合成繊維の性質とは? わかりやすく解説!

合成繊維は、繊維をつくっている長い分子を合成したものです。
レーヨン(再生繊維)やアセテート(半合成繊維)の原料はセルロースのようにすでに天然の長い分子としてできあかっているものでこれをいちど溶かして、繊維の形にしたり、あるいは性質をかえるために酢酸をくっつけたりしたものです。

ところが、合成繊維は、石油・天然ガスなどから繊維を形づくるものを合成しておき、それを一列につないで天然のセルロースのように、長い分子にしたものです。


合成繊維の性質

引っぱりの強さが非常に大きく水にぬれても、その強さはほとんどかわりません。
洗濯もたやすく、ワイシャツなどは、夜洗っておけばつぎの日の朝には乾いていてアイロンをかける必要もありません。

また繊維として大切な折り曲げに耐える強さ(屈曲強度)摩擦に耐える強さ(摩擦強度)も、非常にすぐれています。

このほかに、燃えにくいとか酸・塩基に強いとか多くのすぐれた性質をもっています。

熱にたいして弱いという欠点をもってはいますが科学の進歩とともに、この点も改良されるでしょう。

ナイロン

カロザーズによって発明された繊維でベンゼンや石炭酸からつくったアジピン酸・ヘキサメチレンジアミンを原料にしてつくられます。

分子のむすびつき方により、6ナイロンや66ナイロンなどいろいろな種類がありますが現在日本で工業化されているのは6ナイロンが多いようです。

高い温度に熱して溶かしたものを細い穴を通して冷たい空気の中に引っ張り出し糸にします。

ナイロン糸は婦人用のくつ下にナイロンをちぢらせたウーリーナイロンは男子用のくつ下に使われます。

そのほか、レインコート・雨傘の布地、自動車のタイヤコード漁網などがつくられています。



ビニロン

日本で発明された合成繊維です。
アセチレンと水を原料にしてポリビニルアルコールをつくりこれをボウ硝の溶液の中におしだして糸にし(湿式紡糸)さらに、ホルマリンで処理して繊維にします。

学生服・作業衣・漁網・ロープなどに使われています。

アクリロニトリル系繊維

アメリカでつくられているオーロンが有名で日本ではエクスラン・ボンネル・カシミロン・ペスロン・カネカロンなどの商品名で売られています。

セーターや下着類としても多量に使われています。

ポリエステル繊維

日本では、テトロンが代表的なもので原料はエチレングリコールとテレフタル酸です。
木綿などとまぜてワイシャツ・婦人服などに使用されています。

これらのほか、ビニリデン・ポリエチレン繊維ポリプロピレン繊維などがあります。



アセタール樹脂・ポリカーボネート・繊維素合成樹脂の性質と用途とは?

アセタール樹脂

充分精製したホルムアルデヒドを重合させてつくったもので見かけはポリアミドによく似ています。

性質と用途

性質もポリアミドに似ていますが、いろいろな点でさらにすぐれており金属のかわりになる合成樹脂としていちばん注目されています。

歯車、ベアリング、いろいろな機械部品、薬品瓶などがつくられていますがそのうちにもっと値段が安くなるといわれていますので、使い道はさらに広くなるでしょう。


ポリカーボネート

ビスフェノールとホスゲンとからつくられ、やや黄色みがかった合成樹脂です。

性質と用途

叩いても踏みつけても割れない非常に丈夫な合成樹脂です。
熱にも強く、長いあいだ日光にてらされても強さがかわりません。

この樹脂も金属のかわりに使うことのできる材料でたとえば保安帽・歯車・機械部品・熱湯消毒のできるほ乳瓶・医療用器具・薬品瓶などに使われます。

繊維素合成樹脂

天然高分子である繊維素に、硝酸をはたらかせるとセルロイドの原料になる硝酸繊維素ができますがこれはたいへんよく燃えるので、火事の危険があります。

硝酸のかわりに、酢酸や、ラク酸をはたらかせると安全な酢酸繊維素やラク酸繊維素ができます。

これに可塑剤をまぜると、繊維素合成樹脂になります。

性質と用途

繊維素合成樹脂は、丈夫で割れにくく、美しい見かけをもっています。
セルロイドは加工しやすく、眼鏡の枠や、くしなどの雑貨がつくられ酢酸繊維素を原料としたものは、難燃セルロイドといわれ写真や映画のフィルムとかねじまわしの柄、おもちゃなどに使われます。



新しい合成樹脂

合成樹脂に関係する学問や工業は、すばらしい勢いで進歩しています。
最近も、つぎつぎと新しい合成樹脂が生みだされています。

その中から、工業的に使い道の多いものを、いくつかとりあげて説明しましょう。

アイオノマー

ポリニチレンの仲間ですが、完全に透明で破れにくいフィルムをつくることがで、包装材料として期待されています。

ポリフェニレンオキシド

200℃以上の温度で長時間使っても、性質がかわらず薬品にも強いのでステンレス鋼のかわりに使われるようになるかもしれません。

ポリスルホン

割れにくく熱にも強いので、やはり金属のかわりになるでしょう。

ポリイミド・ポリアミドイミド・ポリペンゾイミダソール

宇宙開発のためにつくられた耐熱性合成樹脂でいずれも、300℃以上の温度に耐えられますのでロケットやミサイルの重要な電気部品に使われています。



メタクリル樹脂・ポリエチレン・ポリプロピレン・フッ素樹脂・ポリアミドの性質と用途とは?

