コールタール・コークス・人造石油とは? わかりやすく解説!

コールタール

コールタールは、黒色でねばり気のある油状のもので、特有の臭気があります。
水よりも少し重く、比重は1.1~1.2℃ぐらいです。

コールタールは、むかしは木材の腐るのをふせぐ塗料、鉄のさびどめの塗料などとして一部分が利用されるだけで大部分はあまって、始末の悪いものとして捨てられていました。

しかし、蒸留して細かく分ける(分留)と貴重な化学薬品がとれることがわかってきて、コールタール工業が発達しました。

ところが、最近になって石油化学工業が非常に発展してきてこれまでコールタールからつくられていた化学薬品のほとんどを石油からもつくるようになりました。

コールタールは、化学薬品の原料としては石油よりも不経済なのでますます石油が利用されるようになりました。

しかし、世界中にある石油の量は石炭ほど多くありません。
ですから、たくさんある石炭を原料とする石炭化学工業もやがてさかんになるでしょう。


コークス

製鉄用コークスは強粘結炭をおもな原料とする硬いコークスで鉄鉱石や石灰石とともに溶鉱炉に入れられ銑鉄をつくるのに使われます。

それで、製鉄業の発展とともに、生産量は増えています。
コークスはこのほか、力ーバイドや水性ガスの製造に使われたり燃料として利用されたりします。

ガス化

石炭を発生炉ガス・水性ガスなどにかえることをガス化といいます。

発生炉ガス

発生炉ガスは、耐火レンガ製の発生炉の中に石炭またはコークスを入れて赤熱し、水蒸気をまぜた空気をおくってつくります。

発生炉ガスのおもな成分は一酸化炭素と窒素で、発熱量はわりあいに低く1立方メートルあたり1000~1700カロリーぐらいで、工業用燃料として使われます。

水性ガス

水性ガスは水素と一酸化炭素がおもな成分で窒素は少ししかふくまれていません。
高温に熱した石炭やコークスに水蒸気をとおすか粉炭に水蒸気と酸素を同時におくりこんでつくります。

しかし、水性ガスは、石炭を原料とするだけでなく石油や天然ガスを原料としてもつくられるようになりました。

しかも、そのほうが経済的なのでコークスや石炭を原料にすることは非常に少なくなりました。



人造石油

第二次世界大戦中に、ドイツや日本など石油資源の少ない国では石炭から石油をつくりだすことが考えられました。

そして非常な努力の結果つくりだされたのが人造石油です。
しかし、人造石油の値段は天然石油よりはるかに高いので戦争が終わると製造が中止されました。

人造石油をつくるには、3つの方法があります。
その1は石油直接液化法といわれるもので、細かく砕いた石炭を重油とまぜこれに触媒と水素をくわえて高温・高圧で反応させて、石油をつくります。

その2は石油合成法といわれるもので石炭をガス化して水素と二酸化炭素にかえ触媒といっしょに200℃、1~50気圧ぐらいで反応させて石油をつくります。

その3は、石炭の低温乾留でできる低温タールに水素をくわえ高温・高圧にして石油にします。

これらの方法は人造石油の製造に使われるだけでなくいろいろな化学薬品の製造にも利用されますが現在では石油から製造するほうが安くできるので、この方法は実用化されていません。

しかし何十年か後に、石油の生産量が減ったり採油に手数がかかったりして石油の値段が高くなったときに石油よりはるかにたくさんある石炭を原料とするこれらの方法がもういちど見なおされるでしょう。



石炭の用途とは? 石炭ガスとは? わかりやすく解説!

石炭は、石油とともに古くから燃料として使われてきました。
現在は、電力や石油・天然ガスなどの利用がさかんになってきたために燃料としての石炭の重要性は少なくなりました。

