平炉法・転炉法・電気炉法とは? わかりやすく解説!

平炉法

鋼をつくる方法の一つに平炉法があります。
平炉法は現在もよく使われている方法で、イギリスのジーメンスが考えだしたものです。


平炉は、平らな丈の低い炉で、左の図のような構造をもった反射炉です。
この中で、銑鉄・酸化鉄・くず鉄などを原料として重油やコークス炉ガスなどを燃焼させて熱します。

この燃焼ガスは、廃ガスによって、あらかじめ熱せられるようになっているので、炉内の温度を1700℃ぐらいにあげることができます。

原料中の不純物は、ガスの炎で熱せられ、酸化されて取り除かれます。
このようにして、原料は精練されて鋼になります。

平炉法でできた鋼の成分と、原料銑鉄の以分の違いは、表のようになります。

転炉法

転炉法は、イギリスのべッセマーが発明したものです。
これはべッセマー法ともいわれ炉の底の穴から、酸素や空気をふきあげる方法です。

しかし、現在、日本においては、LD転炉という炉を使う方法がもっともよく使われています。

これは、耐火性の物質で内張りした炉の中央に管を入れ、この管から酸素を吹き込んで洗練します。
炉は中央を軸にして回転できます。

原料としては、溶鉱炉からとりだされたばかりの銑鉄が、おもに使われます。
銑鉄は溶けたまま転炉の中に入れられ、上から純粋な酸素がおくられます。

すると、銑鉄にふくまれていたマンガンやケイ素などは少量の鉄とともに酸化して燃えはじめ、つぎに炭素が燃えます。

これらが燃える熱によって、炉の中の温度は下がらず銑鉄は溶けたままでいます。
そのため、不純物の燃焼はそのまま続きます。

つまり、転炉では不純物を燃料として利用するわけで、ほかの燃料を必要としません。



こうして、銑鉄中の炭素がほとんど取り除かれてしまったとき炉の上から、フェロマンガンをくわえ、さらに空気をおくります。

フェロマンガンというのはマンガンや炭素を多くふくむ鉄でこれをくわえるのは、2つの目的があります。

その1つは、炭素がほとんど燃焼してなくなってしまっているので適当な炭素分をくわえて、鋼を良質だものにするためです。

もう1つの目的は空気を通したことによって不純物だけでなく鉄分も多少酸化されているので、これにマンガンを作用させ鉄を還元して回収するためです。

こうしてできた鋼は、良質なもので、適当な型にいれて固めます。

電気炉法

特殊鋼をつくったり、さらに良質な鋼をつくる方法に、電気炉法とよばれるものがあります。

電気炉は、ほかの炉にくらべて、とくに高温(2500~2700℃ぐらい)をだせるうえ温度調節がかんたんにできます。

そのほか、できた鋼の不純物が非常に少ないとか操作がわりあいにかんたんである、などの利点があります。

電気炉は、鋼の製造のほか、合金の製造にも使われています。



水銀の性質と用途とは? わかりやすく解説!

水銀は、天然にはおもに硫化物となって存在しています。
この天然の水銀硫化物を辰砂といいます。

純粋な辰砂は、赤色ですが、ふつうは不純物をふくみ、暗かっ色をおびています。
おもな産地は、イタリア・スペイン・日本・アメリカ合衆国などです。


水銀の製法

水銀をつくるには、まず下の図のような製造装置で加熱室に辰砂を入れ、空気をおくりながた熱しします。
すると辰砂中の硫黄と酸素が結合し、水銀と二酸化硫黄とになります。

このとき、高温のために、水銀も蒸気になって二酸化硫黄とまじりあっているので、これを冷やして分けます。

水銀の性質

水銀は銀白色の金属で、ふつうの温度では液体になっています。
水銀の比重は0℃で13.5955、ふつうの温度で液体になっている物質のなかではもっとも重く、鉄などを入れると浮いてしまいます。

また、水銀は非常に表面張力が強いのでガラスなどの容器に入れても容器を濡らすことがありません。

水銀は、ふつうの温度では酸化しませんが300℃以上に熱すると、赤色の酸化第二水銀を生じさらに、500℃ぐらい熱すると、また酸素を発生します。

また、しめった空気中では、ふつうの温度でも表面に酸化物ができます。

水銀は、塩酸や希硫酸とは反応しませんが、濃硫酸といっしょに熱すると、二酸化イオウを発生して溶けます。

硝酸とは、酸化窒素を発生して反応しますが硝酸がうすいときは硝酸第一水銀が、硝酸が濃いときは硝酸第二水銀ができます。

また、水銀は、イオウやハロゲン族元素とは直接化合してそれぞれ硫化物やハロゲン化物をつくります。


アマルガム

水銀は、鉄・コバルト・タンダステンをのぞくすべての金属を溶かし化合して合金をつくります。
この水銀と他の金属との合金のことを、アマルガムといいます。

水銀がアマルガムをつくる性質は食塩の電気分解や金・銀の製法などに利用されます。
また、銀などのアマルガムは、虫歯の穴をふさぐ材料として使われています。

水銀の用途

水銀は、アマルガムとして使われるほかにも、非常に広い用途があります。
水銀を利用した物で日常生活によく見られるものには温度計・体温計などがあります。

そのほか気圧計・電量計などの計器や、整流器・真空ポンプ・電流断続器などの器具にも利用されています。

また、水銀軟こうとして医薬品にも使われますし水銀ランプ(太陽燈)や蛍光燈にも使われるなど、非常に広く利用されています。



亜鉛の性質と用途とは? わかりやすく解説!

亜鉛の製法

亜鉛は単体として産出することはなく産出することはなく、りょう亜鉛鉱・せん亜鉛鉱・として産出します。

これらが亜鉛の鉱石から金属亜鉛をつくるには、まず空気中で強く熱します。


すると、鉱石がりょう亜鉛鉱ならば、二酸化炭素をせん亜鉛鉱ならば二酸化硫黄を発生して、いずれも酸化亜鉛になります。

つぎにこの酸化亜鉛をコークスとまぜて熱すると酸化亜鉛が還元されて亜鉛ができます。

こうして製造した亜鈷は、ふつう鉛・ヒ素・鉄・カドミウム・炭素などの不純物をごく少量ですが、ふくんでいます。

純粋な亜鉛をつくるには、酸化亜鉛から硫酸亜鉛か塩化亜鉛をつくり、この溶液を電気分解します。

この方法で、99.9パーセントという、非常に純粋な亜鉛ができます。

亜鉛の性質

亜鉛は、青色をおびた白色の金属で、見たところ鉛に非常によく似ています。
鉛よりやや硬く、ふつうの温度ではややもろさをしめしますが100℃ぐらいに熱すると、展性や延性が大きくなるので針金やうすい板にすることができます。

