脂肪のつくりと性質とは? 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とは?

脂肪の成分

脂肪を過熱水蒸気などで分解すると、グリセリンと脂肪酸とに分かれます。
これは脂肪が加水分解をしたのです。

この分解によってできた脂肪酸は、一種の酸なので水酸化ナトリウムをくわえると中和され、塩をつくります。

このような脂肪の分解を、ケン化といいます。


脂肪の加水分解を反応式であらわすと、下のようになります。

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この式のなかで、Rというのは、アルキル基のことでR2、R3は炭素の数の違う
いろいろのアルキル基をあらわしています。(アルキル基というのはCnH2n+1という式であらわされる炭化水素の原子団でメチル基CH3―、エチル基C2H5―などがあります。

さて、動植物体に貯蔵されている脂肪の大部分はグリセリン一分子と、脂肪酸三分子とから三分子の水が分離された形の結合をしてできているのです。

これを中性脂肪ともいいます。

このグリセリンに結合している3つの脂肪酸は全部同じのものもありますが大部分の脂肪では、違った2種か3種の脂肪酸がむすびついています。

グリセリン

グリセリンは、脂肪をケン化してできたものでグリセロールともリスリンともいわれ、水やアルコールによく溶ける液体です。
甘味があり、その強さは、砂糖の6分の1ぐらいといわれています。

私たもの体の中では、グリセリンを酸化して、二酸化炭素と水にしたりぶどう糖をつくったりすることができるのでグリセリンはエネルギー源として、栄養となっていることがわかります。

グリセリンは、化粧品や医薬品の製造に利用されたりニトログリセリンをつくって、ダイナマイトの製造に使われたりしています。



脂肪酸

動植物体内では、脂肪酸がそのままの形であることはほとんどなく、グリセリンと結合して脂肪となっていたりコレステリンやアルコール類と、むすびついています。

ミツバチの巣の主成分である蜜ロウは脂肪酸と高級アルコールとが結合したものです。
脂肪酸は、炭素の原子からなる1本のくさりに水素原子がむすびついていていっぽうのはしに、カルボキシル基―COOHという酸性の原因になる原子団がついています。

天然の脂肪酸は、炭素の数が偶数のものですが炭素の数などによって、いろいろな種類の脂肪酸に分けられます。

低級脂肪酸と高級脂肪酸

酢酸CH3COOHのように、炭素の数の少ないものを、低級脂肪酸といいます。
ラク酸C3H7COOHなども、この仲間です。

また、炭素の数の多いものを、高級脂肪酸といいます。
酢酸は、水に溶けて酸性をしめしますが、炭素数の多い脂肪酸も、含水アルコールに溶けてリトマス紙を赤にかえたり塩基を中和させたりする酸の性質をもっています。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

脂肪酸には、炭素のくさりに水素が充分についているためヨウ素と結合しにくい性質をもったものと炭素のくさりにつく水素原子の数が不十分なため、ヨウ素と結合しやすい性質のものとがあります。

ヨウ素と結合しにくい脂肪酸を飽和脂肪酸といいます。
ステアリン酸・パルミチン酸などはほとんどすべての脂肪にふくまれている飽和脂肪酸です。

これにたいして、ヨウ素と結合しやすい脂肪酸を不飽和脂肪酸といいます。
オレイン酸・リノール酸・リノレン酸などがあります。

オレイン酸は、ほとんどすべての脂肪にふくまれています。
また、リノール酸、リノレン酸はすべての乾性油・半乾性油にふくまれているものです。



酸性・塩基性の強さと酸・塩基の濃度とは? わかりやすく解説!

酸性・塩基性の強さと、酸・塩基の濃度とは、ぜんぜん別のことです。ここでは酸性・塩基性の強さと、酸・塩基の濃度ということについて、くわしく調べてみましょう。


酸・塩基の濃度

酸・塩基の濃度は、溶液中に溶けている酸・塩基の量によって決まります。したがって、溶液の中に、たくさんの酸がふくまれていればその溶液は濃い酸ということになります。

塩基の場合も、まったく同じです。

つまり、酸・塩基の濃度という場合はふつうの溶液の濃度と同じようにして決められるわけです。

酸性・塩基性の強さ

酸が酸性をしめすのは、酸そのものによるのではなくて酸が電離してできる水素イオンのはたらきによるのです。

したがって、酸性の強さは、水素イオンの濃度によってきまります。
ですから、わずかし電離しない酸の濃い溶液がよく電離する酸のうすい溶液よりも酸性が弱いことがあります。

