉄管を使っておこないます。
この鉄管の先に溶けたガラスをつけ、反対側から息をふきこんでふくらましたり道具を使って、形を整えたりします。

この方法は、技術がむずかしくいちどにたくさんつくれないなどの欠点がありますが細かい細工ができます。

機械成形法

板ガラスやガラス瓶などは、機械を使って大量につくられています。
機械成形法は、つくる物によって、つぎのような方法があります。

① 板ガラス 種ガラスに圧縮空気をふきこんで円筒形にしこれを横に切ってから切りひらく方法がおこなわれていましたが現在では種ガラスから、直接板状のガラスを引きあげる板引法によってつくられています。

② ガラス瓶 種ガラスを機械の中に入れて、圧縮空気の力で型にふきこんで瓶の形にするオーエン式があります。

③ ガラス管 機械に種ガラスを入れ、太いガラス管をつくりこれをローラーの上を引っぱってのばすダンナー式があります。

このとき、引っぱる早さを加減すると、いろいろな太さのガラス管ができます。


ガラス製品の焼きなまし

ガラス製品は、成形のときに急に冷えるために内側と外側の冷え方が違って、ひずみができます。

ひずみができたガラスは、光学ガラスとしては使えませんしふつうの器具としても、もろくて壊れやすくなっています。

それで、製品をいちど500~600℃ぐらいに熱してからゆっくり冷やすと、ひずみがとれます。これを焼きなましといいます。

板引法やオーエン式の成形機械には焼きなましの装置がついていて自動的に成形と焼きなましがおこなわれます。

ガラスの着色

ガラスに色をつけるには、原料にいろいろな金属の酸化物などをくわえます。
青色は酸化コバルト、緑色は酸化クロム、かっ色は鉄と二酸化マンガン、赤色はセレンなどをくわえます。

また、乳白ガラスはホタル石や骨灰などをまぜてふつうのガラスがうすい青緑色をしていることがありますがこれは、原料中に鉄をふくんでいるためです。

ガラスの性質

ガラスは水にわずかに溶けます。
ことに温度が高いときや、水が塩基性のときは溶け方が多くなります。
これにたいして、酸には、わりあい強い性質をもっています。

しかし、酸や塩基にたいする性質は、ガラスの種類によって違います。

また、ガラスは、フッ化水素には強くおかされます。
これは、ガラスの成分である二酸化ケイ素がフッ化水素と上の式のように反応してフッ化ケイ素という気体になるからです。

この性質を利用し、フッ化水素水溶液を使ってガラス器具に、目盛りや模様を書くことができます。



水銀の性質と用途とは? わかりやすく解説!

水銀は、天然にはおもに硫化物となって存在しています。
この天然の水銀硫化物を辰砂といいます。

純粋な辰砂は、赤色ですが、ふつうは不純物をふくみ、暗かっ色をおびています。
おもな産地は、イタリア・スペイン・日本・アメリカ合衆国などです。


水銀の製法

水銀をつくるには、まず下の図のような製造装置で加熱室に辰砂を入れ、空気をおくりながた熱しします。
すると辰砂中の硫黄と酸素が結合し、水銀と二酸化硫黄とになります。

このとき、高温のために、水銀も蒸気になって二酸化硫黄とまじりあっているので、これを冷やして分けます。

水銀の性質

水銀は銀白色の金属で、ふつうの温度では液体になっています。
水銀の比重は0℃で13.5955、ふつうの温度で液体になっている物質のなかではもっとも重く、鉄などを入れると浮いてしまいます。

