天然樹脂と合成樹脂
松の木の幹に傷をつけると、その部分から黄色い水あめのようなねばねはした液がにじみでてきます。
これが松脂ですが、ほかの樹木も同じようなものをだします。
これらは、みな樹脂とよばれますが、これらの樹脂は天然にできたものですから
天然樹脂といわれています。
この天然樹脂にたいして、いろいろな化学薬品を原料として化学反応でつくられる、天然樹脂のような見かけと性質をもったものを合成樹脂とよんでいます。
合成樹脂とプラスチック
最近は、合成樹脂というかわりに、プラスチックという言葉がよく使われます。
合成樹脂がはじめてつくられたころは、天然樹脂に似たものがその後いろいろな種類の合成樹脂がつくりだされその中には、松脂などと見かけも性質も違ったものが、たくさんあります。
そのため、最近は、合成樹脂のことを「プラスチック」という名前でもよぶようになってきました。
しかし、今までの習慣で合成樹脂という言葉も広く使われていますからプラスチックとは、合成樹脂でつくったものの総称であると考えてよいでしょう。
プラスチックという言葉のもとの意味は「あるものに熱や力をくわえると、自由に形をかえることができそのあとは、もとの形にもどらない性質」のことです。
このような性質は粘土などももっていますが合成樹脂にとっていちばん大切な性質なのです。
合成樹脂の製品をつくるときには、この性質を利用して熱や圧力をくわえ目的の形のものに作り上げるわけです。
これを成形といいます。
合成樹脂が、このような便利な性質をもっているのはこれがいずれも高分子物質であるからなのです。
高分子物質
ほとんどの有機化合物(炭素を中心とした化合物)は、分子からできています。
分子は、たいそう小さいものですから、直接に目で見たり重さをはかったりすることはできませんが、物質の性質は分子の大きさによって、大きくかわってきます。
ですから、分子の大きさをくらべることは大切なことです。
ふつう、分子の重さ(分子量という数)が、このために使われます。
分子量というのは、炭素12の原子の重さを12としてほかのいろいろの分子の重さを、これとくらべた値です。
たとえば、水の分子量は18、エチルアルコールは46、砂糖は342です。
たいていの有機化合物は、分子量が500以下ですが中には何千、何万、いや何百万という大きな分子量をもったものもあります。
このような分子量の大きい物質を、高分子物質といい分子量の小さなもの(低分子物質)とはまったく違った性質をしめします。
つまり、分子量が大きくなると、分子が糸のように長くなりこの長い分子が互いに絡まりあって高分子物質に特有の性質をしまします。
でんぷんやたんぱく質は、天然産の高分子物質のよい例ですが合成樹脂や合成繊維は、高分子になることのできる分子量の小さい化合物を単位原料としてつくったものですから、合成高分子物質ともよばれています。