メタクリル樹脂

アセトンと青酸からつくられる樹脂です。
石油化学製品から直接つくる方法も考えられています。

性質と用途

合成樹脂の中で最も光線を通しやすく、また丈夫で割れにくく日光にてらされても性質がかわりません。

ですから、ヘリコプターの風防ガラス、看板の材料、照明器具、光学レンズなど使い道の広い樹脂です。
美しい真珠光沢のあるボタンもこれでつくられますしコンタクトレンズや入れ歯の材料にも使われます。


ポリエチレン

ポリエチレンは、石油の分解ガスからとれるエチレンを重合させてつくりますがこの重合法には、高圧法・中圧法・低圧法の3つがありつくりかたによって、できるポリエチレンの性質も少し違ってきます。

性質と用途

ポリエチレンは、可塑剤をくわえなくても、柔らかい製品がえられるのが特徴ですが高圧法のものより、中・低圧法のもののほうが硬くて丈夫で溶ける温度も高くなります。
水や薬品に強く、電気を通さないのは、すべてのポリエチレンに共通した性質です。

ポリエチレンのいちばん大きな用途は食料品や雑貨などを包む袋や温床などに使うフィルムです。

また、軽くて壊れにくい性質を利用してごみ箱・バケツ・たらい、ジュースやビールの運搬箱、水筒、薬品瓶などたくさんの種類の製品がつくられています。

ポリエチレンは、安くて使いやすい合成樹脂ですから我が国では、合成樹脂の中で、いちばん多く製造されています。

ポリプロピレン」

石油からとれるプロピレンガスを原料としポリエチレンの低圧法によくにた方法でつくられます。

性質と用途

およその性質は、ポリエチレンとよく似ていますので、使い道も似ています。
しかし、ポリエチレンよりもさらに耐熱性がよく丈夫で見かけも美しいものがつくられます。

最近は、荷造り用の丈夫なひも、またこれを編んでつくった袋や敷物などにも
たくさんのポリプロピレンが使われています。



フッ素樹脂

フッ素原子が結合したエチレンやプロピレンを重合させてつくった樹脂で、みかけばポリエチレンによく似ています。

性質と用途

あらゆる薬品におかされず、低温から高温まで性質かかわらず電気を通さず、まったく水を吸わないというすばらしい性質をもっていますが残念なことに、値段が高く成形しにくいという欠点があります。

使い道としては、電気の高度絶縁材料として宇宙科学の発展に大きな役目を果たしているほか化学工場のパイプやタンクの内ばり、機器のパッキングなどにまた家庭用品には、この樹脂をぬりつけた「油のいらないフライパン」などがあります。

ポリアミド

石炭または石油と空気と水を原料にして合成されますが原料の種類によって、いろいろな性質のポリアミドをつくることができます。

合成繊維ナイロンは、ポリアミドの一種です。

性質と用途

ポリアミドは、丈夫で摩擦に強いのがいちばんの特徴で繊維にして丈夫な靴下や織物がつくられていることは、みなさんも知っているでしょう。

また、滑りやすい性質を利用して油のいらない歯車・戸車・かっ車などがつくられていて金属材料のかわりに使える合成樹脂の1つです。



塩化ビニル樹脂・酢酸ビニル樹脂・スチレン樹脂の性質と用途とは?

塩化ビニル樹脂

アセチレンと塩酸を反応させてできる塩化ビニルを重合したもので、もっとも安いプラスチックの1つです。

くわえる可塑剤(合成樹脂を柔らかくする薬品)の量により、性質や見かけがかわります。


性質と用途

可塑剤をいれたものを、軟質塩化ビニル樹脂、いれないものを硬質塩化ビニル樹脂とよびます。

軟質塩化ビニル樹脂からは、フィルム、ふろしき、テーブルかけホース、電線のおおいなどがつくられ、硬質塩化ビニル樹脂は丈夫で薬品にも強いので、水道や工場用のパイプ、波板、雨どい透明な瓶、容器などがつくられます。

塩化ビニリデン樹脂

塩化ビュル樹脂に、塩素がさらに結合した形の樹脂です。

性質と用途

油や薬品に強く、燃えにくく水蒸気などの気体を通しにくい性質をもっています。
また、低温でも柔らかいので、ほとんど繊維やフィルムとして使われています。

緑色の防虫網、美しい色のテントや日やけ、ビーチパラソルなどはこの繊維を織ってつくります。
また、フィルムは、冷蔵庫に食べ物などを入れるときに家庭でも使いますし、ソーセージなどの包装にも使われています。

酢酸ビニル樹脂

アセチレンと酢酸から合成される酢酸ビュルを重合させてつくります。
夏の温度(30℃くらい)で柔らかくなってしまいますのでこれで形のある品物をつくることはできません。

性質と用途

日本でつくられているチューインガムのほとんどは酢酸ビュル樹脂に砂糖や香料をねりこんだものです。
この樹脂の、ほかの大切な使い道は、接着剤や塗料です。

学校の工作で使う接着剤は、でんぷんのり以外はほとんど酢酸ビニル樹脂が主原料です。
しかし、日本でつくられる酢酸ビニル樹脂の大部分はつぎに説明するポリビニルアルコールの原料になっています。