また、水銀は非常に表面張力が強いのでガラスなどの容器に入れても容器を濡らすことがありません。

水銀は、ふつうの温度では酸化しませんが300℃以上に熱すると、赤色の酸化第二水銀を生じさらに、500℃ぐらい熱すると、また酸素を発生します。

また、しめった空気中では、ふつうの温度でも表面に酸化物ができます。

水銀は、塩酸や希硫酸とは反応しませんが、濃硫酸といっしょに熱すると、二酸化イオウを発生して溶けます。

硝酸とは、酸化窒素を発生して反応しますが硝酸がうすいときは硝酸第一水銀が、硝酸が濃いときは硝酸第二水銀ができます。

また、水銀は、イオウやハロゲン族元素とは直接化合してそれぞれ硫化物やハロゲン化物をつくります。


アマルガム

水銀は、鉄・コバルト・タンダステンをのぞくすべての金属を溶かし化合して合金をつくります。
この水銀と他の金属との合金のことを、アマルガムといいます。

水銀がアマルガムをつくる性質は食塩の電気分解や金・銀の製法などに利用されます。
また、銀などのアマルガムは、虫歯の穴をふさぐ材料として使われています。

水銀の用途

水銀は、アマルガムとして使われるほかにも、非常に広い用途があります。
水銀を利用した物で日常生活によく見られるものには温度計・体温計などがあります。

そのほか気圧計・電量計などの計器や、整流器・真空ポンプ・電流断続器などの器具にも利用されています。

また、水銀軟こうとして医薬品にも使われますし水銀ランプ(太陽燈)や蛍光燈にも使われるなど、非常に広く利用されています。



亜鉛の性質と用途とは? わかりやすく解説!

亜鉛の製法

亜鉛は単体として産出することはなく産出することはなく、りょう亜鉛鉱・せん亜鉛鉱・として産出します。

これらが亜鉛の鉱石から金属亜鉛をつくるには、まず空気中で強く熱します。


すると、鉱石がりょう亜鉛鉱ならば、二酸化炭素をせん亜鉛鉱ならば二酸化硫黄を発生して、いずれも酸化亜鉛になります。

つぎにこの酸化亜鉛をコークスとまぜて熱すると酸化亜鉛が還元されて亜鉛ができます。

こうして製造した亜鈷は、ふつう鉛・ヒ素・鉄・カドミウム・炭素などの不純物をごく少量ですが、ふくんでいます。

純粋な亜鉛をつくるには、酸化亜鉛から硫酸亜鉛か塩化亜鉛をつくり、この溶液を電気分解します。

この方法で、99.9パーセントという、非常に純粋な亜鉛ができます。

亜鉛の性質

亜鉛は、青色をおびた白色の金属で、見たところ鉛に非常によく似ています。
鉛よりやや硬く、ふつうの温度ではややもろさをしめしますが100℃ぐらいに熱すると、展性や延性が大きくなるので針金やうすい板にすることができます。

