平炉法・転炉法・電気炉法とは? わかりやすく解説!

平炉法

鋼をつくる方法の一つに平炉法があります。
平炉法は現在もよく使われている方法で、イギリスのジーメンスが考えだしたものです。


平炉は、平らな丈の低い炉で、左の図のような構造をもった反射炉です。
この中で、銑鉄・酸化鉄・くず鉄などを原料として重油やコークス炉ガスなどを燃焼させて熱します。

この燃焼ガスは、廃ガスによって、あらかじめ熱せられるようになっているので、炉内の温度を1700℃ぐらいにあげることができます。

原料中の不純物は、ガスの炎で熱せられ、酸化されて取り除かれます。
このようにして、原料は精練されて鋼になります。

平炉法でできた鋼の成分と、原料銑鉄の以分の違いは、表のようになります。

転炉法

転炉法は、イギリスのべッセマーが発明したものです。
これはべッセマー法ともいわれ炉の底の穴から、酸素や空気をふきあげる方法です。

しかし、現在、日本においては、LD転炉という炉を使う方法がもっともよく使われています。

これは、耐火性の物質で内張りした炉の中央に管を入れ、この管から酸素を吹き込んで洗練します。
炉は中央を軸にして回転できます。

原料としては、溶鉱炉からとりだされたばかりの銑鉄が、おもに使われます。
銑鉄は溶けたまま転炉の中に入れられ、上から純粋な酸素がおくられます。

すると、銑鉄にふくまれていたマンガンやケイ素などは少量の鉄とともに酸化して燃えはじめ、つぎに炭素が燃えます。

これらが燃える熱によって、炉の中の温度は下がらず銑鉄は溶けたままでいます。
そのため、不純物の燃焼はそのまま続きます。

つまり、転炉では不純物を燃料として利用するわけで、ほかの燃料を必要としません。



こうして、銑鉄中の炭素がほとんど取り除かれてしまったとき炉の上から、フェロマンガンをくわえ、さらに空気をおくります。

フェロマンガンというのはマンガンや炭素を多くふくむ鉄でこれをくわえるのは、2つの目的があります。

その1つは、炭素がほとんど燃焼してなくなってしまっているので適当な炭素分をくわえて、鋼を良質だものにするためです。

もう1つの目的は空気を通したことによって不純物だけでなく鉄分も多少酸化されているので、これにマンガンを作用させ鉄を還元して回収するためです。

こうしてできた鋼は、良質なもので、適当な型にいれて固めます。

電気炉法

特殊鋼をつくったり、さらに良質な鋼をつくる方法に、電気炉法とよばれるものがあります。

電気炉は、ほかの炉にくらべて、とくに高温(2500~2700℃ぐらい)をだせるうえ温度調節がかんたんにできます。

そのほか、できた鋼の不純物が非常に少ないとか操作がわりあいにかんたんである、などの利点があります。

電気炉は、鋼の製造のほか、合金の製造にも使われています。



スズや鉛の合金とは? わかりやすく解説!

ハンダ

ハンダは、スズと鉛の合金です。
融点が非常に低く、鉛1スズ2の割合でまぜたものは、182℃でも溶けます。


そこで金属どうしをつけあわせるのに使います。
ハンダのうち、鉛2、スズ1の割合でまぜたものは固まりはじめる温度が250℃固まり終わる温度が182℃で、固まる時間が長くそのあいだは自由に形をかえることができます。

この合金は、とくに水道の鉛管をつなぎあわせるのに使われています。

ハンダには、鉛とスズの割合によって、このほかにもいろいろな種類があります。

活字金

鉛・アンチモン・スズを主成分とする合金でふつう、鉛60~90パーセント、アンチモン10~30パーセントスズ10パーセント以下の割合でまぜます。

活字金は溶けやすく、鋳物になりやすい性質をもっています。
また、わりあいにかたいので、活字をつくるのに利用されます。

溶けやすい合金

スズ・鉛・ビスマス・カドミウム・アンチモンなど融点の低い金属をまぜると、いっそう融点の低い合金ができます。

これらの溶けやすい合金を、易融合金といいます。
たとえば、電気の安全器に使われているヒューズは220℃~320℃ぐらいで溶けますが鉛に、アンチモンとスズを少量まぜた合金です。

また、自動消火栓に使われている合金は、66~71℃ぐらいで溶けます。
消火栓のしくみは、火事になると、熱のためにこの合金が溶けて水が自動的に飛び出すようになっています。

この合金はウッド合金といわれるものでビスマス50パーセント、鉛25パーセント、スズ13パーセントカドミウム12パーセントからできています。



アルミニウム合金と軽合金とは? わかりやすく解説!