さらに熱して200℃ぐらいにすると、またもろくなります。

このように、温度によって展性や延性がかわるのは亜鉛にふくまれる不純物のだめで、純粋な亜鉛には、みられません。

亜鉛は、ふつうの温度の、かわいた空気中では変化しませんが水分と二酸化炭素をふくむ空気中では、だんだん表面が白くくもってきます。

この白いくもりは亜鉛のさびで、塩基性炭酸亜鉛が主成分です。
このさびは、亜鉛の表面に密にできて、亜鉛の内部を守るはたらきをします。

亜鉛は、酸素中や空気中で熱すると白緑色の光をだして燃え、酸化亜鉛になります。
赤熱した亜鉛は、水を分解して、水素を発生します。

また、塩素などのハロゲン族元素とは、直接化合して塩化亜鉛などのハロゲン化亜鉛になります。



亜鉛は、希塩酸や希硫酸には、水素を発生して溶け、塩化亜鉛や硫酸亜鉛になります。
この反応は非常にたやすくおこるので実験室で水素をつくるときに利用されます。

いっぽう硝酸ともたやすく反応しますがこのときは水素ではなく窒素の化合物を生じます。

亜鉛はアルミニウムと同じように、酸・塩基どちらにも作用します。

たとえば、水酸化ナトリウムと反応して亜鉛酸ナトリウムという塩をつくりますがこの場合も、塩酸や硫酸のときと同じように、水素を発生します。

亜鉛の合金

亜鉛は銅・ニッケルなどと、黄銅・洋銀などの合金をつくります。
また青銅にも少量くわえることがあります。

亜鉛の用途

亜鉛は、黄銅・洋銀などの合金に使われるほか、鉄板にめっきしたトタンとして非常に広い用途があります。

亜鉛そのものは、電池の極として利用されます。
たとえば、懐中電燈などに使われる乾電池は、筒が亜鉛でできていてこの亜鉛の筒が陰極になっています。

また、化学工業では、亜鉛の粉末を還元剤として使っています。



スズや鉛の合金とは? わかりやすく解説!

ハンダ

ハンダは、スズと鉛の合金です。
融点が非常に低く、鉛1スズ2の割合でまぜたものは、182℃でも溶けます。


そこで金属どうしをつけあわせるのに使います。
ハンダのうち、鉛2、スズ1の割合でまぜたものは固まりはじめる温度が250℃固まり終わる温度が182℃で、固まる時間が長くそのあいだは自由に形をかえることができます。

この合金は、とくに水道の鉛管をつなぎあわせるのに使われています。

ハンダには、鉛とスズの割合によって、このほかにもいろいろな種類があります。

活字金

鉛・アンチモン・スズを主成分とする合金でふつう、鉛60~90パーセント、アンチモン10~30パーセントスズ10パーセント以下の割合でまぜます。

活字金は溶けやすく、鋳物になりやすい性質をもっています。
また、わりあいにかたいので、活字をつくるのに利用されます。

溶けやすい合金

スズ・鉛・ビスマス・カドミウム・アンチモンなど融点の低い金属をまぜると、いっそう融点の低い合金ができます。

これらの溶けやすい合金を、易融合金といいます。
たとえば、電気の安全器に使われているヒューズは220℃~320℃ぐらいで溶けますが鉛に、アンチモンとスズを少量まぜた合金です。

また、自動消火栓に使われている合金は、66~71℃ぐらいで溶けます。
消火栓のしくみは、火事になると、熱のためにこの合金が溶けて水が自動的に飛び出すようになっています。

この合金はウッド合金といわれるものでビスマス50パーセント、鉛25パーセント、スズ13パーセントカドミウム12パーセントからできています。



鉛の性質と用途とは? わかりやすく解説!

鉛の製法

鉛の鉱石には、方鉛鉱や、白鉛鉱・硫酸鉛鉱などがありますがふつう鉛の製造には方鉛鉱が使われます。


方鉛鉱を、空気中で500~600℃ぐらいに焼くとその一部が左の式①・②のように変化して酸化鉛や硫酸鉛になります。

つぎに、空気を通さないで強く熱すると酸化鉛や硫酸鉛が変化しないで残っていた方鉛鉱に③・④式のように反応して、鉛ができます。

こうしてできた鉛は、まだ不純物をたくさんふくんでいますのでつぎのように精製します。

不純物のなかで、ヒ素・アンチモン・亜鉛などは鉛より酸化されやすいので空気中で600~1000℃ぐらいに数時間熱すると、酸化物となって取り除かれます。

また、いろいろなナトリウム塩とまぜて溶かすと不純物はナトリウムと化合して取り除かれます。

また、もっと純粋な鉛が必要なときには電気分解によって精製します。


鉛の性質

鉛は、青白色のつやのある重い金属で、非常に柔らかく、ナイフで切ることができます。
しかしアンチモンやヒ素などの不純物がまじると、硬くなります。

鉛は空気中におくと、すぐくもってきます。
このくもりは鉛のさびで、このさびが表面にできると、内部を保護します。

また、鉛を熱すると段々赤色になります。
これは鉛が酸化されて一酸化鉛・四三酸化鉛などの酸化鉛ができるからです。

鉛は、塩素や硫黄などとは、高温のもとに反応してそれぞれ、塩化鉛・硫化鉛をつくります。
また、うすい酸には溶けませんが、硝酸や濃硫酸には溶けます。

たとえば、硫酸とは二酸化硫黄を発生して硫酸鉛になります。
硝酸との反応は複雑ですが、おもな反応は、②式のようなものです。
しかし、濃硝酸には溶けません。

これは、鉛の表面に硝酸鉛ができて、これが濃硝酸には溶けにくく内部を保護するようになるからです。

鉛の用途

鉛は、スズ・アンチモン・ビスマスなどと、いろいろな合金をつくるので合金として非常に広い用途があります。

鉛そのものも、広く使われています。
たとえば、鉛は空気や水には、おかされにくいし、柔らかくて曲げやすいので水道管やガス管に利用されます。

また、放射線を通しにくい性質があるので放射線遮閉材料としても使用されます。
化学薬品をいろいろ取り扱う、実験室の流しにも鉛板をはっておくと、おかされることがありません。

そのほか、鉛蓄電池の製造にも使われています。



スズの性質と用途とは? わかりやすく解説!

スズの製法

スズは、天然には単体として産出することは少なく、ほとんどスズ石として産出します。

スズ石の主成分は酸化第ニスズですが
このほかに、酸化鉄やヒ素・硫黄などの不純物をふくんでいます。
スズをとりだすには、このスズ石を鉱石として使います。


まず、スズ石を焼いて、ヒ素や硫黄などを揮発させて取り除きます。
つぎに、炉に入れて、無煙炭とともに熱すると酸化第ニスズが炭素によって還元され、スズになります。

こうしてとりだしたスズはまだ、銅・鉄などの不純物をふくんでいるので
電気分解したり、加熱したりして精製します。

スズは、融点が低いので、熱して溶かすと融点の高い不純物を取り除くことができます。

また揮発しにくいので、真空中で1000℃ぐらいに熱すると鉛・亜鉛など、揮発しやすい不純物も取り去ることができます。

スズの性質

スズは、銀白色のつやをもつ、柔らかい展性の大きい金属です。
また融点が低く100℃ぐらいに熱すするだけで、細く引きのばすことができます。

スズは、湿り気のある空気中では、少しくもりますが乾いた空気中では、非常に安定です。

しかし、高温では、空気中の酸素に酸化されて酸化第ニスズになります。

また、塩素・ヨウ素などのハロゲン族といわれる元素とは化合しやすく塩化第ニスズやヨウ化第二スズなどのハロゲン化第ニスズになります。

硫黄とも反応しやすく、硫化第一スズとなります。
酸にはよく溶け、温かい塩酸には水素を発生して溶け塩化第一スズになり硫酸には、二酸化硫黄を発生して溶け、硫酸第ニスズになります。

硝酸との反応は、希硝酸とは硝酸第一スズをつくり、濃硝酸とはスズ酸をつくります。

スズの用途

スズは、鉄・鉛・銅・アンチモンなどといろいろな合金をつくりますので合金として、非常に広い用途があります。

スズそのものは、いろいろな器具にそのまま利用されるほか展性が大きいことを利用して、スズ箔にし、湿気を防ぐために煙草やチョコレートのつつみ紙に使います。

しかし、値段が高くつくので、最近では、アルミ箔が使われることが多くなりました。
スズのもっとも重要な用途は鉄板にめっきして、ブリキとすることにあります。

ブリキは、ブリキ缶、とくに缶詰用の缶の材料として重要です。

また、いろいろなおもちゃや器具の材料としても使われ
私たちの日常生活で広く見られるものです。



アルミニウム合金と軽合金とは? わかりやすく解説!