さらに熱して200℃ぐらいにすると、またもろくなります。

このように、温度によって展性や延性がかわるのは亜鉛にふくまれる不純物のだめで、純粋な亜鉛には、みられません。

亜鉛は、ふつうの温度の、かわいた空気中では変化しませんが水分と二酸化炭素をふくむ空気中では、だんだん表面が白くくもってきます。

この白いくもりは亜鉛のさびで、塩基性炭酸亜鉛が主成分です。
このさびは、亜鉛の表面に密にできて、亜鉛の内部を守るはたらきをします。

亜鉛は、酸素中や空気中で熱すると白緑色の光をだして燃え、酸化亜鉛になります。
赤熱した亜鉛は、水を分解して、水素を発生します。

また、塩素などのハロゲン族元素とは、直接化合して塩化亜鉛などのハロゲン化亜鉛になります。



亜鉛は、希塩酸や希硫酸には、水素を発生して溶け、塩化亜鉛や硫酸亜鉛になります。
この反応は非常にたやすくおこるので実験室で水素をつくるときに利用されます。

いっぽう硝酸ともたやすく反応しますがこのときは水素ではなく窒素の化合物を生じます。

亜鉛はアルミニウムと同じように、酸・塩基どちらにも作用します。

たとえば、水酸化ナトリウムと反応して亜鉛酸ナトリウムという塩をつくりますがこの場合も、塩酸や硫酸のときと同じように、水素を発生します。

亜鉛の合金

亜鉛は銅・ニッケルなどと、黄銅・洋銀などの合金をつくります。
また青銅にも少量くわえることがあります。

亜鉛の用途

亜鉛は、黄銅・洋銀などの合金に使われるほか、鉄板にめっきしたトタンとして非常に広い用途があります。

亜鉛そのものは、電池の極として利用されます。
たとえば、懐中電燈などに使われる乾電池は、筒が亜鉛でできていてこの亜鉛の筒が陰極になっています。

また、化学工業では、亜鉛の粉末を還元剤として使っています。



鉛の性質と用途とは? わかりやすく解説!

鉛の製法

鉛の鉱石には、方鉛鉱や、白鉛鉱・硫酸鉛鉱などがありますがふつう鉛の製造には方鉛鉱が使われます。


方鉛鉱を、空気中で500~600℃ぐらいに焼くとその一部が左の式①・②のように変化して酸化鉛や硫酸鉛になります。

つぎに、空気を通さないで強く熱すると酸化鉛や硫酸鉛が変化しないで残っていた方鉛鉱に③・④式のように反応して、鉛ができます。

こうしてできた鉛は、まだ不純物をたくさんふくんでいますのでつぎのように精製します。

不純物のなかで、ヒ素・アンチモン・亜鉛などは鉛より酸化されやすいので空気中で600~1000℃ぐらいに数時間熱すると、酸化物となって取り除かれます。

また、いろいろなナトリウム塩とまぜて溶かすと不純物はナトリウムと化合して取り除かれます。

また、もっと純粋な鉛が必要なときには電気分解によって精製します。


鉛の性質

鉛は、青白色のつやのある重い金属で、非常に柔らかく、ナイフで切ることができます。
しかしアンチモンやヒ素などの不純物がまじると、硬くなります。

鉛は空気中におくと、すぐくもってきます。
このくもりは鉛のさびで、このさびが表面にできると、内部を保護します。

また、鉛を熱すると段々赤色になります。
これは鉛が酸化されて一酸化鉛・四三酸化鉛などの酸化鉛ができるからです。

鉛は、塩素や硫黄などとは、高温のもとに反応してそれぞれ、塩化鉛・硫化鉛をつくります。
また、うすい酸には溶けませんが、硝酸や濃硫酸には溶けます。

たとえば、硫酸とは二酸化硫黄を発生して硫酸鉛になります。
硝酸との反応は複雑ですが、おもな反応は、②式のようなものです。
しかし、濃硝酸には溶けません。

これは、鉛の表面に硝酸鉛ができて、これが濃硝酸には溶けにくく内部を保護するようになるからです。

鉛の用途

鉛は、スズ・アンチモン・ビスマスなどと、いろいろな合金をつくるので合金として非常に広い用途があります。

鉛そのものも、広く使われています。
たとえば、鉛は空気や水には、おかされにくいし、柔らかくて曲げやすいので水道管やガス管に利用されます。

また、放射線を通しにくい性質があるので放射線遮閉材料としても使用されます。
化学薬品をいろいろ取り扱う、実験室の流しにも鉛板をはっておくと、おかされることがありません。

そのほか、鉛蓄電池の製造にも使われています。



スズの性質と用途とは? わかりやすく解説!

