天然ガスの種類・成分・用途とは? わかりやすく解説!

天然ガスとは、天然に地中からでるガスのことです。

広い意味では、二酸化炭素のような燃えないガスや二酸化硫黄・硫化水素のようなガスも天然ガスにふくまれますがふつうは、メタンのような、燃える炭化水素が主成分になっているガスのことを天然ガスといっています。


天然ガスの種類

天然ガスには、油田ガス・炭田ガス・共水性天然ガス・構造性天然ガスなどの種類があります。

油田ガスは、原油といっしょに油層の中にたまっているもの炭田ガスは、石炭の層に溶けこんだり、吸いつけられたりしているものです。

また、共水性天然ガスは海水の10分の1くらいの濃さの塩水に溶けて地層にふくまれているものです。

構造性天然ガスは、これらのガスと違って天然ガスだけが地層の中にふくまれているものです。

これらの天然ガスをとりだすためには石油をくみだす油井と同じようなガス井をほって吹きださせたりポンプでくみだしたりして集めます。

天然ガスの成分

天然ガスの成分は石油と同じように、いろいろな種類の炭化水素です。
しかし、石油の主成分が、ふつうの温度では液体になるような大きな分子の炭化水素であるのにたいし天然ガスの主成分は、ふつうの温度では気体になるような、小さな分子の炭化水素です。

天然ガスには、炭素原子1つの炭化水素メタンだけしかふくまないものとメタンのほかに、エタン・プロパン・ブタンなどをふくむものとがあります。

メタンだけの天然ガスを乾性ガスといいプロパンやブタンをふくむものを湿性ガスといいます。
これは、プロパンやブタンは、冷やしたり、圧力をかけたりすると液体になるからです。

日本の天然ガスは、秋田県や新潟県の油田からでる油田ガスが湿性であるほかは
ほとんどすべて乾性ガスです。
とくに新潟県・千葉県では、共水性の乾性ガスが、非常に多くとれています。

世界の天然ガス生産高の、65パーセン卜をしめるアメリカ合衆国では油田からでる、湿性の油田ガスが、そのほとんどをしめています。



乾性ガス

天然ガスの成分は、炭化水素ですから、燃料として利用されます。
ところが、メタンは、プロパンやブタンと違って、非常に液体になりにくいのでパイプでひいて使ったり、高い圧力に耐えるボンベにつめて運びそれからとりだして使ったりしています。

たとえば、アメリカ合衆国や西ドイツでは天然ガスのとれる地域から都市までパイプをひいて天然ガスを都市ガスとして使う方法を、以前からおこなっています。

日本でも、新潟県の天然ガスをパイプで東京におくりほかのガスにまぜて東京付近の家庭に供給することになり1963年11月から、はじめられています。

このほかメタンはホルムアルデヒド・アセチレンなどの原料として使われこれらの薬品からたくさんの化学製品がつくられています。

湿性ガス

湿性ガスにふくまれる、プロパンやブタンは、たやすく液化されるので液化石油ガスと同じように利用されています。

かんたんに液化しないメタンやエタンなどは、乾性ガスのメタンと同じように利用されます。



石油化学工業とは? わかりやすく解説!

原油からガソリンそのほかの燃料や機械油をつくるのが石油工業(または石油精製工業)です。
これにたいして、石油や天然ガスの成分から、いろいろな化学製品をつくりだす工業を石油化学工業と名づけ、その製品を、石油化学製品といいます。


石油化学工業は、石油工業からでる副産物を利用しようとしてはじめられましたがしだいに発達して、肥料・合成樹脂・合成ゴム・合成繊維・合成洗剤などほとんどすべての化学製品がつくりだせるようになりました。

石炭やカーバイド、さらに農産物・水産物などからつくられていた化学製品でも石油を原料にしたほうが安く、そのうえ多量につくれるようなものはだんだん石油からつくられるようになりました。