ポリビニルアルコール

酢酸ビニル樹脂をメチルアルコールに溶かし水酸化ナトリウムをはたらかせてつくります。

性質と用途

温水に溶けるという、合成樹脂の中では珍しい性質をもっていますので、水溶性接着剤などにも使われます。

油には強いので、食品や機械部品の包装材料に使われていますが大部分は合成繊維ビニロンの製造原料にむけられます。

スチレン樹脂

ベンゼンとエチレンから合成されるスチレンを重合させてつくります。
スチロール樹脂ともいいます。

性質と用途

無色透明で、成形しやすく薬品に強く電気を通さないなどの性質をもっていますが、ややもろいのが欠点です。

合成ゴムやアクリロニトリルを共重合させて性質を改良した耐衝撃性スチレン樹脂、すなわちAS樹脂・ABS樹脂などもつくられています。

スチレン樹脂は、テレビやラジオの前部の文字板、いろいろな台所用品、おもちゃ、文房具、アイスクリームなどの食品カップなどに使われます。

また、この樹脂をスポンジのように膨らませたものは割れ物の包装材料や断熱材などの用途があります。
ABS樹脂に、丈夫で割れにくいので今まで金属が使われていたもののかわりに美しいめっきをつけた成形品にして使われています。



ポリエステル樹脂・エポキシ樹脂・ウレタン樹脂・ケイ素樹脂の性質と用途とは?

ポリエステル樹脂

フタル酸とマレイン酸をまぜ、これにエチレングリコールをくわえて縮合させ
できた樹脂をスチレンに溶かすのが代表的なつくり方です。

原料の種類、組みあわせをかえるといろいろ性質のかわったポリエステル樹脂になります。(ポリエステル繊維とは別のものです)

この樹脂に、重合触媒や促進剤などを少しくわえると熱や圧力をあまりくわえなくても成形できます。

性質と用途

ポリエ不テル樹脂は、化学薬品や熱にかなり強くとくにガラス繊維といっしょに成形すると強化ポリエステルとよばれる丈夫な製品になります。

住宅や工場で使われる、半透明の波板・薬品タンク、ボートやヨッ卜航空機の部品、保安帽など、いろいろなところに使われています。


エポキシ樹脂

エポキシ樹脂は、エピクロルヒドリンとビスフェノールとからつくられるものが代表的です。
これを固めるには、硬化剤(アミンまたは酸無水物)をまぜなければなりません。

性質と用途

エボキシ樹脂は、何にでもよくつくので、万能接着剤として有名です。
とくに軽金属にたいして、すぐれた接着力をしめすので航空機の組み立てなどにも使われています。

接着性がよいばかりでなく、電気を通さず、薬品にも耐えるので電子機器をはじめ、いろいろの工業で、大切な使い道があります。

ウレタン樹脂

座布団やマットレスのクッションなどによく使われているスポンジはウレタン樹脂からつくったものです。
これは、ジイソシアネートとポリエーテルまたはポリエステルとを反応させてつくります。

ゴム状のものや、塗料などに使う液状樹脂もつくられています。

性質と用途

ウレタン樹脂は、ゴムのような弾性があるので、クッション用スポンジに適した材料です。
また、すり減りにくいのでタイヤに使うのに具合がよいのですが今はまだ値段が高いのでそれほど広く使われていません。

しかし、木工品の塗料や、ケミカルシューズの接着剤としては重要なものです。


ケイ素樹脂

ケイ素と塩化メチルなどからつくられるケイ素樹脂(シリコーンともいう)は分子の本体が無機化合物なので、ほかの合成樹脂よりも高い温度によく耐えます。

油状からゴム状まで、いろいろありますが電気を通さず、水をはじき泡を消すなどのおもしろい性質をもっています。

性質と用途

ケイ素樹脂のいちばん大きな特徴は、高温(250℃)から低温(零下65℃)まで柔らかさや強さなどの性質がかわらないことです。

使い道は、電気の絶縁材料が第一でこれを利用したモーターは、非常に小型になり水に浸かっても平気です。

そのほか、防水剤・潤滑油・パッキングなど非常に広い用途がありますが、値段の高い樹脂です。



フェノール樹脂・ユリア樹脂・メラミン樹脂の性質と用途とは?

現在、製造されているおもな合成樹脂は30種類ぐらい(細かく分けると100種類以上)もありそれぞれすぐれた性質をもっているので、その用途は近年どんどん増えています。

1967年に日本でつくれた合成樹脂の量を合計すると267万5000トンになりこれは世界で2番目の生産量で、各種の化学工業製品の中では一番です。

なお、合成樹脂の原料は石油化学工業によってつくられるものが多くなりました。


フェノール樹脂

フェノール樹脂は、もっとも古くから使われだした合成樹脂ですがいろいろな合成樹脂がつくられるようになった現在でも、いろいろな用途に使われています。

フェノール樹脂は、フェノール(石炭酸)とホルマリンを酸や塩基を触媒として縮合させてつくります。
酸を触媒としたものは、木粉や硬化剤をくわえて熱ロールでねり細かく砕いて成形材料にします。