アルミニウムやマグネシウムなどの金属の合金をはじめ比重が2.5~3.5ぐらいの合金を軽合金といいます。

ここでは、アルミニウムの合金やそのほかの軽合金についてその性質や用途を調べてみましょう。

アルミ金

アルミニウムと銅の合金で、銅に5~12パーセントのアルミニウムをふくむ合金です。
アルミ金は黄色のつやがあり、金の色によく似ています。

おかされにくく、粘り強いのでスプリング・ねじ・機械部品として使われます。
また、海水につけておいても、あまり変化しないので海水中で使用する器具、たとえば船のスクリューの軸などに利用されています。

ジュラルミン

アルミニウムと銅マンガン・マグネシウムなどの合金で銅・マンガン・マグネシウムを、おのおの0.5~1.0パーセントずつふくんでいます。

比重は2.85で非常に軽く、焼き入れをするとかたさと強さが非常に大きくなります。

ジュラルミンの焼き入れは、500℃ぐらいに熱し水中で急に冷やしておこないます。
これを、室温で数日間ほうっておくと、さらに硬さがまします。

ジュラルミンは、板や棒にして飛行機や自動車に使われています。

エレクトロン

マグネシウムとアルミニウム・亜鉛マンガンなどの合金でアルミニウム0.5パーセント、亜鉛0.3パーセント、マンガン1パーセントぐらいをふくみます。

エレクトロンは、ジュラルミンなどのアルミニウム合金よりも軽く、比重は1.8です。
また、非常に強いので飛行機・自動車に使われるほかいろいろな精密器械類の製作にも使われています。

マグネシウムを主成分とする比重のごく小さい合金の全体をエレクトロンということもあります。



アルミニウムの性質と用途とは? わかりやすく解説!

アルミニウムの性質

アルミニウムは銀白色のつやのある、軽くてやわらかい金属です。
また、電気平熱をよくみちびき、展性・延性にとんでいます。

また、アルミニウムは、塩酸に溶けて水素を発生し、塩化アルミニウムになります。
塩基にも溶ける性質があり、たとえば水酸化ナトリウムなどには水素を発生して溶け、アルミン酸ナトリウムとなります。

このことは、アルミニウムが
金属と非金属の両方の性質をもっていることをしめしています。

アルミニウムが塩酸と反応する場合は陽イオンとなって溶けています。
つまり金属の性質をしめしているわけです。

ところが、水酸化ナトリウムのような塩基と反応する場合はナトリウムと結合したアルミン酸ナトリウムがえられます。

つまり、非金属の性質をあらわしています。
このように、酸や塩基との反応で金属と非金属の性質をもっている元素がいくつかあります。

アルミニウムは、希硫酸には水素を発生して溶けますが濃硫酸には、二酸化硫黄を発生して溶けます。
しかし、濃硝酸には溶けません。

これはアルミニウムを濃硝酸につけると表面が酸化されて酸化アルミニウムとなり、内部を保護するため溶けなくなるのです。


アルミニウムのさび

アルミニウムは長いあいだ空気中にほうっておいても表面が少しくもるだけで、鉄のようなひどいさび方をしません。

このくもりは、アルミニウムのさびにあたる酸化アルミニウムで透き通ったうすいまくになっています。

アルミニウムがあまりさびないのは、この酸化アルミニウムがアルミニウムの表面をおおって、内部を保護しているからです。

アルマイト

アルミニウムの表面に、酸化アルミニウムのうすいまくをつくり酸や塩基におかされにくいように加工した物を、アルマイトといいます。

硫酸やシュウ酸などのうすい溶液の中でアルミニウムの板を陽極として電気器具などをつくるのに使われます。

また、いろいろな合金をつくり、飛行機や電車などに使われたり機械類に利用されたりしています。

また、展性や延性にとむので、アルミ線やアルミ箔としても利用されます。
たとえば、写真のフラッシュランプの中にはアルミ線が封じこまれていますしチョコレートや煙草のつつみ紙には、アルミ箔が使われています。



アルミニウムの取り出し方とは? わかりやすく解説!

アルミニウムの鉱石

アルミニウムは、岩石や土の成分として地球上に広く存在しています。
地表から深さ約16キロメートルまでにある物質のうち約7.5パーセントはアルミニウムですが、単体として存在することはなくほとんど化合物になっています。


たとえば、造岩鉱物のうち正長石はアルミニウム・カリウム・ケイ素・酸素の化合物ですし斜長石は、正長石中のカリウムがナトリウムと入れかわった成分をもっています。

このほか、陶土や粘土もケイ酸アルミニウムというアルミニウムの化合物でできています。

このように、化合物として地球上のいたるところで見られるものですがアルミニウムの鉱石の種類は、非常に少なくふつう利用されているのは酸化アルミニウムを主成分とするボーキサイトです。

アルミニウムの製法

アルミニウムが大量に生産され、利用されるようになったのは銅や鉄にくらべるとずっと遅く19世紀末からのことです。

それは、アルミニウムは、酸素と化合する性質が非常に強く、還元されにくいためです。つまり、鉄や銅などの重金属にくらべると、イオン化傾向が大きいのです。

そのために、アルミニウムの場合には、酸化物を炭素とまぜて熱しただけでは銅や鉄のように、金属だけが単体となって分かれにくいのです。

アルミニウムの製造には、アメリカのホールとフランスのエルーが、1886年にそれぞれ別々に発明した、つぎの方法が使われています。

まず、ボーキサイトから純粋な酸化アルミニウム(アルミナ)をつくります。
酸化アルミニウムは、それだけでは融解しにくいのですが氷晶石とともに高温にすると、溶けやすくなる性質をもっています。



つぎに、この溶けた酸化アルミニウムを電気分解して、アルミニウムをつくります。

酸化アルミニウムの電気分解には、右の図のような電解槽を使います。
電解槽の内側には、炭素がはってあって、この炭素が陰極になっています。

陽極には、別の炭素棒を使います。

また、電解槽は、電気炉にもなっていて、これに氷晶石を入れ電流を通すと氷晶石が電気の抵抗体となって、そのためにでる電熱で溶けます。

これに酸化アルミニウムをくわえると、溶けて電気分解をうけ陰極に溶けたアルミニウムがたまります。

陽極には酸素が発生しますが、これはただちに陽極になっている炭素と化合して一酸化炭素にかわります。

陽極の炭素棒は、このように酸素と化合するため、だんだん減っていきます。

それで、陽極を補充して電解をつづけなければなりません。



銀と写真の関係とは? 写真の仕組み・歴史とは? わかりやすく解説!