スズの製法

スズは、天然には単体として産出することは少なく、ほとんどスズ石として産出します。

スズ石の主成分は酸化第ニスズですが
このほかに、酸化鉄やヒ素・硫黄などの不純物をふくんでいます。
スズをとりだすには、このスズ石を鉱石として使います。


まず、スズ石を焼いて、ヒ素や硫黄などを揮発させて取り除きます。
つぎに、炉に入れて、無煙炭とともに熱すると酸化第ニスズが炭素によって還元され、スズになります。

こうしてとりだしたスズはまだ、銅・鉄などの不純物をふくんでいるので
電気分解したり、加熱したりして精製します。

スズは、融点が低いので、熱して溶かすと融点の高い不純物を取り除くことができます。

また揮発しにくいので、真空中で1000℃ぐらいに熱すると鉛・亜鉛など、揮発しやすい不純物も取り去ることができます。

スズの性質

スズは、銀白色のつやをもつ、柔らかい展性の大きい金属です。
また融点が低く100℃ぐらいに熱すするだけで、細く引きのばすことができます。

スズは、湿り気のある空気中では、少しくもりますが乾いた空気中では、非常に安定です。

しかし、高温では、空気中の酸素に酸化されて酸化第ニスズになります。

また、塩素・ヨウ素などのハロゲン族といわれる元素とは化合しやすく塩化第ニスズやヨウ化第二スズなどのハロゲン化第ニスズになります。

硫黄とも反応しやすく、硫化第一スズとなります。
酸にはよく溶け、温かい塩酸には水素を発生して溶け塩化第一スズになり硫酸には、二酸化硫黄を発生して溶け、硫酸第ニスズになります。

硝酸との反応は、希硝酸とは硝酸第一スズをつくり、濃硝酸とはスズ酸をつくります。

スズの用途

スズは、鉄・鉛・銅・アンチモンなどといろいろな合金をつくりますので合金として、非常に広い用途があります。

スズそのものは、いろいろな器具にそのまま利用されるほか展性が大きいことを利用して、スズ箔にし、湿気を防ぐために煙草やチョコレートのつつみ紙に使います。

しかし、値段が高くつくので、最近では、アルミ箔が使われることが多くなりました。
スズのもっとも重要な用途は鉄板にめっきして、ブリキとすることにあります。

ブリキは、ブリキ缶、とくに缶詰用の缶の材料として重要です。

また、いろいろなおもちゃや器具の材料としても使われ
私たちの日常生活で広く見られるものです。



アルミニウム合金と軽合金とは? わかりやすく解説!

アルミニウムやマグネシウムなどの金属の合金をはじめ比重が2.5~3.5ぐらいの合金を軽合金といいます。

ここでは、アルミニウムの合金やそのほかの軽合金についてその性質や用途を調べてみましょう。

アルミ金

アルミニウムと銅の合金で、銅に5~12パーセントのアルミニウムをふくむ合金です。
アルミ金は黄色のつやがあり、金の色によく似ています。

おかされにくく、粘り強いのでスプリング・ねじ・機械部品として使われます。
また、海水につけておいても、あまり変化しないので海水中で使用する器具、たとえば船のスクリューの軸などに利用されています。

ジュラルミン

アルミニウムと銅マンガン・マグネシウムなどの合金で銅・マンガン・マグネシウムを、おのおの0.5~1.0パーセントずつふくんでいます。

比重は2.85で非常に軽く、焼き入れをするとかたさと強さが非常に大きくなります。

ジュラルミンの焼き入れは、500℃ぐらいに熱し水中で急に冷やしておこないます。
これを、室温で数日間ほうっておくと、さらに硬さがまします。

ジュラルミンは、板や棒にして飛行機や自動車に使われています。

エレクトロン

マグネシウムとアルミニウム・亜鉛マンガンなどの合金でアルミニウム0.5パーセント、亜鉛0.3パーセント、マンガン1パーセントぐらいをふくみます。

エレクトロンは、ジュラルミンなどのアルミニウム合金よりも軽く、比重は1.8です。
また、非常に強いので飛行機・自動車に使われるほかいろいろな精密器械類の製作にも使われています。

マグネシウムを主成分とする比重のごく小さい合金の全体をエレクトロンということもあります。



金と銀の性質と用途とは? わかりやすく解説!