塩基を触媒としたときは、できた樹脂液を紙や布に染みこませて積層素材にします。

積層素材は何枚も重ねて金属板のあいだにはさみ熱と圧力をくわえて硬化させると板状の製品ができあがります。

成形材料は、金型で熱と圧力をかけて仕上げます。

性質と用途

フェノール樹脂は、丈夫で酸や油におかされず熱に強く、電気を通しにくい特徴があります。
欠点は、塩基に弱く明るい色をつけにくいことです。

電気絶縁材として、電気・通信機器にたくさん使われますが軽くて丈夫で、さびないということで歯車・軸受・ハンドルなどの機械部品、酸に強い器具や事務用品食器にもつくられています。

そのほか、塗科や接着剤としても大切な樹脂です。


ユリア樹脂

ユリア(尿素)とホルマリンを縮合させるとユリア樹脂ができます。原料のユリアは肥料としても使われるたいへん安い工業原料ですから、

ユリア樹脂は安価な樹脂の1つです。

ユリア樹脂に、パルプの粉をまぜて成形材料をつくりますがこれを金型に入れ、成形機で加熱・加圧すれば製品ができます。

性質と用途

性質は、フェノール樹脂に似ていますが、水・熱に耐える性質や長もちという点では劣るので成形品は、工業的なものには、あまり利用されません。

しかし、樹脂は、無色透明で、鮮やかな色を自由につけられつやもよいので化粧品・医薬品の容器や瓶のキャップ、電気器具の部品、コップや子ども用食器、ボタンなどの雑貨類に使われます。

そのほか、樹脂液は合板の接着剤としてまた織物にしわがよりにくくする処理剤として用いられています。

メラミン樹脂

メラミンとホルマリンとがらつくられ見かけはユリア樹脂とよく似ていますが、いろいろな点ですぐれています。

性質と用途

ユリア樹脂と同じように、無色透明ですから自由に色をつけられるほか、熱や水にたいして、はるかに強く煙草の火ぐらいではすぐにはこげません。

また、表面が硬いので傷がつきにくいのですが、値段は少し高くなります。

最近、机や家具などの表面に木目や美しい模様をつけた化粧板がたくさん使われていますがこれはフェノール樹脂を染みこませた紙を重ねその上に、メラミン樹脂を染みこませた模様紙をおいて成形したものでデコラというのは、この商品名の1つです。

メラミン樹脂の成形品は、電気器具の部品にも使われ陶器と見間違えるような食器類もつくられています。

そのほか、塗料原料としても大切で自動車・電気冷蔵庫・電気洗濯器などの美しいつやや硬さは、この樹脂のおかげです。

また、接着剤・繊維処理剤としても高級品として使われています。



合成樹脂のつくりとは? 合成樹脂の性質とは? わかりやすく解説!

合成樹脂は、縮合(縮重合)とか重合(付加重合)といわれる化学反応によってつくられます。

分子には、ほかの分子と化学的に結合できる手を何本かもっているものがいろいろあります。


合成樹脂、つまり高分子物質をつくるにはこの手を2本以上もった分子を原料としなければなりません。

下の図は、分子の結合する有様を模型でしめしたものです。
結合する手が2本以上ですから、分子どうしが互いに手をつないでいけば、高分子物質ができあがります。

このように手をつなぐときに、図(a)の(イ)のようにただつながっていく場合(付加重合)と(ロ)のように手の先についている原子が離れると同時につながっていく場合(縮重合)とがあります。

そしてこのとき、手離された原子どうしが1つの分子(水・二酸化炭素・アンモニアなど)になって放出されます。

手が3本以上ある分子の場合には、図の(b)のように上下にもつながり、網目のようなつくりになります。

そしてこの網目は平面的ではなく運動場のジャングルジムのように立体的なしくみの巨大分子になるのです。



熱可塑性と熱硬化性

合成樹脂は、その特徴によって大きく2種類に分けられます。
その1つは、チョコレートのように熱をくわえると柔らかくなりついには溶けますが冷やすと、またもとの固体になる樹脂でこれを、熱可塑性樹脂といいます。

この樹脂は、図(a)の(イ)または(ロ)のように2本の手で長く糸のようにつながった分子からできています。

もう1つは、卵のように加熱すると固まりいちど固まると、さらに熱をくわえても柔らかくならない樹脂でこれを熱硬化性樹脂といいます。

図(b)のように網目状の分子からできているのがこれですがこのような網目の結合が完成する途中では、加熱すると柔らかくなりますのでこの時期に成形します。

合成樹脂の特徴

合成樹脂には、いろいろな種類があり、それぞれ特徴がありますが一般的につぎのような性質をもっています。

  • ①軽くて、丈夫である
  • ②電気を通しにくい
  • ③酸や塩基などに強いものが多く、さびたり、腐ったりしない
  • ④能率よく成形できる
  • ⑤透明、または半透明なものが多く、明るい色をつけられるので、見かけの美しいものがつくれる
  • ⑥原料がわりあい豊富で、しかも安い




天然樹脂・合成樹脂とプラスチックとは? 高分子物質とは? わかりやすく解説!