写真

写真は、1839年に、フランスの画家ダゲールによって発明されたものです。
日本には、1841年に伝わってきたといわれます。

写真は、光にたいして敏感な反応をしめすハ口ゲン化銀をぬったフィルムにレンズを通して景色や人物の像をむすばせその像の光の強さのとおりにハロゲン化銀を変化させたものです。

このうつしとったフィルムを現像するとネガ(陰画)ができこのネガから、印画紙にポジ(陽画)として焼き付けます。

フィルム

銀の化合物のうち、塩化銀・臭化銀などのハロゲン化銀には光によって変化する性質があります。
たとえば、臭化銀に光をあてると銀と臭素とに分解します。

ハロゲン化銀のなかでも、臭化銀がもっともよく光を感じるのでこれを利用してフィルムをつくります。

まず、臭化カリウムと硝酸銀とを反応させ、ゼラチンの中で臭化銀の沈殿をつくります。
これをウォーターバスで温めると、沈殿した臭化銀の結晶が大きくなります。

こうしてできた乳剤を、いちど冷やして固め、細い穴から押し出しきれいに水洗いして、不純物をとりさります。

洗った乳剤は、もういちど温めセルロイドや合成樹脂のフィルムベースの上に流して、フィルムをつくります。

このとき、乳剤の粒子の大きさが大きいと感光しやすいSSSやSSのフィルムができ粒子が小さいと、感光しにくいSやFのフィルムができます。

露光

写真をうつすときにはまずフィルムを写真機に入れ日光や電燈の光のもとでシャッターをあけ、うつしたい物をうつします。

このときレンズから光線がはいり.フィルムに感光します。

これを露光といいます。

写真を正しくとりたいときには、この露光を正確にしなければなりません。
(とくに、天然色写真の場合は、露光がほんの少し多かったり少なかったりしただけでも、暗くなりすぎたり明るくなりすぎたりします)

レンズから入った光線はフィルムに感光し、その感光した部分の臭化銀は分解して臭素と銀とになります。
しかし、このような変化は目で見ることはできません。
それでこれを、せん像といいます。

せん像は、細かい銀の粒子からできています。
つまりフィルム上の臭化銀が、部分的に銀の粒子にかわってせん像をつくっているのです。


現像

光に感光してできたフィルム上のせん像を還元剤を使って目に見える黒白の像に変化させることを現像といいます。
このとき還元剤としては、メトールやハイドロキノンなどの化合物が使われます。
これらの溶液を、現像液といいます。

感光したフィルムを現像液につけると還元剤によって臭化銀が還元され、銀になります。

このとき、フィルムの感光した部分は、すでに銀の粒子ができているので感光していない部分よりも、早く還元されます。

そして、還元された部分は、黒くなってきます。
そこで、感光していない部分の臭化銀があまり還元されないうちに、フィルムを現像液から引きあげます。

現像するときの現像液の温度は使用する現像液によって多少の違いはありますが、ふつうは15~20℃ぐらいが、もっともよいとされています。
また、現像する時間にも気をつけてつけすぎたり早くあげすぎたりすることがないようにしなければなりません。

定着液

現像したフィルムの表面は、還元されてできた銀粒子と還元されないで残った臭化銀粒子とからできています。

そこで、この臭化銀の粒子を取り除かなければなりません。
この作業を、定着といいます。

定着液としては、チオ硫酸ナトリウムの溶液を使います。
現像液からひきあげたフィルムを、この定着液の中につけると定着液中のチオ硫酸イオンが、フィルムに残っている臭化銀と反応して溶かしこんでしまいます。

定着ができたら、充分に水で洗ってから、乾かします。

こうしてできあがったフィルムの像は、明暗が実物と逆になっています。
つまり、実物(写真をとられる物。これを被写体といいます)の明るいところは
黒っぽくなり実物の暗いところは白っぽくなっているので陰画またはネガとよばれます。

印画紙と焼き付け

ネガが完成したら、これを印画紙に焼き付けます。
印画紙は、フィルムの場合と同じようにしてつくった臭化銀などの感光剤を、紙にぬったものです。

この印画祇に、フィルムを通した光をあてるとフィルムに感光したのと同じように印画紙が感光します。

感光した印画紙を、フィルムとまったく同じようにして現像・定着・水洗いをするとこんどは、実物と明暗が同じになった像ができます。

これが私たちの見る写真ですが、陰画にたいして、陽画、またはポジとよばれます。

印画紙に焼き付けるとき、適当な引きのばし機を使うと好きな大きさに拡大することができます。



金と銀の性質と用途とは? わかりやすく解説!

金の性質

金は、非常に安定した元素なので、ほかの元素とあまり反応しません。
したがって、天然にも、自然金として単体のまま存在しています。


金と他の鉱物の比重の違いを利用して、水中でとり分ける方法と金をふくむ鉱石を細かい粉にして、水銀とふれさせ金と水銀とを反応させてとり分ける方法とがあります。

金と水銀の合金を、金アマルガムといいますがこれを熱すると、水銀だけが蒸発して金があとに残ります。

金は黄色のつやをもつ金属です。
また、展性・延性は非常に大きく、ふつうの金箔は、厚さが1万分の1ミリです。

また、1グラムの金を細く引きのばすと、3000メートルにもなります。

金は、空気中でも水中でも変化せず、そうとうに強い酸化剤を使っても酸化されません。しかし、王水には溶けて、塩化金酸となります。

塩素・臭素とは直接化合しますが、酸素・硫黄などとは、作用しません。

金の用途

金は、美しいつやを持つうえ、ふつうではほとんど変化しないのでいろいろな装飾品をつくるのに使われます。

また金は、非常に柔らかいので、金箔や金粉・金線のほかはほとんど合金にしてから使われます。

金の合金には、おもに銅を使います。
金の合金の品質をしめすために、合金の中にふくまれる金の量をカラッ卜または金という単位であらわしています。

1カラッ卜や一金は、合金中に、純金の量が24分の1ふくまれるということです。

18カラッ卜または18金というのは、24分の18だけが純金であることをしめします。
ふつう使われている装飾などは18金のものが多く万年筆のペン先に使われているのは14金のものがほとんどです。


銀の性質

銀は、金と同じように、自然銀として産出することもありますが輝銀鉱・輝銅銀鉱などの鉱石としても産出します。

そのほか、粗銅を精製するとき、陽極の下にたまる陽極泥の中からも多量の銀がとりだされます。

銀は、銀白色のつやをもつ金属で、金属のうちでもっとも電気と熱をよくみちびきます。

また、展性や延性もわりあいに大きい性質をもっています。

銀はわりあいに安定した金属で高温に熱しても、酸素とは直接に化合しません。
しかし塩素とはそのまま反応して、塩化銀を生じます。

同じように、臭素やヨウ素とも反応し、それぞれ、臭化銀・ヨウ化銀を生じます。
またイオウや硫化水素とも反応して硫化銀を生じます。
熱濃硫酸と激しく反応し、二酸化硫黄を発生して硫酸銀をつくります。

しかし、希硫酸とは反応しません。
塩酸とは常温では反応しませんが、銀を赤熱すると、塩化銀を生じます。

また、硝酸とはよく反応し、硝酸銀となります。

銀めっき

いろいろな金属に銀をめっきすると、美しい銀色のつやをもつようになりまた、さびにくくなります。

銀めっき液は、硝酸銀とシアン化カリウムとでつくります。
まず、硝酸銀を水に溶かし、つぎにこの液にシアン化カリウムを溶かします。

すると、シアン化銀の沈殿ができます。
さらに、シアン化カリウムをくわえると、シアン化銀は銀シアン化カリウムとなって溶けます。

これが銀めっき液です。めっきをかけようとする金属をよくみがきめっき液につるし、陰極につなぎます。

陽極には銀板をつるし、電気を通します。
しばらくすると、金属の表面が銀色になってきます。

はじめは、あまりつやがありませんが、引きあげてみがくと美しいつやがでてきます。

銀の用途

銀は展性や延性が大きいので金と同じようにうすい箔や、針金として使います。
銀は銅より電気をよく導くので精密な電気測定器具に、よく使われます。

また、銀は、さびにくく、美しいつやがあるので装飾品や食器とくに合金として、さじ・フォーク・ナイフ・杯などに使われます。
銀貨としても、昔から用いられています。

そのほか、銀めっきに使われたり、鏡・写真などに利用されます。




銅の合金とは? 白銅・黄銅・青銅・洋銀とは?