しかし、石炭は、燃料としてだけでなく石油・天然ガスとともに、化学工業の原料として、現在でも使われています。


石炭の乾留

石炭を細かく砕いて試験管に入れ、ガラス管のついた栓をした装置をつくりガスバーナーで熱します。

はじめは無色の気体がでますが、しばらくして黄色い煙がではじめます。
この煙に火をつけると勢いよく燃えます。

さらに熱し続けると、煙の色が黄色からうすい紫色にかわります。
この煙もよく燃えます。さらに熱し続けて煙のでが悪くなったらバーナーの火を消します。

試験管を観察すると、底に黒灰色の硬いかたまりが残り試験管の入口には黒くてねばり気のある液状の物がたまっています。

このとき、はじめにでてきた無色の気体は水蒸気や二酸化炭素です。
黄色い煙はタールの蒸気をふくんだ石炭ガス、うす紫色の煙は水素をたくさんふくむ石炭ガスです。

また、試験管に残った固体はコークス、液体はタールです。

このように石炭を蒸し焼きにすることを石炭の乾留といいます。
石炭を乾留すると、石炭ガスを発生して、コークスとタールができます。

石炭の乾留は、温度が300℃ぐらいからはじまります。
分解の進み方は温度が上がるにつれて激しくなり500℃ぐらいでガスやタールがもっともよく発生し、600℃になるとタールはでつくしてしまいます。

しかし、コークスの中には、まだガスになる成分が分解せずに残っているので600℃以上に温度が上がっても、ガスはでます。
そして1000℃ぐらいで、ガスはほとんどでつくしてしまいます。

乾留のうち、600℃ぐらいで乾留するのを低温乾留といい1000℃ぐらいで乾留するのを高温乾留といいます。

高温乾留は古くからおこなわれている重要な方法で現在でも、都市ガスエ業・コールタールエ業・製鉄業などでさかんに使われています。

高温乾留では、弱粘結炭か強粘結炭を原料とします。
高温乾留でできるガスは、石炭ガスまたはコークス炉ガスとよばれます。

タールはコールクールとよばれ、低温乾留の場合よりとれる量は少ないのですが高温のために成分の炭化水素が変化して、ベンゼン系炭化水素を多くふくんでいます。

乾留をおこなうには、ふつう、耐火レンガでつくった容器の中に石炭を入れ外側から熱します。高温乾留を、大規模におこなう装置としてはコークス炉が使われています。



石炭ガス

石炭ガスの成分は、水素40~50パーセント、メタン30~40パーセント、一酸化炭素7~10パーセント、重炭化水素(エタンやエチレン)3~7パーセントでそのほか二酸化炭素や窒素・酸素なども、少しですがふくまれています。

現在、製鉄会社では、石炭ガスを平炉・コークス炉などの燃料として使っています。
また都市ガスエ業では、石炭ガスを都市ガスの主成分として利用しています。

むかしは、都市ガスとして石炭ガスをそのまま使っていましたが最近では、石炭ガスのほかに、発生炉ガス・増熱水性ガス・油ガス・LPガス(液化石油ガス)・天然ガスなども利用されるようになりました。

そのため、都市ガスの成分としては、石炭ガスの割合は減ってきましたがそれでも40パーセント以上をしめています。

石炭ガスは水素を多くふくむので、合成化学工業の原料として利用されます。
最近では、製鉄工場であまった石炭ガスを原料として利用する化学工業がいくつもできました。



固体燃料とは? 木炭・石炭・練炭と炭団の特徴とは?