天然樹脂と合成樹脂

松の木の幹に傷をつけると、その部分から黄色い水あめのようなねばねはした液がにじみでてきます。
これが松脂ですが、ほかの樹木も同じようなものをだします。

これらは、みな樹脂とよばれますが、これらの樹脂は天然にできたものですから
天然樹脂といわれています。

この天然樹脂にたいして、いろいろな化学薬品を原料として化学反応でつくられる、天然樹脂のような見かけと性質をもったものを合成樹脂とよんでいます。


合成樹脂とプラスチック

最近は、合成樹脂というかわりに、プラスチックという言葉がよく使われます。
合成樹脂がはじめてつくられたころは、天然樹脂に似たものがその後いろいろな種類の合成樹脂がつくりだされその中には、松脂などと見かけも性質も違ったものが、たくさんあります。

そのため、最近は、合成樹脂のことを「プラスチック」という名前でもよぶようになってきました。
しかし、今までの習慣で合成樹脂という言葉も広く使われていますからプラスチックとは、合成樹脂でつくったものの総称であると考えてよいでしょう。

プラスチックという言葉のもとの意味は「あるものに熱や力をくわえると、自由に形をかえることができそのあとは、もとの形にもどらない性質」のことです。

このような性質は粘土などももっていますが合成樹脂にとっていちばん大切な性質なのです。
合成樹脂の製品をつくるときには、この性質を利用して熱や圧力をくわえ目的の形のものに作り上げるわけです。

これを成形といいます。

合成樹脂が、このような便利な性質をもっているのはこれがいずれも高分子物質であるからなのです。



高分子物質

ほとんどの有機化合物(炭素を中心とした化合物)は、分子からできています。
分子は、たいそう小さいものですから、直接に目で見たり重さをはかったりすることはできませんが、物質の性質は分子の大きさによって、大きくかわってきます。

ですから、分子の大きさをくらべることは大切なことです。

ふつう、分子の重さ(分子量という数)が、このために使われます。
分子量というのは、炭素12の原子の重さを12としてほかのいろいろの分子の重さを、これとくらべた値です。

たとえば、水の分子量は18、エチルアルコールは46、砂糖は342です。
たいていの有機化合物は、分子量が500以下ですが中には何千、何万、いや何百万という大きな分子量をもったものもあります。

このような分子量の大きい物質を、高分子物質といい分子量の小さなもの(低分子物質)とはまったく違った性質をしめします。

つまり、分子量が大きくなると、分子が糸のように長くなりこの長い分子が互いに絡まりあって高分子物質に特有の性質をしまします。

でんぷんやたんぱく質は、天然産の高分子物質のよい例ですが合成樹脂や合成繊維は、高分子になることのできる分子量の小さい化合物を単位原料としてつくったものですから、合成高分子物質ともよばれています。



石油化学工業とは? わかりやすく解説!

原油からガソリンそのほかの燃料や機械油をつくるのが石油工業(または石油精製工業)です。
これにたいして、石油や天然ガスの成分から、いろいろな化学製品をつくりだす工業を石油化学工業と名づけ、その製品を、石油化学製品といいます。


石油化学工業は、石油工業からでる副産物を利用しようとしてはじめられましたがしだいに発達して、肥料・合成樹脂・合成ゴム・合成繊維・合成洗剤などほとんどすべての化学製品がつくりだせるようになりました。

石炭やカーバイド、さらに農産物・水産物などからつくられていた化学製品でも石油を原料にしたほうが安く、そのうえ多量につくれるようなものはだんだん石油からつくられるようになりました。

石油化学工業は、アメリカでは1920年ころからはじめられ1950年ころから急に発達しました。原料はおもに天然ガスです。

日本では1955年ころからはじめられましたが発達のスピードが早く、当時、生産高は世界2、3番めになっています。

原料はおもにナフサです。
石油化学製品を分けてしめすと、およそつぎのようになります。

・石油や天然ガスから水素をつくり、それから合成するもの

アンモニア・硫酸アンモニウム・ユリア樹脂・メチルアルコール・ホルムアルデヒド。

・メタンからの合成品

青酸・アセチレン・クロロホルム・四塩化炭素。

・エチレンからの合成品

ポリエチレン・塩化ビニル・エチレンオキシド・グリコール・アセトアルデヒド・エチルアルコール・酢酸・四エチル鉛・スチレン。

・プロピレンからの合成品

ポリプロピレン・塩化アリル・アリルアルコール・アセトン・グリセリン・プロピレングリコール・アクリロニトリル・合成洗剤・合成ゴム。

・ブチレンからの合成品

メチルエチルケトン・ブチルアルコール・ポリブテン・ブチルゴム。

・ブタジエンからの合成品

合成ゴム(SBR・NR・ステレオゴムなど)・ナイロン原料。

・イソブチレン・イソアミレンなどからイソプレンをへての合成品

合成ゴム

・石油芳香族からの合成品

(ベンゼン系)フェノール・スチレン・ナイロン原料、染料や火薬の原料、DDT、BHC、合成洗剤など。(トルエン系)火薬・安息香酸・テトロン原料・クレゾールなど。

(キシレン系)無水フクル酸・イソフタル酸・テレフタル酸・テトロン原料・エチルベンゼンなど。

・その他

ナフタリンーパラフィンロウからのたんぱく質飼料・硫黄・硫酸など。



石油製品の性質と用途とは? わかりやすく解説!