銅は、いろいろな金属とよくまざりいろいろなすぐれた性質をもつようになりますので、合金として使われます。

ここでは、銅の合金について、くわしく調べてみましょう。

金と銅の合金

純金は、非常に柔らかいので、ふつう銅をまぜて使います。
銅をまぜるとはるかにかたくなり、金貨や装飾として使われます。

白銅

ニッケルを1、銅を3の割合で混ぜた合金でかたく、さびにくい性質があります。

貨幣として使われるほか、ニッケルのかわりにこれでめっきをした家庭用器具がたくさん使われています。

黄銅

銅と亜鉛の合金で、真鍮ともよばれ亜鉛を30~45パーセントぐらいふくみます。
亜鉛を30パーセントふくむものは、展性・延性にとみ、薄板や線として使われます。

また、亜鉛を40パーセントふくむものはかたくて強くおもに、鋳物に使われます。



青銅

銅とスズの合金でふつうの青銅はスズを4~20パーセントふくみます。
非常に強く、鉄器が発明されるまえまでは武器の製造に使われていました。

現在では、美術品に使われるほか、貨幣や機械の部分品として使われています。

青銅は価格を安くし、また、鋳物にしやすくするために亜鉛や鉛をくわえてつくることもあります。

最近では、スズ7パーセント、亜鉛と鉛をそれぞれ5パーセントずつくわえたものが鋳物にするのに適しているので広く使われています。

洋銀

銅・ニッケル・亜鉛の合金のうち、ニッケルを12~22パーセント亜鉛を18~23パーセントぐらいふくむものを洋銀といいます。

銀白色で、かたくさびにくいので、銀の代用品として、広く使われています。
銀の色に近いものは、亜鉛の量の少ないものです。

洋銀は、食器・時計などに使われるほか、装飾品として使われます。

また、電気抵抗が大きいので電気抵抗線としても使われます。



銅の性質と用途とは? わかりやすく解説!

銅の性質

よくみがかれた銅は輝きのあるつやをもった肉色の金属です。
みがかない銅が、うす黒い色をしているのは銅の表面が硫化物や酸化物に変かしいるからです。


銅は、電気や熱の良導体です。
また、延性や展性にとんでいるので、引きのばして銅線にしたりたたきのばして銅箔にしたりすることができます。

銅は、塩酸や希硫酸とは、ふつう反応しませんが塩酸と空気中の酸素がいっしょに作用するとだんだん溶け、塩化第二銅ができます。

硝酸とは、激しく反応し硝酸がわりあいに濃いときはおもに二酸化窒素を発生して、硝酸銅を生じます。

しかし、硝酸がうすいときには、二酸化窒素を発生して同じように硝酸銅を生じます。

また、濃硫酸とは、ふつうの温度では反応しにくいのですが熱すると、二酸化硫黄を発生して溶けます。

銅を赤熱すると、酸化されて酸化第一銅になりますがさらに熱すると、酸化第二銅となります。

銅のさび

銅は、鉄にくらべると、わりあいにさびにくい金属です。
しかし、二酸化炭素を多くふくむ、湿った空気中に長くおくと、緑色のさびができます。

このさびは、ロクショウといわれるもので、有毒です。
乾いた空気中では、銅の表面にうすい酸化第一銅のまくができるだけでそれ以上さびることがありません。
これは、酸化第一銅のまくが、銅の内部を守るからです。

銅イオン

銅は、イオン化傾向が非常に小さいので、銅の塩の水溶液に銅よりイオン化傾向の大きい金属を入れると銅が析出しそのかわりに、入れた金属の塩ができます。

たとえば硫酸銅の水溶液に鉄を入れること銅と硫酸第一鉄ができます。

しかし、銅よりイオン化傾向の小さい金属の塩の水溶液に銅を入れるとこれらの金属が析出し、銅の塩ができます。

たとえば、硝酸銀の溶液に銅片を入れると銅が溶けて硝酸銅となり銀が析出しますがこの銀は銅片の表面に結品となって、つぎつぎとついていきます。

これは一見、美しい樹木のように見えるので、銀樹といわれます。

ふつう、銅イオンというと、第二銅イオンをさします。


銅の化合物

銅の化合物のうち、重要なのはつぎのようなものです。

酸化第一銅

酸化第二銅と粉来状の銅とをまぜて、熱するとできる赤色の粉末です。
酸化第一銅をガラスに溶かしこむと赤い色がつくのでガラスの着色剤として利用されます。

天然には、赤銅鉱として産出します。

塩化第一銅

塩化第二銅を粉末状の亜鉛で還元するとできる、自色の粉末で水には溶けません。

酸化第二銅

銅を空気中で強く熱したり炭酸銅・硝酸銅を強く熱したりするとできる、黒色の粉末です。

水には溶けず、1000℃以上に熱すると、分解して酸化第一銅を生じます。
工業的には、くじゃく石を強く熱してつくります。

酸化第二銅は、陶磁器のうわぐすりとして使われたり青や緑のガラスの着色剤として使われたりします。

塩化第二銅

酸化第二銅に塩酸を作用させるとできます。

結晶は緑色をしていますが、無水のものはかっ色です。赤熱すると分解して、塩化第一銅と銅になります。

硫酸銅

酸化銅を硫酸に溶かすとできます。
これを水で再結品させると、透明な青色の五水和物の結晶ができます。

工業的には、銅と硫黄をまぜて、反射炉内で熱しできた硫化第二銅を、空気で酸化してつくります。

硫酸銅は植物の病気の予防に使うボルドー液の製造や電気銅の電解液の製造に使われます。

銅の用途

銅は、銀のつぎに熱や電気をよく導き、また金や銀についで展性や延性にとんでいます。
そのうえ、金平銀にくらべると、はるかに安いので電気の導体として、あらゆるところに使われてします。

そのほか、風呂の釜や写真銅板などに使われたりイオン化傾向が小さいことを利用して中間めっきとして使われたりします。

しかし、銅イオンは有毒なので、銅をそのまま食器に使うというようなことはありません。

また、メチルアルコールの酸化、エチルアルコールの脱水素などの反応の触媒としても使われます。



銅の取り出し方とは? 銅の選鉱とは? わかりやすく解説!