木材

固体燃料にいろいろなものがありますが
とくにに人類の歴史のはじめから用いられていた木材はいまもよく使われる燃料です。 


木材は炭素・水素・酸素などがからできているものです。
これを熱すると、水や燃える気体が出てきます。

空気に触れると燃えてしまいますが空気に触れないようにして熱すると燃える気体だけを集めることができます。

この気体を木ガスといいます。

木炭

木を蒸し焼きにすると、木ガスがでてあとには炭素と灰になる物質が残ります。

これが木炭です。

木炭には、もう、燃える気体がふくまれていないので燃やしても炎はださず火の固まりになるだけです。

しかし、木炭をたくさん積み上げて火をつけると、青い炎がでることがあります。

これは、熱せられた炭素と二酸化炭素が化合して、一酸化炭素ができ、それが燃えるためです。

石炭

石炭は、大昔の植物からできたもので木と同じように、燃やすと炎をあげます。

石炭は、木炭のような黒い固まりですが炭素ばかりでできているわけではありません。

炭素のほかに水素・酸素・窒素・イオウなどもそれぞれいくらかずつふくまれています。

それで、石炭を蒸し焼きにするとメタンなどの炭化水素や、アンモニア・コークスなどができるのです。

また、石炭を釜で燃やすと二酸化炭素・水・窒素のほかに二酸化イオウができます。

この二酸化硫黄は、水に溶けて亜硫酸になりそれが空気に触れると酸化されて硫酸ができます。

このため、二酸化硫黄で汚れた都市などでは、金物がすぐさびたりします。

また、二酸化硫黄などは大気中にあって霧をつくる原因にもなります。

有名なロンドンの霧も、二酸化硫黄が原因になっているのです。



練炭と炭団

固体燃料は、形がふぞろいで取扱いに不便なことと燃えかすがたくさんでることが欠点です。

そこで、固体燃料をうまく燃やすために粉にしてそれを一定の大きさや形のものに固めて使う場合もあります。

このようにして、石炭を粉にして固めたものが練炭や炭団です。
とくに炭団は、ゆっくり長時間燃やす、こたつなどに用いられます。

大気の汚染

近年になって、石炭をとくに細かい粉にして燃やすことが行われるようになりました。

例えば、セメントをつくるとき石灰石や粘土の粉に石炭の粉をまぜ長い回転釜の中で燃やしています。

また、火力発電所では、石炭の細かい粉を空気とまぜて釜に送り込み気体燃料のようにして燃やしています。

このときできる灰も、細かい粉になるので煙となってでていくわけです。

この煙の中の細かい灰は、コットレル集塵機という仕掛けで取り除くことができるので石炭を燃やしたために空気が汚れるということがなくなりました。

現在、大きなセメントエ場や火力発電所でこの仕掛けを用いていますが石炭を燃やすところでは、どこもこういう仕掛けをつけなければなりません。

空気の汚れる原因はほかにもあります。
ガソリンを燃やすときも、不完全燃焼のためにスモッグの原因となったり悪臭のある物質ができたりします。

そればかりではありません。

石炭にも石油にも少しですが、硫黄がふくまれていてこれは二酸化硫黄という毒ガスになります。

ですから、石炭や石油を燃やすと周りにこの毒ガスができてそこに住む人たちは病気になります。

こうして大気が汚れることを大気汚染といい都会や工業地帯に住む人がたいへん迷惑をしています。

このように大気を汚染することは川や海の水を汚したりやかましい音を立てるのとならんで公害といわれています。




物が燃えるために必要なこととは? わかりやすく解説!

物が燃える様子

物が燃えることを燃焼といいます。
物が燃えるというのは、その物から光と熱がでてその物がだんだんに変化していくことをいうのです。 


太陽も、燃えていると考えた時代がありました。
それに、光もでているし、熱もでているからですが太陽はかわっていません。

もし、太陽の熱が石炭が燃えてでているものとすると数百年で石炭は半分燃えて、太陽の大きさも半分になっているはずです。

しかし、太陽の大きさが小さくなっていくことを証明した人はいません。
それで、太陽は石炭のような物が燃えているのだとは考えられません。

電燈も、光と熱を出していますが電球のフィラメントは、もとのままの姿ですからこれも燃えているとはいえません。

木・炭・ロウソクなどが燃えるときは光と熱をだし、そして燃えていくにしたがってだんだんと減っていきます。

物が燃えるときにいるもの

炭やロウソクは電燈の火と違って瓶の中などでは、しばらくすると消えてしまい長い間、燃えていられません。

これは、物が燃えるためには空気中の酸素が必要だからです。

それで、物を燃やすときには燃える物と、燃えるのを助ける物とをたえず補ってやらなければなりません。

コンロを調べてみると燃える物を入れるところと空気を送り込むところが必ずついています。

ストーブやボイラなどになると燃料の入口、空気の入口、燃えてできた物の出口というように燃え方を盛んにするためのいろいろな工夫がされています。



燃えるために必要なこと

物が燃えるためにはふつう酸素が必要です。
酸素は空気にふくまれていますが燃える物と酸素があるだけでは燃えません。

その物がある一定の温度にまで温められていなければならないのです。

その温度は物によっていろいろ違っています。
この温度のことを、発火点といいます。

イオウや赤リンの発火点は300℃ぐらいで木や木炭は450℃ぐらいです。

発火点を正確にはかることはできないのでここにしめしたのはだいたいの数値です。

反対に酸素が不足したり発火点以下の温度になると物は燃えなくなります。
コンロの空気の入口を塞ぐと火は弱くなり、ついには消えてしまいます。

これは、燃やすはたらきをする酸素が不足したからです。
また、火に水をかけると火は消えます。

これは、水蒸気ができて酸素を遮ることもありますが燃えている物を冷やして発火点以下の温度にするからです。




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