液化石油ガス

原油の分留やグラフやクラッキングをするときに副産物としてでてくる炭化水素ガスのうち、圧力(10気圧ぐらい)をかけるとたやすく液体になる部分を、液化石油ガス(LPG)とよびます。

液化石油ガスには、おもにプロパンとプロピレンがまじったものとおもにブタンとブチレンがまじったものとがあります。

前のほうはおもに家庭燃料や自動車燃料として使われふつう「プロパンガス」とよばれております。
あとのほうは、おもに工場の燃料として使われます。

日本では、木炭・薪・石炭などにかわって家庭で使われたり自動車用ガソリンのかわりに使われる液化石油ガスの量が1960年頃から急に増え国内で製造される分だけでは間に合わなくなりました。

それで、中東地方やインドネシアなとから冷凍タンカーで液化して運ぶことが盛んになりました。


ガソリン

ガソリンは沸点がおよそ35~200℃、炭素原子数が5ないし11ぐらいのいろいろな炭化水素の混合物で、使いみちによって工業用・自動車用・航空成用の3種類に分けられます。

石油化学工業でたくさん使われるナフサは沸点がやや高いガソリンと考えればよいのですが日本ではガソリンと区別してよんでいます。

工業用ガソリンは、原油から分留したままのガソリンで、沸点がやや低いものです。
染み抜きベンジン、ライター油、クリーニング用、塗料のシンナー、ダイス油製造用などに使われます。

自動車用ガソリンは、おもに自動車燃料として使われるもので分留・クラッキング・リホーミングなどいろいろな方法で製造したものをまぜあわせ品質を整え、それに四エチル鉛という薬品をくわえてつくります。

四エチル鉛は、ガソリンのオクタン価を高くすつのにたいへん役に立ちます。

オクタン価

エンジンはガソリンが蒸気になってエンジンに入り空気とまじりあって激しく燃え、その勢いで力がでるようになっています。

このとき充分にエンジンの力を出させることができるかどうかの尺度として使われるのが、オクタン価です。

オクタン価は、イソオクタンを100、また正ヘプタンを0とし両方の混合物と比較試験(比べるテスト)をして決めます。

エンジンの性能が高くなるほど、ますます高いオクタン価のガソリンが必要となります。

オクタン価の高いガソリンをつくるにはクラッキングやリホーミングを利用するだけではなく四エチル鉛という薬品をごくわずかくわえます。

四エチル鉛は、ものすごい毒作用があるのでこれをくわえたガソリンは染料で色づけすることに決められています。

日本の自動車用ガソリンのオクタン価は、ふつう品(レギュラー)で92ぐらい
特製品で(プレミアム)100ぐらいです。

航空機用(または航空)ガソリンは自動車用ガソリンの品質をいっそう高めたものと考えてよく、とくにオクタン価を高くしてあります。

ガソリンは、プロパンガスと同じように引火して爆発するので、注意して取扱かわなければなりません。

灯油

灯油はガソリンより沸点が高く、分子量の大きい炭化水素の混合物です。
電燈がなかった時代には灯油は灯火用としても大切な石油製品でした。

しかしいまは、灯火用としては灯台や山奥などで少し使われるだけでかえって家庭の石油コンロ・石油ストーブなどに多く使われるようになりました。

また、石油エンジンの燃料、機械を洗う油、塗料溶剤、殺虫剤原料などとしても使われています。

ジェット機の燃料としては、沸点がやや高いガソリンと灯油とが使われますがプロペラ機が減ってジェット機が増えたためまたジェット機がますます大型になるためにこの方面に使われる灯油の量もますます増えています。

軽油

軽油は、灯油よりもさらに沸点が高く、分子の大きい炭化水素の混合物で分留されたものがそのまま使われます。

使い道はディーゼルエンジンの燃料、ストーブ燃料、機械を洗う油、金属を切ったり削ったりするときの工作用の油などです。

重油

軽油よりもいつそう沸点の高い、重い油で、かっ色や黒色の色がついています。
重油は大型船・発電所・工場ボイラー・製鉄工場などの燃料として使われます。

これまで長い間、石炭を使っていたところでも、重油のほうが使いやすく安くつくのでだんだん重油を多く使うようになりました。

日本で1年間に使う石油の量は、約1億2千万キロリットル(1967年度)にもなりましたが、そのうち60パーセントぐらいが重油です。


機械油

機械油は、よく精製されたねばりけのある重い油で機械のすれあう部分にぬるのに使います。

機械油をぬると、すべりやすくなるために摩擦が少なくなり。
機械がすり減るのを防ぎます。
機械にはいろいろな種類があるので機械油も、ねばりけやそのほかの性質を加えた。

いろいろな種類がつくられています。

機械油はまた、金属工作、焼き入れ、さびどめ、電気の絶縁などに使われさらに精製したものは化粧品・グリースなどの原料になります。

アスファルト

アスファルトは、なかば固体の、分子の大きい炭化水素の混合物でねばりけや弾力性があり、低温でもろくならない性質をもっています。

道路舗装材として大切であるほか、堤防工事・コンクリートエ事などのときの防水材、屋根ふきの材料、電気絶縁材料などとして使われます。

パラフィンロウ

沸点が高く、分子量の大きい正パラフィン炭化水素は白色の結晶になります。
これがパラフィンロウです。
木ロウや鯨ロウも同じようにロウとよばれますがこれらは酸素をふくむ化合物ですから、パラフィソロウとは別なものです。

パラフィンロウは、ろうそく・パラフィン紙・クレヨン・マッチの軸木などをつくるのに使われ、また電気絶縁材料、つやだし材料、火薬の湿気をふせぐ材料などとして用いられれます。

ワセリン

成分はパラフィンロウによく似たものですが、結晶にはなりません。
化粧品や薬品をつくるのに使われ、また金属のさびどめ用にも使われます。

グリース

グリースは。機械油にセッケンと少量の水をまぜ、ねりあわせてつくります。
使い道は、機械油と同じです。

石油コークス

重油のクラッキングを長い時間続けるとガス・ガソリン・灯油・軽油などが取れたあとに、炭素分の多いコークスが残ります。

これが石油コークスで、石炭からとれるコークスとくらべて灰分が少ないので、よい電極材料になります。



石油の分留・クラッキング・リホーミングとは? わかりやすく解説!