銅の鉱石

銅は、自然銅として産出することもありますがふつうは、銅の鉱石として産出します。

おもな銅の鉱石には、赤銅鉱のクジャク石・輝銅鉱・黄銅鉱などがあります。

銅鉱石は、アノリカ合衆国・カナダ、南アメリカのチリアフリカのザンビア・旧ベルギー領コンゴなどで多く産出します。

日本も、量は多くありませんが、産出国としては古くから有名です。

銅の選鉱

銅のもっとも重要な鉱石は黄銅鉱です。
黄銅鉱は、ケイ酸塩からできている岩石(母岩)の中にあるのでこの母岩をくだき、鉱石と母岩を分けなければなりません。

この作業が選鉱ですが、銅の選鉱法には比重選鉱法と浮遊選鉱法とがあります。

比重選鉱法

母岩より鉱物のほうが比重が大きいので水中でよ、鉱物のほうが母岩より早く沈みます。

このことを利用して、水中で母岩をとりのぞくのが比重選鉱法です。

浮遊選鉱法

銅の鉱石を粉にして、少量の油とまぜて水に入れ空気をふきこみながらかきまぜると、油が泡になって水に浮きますがこのとき、鉱物も油と、いっしょになって、浮き上がります。

いっぽう、母岩は水に沈みます。
このことを利用して、鉱物と母岩を分ける方法を、浮遊選鉱といいます。

銅の冶金

比重選鉱や浮遊選鉱で母岩から分けられた黄銅鉱はまだヒ素・イオウなどの不純物を、かなりたくさんふくんでいます。

そこで、この黄銅鉱を、空気を通した炉の中で焼くと不純物は酸化物となって逃げ、硫化第一銅・酸化鉄・酸化ケイ素などが残ります。

これに、石灰石とコークスをまぜて、溶鉱炉の中で熱すると酸化鉄と二酸化ケイ素は、石灰石と化合して、スラグになります。

いっぽう、硫化第一銅は、溶けてスラグの下にたまります。
これを流しだして転炉に入れ、強く空気をふきこむと、銅ができます。

こうしてできた銅を粗銅といいます。
炉の中では溶けているのでこれを鋳型に流しこんでかためます。


電解精練

粗銅は、まだ金・銀・鉛・ヒ素などの不純物をふくんでいますから純銅をとりだすためには、さらにこれを精製しなければなりません。

銅の精練には、電気分解を利用するので電解精練といわれます。

電解精練には、下の図のような電解槽を使います。電解液には、硫酸銅に硫酸をくわえた水溶液を用い、この中に粗銅とうすい純銅の板を1つおきに入れ、粗銅を陽極とし、純銅を陰極として、低い電圧で電気分解します。

陽極では、銅が銅イオンになります。
また、銅よりイオンになりやすいニッケル・鉄・鉛・亜鉛などの不純物もイオンになります。

金・銀などのイオンにならない不純物は、粗銅が溶けるにつれて陽極から離れて、下にたまります。

陰極では、純銅の表面に銅が析出してを厚い純銅の板になります。ニッケルとか鉄などの不純物のイオンは析出しませんから純銅がえられるわけです。

いっぽう、陽極の下にたまった物からは金や銀が製造されます。

このように、電解精練によってできた純銅を、電気銅ともいい99.98~99.99パーセントという高い純度のものになっています。



ニッケルとコバルトの性質・用途とは? わかりやすく解説!

ニッケルの性質

ニッケルは銀白色の金属で、展性・延性があります。
また、強い磁性があり、左の表のような物理的性質をもっています。


二ッケルは鉄と違って常温では空気中にそうとうの湿り気があってもほとんど変化しません。

熱をくわえると紅色となり、赤熱すると灰緑色の酸化第一ニッケルが表面にできさらに熱すると四三酸化二ッケルができて、暗緑色になります。

また、赤熱して水蒸気をとおすと水蒸気を分解し、水素を発生して酸化第一ニッケルとなります。

常温では塩酸や硫酸にはあまり溶けませんがうすい硝酸にはすぐ溶けます。

また、濃硝酸につけると、鉄と同じように不動態となります。
二ッケルは、酸に溶けると緑色になります。

ニッケルめっき

電気分解による電着を利用して、二ッケルめっきをすることがてきます。
めっき液は、ふつう、硫酸ニッケルと塩化二ッケルの溶液に少量のフッ化ナトリウム・ホウ酸などをくわえてつくります。

そして、陽極に二ッケルを使って電気分解すると陰極につけた金属の表面に二ッケルが析出してつきます。

ニッケルの用途

純粋な二ッケルは二ッケルめっきに使われるほかるつぼなどの器具としても使われます。

また二ッケルは合金としての用途も多く銅・亜鉛・鉄などと、いろいろな合金をつくります。

そのおもなものには、特殊鋼・囗銅・洋銀などがありそのほか、つぎのようなものがあります。

ニクロム

クロム30パーセント以下をふくむ、ニッケルとクロムの合金です。
電気抵抗が大きく、熱や酸・塩基などにも強いので電熱線・抵抗線などとして使われます。

コンスタンタン

銅を55パーセントふくむ、銅とニッケルの合金で電気抵抗が大きく、温度によって体積や長さがあまりかわらないので銅と組みあわせて、温度をはかる器具として利用します。

このほか、二ッケルは、石油精製のときの水素添加に、触媒として使われます。


コバルトの性質

コバルトは、銀白色か灰白色のつやのある金属で、展性・延性があります。
また、強い磁性があり、上の表のような物理的性質をもっています。

コバルトは空気中に、長いあいだほうっておいても表面が少しさびるだけで、たいして変化しません。
粉状のものは、空気中で熱すると、酸化されます。

また、酸には水素を発生して溶けますが濃硝酸には、鉄やニッケルと同じように不動態をつくって溶けなくなります。

コバルトの用途

コバルトは、めっきに使われるほか、合金としてよく利用されています。
コバルトのおもな合金には、高速度鋼・KS磁石鋼・硬質合金などがあります。

硬質合金は、コバルトに、クロム・タングステンなどの金属をくわえたもので非常に硬くたとえば、硬質合金のうちのウディアはダイヤモンドのような硬さをしめします。

また、コバルトは陶磁器・エナメル・ガラスなどの着色剤として使われたりホウロウ鉄器のうわぐすりとして使われたりします。

この場合に使われるのは、ふつう酸化第二コバルトで青色系統の色調をしめします。



鉄の合金とは? 鋼とは? わかりやすく解説!

鉄のうち、炭素をふくむ量が純鉄より多く銑鉄より少ないものを鋼、または鋼鉄・鋼などといいます。


鋼の炭素をふくむ量は0.035~1.7パーセントぐらいですが0.1パーセント以上のものがふつうです。

鋼はまた炭素のほかにも、マンガン・ケイ素・イオンーリンなどの不純物をごく少量ですがふくんでいます。

鋼はむかしから軟鋼を本炭中で赤く熱して鉄の中に炭素をとり入れる方法でつくられていました。

いまでは、平炉法・転炉法などで銑鉄からつくられています。

平炉や転炉で結締した鋼より鋳型にいこまれて鎖塊となります。
鋼塊は均熱炉が均等な温度で熱せられて、分塊工場で圧延されます。

そのほか鋼には弾性があり、非常にねばり強いので叩き鍛えていろいろな形にすることができます。

鋼の熱処理

鋼を適当に熱したり冷やしたちするとまえとは違った性質になります。
この作業を熱処理といいますが、鋼の熱処理には焼き入れ・焼きもどし・焼きなましの三種類があります。

焼き入れ

鋼は、純鉄にくらべるとはるかに硬いのですが鋼を800℃以上に熱してから、水や油の中につけて急に冷やすと、さらに硬くなります。

鋼を高温に熱して、急に冷やすとことを焼き入れといいます。
焼き入れした鋼は、硬くなるだけでなく、もろくなります。

焼きき入れをした鋼に、冷やし方などの条件によって硬さが違ってきますが、同じ条件の場合は、炭素の量が多いほど硬くなります。


焼きもどし

焼き入れをした鋼は非常に硬いのですが、たいヘんもろいという欠点があります。
しかし、焼き入れした鋼を、ふたたび150~300℃ぐらいに熱して徐々に冷やすと、硬さは少し減りますが秘奥にねばり強くなります。

