石油は紀元前のはるか昔から、すでに人々に知られたとえばアスファルトが塗料などに用いられたと伝えられています。
しかし、いまのような石油工業は19世紀の半ば過ぎから起こったものであり、はじめは、灯火用の油、つまり灯油がおもな製品でした。
それで、石油といえば灯油のことをさした時代もありました。
ところが、汽車・自動車・船・飛行機、そのほかいろいろな機械が発達するにつれて石油からは灯油だけでなく、ガソリン・軽油・重油・機械油などをもつくりだせるようになりました。
ですから、地下からくみとしたままの原油を石油といいそれからつくりだしたものはすべで石油製品というのが正しいよびかたです。
石油のできかた
石油が地中でできたのは、いまから数えて1千万年から4億年もまえのことですからどのようにしてできたか、くわしいことはわかりません。
しかし、多くの人の研究の結果からおよそつぎのように考えられています。
つまり、大昔地球上に住んでいたたくさんの微生物の死骸が海の泥につもり泥に埋もれそれがバクテリアの作用をうけたり、地熱や地圧の作用をうけて長い年月のあいだにだんだん変化してできたものが、石油であるということです。
油層と油田
地中にできた石油は地層の中をゆっくりと動いて図のように上と下とが水を通しにくにい地層にはさまれた砂岩などの隙間の多い地層に集まったと考えられています。
地層が馬の背や丸天井のようになっていると、石油はいっそう集まりやすいはずです。
このようにして石油がふくまれている地層を、油層といいまた地下に油層がある地域を油田といいます。
日本にも、古くから新潟県や秋田県に油田がありますが世界的に入るとごく小さなものです。
世界のうちで、大きな油田があるのはアメリカ合衆国・ソ連・ベネズエラや西南アジアの国々、それにアフリカのアルジェリア・リビアなどです。
石油のとりだし方
石油を地中からとりだすには、まずいろいろな調査や試験をおこなって地下に油層があることを確かめます。
つぎに、地表から油層まで細い穴を掘り、そこに鉄管をおろして石油をくみだします。
この石油をくみだす穴を、油井または石油井戸といいます。
昔は、油井をほるのに、簡単な道具しかなかったのであまり深くは掘れませんでしたが、いまでは機械力を使って数百メートルから3000メートルくらいまでも、楽に掘れるようになりました。
また陸上だけでなく、海上でも掘れるようになりました。
油層には地圧がかかっているので、新しい油井からは地圧におされて、石油が激しい勢いでふきだしてきます。
それで、はじめはごく細い穴からふきださせます。
しかし、時が経つにつれて、ふきだす力が弱まってしまいます。
そうなったならばポンプを使ってくみだします。
1つの油井から1日にとれる石油の量は油層の大きさ、油田の古さなどによって違います。
たとえば日本のアラビア石油会社が、ペルシア湾に掘った油井からは1本で1日あたり1000~2000キロリットルの石油がとれますが日本内地の油井からはとてもそんなに多くはとれません。
油井からくみだした原油は、ふつう黒かっ色のねばねばした油で泥水やガスがまじっています。
この泥水やガスをとりのぞいてタンク車やパイプで石油精製工場(製油所)へおくります。
遠い所や外国へ運ぶにはタンカーを使います。
タンカーは大きいほど運賃が安くつくのでしだいに大型のタンカーが使われるようになりいまではいちどに十数万キロリットルも運べる巨大タンカーかあります。