石油の分留

炭化水素はいっぱんに、分子の大きさが増すにつれて、沸点がだんだん高くなります。
そのため常温(ふつうの温度)で気体のもの、液体のもの、固体のものなどがあり
それらが溶けあって原油を形づくっています。


それで原油に熱をくわえると、分子の小さいものから順々に気体(蒸気)になって
飛び出してくるので、その蒸気を冷やして分けとると、いろいろな石油製品がえられます。

このように、石油の成分をいったん蒸気にして分ける作業を、石油の分留といいます。

おもな石油製品の沸点(留出温度)の広がりかたは表のようになります。
沸点が少しずつ重なりあっていますが、燃料として使う場合このことは差支えありません。

また、表のなかに原油からとれる割合(収率)がしめされていますが
これも原油の産地、種類などによって、非常に違うので、決まった数値ではありません。

ガソリン分のうち、沸点の高い部分が石油化学工業の原料として使われ
その量は自動車用ガソリンと同じくらいか、またはそれ以上にもなります。

これをナフサとよんでいます。

機械油は、重油分を真空に近い圧力のもとで、細かく分留してつくります。
その一部から、さらにパラフィンロウ・ワセリンなどもつくりだされます。

アスファルトには、原油を分留したあとに残っていて
そのまま使えるスレートアスファルトと、重油分に熱した空気をふきこんで
重合させてつくるブローンアスファルトの2種類があります。

石油製品の精製

原油を分留してつくられたいろいろな石油製品は、そのままでも使われますが
たいていの場合、品質をよくするためにさらに精製したり加工したりします。
とくに、ガソリンと機械油にはこれが必要です。

原油には、硫黄・酸素・窒素などの化合物がふくまれているため
これらがどうしても、石油製品の中に入ってきます。

そしてこれらの化合物は、ごくわずかでも
製品のにおいや色を悪くしたり金属をさびさせたりします。

ガソリンや灯油の場合には、硫酸・塩基の溶液、水などで洗えば
それらの不純物(まじりもの)の大部分を取り除くことはできますが
完全に取り除くためには、触媒を使い高温高圧の水素をはたらかせて処理します。

軽油や重油は、これまで特別な精製をしなくてすみましたが
硫黄化合物が燃えたときに発生する二酸化硫黄が大気を汚すおもな原因になりますので
ガソリンの場合と同じような、水素を使う精製法で軽油や重油も精製されはじめました。

機械油の場合には性質(ねばりけなど)を悪くする成分を分けてとる作業が必要です。
ロウ分とアスファルト分を、冷やして結晶させたり
まじりあわない溶剤(アスファルトなどを溶かしこむ薬品)で
洗って取り除いていく方法で、精製します。

同じ種類の製品について、たとえば重油や機械油の場合は
品質が少しずつ違うものをまぜあわせて、一定の品質のものにする作業も大切です。

これらの精製法のほか、石油製品の品質をよくするため
ごく少しくわえて使う薬品類がいろいろあります。

これらを添加剤とよびます。

添加剤には、ガソリンの燃えかたを調節するもの、機械油のねばりけをよくするもの
アスファルトがもろくなるのを防ぐものなどがあります。


クラッキング

これまでに述べたように、ガソリンはふつう、原油の分留によってつくられます。
しかし自動車・飛行機などが増えるにつれて
分留でつくったガソリンだけでは間に合わなくなってきました。

そこで同じ量の原油から、できるかぎり多くのガソリンをつくりだすことが
研究された結果、軽油や重油を熱によって分解すればガソリンがとれることがわかり。

工業的に行われるようになりました。
この方法をクラッキング(熱分解)、または分解蒸留とよびます。

グラッキングははじめのうち、熱の作用だけでおこなっていましたが
圧力をかけたり、触媒を使うといっそう品質のすぐれたガソリンがとれることが
わかったので、いまは天然または人工の白土を触媒として使う
接触分解法(または、キャットクラッキング)が多く採用されています。

リホーミング

原油から分留法によってえられたガソリンの品質をよくする方法に
リホーミング(または改質)という方法があります。

これはガソリンの中にふくまれている、いろいろな炭化水素のうち
ガソリンの成分としてあまり適当でないような
炭化水素の分子の成り立ち方(分子の構造)を高温高圧の水素ガスの中で
触媒を使ってかえる方法です。

たとえば、炭素原子8個の炭化水素の場合
炭素原子の互いのむすびつき方や水素原子の炭素原子への
むすびつき方にしたがって、たくさんの種類があります。

それらのうちから4種類だけとりだしてしめすと、図のようになります。

この4種類のうち、どれがガソリンの成分としてすぐれているかを比べると
①のような枝分かれのないものよりも、②のように枝分かれしているものがよく
また③と④とでは、水素原子が少ない④のほうがすぐれていることになります。

そこで、①や③のような成分の多いガソリンを、高温高圧の水素とまぜ
白金や酸化クロムのような触媒の上をとおして
②や④のような成分を増加させるのが、リホーミング法です。

このほかにも、ガソリンの品質をよくするような成分をつくる方法がありますが
分留・クラッキング・リホーミングの3つの作業が
製油所でガソリンをつくる場合の、もっとも大切な作業です。



石油製品とは? 石油の成分とは? わかりやすく解説!