このように、いちど焼き入れした鋼を、もういちど熱してゆっくり冷やすことを、焼きもどしといいます。

ふつう、焼きもどしした鋼は、酸化されやすくしたがって、腐りやすくなっています。

また、500~600℃ぐらいで焼きもどしをした鋼は硬さはいっそう減りますが、さらにねばり強くなります。

焼きもどしは、このように、温度によって鋼の性質が違ってきますが同じ温度では、熱する時間の長さによっても性質が違ってきます。

ふつう、時間が長いほど、焼きもどしの効果は大きくなります。

焼きなまし

鋼を、900℃ぐらいに熱して、空気中でゆっくり冷やすと硬さは非常に減りますが
たいヘんねばり強くなり折り曲げることもできるようになります。

このように、鋼を高い温度に熱して、ゆっくり冷やすことを、焼きなましといいます。

鋼に焼き入れ・焼き戻し・焼きなましなどの適当な熱処理をくわえるといろいろな性質をもつようになります。

このように、熱処理によって性質がかわるのが鋼の特長です。
つまり、目的に応じた鋼が、熱処理によってつくれるので鉄材の中でも鋼の用途は非常に広く工業用の鉄材の大部分は鋼です。

また私たちの周りにある鉄の90パーセントは、鋼であるといってもかまいません。

永久磁石

鉄は、磁石の作用をうけると、磁石になります。このとき鉄が軟鉄だと磁石になるのは、ほかの磁石の作用を受けている間だけですが鋼だとほかの磁石を取り除いても、磁石の性質はなくなりません。

鋼には、このように、永久磁石になる性質があります。

特殊鋼

ふつうの鋼は、0.1~1.7パーセントぐらいの炭素とごく少量の不純物をふくんだもので、炭素と鉄の合金といえます。

この鋼に、さらにケイ素・マンガン・ニッケル・コバルト・クロム・タングステン・モリブデン・バナジウムなどの元素をくわえたものを、特殊鋼といいます。

新しくくわえる元素の種類は、鋼の使用目的によって違いそれによって、ねばり強いもの・すり減りにくいもの・熱に強いものさびにくいものなど、いろいろあります。

この特殊鋼にたいして、ふつうの鋼を炭素鋼といいます。




鉄の化合物とは? 鉄の用途とは? わかりやすく解説

鉄の化合物

鉄の化合物は、鉄イオンの酸化状態から二価の鉄イオンの化合物である第一鉄化合物と三価の鉄イオンの化合物である第二鉄化合物とに分けることができます。


酸化第二鉄 Fe2O3

鉄のさびの主な成分で、三二酸化鉄ともいいます。
赤色の粉末で、工業上ではベンガラといい顔料に使います。天然には、赤鉄鉱として産出します。

四三酸化鉄 Fe3O4

黒さびの成分で、赤熱した鉄に水蒸気を通すとできます。
天然には磁鉄鉱として産出します。強い磁性を持つので、磁性酸化鉄ともいわれます。

水酸化第一鉄 Fe(OH)2

第一鉄塩の溶液に塩基の溶液をくわえると、白色の沈殿としてできます。
しかし、空気中の酸素に酸化されてだんだん色がかわり赤褐色の水酸化第二鉄となります。

水酸化第二鉄 Fe(OH)3

水酸化第一鉄からできるほか、第二鉄塩の溶液に塩基の溶液をくわえてもできます。天然には、かっ鉄鉱として産出します。

硫酸第一鉄 FeSO4・7H2O

鉄を希硫酸に溶かした液をつめるとできたんに硫酸鉄、またはリョクバンともよばれます。

緑色の風解性結晶で、熱すると結晶水を失って白色になります。

インキの製造に使われます。


硫化第一鉄 FeS

鉄粉と硫黄の粉をまぜて、これを強く熱してつくります。
ふつうは濃い灰色をしていますが、純粋なものは褐色の結晶です。

水には溶けませんが、酸には硫化水素を発生して溶け第一鉄塩となります。
それで、硫化水素の原料として使われます。

硫化第二鉄 Fe2S3

酸化第二鉄を400℃ぐらいに熱して、硫化水素を通すとできます。
塩酸と作用して、硫化水素を発生します。

塩化第二鉄 Fecl3

鉄を塩酸に溶かして、塩化第一鉄Fecl2をつくりこれに塩素を通すと、黄褐色の結晶としてえられます。

この結晶は加水分解して酸性をしめします。
工業的に酸化剤・縮合剤として使われるほか、血止め薬としても利用されます。

このほかにも鉄の化合物としては
酸化第一鉄FeO・硫酸化第二鉄Fe2(SO4)3・フェロシアン化カリウムK4[Fe(CN)6](黄血塩)
フェリシアン化カリウムK3[Fe(CN)6](赤血塩)などがあります。

鉄の用途

鉄の使い道は非常に広く、私たちが使っている金属の90%は鉄だといわれるほどです。
鉄は純粋な鉄として使われることはほとんどなく鋼鉄などの合金として使われるのがふつうです。

鋼鉄はその性質に応じて、次のような使い道があります。

硬くて強じんなものは、機械器具・建築材料・橋梁材料・船舶材料などに使われるほか車両・歯車などに使われます。

すり減りにくいものは砕鉱機・しゅんせつ機・コンクリートミキサー・レールなどに使われます。
そのほか弾性のあるものはバネに、さびにくいものは器具・装飾品などに熱に強いものはエンジンの排気気管などに使われます。

そのほか、私たちが日常生活で使う器具・道具など、非常にたくさんのものに使われています。




鉄の性質とは? 軟鋼と銑鉄とは? わかりやすく解説!

鉄の性質

鉄の性質は、ふくまれている不純物の種類と量によって、いろいろと違ってきます。
とくに、鉄にふくまれる炭素は、その量によって鉄の性質をいろいろとかえるはたらきをします。

ここでは、純粋な鉄について、その性質を調べてみましょう。


純粋な鉄は白色のつやをもち、展性・延性のある金属です。
また、強磁性があり、左の表のような物理的性質をもっています。

鉄は、希塩酸や希硫酸にはよく溶け、水素を発生して塩をつくります。
いっぽう、鉄と硝酸の反応は非常に複雑で、希硝酸には溶けますが水素を発生せず、二酸化窒素などの窒素の酸化物を発生します。

また、濃硝酸に鉄を浸すと、非常に安定した鉄となりほかの物質と化合しにくくなります。

このような状態を不動態といい、不動態になった鉄はもう希硝酸の中に入れてもとけません。

鉄は、酸素とよく化合するほか塩素・イオウ・リン・炭素・ケイ素などとも直接化合します。

軟鋼と銑鉄

溶鉱炉からとりだした銑鉄を、酸化鉄といっしょに反射炉に入れて熱すると硫黄・リン・炭素などの不純物が酸化されて、取り除かれます。

こうしてできた鉄を軟鋼といい、ふつう使われている鉄のなかではもっとも炭素をふくむ量の少ない鉄です。
したがって、性質は、非常に純鉄に近いものです。

軟鋼は、融点が高く溶けにくいので、鋳物にすることはできませんが熱すると柔らかくなるので、叩いていろいろな形にすることができます。

また、軟鋼は展性・延性が大きいので針金・鎖・農器具などをつくるのに使われます。

しかし、最近では、鋼を使ってそういう物をつくることが多くなり軟鋼の使用量は次第に減ってきました。

これにたいして、銑鉄はもっとも不純物を多くふくむ鉄ですから性質も純粋な鉄とにかなり違います。

不純物の中でも、鉄の性質を加えるはたらきの強いものは炭素でいっぱんに炭素をふくむ量が多い鉄ほど、かたくてもろくなります。

また、鉄の融点は、ある一定の限度までは、炭素をふくむほど低くなります。

銑鉄はかたくてもろいために叩いたり引きのばしたりして加工することはできませんが1100~1200℃ぐらいの、わりあい低い温度で溶けますから鋳物をつくるのに適しています。