金の性質

金は、非常に安定した元素なので、ほかの元素とあまり反応しません。
したがって、天然にも、自然金として単体のまま存在しています。


金と他の鉱物の比重の違いを利用して、水中でとり分ける方法と金をふくむ鉱石を細かい粉にして、水銀とふれさせ金と水銀とを反応させてとり分ける方法とがあります。

金と水銀の合金を、金アマルガムといいますがこれを熱すると、水銀だけが蒸発して金があとに残ります。

金は黄色のつやをもつ金属です。
また、展性・延性は非常に大きく、ふつうの金箔は、厚さが1万分の1ミリです。

また、1グラムの金を細く引きのばすと、3000メートルにもなります。

金は、空気中でも水中でも変化せず、そうとうに強い酸化剤を使っても酸化されません。しかし、王水には溶けて、塩化金酸となります。

塩素・臭素とは直接化合しますが、酸素・硫黄などとは、作用しません。

金の用途

金は、美しいつやを持つうえ、ふつうではほとんど変化しないのでいろいろな装飾品をつくるのに使われます。

また金は、非常に柔らかいので、金箔や金粉・金線のほかはほとんど合金にしてから使われます。

金の合金には、おもに銅を使います。
金の合金の品質をしめすために、合金の中にふくまれる金の量をカラッ卜または金という単位であらわしています。

1カラッ卜や一金は、合金中に、純金の量が24分の1ふくまれるということです。

18カラッ卜または18金というのは、24分の18だけが純金であることをしめします。
ふつう使われている装飾などは18金のものが多く万年筆のペン先に使われているのは14金のものがほとんどです。


銀の性質

銀は、金と同じように、自然銀として産出することもありますが輝銀鉱・輝銅銀鉱などの鉱石としても産出します。

そのほか、粗銅を精製するとき、陽極の下にたまる陽極泥の中からも多量の銀がとりだされます。

銀は、銀白色のつやをもつ金属で、金属のうちでもっとも電気と熱をよくみちびきます。

また、展性や延性もわりあいに大きい性質をもっています。

銀はわりあいに安定した金属で高温に熱しても、酸素とは直接に化合しません。
しかし塩素とはそのまま反応して、塩化銀を生じます。

同じように、臭素やヨウ素とも反応し、それぞれ、臭化銀・ヨウ化銀を生じます。
またイオウや硫化水素とも反応して硫化銀を生じます。
熱濃硫酸と激しく反応し、二酸化硫黄を発生して硫酸銀をつくります。

しかし、希硫酸とは反応しません。
塩酸とは常温では反応しませんが、銀を赤熱すると、塩化銀を生じます。

また、硝酸とはよく反応し、硝酸銀となります。

銀めっき

いろいろな金属に銀をめっきすると、美しい銀色のつやをもつようになりまた、さびにくくなります。

銀めっき液は、硝酸銀とシアン化カリウムとでつくります。
まず、硝酸銀を水に溶かし、つぎにこの液にシアン化カリウムを溶かします。

すると、シアン化銀の沈殿ができます。
さらに、シアン化カリウムをくわえると、シアン化銀は銀シアン化カリウムとなって溶けます。

これが銀めっき液です。めっきをかけようとする金属をよくみがきめっき液につるし、陰極につなぎます。

陽極には銀板をつるし、電気を通します。
しばらくすると、金属の表面が銀色になってきます。

はじめは、あまりつやがありませんが、引きあげてみがくと美しいつやがでてきます。

銀の用途

銀は展性や延性が大きいので金と同じようにうすい箔や、針金として使います。
銀は銅より電気をよく導くので精密な電気測定器具に、よく使われます。

また、銀は、さびにくく、美しいつやがあるので装飾品や食器とくに合金として、さじ・フォーク・ナイフ・杯などに使われます。
銀貨としても、昔から用いられています。

そのほか、銀めっきに使われたり、鏡・写真などに利用されます。




銅の性質と用途とは? わかりやすく解説!