アルミニウムやマグネシウムなどの金属の合金をはじめ比重が2.5~3.5ぐらいの合金を軽合金といいます。

ここでは、アルミニウムの合金やそのほかの軽合金についてその性質や用途を調べてみましょう。

アルミ金

アルミニウムと銅の合金で、銅に5~12パーセントのアルミニウムをふくむ合金です。
アルミ金は黄色のつやがあり、金の色によく似ています。

おかされにくく、粘り強いのでスプリング・ねじ・機械部品として使われます。
また、海水につけておいても、あまり変化しないので海水中で使用する器具、たとえば船のスクリューの軸などに利用されています。

ジュラルミン

アルミニウムと銅マンガン・マグネシウムなどの合金で銅・マンガン・マグネシウムを、おのおの0.5~1.0パーセントずつふくんでいます。

比重は2.85で非常に軽く、焼き入れをするとかたさと強さが非常に大きくなります。

ジュラルミンの焼き入れは、500℃ぐらいに熱し水中で急に冷やしておこないます。
これを、室温で数日間ほうっておくと、さらに硬さがまします。

ジュラルミンは、板や棒にして飛行機や自動車に使われています。

エレクトロン

マグネシウムとアルミニウム・亜鉛マンガンなどの合金でアルミニウム0.5パーセント、亜鉛0.3パーセント、マンガン1パーセントぐらいをふくみます。

エレクトロンは、ジュラルミンなどのアルミニウム合金よりも軽く、比重は1.8です。
また、非常に強いので飛行機・自動車に使われるほかいろいろな精密器械類の製作にも使われています。

マグネシウムを主成分とする比重のごく小さい合金の全体をエレクトロンということもあります。



銅の合金とは? 白銅・黄銅・青銅・洋銀とは?

銅は、いろいろな金属とよくまざりいろいろなすぐれた性質をもつようになりますので、合金として使われます。

ここでは、銅の合金について、くわしく調べてみましょう。

金と銅の合金

純金は、非常に柔らかいので、ふつう銅をまぜて使います。
銅をまぜるとはるかにかたくなり、金貨や装飾として使われます。

白銅

ニッケルを1、銅を3の割合で混ぜた合金でかたく、さびにくい性質があります。

貨幣として使われるほか、ニッケルのかわりにこれでめっきをした家庭用器具がたくさん使われています。

黄銅

銅と亜鉛の合金で、真鍮ともよばれ亜鉛を30~45パーセントぐらいふくみます。
亜鉛を30パーセントふくむものは、展性・延性にとみ、薄板や線として使われます。

また、亜鉛を40パーセントふくむものはかたくて強くおもに、鋳物に使われます。



青銅

銅とスズの合金でふつうの青銅はスズを4~20パーセントふくみます。
非常に強く、鉄器が発明されるまえまでは武器の製造に使われていました。

現在では、美術品に使われるほか、貨幣や機械の部分品として使われています。

青銅は価格を安くし、また、鋳物にしやすくするために亜鉛や鉛をくわえてつくることもあります。

最近では、スズ7パーセント、亜鉛と鉛をそれぞれ5パーセントずつくわえたものが鋳物にするのに適しているので広く使われています。

洋銀

銅・ニッケル・亜鉛の合金のうち、ニッケルを12~22パーセント亜鉛を18~23パーセントぐらいふくむものを洋銀といいます。

銀白色で、かたくさびにくいので、銀の代用品として、広く使われています。
銀の色に近いものは、亜鉛の量の少ないものです。

洋銀は、食器・時計などに使われるほか、装飾品として使われます。

また、電気抵抗が大きいので電気抵抗線としても使われます。



合金とは? 合金にするわけとは? わかりやすく解説!

いろいろな合金

2種以上の金属を溶かし合わせたものを、合金といいます。
合金のなかには、炭素・ケイ素などの非金属をふくむものもあります。


合金をつくっている金属の状態は、いろいろあって固溶体・共融混合物・化合物およびこれらのまざりあったものの4つに分けられます。

固溶体は、合金のどの部分も均一な物質になっているものです。
共融混合物は、合金をつくっている各金属がそれぞれ、同じ温度で溶けるような状態になっている合金です。

たとえば、銅と二ッケルの場合や、金と白金の場合などはどんな割合でまぜても、溶けると均一な合金になります。

また、アルミニウムと銅の場合や、銅とスズの場合などはまざる割合により、固溶体になったり、共融混合物になったり、化合物になったりします。

いろいろな金属の合金については、その金属の性質を調べるときにいっしょにくわしく調べることにします。

合金にするわけ

これまで調べてきたように、合金をつくる金属の溶けあっている状態にはいろいろあって合金の性質は、その状態によって、いろいろと違ってきます。

したがって、いろいろな金属を適当な割合にまぜて合金をつくると合金にするまえの金属とは、違った性質をもった物ができます。

そして、そのうちの都合のよい性質の物を選ぶことができます。
たとえば、溶ける温度の低い合金・硬い合金・軽い合金・鋳物にしやすい合金などができます。

このように、合金にすると、利用に適した性質をもった物ができるので金属をそのまま使うよりも便利なのです。

私たちがよく見かけるる合金にはハンダ・ヒユーズ・ジュラルミンなどがあります。



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