石油化学工業は、アメリカでは1920年ころからはじめられ1950年ころから急に発達しました。原料はおもに天然ガスです。

日本では1955年ころからはじめられましたが発達のスピードが早く、当時、生産高は世界2、3番めになっています。

原料はおもにナフサです。
石油化学製品を分けてしめすと、およそつぎのようになります。

・石油や天然ガスから水素をつくり、それから合成するもの

アンモニア・硫酸アンモニウム・ユリア樹脂・メチルアルコール・ホルムアルデヒド。

・メタンからの合成品

青酸・アセチレン・クロロホルム・四塩化炭素。

・エチレンからの合成品

ポリエチレン・塩化ビニル・エチレンオキシド・グリコール・アセトアルデヒド・エチルアルコール・酢酸・四エチル鉛・スチレン。

・プロピレンからの合成品

ポリプロピレン・塩化アリル・アリルアルコール・アセトン・グリセリン・プロピレングリコール・アクリロニトリル・合成洗剤・合成ゴム。

・ブチレンからの合成品

メチルエチルケトン・ブチルアルコール・ポリブテン・ブチルゴム。

・ブタジエンからの合成品

合成ゴム(SBR・NR・ステレオゴムなど)・ナイロン原料。

・イソブチレン・イソアミレンなどからイソプレンをへての合成品

合成ゴム

・石油芳香族からの合成品

(ベンゼン系)フェノール・スチレン・ナイロン原料、染料や火薬の原料、DDT、BHC、合成洗剤など。(トルエン系)火薬・安息香酸・テトロン原料・クレゾールなど。

(キシレン系)無水フクル酸・イソフタル酸・テレフタル酸・テトロン原料・エチルベンゼンなど。

・その他

ナフタリンーパラフィンロウからのたんぱく質飼料・硫黄・硫酸など。



石油の分留・クラッキング・リホーミングとは? わかりやすく解説!

石油の分留

炭化水素はいっぱんに、分子の大きさが増すにつれて、沸点がだんだん高くなります。
そのため常温(ふつうの温度)で気体のもの、液体のもの、固体のものなどがあり
それらが溶けあって原油を形づくっています。


それで原油に熱をくわえると、分子の小さいものから順々に気体(蒸気)になって
飛び出してくるので、その蒸気を冷やして分けとると、いろいろな石油製品がえられます。

このように、石油の成分をいったん蒸気にして分ける作業を、石油の分留といいます。

おもな石油製品の沸点(留出温度)の広がりかたは表のようになります。
沸点が少しずつ重なりあっていますが、燃料として使う場合このことは差支えありません。

また、表のなかに原油からとれる割合(収率)がしめされていますが
これも原油の産地、種類などによって、非常に違うので、決まった数値ではありません。

ガソリン分のうち、沸点の高い部分が石油化学工業の原料として使われ
その量は自動車用ガソリンと同じくらいか、またはそれ以上にもなります。

これをナフサとよんでいます。

機械油は、重油分を真空に近い圧力のもとで、細かく分留してつくります。
その一部から、さらにパラフィンロウ・ワセリンなどもつくりだされます。

アスファルトには、原油を分留したあとに残っていて
そのまま使えるスレートアスファルトと、重油分に熱した空気をふきこんで
重合させてつくるブローンアスファルトの2種類があります。

石油製品の精製

原油を分留してつくられたいろいろな石油製品は、そのままでも使われますが
たいていの場合、品質をよくするためにさらに精製したり加工したりします。
とくに、ガソリンと機械油にはこれが必要です。

原油には、硫黄・酸素・窒素などの化合物がふくまれているため
これらがどうしても、石油製品の中に入ってきます。

そしてこれらの化合物は、ごくわずかでも
製品のにおいや色を悪くしたり金属をさびさせたりします。

ガソリンや灯油の場合には、硫酸・塩基の溶液、水などで洗えば
それらの不純物(まじりもの)の大部分を取り除くことはできますが
完全に取り除くためには、触媒を使い高温高圧の水素をはたらかせて処理します。