銅の性質

よくみがかれた銅は輝きのあるつやをもった肉色の金属です。
みがかない銅が、うす黒い色をしているのは銅の表面が硫化物や酸化物に変かしいるからです。


銅は、電気や熱の良導体です。
また、延性や展性にとんでいるので、引きのばして銅線にしたりたたきのばして銅箔にしたりすることができます。

銅は、塩酸や希硫酸とは、ふつう反応しませんが塩酸と空気中の酸素がいっしょに作用するとだんだん溶け、塩化第二銅ができます。

硝酸とは、激しく反応し硝酸がわりあいに濃いときはおもに二酸化窒素を発生して、硝酸銅を生じます。

しかし、硝酸がうすいときには、二酸化窒素を発生して同じように硝酸銅を生じます。

また、濃硫酸とは、ふつうの温度では反応しにくいのですが熱すると、二酸化硫黄を発生して溶けます。

銅を赤熱すると、酸化されて酸化第一銅になりますがさらに熱すると、酸化第二銅となります。

銅のさび

銅は、鉄にくらべると、わりあいにさびにくい金属です。
しかし、二酸化炭素を多くふくむ、湿った空気中に長くおくと、緑色のさびができます。

このさびは、ロクショウといわれるもので、有毒です。
乾いた空気中では、銅の表面にうすい酸化第一銅のまくができるだけでそれ以上さびることがありません。
これは、酸化第一銅のまくが、銅の内部を守るからです。

銅イオン

銅は、イオン化傾向が非常に小さいので、銅の塩の水溶液に銅よりイオン化傾向の大きい金属を入れると銅が析出しそのかわりに、入れた金属の塩ができます。

たとえば硫酸銅の水溶液に鉄を入れること銅と硫酸第一鉄ができます。

しかし、銅よりイオン化傾向の小さい金属の塩の水溶液に銅を入れるとこれらの金属が析出し、銅の塩ができます。

たとえば、硝酸銀の溶液に銅片を入れると銅が溶けて硝酸銅となり銀が析出しますがこの銀は銅片の表面に結品となって、つぎつぎとついていきます。

これは一見、美しい樹木のように見えるので、銀樹といわれます。

ふつう、銅イオンというと、第二銅イオンをさします。


銅の化合物

銅の化合物のうち、重要なのはつぎのようなものです。

酸化第一銅

酸化第二銅と粉来状の銅とをまぜて、熱するとできる赤色の粉末です。
酸化第一銅をガラスに溶かしこむと赤い色がつくのでガラスの着色剤として利用されます。

天然には、赤銅鉱として産出します。

塩化第一銅

塩化第二銅を粉末状の亜鉛で還元するとできる、自色の粉末で水には溶けません。

酸化第二銅

銅を空気中で強く熱したり炭酸銅・硝酸銅を強く熱したりするとできる、黒色の粉末です。

水には溶けず、1000℃以上に熱すると、分解して酸化第一銅を生じます。
工業的には、くじゃく石を強く熱してつくります。

酸化第二銅は、陶磁器のうわぐすりとして使われたり青や緑のガラスの着色剤として使われたりします。

塩化第二銅

酸化第二銅に塩酸を作用させるとできます。

結晶は緑色をしていますが、無水のものはかっ色です。赤熱すると分解して、塩化第一銅と銅になります。

硫酸銅

酸化銅を硫酸に溶かすとできます。
これを水で再結品させると、透明な青色の五水和物の結晶ができます。

工業的には、銅と硫黄をまぜて、反射炉内で熱しできた硫化第二銅を、空気で酸化してつくります。

硫酸銅は植物の病気の予防に使うボルドー液の製造や電気銅の電解液の製造に使われます。

銅の用途

銅は、銀のつぎに熱や電気をよく導き、また金や銀についで展性や延性にとんでいます。
そのうえ、金平銀にくらべると、はるかに安いので電気の導体として、あらゆるところに使われてします。

そのほか、風呂の釜や写真銅板などに使われたりイオン化傾向が小さいことを利用して中間めっきとして使われたりします。

しかし、銅イオンは有毒なので、銅をそのまま食器に使うというようなことはありません。

また、メチルアルコールの酸化、エチルアルコールの脱水素などの反応の触媒としても使われます。



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