また溶けた銑鉄は、かたまるときに、少し膨張します。この性質も、鋳物をつくるときに役に立ちます。

しかし、銑鉄は、そのままで加工品をつくるよりもむしろ、鋼の原料として、非常に重要なのです。


鉄のさび

鉄を塩水の中につけておいたり、水がついたままほうっておいたりすると表面に赤かっ色をしたものができます。

これは、ふつう赤さびといわれるさびで、純鉄よりも不純物をふくむ鉄のほうが早くさびます。
また、湿り気が多いといっそう早くさびます。

このさびは、鉄が空気中の酸素平水蒸気と作用してできたものですがこの反応はただの酸化ではなく、非常に複雑な変化です。

したがって、さびの成分もただの酸化鉄だけではありません。
さびには、酸化第二鉄をはじめとして塩基性炭酸第一鉄や塩基性炭酸第二鉄などのような化合物がふくまれています。

このような化合物ができるためには、炭酸が必要です。
つまり、赤さびができるときには、空気中の酸素のほかに水蒸気や二酸化炭素も関係しているわけです。

赤さびは、空気や水分を通しやすいので長い間ほうっておくとしだいに鉄の内部までさびていきしまいには、すっかり腐ってしまいます。

いっぽう空気中で鉄を強く熱すると表面が黒色にかわります。
これは、鉄が酸化して、黒色の四三酸化鉄ができたためで、黒さびとよばれます。

黒さびは、目が細かいので、これが表面にできるとかえって鉄を赤さびから守るようになります。

また、赤熱した鉄に、水蒸気を通しても鉄は酸化されて、四三酸化鉄となります。

このような方法で、鉄の表面に四三酸化鉄をつくって鉄のさびどめにすることがあります。




鉄鉱石とは? 溶鉱炉とは? わかりやすく解説!

鉄鉱石

鉄は、地球上のあらゆる場所の、岩石や砂・粘土などにふくまれていますが実際に鉄をとりだすことのできる鉱石、つまり採算のとれる鉱石の種類はそれほど多くありません。

代表的な鉄鉱石には赤鉄鉱・磁鉄鉱・かっ鉄鉱・炭酸鉄鉱(りょう鉄鉱)黄鉄鉱などがあります。

鉄鉱石は日本には少なくアメリカ・ソ連・フランス・スウェーデンなどの国にたくさん産出します。

溶鉱炉

鉄鉱石から鉄をとりだすには、溶鉱炉を使います。
溶鉱炉は、高さ15~30メートルのやや円すい形の炉で高炉ともいわれ、内側は耐火レンガではられています。

この溶鉱炉の上部から赤鉄鉱や磁鉄鋼のような鉄の酸化物からできている鉱石とコークス・石灰石をかわるがわる入れ、熱風炉で熱した空気を炉の下部(羽口)からふきこみます。

溶鉱炉の中では、まずコークスが燃えて1500℃ぐらいの高い温度になります。

温度が高いのでコークスは、二酸化炭素にはならずすべて一酸化炭素になり、それが炉の上のほうへあがっていきます。

いっぽう、上からは鉄鉱石がおりてきて、それが二酸化炭素にあうと還元されて、溶けた鉄になります。

そして、溶鎔炉の下部のほうへ流れおちます。
いっぽう、石灰石は溶鉱炉の中をおちてきて、900℃ぐらいのところまでくると分解して酸化カルシウムになります。

酸化カルシウムは、鉱石中の岩石分や二酸化ケイ素と化合してケイ酸カルシウムとなるので、やはりとけて流れおちます。

これをスラグといいます。



鉄もスラグも、溶けた状態になっていますが鉄のほうが比重が大きいので、まざりあわず鉄はスラグの下に沈んでおりてきます。

この鉄とスラグは、炉の下部からとりだされるいっぽう原抖はつぎつぎと上部から入れられて、作業がおこなわれます。

こうしてとりだした鉄を銑鉄といい、かなりの量の炭素をふくんでいます。
ふつう一基の溶鉱炉からは一昼夜に2000~4000トンぐらいの銑鉄が生産されます。

いっぽう。スラグは、高炉セメント・スラグレンガなどの製造に利用されます。
また、溶鉱炉の上部からは、窒素・一酸化炭素・二酸化炭素などの混合ガスがでますがこれは、高炉ガスとよばれ、熱風の予熱に利用されています。

銑鉄

銑鉄は鋳鉄ともよばれ、2.2~5パーセントの炭素をふくみます。
炭素のほかの元素もかなりふくまれていてケイ素を0.1~4パーセント、マンガンを0.16パーセントリンを0.01~2.5パーセント、イオウを0.01~6パーセソトぐらいふくんでいます。

ですから、ふつう使われている鉄材のなかでは銑鉄はもっとも不純な鉄といえます。

溶鉱炉からとりだしたばかりの銑鉄は、このように不純ですから軟鉄や鋼は、この銑鉄を原料としてさらにいろいろな工程をとおって、つくられます。



冶金とは? 吹管分析とは? わかりやすく解説!

冶金

ふつう、天然にとりだされる鉱石から金属をとりだすことを冶金といいます。
また、金属を製練したり、合金をつくったりして金属材料をつくることを冶金ということもあります。


冶金は、その方法によって、化学冶金と物理冶金に分けることができます。

金属は鉱物中に化合物としてふくまれることが多いので冶金は、化学冶金によることが多くなります。

金属化合物から金属をとりだすのは、金属の陽イオンを金属原子にかえること
つまり還元することになります。

したがって、化学冶金の方法は、金属を還元する方法ともいえます。

物理冶金は、合金をつくり、熱や力をくわえることによって金属材料をつくりだすことをいいます。

それぞれの金属の冶金や精製の方法についてはその金属の性質を調べるときに、いっしょにくわしく調べることにしましょう。


吹管分析

鉱物などの試料を強く熱して成分を調べる方法に、吹管分析とよばれるものがあります。
吹管分析では、目の細かい木炭に小さな穴をあけ、その中に試料を入れます。

そして、吹管を使ってテクルバーナーの炎を吹き付け、試料を強く熱します。
このとき、吹管の位置によって、酸化炎と還元炎とができます。

酸化炎は、水素や一酸化炭素が燃えて二酸化炭素や水蒸気ができている部分で酸化作用があります。

いっぽう、還元炎は二酸化炭素・水素・二酸化炭素・水蒸気などの混合気体で還元作用があります。

吹管分析では、炎を吹き付けることによって、試料の色がかわるかどうか気体や昇華物がでるかどうかを調べます。

また、試料に炭酸ナトリウムをくわえ、還元炎を吹き付けて強く熱した場合金属粒ができるかどうかを調べます。

還元炎でできる金属粒は、酸化炎で酸化物となりこれが還元されてできたもので、金・銀・銅・鉄・二ッケル・スズ・鉛などの鉱物の場合にできます。

したがって、できた金属粒の色・つや・硬さ・展性や延性などを調べるとどの金属かおおよそわかります。

昇華物は金属の酸化物で、木炭の穴の近くにつき、鉱衣といわれます。
金属粒を酸化炎で熱すると、鉱衣を生じますからこの鉱衣の色や形によって、試料中にふくまれる金属がなんてあるかを決めます。



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