たとえば、濃い酢酸のほうが、うすい塩酸より酸性か弱いことがあるのです。

また、塩基性は、塩基そのものがしめす性質ではなくて塩基が電離してできる水酸イオンがしめす性質です。

したがって、塩基の強さは塩基が電離してできる水酸イオンの濃度によって決まります。

ですから、塩基の濃い溶液でも、わずかしか電離しないものはよく電離するうすい塩基よりも塩基性か弱いことがあります。

たとえば濃いアンモニア水のほうがうすい水酸化ナトリウムの水溶液よりも
塩基性か弱いということがありうるわけです。

このように、酸性の強さは、酸の濃度ではなく水素イオンの濃度によって決まり塩基性の強さは、塩基の濃度ではなく水酸イオンの濃度によってきまります。

いっぽう、水素イオンの濃度と水酸イオンの濃度の間には決まった関係があって、水素イオンの濃度だけで酸の強さも塩基の強さもあらわすことができます。

そのため、酸性や塩基性の強さをしめすのに水素イオン濃度や水素イオン濃度指数pHが使われるのです。


中和と酸・塩基の濃度

酸や塩基の濃度は、中和のときに大切です。
中和は水素イオンと水酸イオンとから、水ができる反応ですから水素イオンや水酸イオンの濃度が大切なように思われます。

しかし、電離しにくい酸で、水素イオンの濃度が小さくても中和によって水素イオンが使われると酸が電離をおこして、つぎからつぎに水素イオンをつくりだします。

同じように、電離しにくい塩基で水酸イオンの濃度が小さくても中和によって水酸イオンが使われると塩基が電離をおこして水酸イオンをつくりだします。

したがって、中和のときに大切なのは水素イオンや水酸イオンをつくりだすもの。いいかえれば、酸や塩基がどれだけあるかということなのです。

そのため、中和のように酸や塩基がどれだけそれぞれの相手を変化させることができるかということを考えるときには酸と塩基そのものの分量や濃度が大切になってくるわけです。

酸・塩基の濃度や強さのはかリ方

酸や塩基の濃度は、中和滴定法によってはかることができます。

酸や塩基の強さは水素イオンの濃度をはかって決めるのであって中和滴定法ではかるわけにはいきません。

そこで、pH試験紙やそのほかのpH測定器を使ってpHとして測定しています。

酸や塩基の強さが、中和滴定法で決められないように酸や塩基の濃度は、水素イオンの濃度を測定しても含めることができません。

このように、酸・塩基の濃度ということと、水素イオンの濃度とは、たいへんに意味が違います。

つまり、濃い酸や塩基がそのまま強い酸や塩基ということにはならないわけです。

酸・塩基の濃度と強さを、間違えないように注意しましょう。



中和とは? 中和のしかたとは? わかりやすく解説!

これまで、いろいろな酸や塩基についてその性質や用途を調べてきましたがここでは、酸と塩基がおこす中和反応や中和によってできる塩についてもっとくわしく調べてみましょう。


塩酸と水酸化ナトリウムの中和

うすい塩酸とうすい水酸化ナトリウム水溶液でつぎのような実験をしてみましょう。

実験

まずビーカーにうすい塩酸を10立方センチぐらい入れこれにうすい水酸化ナトリウム水溶液を少しずつくわえていきます。

水酸化ナトリウム水溶液を少し入れるたびに、青色リトマス紙を使ってこの液が酸性か塩基性かを調べます。

この液は、水酸化ナトリウム水溶液をくわえるにしたがってだんだん酸性が弱くなり、ついには、青色リトマス紙では、色がかわらなくなり赤色リトマス紙が青くかわるようになります。

今度は、うすい塩酸を少しずつくわえながら赤色リトマス紙で試します。
赤色リトマス紙を使っても、青色リトマス紙を使っても紙の色がかわらなくなったら液が酸性でも塩基性でもなくなったわけです。

この実験で、塩酸と水酸化ナトリウムの順序を加えても結果は同じです。

このように、酸と塩基が作用しあってお互いの性質を打消しあうような反応を中和反応といいます。

中和反応は、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の場合だけでなくいろいろな酸と塩基のあいだでもおこります。



中和の仕方

中和について考えるまえに、もういちど酸と塩基の性質を思いだしてみましょう。

酸とは、水素イオンをつくりだす物質であり酸性とは、水素イオンがもっている性質です。

塩基とは、電離によって水酸イオンをつくりだす物質であり塩基性とは、水酸イオンのもっている性質です。

塩酸は、水とはたらきあって、左の①式のように、完全に電離して水素イオンと塩素イオンに分かれています。

また、水酸化ナトリウムも、水の中ではほぼ完全に電離して②式のようにナトリウムイオンと水酸イオンとに分かれています。

そして、塩酸に水酸化ナトリウム水溶液をくわえていると塩酸が電離してできている水素イオンと水酸化ナトリウムが電離してできている水酸イオンがむすびついて上の式のように水ができます。

