石炭の用途とは? 石炭ガスとは? わかりやすく解説!

石炭は、石油とともに古くから燃料として使われてきました。
現在は、電力や石油・天然ガスなどの利用がさかんになってきたために燃料としての石炭の重要性は少なくなりました。

しかし、石炭は、燃料としてだけでなく石油・天然ガスとともに、化学工業の原料として、現在でも使われています。


石炭の乾留

石炭を細かく砕いて試験管に入れ、ガラス管のついた栓をした装置をつくりガスバーナーで熱します。

はじめは無色の気体がでますが、しばらくして黄色い煙がではじめます。
この煙に火をつけると勢いよく燃えます。

さらに熱し続けると、煙の色が黄色からうすい紫色にかわります。
この煙もよく燃えます。さらに熱し続けて煙のでが悪くなったらバーナーの火を消します。

試験管を観察すると、底に黒灰色の硬いかたまりが残り試験管の入口には黒くてねばり気のある液状の物がたまっています。

このとき、はじめにでてきた無色の気体は水蒸気や二酸化炭素です。
黄色い煙はタールの蒸気をふくんだ石炭ガス、うす紫色の煙は水素をたくさんふくむ石炭ガスです。

また、試験管に残った固体はコークス、液体はタールです。

このように石炭を蒸し焼きにすることを石炭の乾留といいます。
石炭を乾留すると、石炭ガスを発生して、コークスとタールができます。

石炭の乾留は、温度が300℃ぐらいからはじまります。
分解の進み方は温度が上がるにつれて激しくなり500℃ぐらいでガスやタールがもっともよく発生し、600℃になるとタールはでつくしてしまいます。

しかし、コークスの中には、まだガスになる成分が分解せずに残っているので600℃以上に温度が上がっても、ガスはでます。
そして1000℃ぐらいで、ガスはほとんどでつくしてしまいます。

乾留のうち、600℃ぐらいで乾留するのを低温乾留といい1000℃ぐらいで乾留するのを高温乾留といいます。

高温乾留は古くからおこなわれている重要な方法で現在でも、都市ガスエ業・コールタールエ業・製鉄業などでさかんに使われています。

高温乾留では、弱粘結炭か強粘結炭を原料とします。
高温乾留でできるガスは、石炭ガスまたはコークス炉ガスとよばれます。

タールはコールクールとよばれ、低温乾留の場合よりとれる量は少ないのですが高温のために成分の炭化水素が変化して、ベンゼン系炭化水素を多くふくんでいます。

乾留をおこなうには、ふつう、耐火レンガでつくった容器の中に石炭を入れ外側から熱します。高温乾留を、大規模におこなう装置としてはコークス炉が使われています。



石炭ガス

石炭ガスの成分は、水素40~50パーセント、メタン30~40パーセント、一酸化炭素7~10パーセント、重炭化水素(エタンやエチレン)3~7パーセントでそのほか二酸化炭素や窒素・酸素なども、少しですがふくまれています。

現在、製鉄会社では、石炭ガスを平炉・コークス炉などの燃料として使っています。
また都市ガスエ業では、石炭ガスを都市ガスの主成分として利用しています。

むかしは、都市ガスとして石炭ガスをそのまま使っていましたが最近では、石炭ガスのほかに、発生炉ガス・増熱水性ガス・油ガス・LPガス(液化石油ガス)・天然ガスなども利用されるようになりました。

そのため、都市ガスの成分としては、石炭ガスの割合は減ってきましたがそれでも40パーセント以上をしめています。

石炭ガスは水素を多くふくむので、合成化学工業の原料として利用されます。
最近では、製鉄工場であまった石炭ガスを原料として利用する化学工業がいくつもできました。



気体燃料とは? 天然ガス・石炭ガス・発生炉ガス・木炭ガスとは?

私たちは、寒いときや料理をするときなど物を燃やして温まったり、飲物や食物を熱くしたりしています。 

このとき、熱をとるため燃やすのに必要なものが燃料です。


燃料としては、よく炭素や炭素の化合物が使われます。
これは、炭素と酸素が化合するときに多量の熱をだすからです。

例えば、炭素12グラムと酸素32グラムが化合すると二酸化炭素44グラムができますが同時にこのとき約94キロカロリーの熱をだします。

1カロリーというのは、水で1グラムを14.5℃から15.5℃にするのに必要な熱の量です。

また、水素と酸素が化合するときにも熱が発生します。

このように、燃料には、酸化するときに多くの熱をだすものが利用されます。

燃料をその状態で分けると気体燃料・液体燃料・固体燃料の3つに分けることができます。

気体燃料

気体燃料は、燃える気体を燃料として使うもので管で配送でき、燃えたあとに固体のかすが残らないことがよい点です。

天然ガス

天然ガスには、いろいろな種類のものがありますがどれも、メタンという炭素と水素の化合物が主な成分になっています。

天然ガスは、新潟県だと石油のでる地方や千葉県などに、盛んにでています。

これらの地方では、天然ガスを管で導いて家庭で使ったりまた、ボンベにつめて遠い地方に送ったりしています。

石炭ガス

天然ガスは、でる地方がかぎられまた、量もそう多くはないのでふつう使われる気体の燃料は人工のものです。

その一つに石炭ガスがあります。

石炭を燃やすと、炎をあげて燃えますがこれは、熱せられた石炭から燃える気体がでるためです。

それで、石炭を蒸し焼きにするとこの燃える気体を集めることかできます。

これが石炭ガスで、主にメタンと水素などがまざったものです。

私たもの家庭で使う都市ガスは主にこの石炭カスに、天然ガスやオイルガスを混ぜたものです。

石炭ガスをとったあとには炭素を主成分とする固体が残ります。

これは、コークスとよばれる固体燃料です。



発生炉ガス

コークスを燃やすと、火の固まりになって燃えますがコークスの量を多くして下のほうから空気を送り込み強い火で燃やすと、二酸化炭素が窒素などと混ざって発生します。

これが発生炉ガスとよばれる気体燃料です。
このガスは、工場などで簡単につくれますが最近はほとんど製造しません。

木炭ガス

コークスのかわりに、木炭をたくさん詰めこんで下から空気を送りながら燃やすとやはり二酸化炭素と窒素の混ざったガスがでてきます。

これは、木炭ガスとよばれ第二次大戦中に、日本で石油が不足したとき自動車の燃料として使われたことがありましたが、今では使われていません。

水性ガス

コークスから発生炉ガスをつくる場合、コークスの温度が1000℃以上になったときに高温の水蒸気を吹き込むとコークスの炭素と水蒸気が化合して一酸化炭素や水素のような、燃える気体がたくさんできます。

この混合気体を水性ガスといいます。

水性ガスは、燃料としても使われますが水素をつくるときの原料にもなります。

プロパンガス

原油を蒸留したり、分解するときなどに液化しやすいもえる気体ができます。

この気体の主成分は、プロパンという炭素と水素の化合物(炭化水素)です。

この気体がプロパンガスで、自動車の燃料や家庭の台所の燃料として、ボンベに詰めて使われています。




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