軽油や重油は、これまで特別な精製をしなくてすみましたが
硫黄化合物が燃えたときに発生する二酸化硫黄が大気を汚すおもな原因になりますので
ガソリンの場合と同じような、水素を使う精製法で軽油や重油も精製されはじめました。

機械油の場合には性質(ねばりけなど)を悪くする成分を分けてとる作業が必要です。
ロウ分とアスファルト分を、冷やして結晶させたり
まじりあわない溶剤(アスファルトなどを溶かしこむ薬品)で
洗って取り除いていく方法で、精製します。

同じ種類の製品について、たとえば重油や機械油の場合は
品質が少しずつ違うものをまぜあわせて、一定の品質のものにする作業も大切です。

これらの精製法のほか、石油製品の品質をよくするため
ごく少しくわえて使う薬品類がいろいろあります。

これらを添加剤とよびます。

添加剤には、ガソリンの燃えかたを調節するもの、機械油のねばりけをよくするもの
アスファルトがもろくなるのを防ぐものなどがあります。


クラッキング

これまでに述べたように、ガソリンはふつう、原油の分留によってつくられます。
しかし自動車・飛行機などが増えるにつれて
分留でつくったガソリンだけでは間に合わなくなってきました。

そこで同じ量の原油から、できるかぎり多くのガソリンをつくりだすことが
研究された結果、軽油や重油を熱によって分解すればガソリンがとれることがわかり。

工業的に行われるようになりました。
この方法をクラッキング(熱分解)、または分解蒸留とよびます。

グラッキングははじめのうち、熱の作用だけでおこなっていましたが
圧力をかけたり、触媒を使うといっそう品質のすぐれたガソリンがとれることが
わかったので、いまは天然または人工の白土を触媒として使う
接触分解法(または、キャットクラッキング)が多く採用されています。

リホーミング

原油から分留法によってえられたガソリンの品質をよくする方法に
リホーミング(または改質)という方法があります。

これはガソリンの中にふくまれている、いろいろな炭化水素のうち
ガソリンの成分としてあまり適当でないような
炭化水素の分子の成り立ち方(分子の構造)を高温高圧の水素ガスの中で
触媒を使ってかえる方法です。

たとえば、炭素原子8個の炭化水素の場合
炭素原子の互いのむすびつき方や水素原子の炭素原子への
むすびつき方にしたがって、たくさんの種類があります。

それらのうちから4種類だけとりだしてしめすと、図のようになります。

この4種類のうち、どれがガソリンの成分としてすぐれているかを比べると
①のような枝分かれのないものよりも、②のように枝分かれしているものがよく
また③と④とでは、水素原子が少ない④のほうがすぐれていることになります。

そこで、①や③のような成分の多いガソリンを、高温高圧の水素とまぜ
白金や酸化クロムのような触媒の上をとおして
②や④のような成分を増加させるのが、リホーミング法です。

このほかにも、ガソリンの品質をよくするような成分をつくる方法がありますが
分留・クラッキング・リホーミングの3つの作業が
製油所でガソリンをつくる場合の、もっとも大切な作業です。



液体燃料とは? 原油・石油・ガソリン・灯油とは?

液体燃料どいうと、私たちにすぐ石油を思いだします。
石油は原油として地下から取り出されています。 


石油の主成分は炭素と水素の化合物です。
この炭素と水素の化合物は炭化水素とよばれますがこれには炭素や水素の数の違いやむすびつき方によって、非常にたくさんの種類があります。

石油は、これらのいろいろな炭化水素がまじあったものなのです。

ガソリン(揮発油)

石油をつくっている炭化水素のうちで沸点がいちばん低い炭化水素です。

このうち、沸点が150℃ぐらいのものが自動車の燃料に沸点が100℃ぐらいのものが航空機の燃料に使われます。

灯油

沸点が200℃以上の炭化水素で揮発油ほど引火点が低くありません。

石油ストーブなどに使われます。



重油

沸点が350℃以上で、引火しにくい炭化水素です。
重油は、管からふきださせてボイラで燃やしたり霧にしてディーゼルエンジンにふきこみ、爆発させて使ったりしています。