石油の成分

石油はいろいろな炭化水素がまじりあったものです。
炭化水素というのは、炭素原子と水素原子だけからできている化合物でいちばん簡単なのはメタンですが、それよりも分子が大きく炭素がくさりのようにつながったもの、六角の輪につながったもの枝分かれしたものなど多くの種類があります。


どのような種類の炭化水素が多くふくまれているかは、石油の産地によって違います。
たとえば中東地方やアメリカ東部地方の石油はパラフィン系(くさり状)炭化水素が多くふくまれそれにたいしアメリカ西部地方や日本の石油にはナフテン系(分子に輪の部分がある)炭化水素が多くふくまれています。

なお、主成分の炭化水素のほかに、硫黄をふくむ化合物窒素をふくむ化合物、酸素をふくむ化合物なども原油の中に少しずつ入っています。

石油製品

原油から分けてとったり、またそれを加工してつくりだした製品を石油製品とよびます。
もとになる原油の主成分が炭化水素ですから石油製品も当然いろいろな炭化水素の混合物です。

石油製品には、石油ガス・ガソリン・灯油・軽油・重油・石油コークス・アスファルト・潤滑油(機械油)などがあります。

そしてこれらは、おもに燃料や機械の潤滑用に使われます。
なおこれらの用途のほか、石油製品は薬品や化学工業原料として使われます。




石油のでき方とは? 石油の取り出し方とは? わかりやすく解説!

石油は紀元前のはるか昔から、すでに人々に知られたとえばアスファルトが塗料などに用いられたと伝えられています。

しかし、いまのような石油工業は19世紀の半ば過ぎから起こったものであり、はじめは、灯火用の油、つまり灯油がおもな製品でした。

それで、石油といえば灯油のことをさした時代もありました。

ところが、汽車・自動車・船・飛行機、そのほかいろいろな機械が発達するにつれて石油からは灯油だけでなく、ガソリン・軽油・重油・機械油などをもつくりだせるようになりました。

ですから、地下からくみとしたままの原油を石油といいそれからつくりだしたものはすべで石油製品というのが正しいよびかたです。


石油のできかた

石油が地中でできたのは、いまから数えて1千万年から4億年もまえのことですからどのようにしてできたか、くわしいことはわかりません。

しかし、多くの人の研究の結果からおよそつぎのように考えられています。

つまり、大昔地球上に住んでいたたくさんの微生物の死骸が海の泥につもり泥に埋もれそれがバクテリアの作用をうけたり、地熱や地圧の作用をうけて長い年月のあいだにだんだん変化してできたものが、石油であるということです。

油層と油田

地中にできた石油は地層の中をゆっくりと動いて図のように上と下とが水を通しにくにい地層にはさまれた砂岩などの隙間の多い地層に集まったと考えられています。

地層が馬の背や丸天井のようになっていると、石油はいっそう集まりやすいはずです。

このようにして石油がふくまれている地層を、油層といいまた地下に油層がある地域を油田といいます。

日本にも、古くから新潟県や秋田県に油田がありますが世界的に入るとごく小さなものです。

世界のうちで、大きな油田があるのはアメリカ合衆国・ソ連・ベネズエラや西南アジアの国々、それにアフリカのアルジェリア・リビアなどです。


石油のとりだし方

石油を地中からとりだすには、まずいろいろな調査や試験をおこなって地下に油層があることを確かめます。

つぎに、地表から油層まで細い穴を掘り、そこに鉄管をおろして石油をくみだします。
この石油をくみだす穴を、油井または石油井戸といいます。

昔は、油井をほるのに、簡単な道具しかなかったのであまり深くは掘れませんでしたが、いまでは機械力を使って数百メートルから3000メートルくらいまでも、楽に掘れるようになりました。

また陸上だけでなく、海上でも掘れるようになりました。

油層には地圧がかかっているので、新しい油井からは地圧におされて、石油が激しい勢いでふきだしてきます。

それで、はじめはごく細い穴からふきださせます。
しかし、時が経つにつれて、ふきだす力が弱まってしまいます。
そうなったならばポンプを使ってくみだします。

1つの油井から1日にとれる石油の量は油層の大きさ、油田の古さなどによって違います。
たとえば日本のアラビア石油会社が、ペルシア湾に掘った油井からは1本で1日あたり1000~2000キロリットルの石油がとれますが日本内地の油井からはとてもそんなに多くはとれません。

油井からくみだした原油は、ふつう黒かっ色のねばねばした油で泥水やガスがまじっています。

この泥水やガスをとりのぞいてタンク車やパイプで石油精製工場(製油所)へおくります。

遠い所や外国へ運ぶにはタンカーを使います。
タンカーは大きいほど運賃が安くつくのでしだいに大型のタンカーが使われるようになりいまではいちどに十数万キロリットルも運べる巨大タンカーかあります。



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