液体燃料の燃え方

液体燃料が燃えるときには気体になって炎をあげて燃え、熱を出して物を温めるか蒸気や霧になって気体にまざり爆発的に燃えて直接、物を動かすかしています。

自動車や飛行機のエンジンの中で揮発油が気体になり、空気とまざって爆発するときはいつも決まった燃え方をしなければなりません。

それで、飛行機に使われる揮発油などはとくに詳しく研究されています。

その他の液体燃料

メチルアルコールやエチルアルコールなども燃料として使われることがあります。



気体燃料とは? 天然ガス・石炭ガス・発生炉ガス・木炭ガスとは?

私たちは、寒いときや料理をするときなど物を燃やして温まったり、飲物や食物を熱くしたりしています。 

このとき、熱をとるため燃やすのに必要なものが燃料です。


燃料としては、よく炭素や炭素の化合物が使われます。
これは、炭素と酸素が化合するときに多量の熱をだすからです。

例えば、炭素12グラムと酸素32グラムが化合すると二酸化炭素44グラムができますが同時にこのとき約94キロカロリーの熱をだします。

1カロリーというのは、水で1グラムを14.5℃から15.5℃にするのに必要な熱の量です。

また、水素と酸素が化合するときにも熱が発生します。

このように、燃料には、酸化するときに多くの熱をだすものが利用されます。

燃料をその状態で分けると気体燃料・液体燃料・固体燃料の3つに分けることができます。

気体燃料

気体燃料は、燃える気体を燃料として使うもので管で配送でき、燃えたあとに固体のかすが残らないことがよい点です。

天然ガス

天然ガスには、いろいろな種類のものがありますがどれも、メタンという炭素と水素の化合物が主な成分になっています。

天然ガスは、新潟県だと石油のでる地方や千葉県などに、盛んにでています。

これらの地方では、天然ガスを管で導いて家庭で使ったりまた、ボンベにつめて遠い地方に送ったりしています。

石炭ガス

天然ガスは、でる地方がかぎられまた、量もそう多くはないのでふつう使われる気体の燃料は人工のものです。

その一つに石炭ガスがあります。

石炭を燃やすと、炎をあげて燃えますがこれは、熱せられた石炭から燃える気体がでるためです。

それで、石炭を蒸し焼きにするとこの燃える気体を集めることかできます。

これが石炭ガスで、主にメタンと水素などがまざったものです。

私たもの家庭で使う都市ガスは主にこの石炭カスに、天然ガスやオイルガスを混ぜたものです。

石炭ガスをとったあとには炭素を主成分とする固体が残ります。

これは、コークスとよばれる固体燃料です。



発生炉ガス

コークスを燃やすと、火の固まりになって燃えますがコークスの量を多くして下のほうから空気を送り込み強い火で燃やすと、二酸化炭素が窒素などと混ざって発生します。

これが発生炉ガスとよばれる気体燃料です。
このガスは、工場などで簡単につくれますが最近はほとんど製造しません。

木炭ガス

コークスのかわりに、木炭をたくさん詰めこんで下から空気を送りながら燃やすとやはり二酸化炭素と窒素の混ざったガスがでてきます。

これは、木炭ガスとよばれ第二次大戦中に、日本で石油が不足したとき自動車の燃料として使われたことがありましたが、今では使われていません。

水性ガス

コークスから発生炉ガスをつくる場合、コークスの温度が1000℃以上になったときに高温の水蒸気を吹き込むとコークスの炭素と水蒸気が化合して一酸化炭素や水素のような、燃える気体がたくさんできます。

この混合気体を水性ガスといいます。

水性ガスは、燃料としても使われますが水素をつくるときの原料にもなります。

プロパンガス

原油を蒸留したり、分解するときなどに液化しやすいもえる気体ができます。

この気体の主成分は、プロパンという炭素と水素の化合物(炭化水素)です。

この気体がプロパンガスで、自動車の燃料や家庭の台所の燃料として、ボンベに詰めて使われています。




モバイルバージョンを終了