ですから塩酸の中の水素イオンは水酸化ナトリウム水溶液によってできた水酸イオンの数だけ減り溶液の酸性は、だんだん弱められていきます。

もし水酸化ナトリウムの溶液をさらにくわえていくと水素イオンよりも水酸イオンの数のほうが多くなって水素イオンの性質はうちけされ、水酸イオンの性質だけか残ります。

そのため、溶液は塩基性をしめすようになります。

水酸化ナトリウムの溶液に、塩酸を入れていく場合にも水酸イオンと水素イオンの反応によって水ができます。

水酸化ナトリウム水溶液の水酸イオンは塩酸の水素イオンの数だけ減って、塩基性は弱められついには、水素イオンの数のほうが多くなって酸性をしめすようになります。

したがって中和ということは、つぎのようにいいあらわすこともできます。

中和とは、酸と塩基がはたらきあい水素イオンと水酸イオンがむすびついて水にかわるために、お互いの性質を打消しあうことです。

つまり、中和は、酸と塩基とが、直接はたらきあうのではなく酸が電離してできた水素イオンと塩基が電離してできた水酸イオンが反応して水になる変化なのです。

このとき、水素イオソの相手だった酸の陰イオン(塩酸の場合には塩素イオン)と水酸イオソの相手だった塩基の陽イオン(水酸化ナトリウムの場合にはナトリウムイオン)は、そのままなんの変化もせずに、水溶液中に残ります。

つまり、中和が進むにつれて、この溶液は塩化ナトリウム(食塩)の水溶液と同じ成分になっていくわけです。

ですから、塩酸と水酸化ナトリウムの水溶液とを塩素イオンとナトリウムイオンとがちょうど同じ数だけ残るようにまぜあわせると塩化ナトリウムの水溶液になってしまいます。

このように混ぜ合わせることを塩酸と水酸化ナトリウムを当量に使って中和したといいできた塩化ナトリウムを塩といいます。



酸・塩基の指示薬とは? リトマス・フェノールフタレインとは?

水素イオン濃度が違えば、同じ液でも非常に性質がかわってきます。
そのため、いろいろな溶液の水素イオン濃度を調べることは非常に大切です。


指示薬

溶液が酸性か塩基性かを調べるいちばん簡単な方法は、なめてみることです。
もし酸味があれば酸ですし、舌を刺すような味ならば塩基です。

しかし、なめるのは、たいへん危険なだけでなく不正確です。
そこで、水素イオン濃度を詳しく調べるときには指素イオン濃度の小さいときにしめす色を塩基性の色といいます。

例えばリトマスの酸性の色は赤、塩基性の色は青です。
この、酸性の色から塩基性の色にかわるときの水素イオン濃度の範囲を変色域といいます。

例えば、リトマスはpH4.4からpH8.3までの間で酸性の色から塩基pH5~pH8ということになります。

リトマス

リトマスは、水素イオン濃度が大きいときには酸性の色である赤をしめしますが、中性の近くになるにしたがってだんだん紫色になります。

水素イオン濃度が中性よりさらに小さくなって水酸イオン濃度より小さくなるとこんどは塩基性の色である青をしめします。

リトマスをアルコールに溶かした液に希塩酸を少量加えると赤色になりアンモニア水を少量加えると青色になります。

この赤色と青色の液を、それぞれろ紙にふくませて乾かしたものが赤色リトマス紙と青色リトマス紙です。

もし、調べる液が酸性ならば、青色リトマス紙の色が酸性の色である赤にかわります。

液が塩基性ならば、赤色リトマス紙の色が塩基性の色である青にかわります。



フェノールフタレイン

フェノールフタレインは無色の結晶で水にはごくわずかしか溶けませんがアルコールにはよく溶けます。

それで、指示薬としてはフェノールフタレインをアルコール溶液にして使います。

フェノールフタレインは、酸性や中性の溶液では無色ですが塩基性の液では赤色になります。
つまり、変色域が中性よりやや塩基性によっているのです。

ですから、フェノールフタレインを赤色にする液は必ず塩基性です。

フェノールフタレインは、液が塩基性かどうかを試すのに使われます。

また、酸を塩基で中和する反応のとき中和が完全に行われたかどうかを調べるのにも使われます。

メチルオレンジ

メチルオレンジの酸性の色は赤色、塩基性の色は黄色です。
メチルオレンジは、フェノールフタレインと同じように中和を調べる中和指示薬として使われます。

とくに、塩酸とアンモニア水のような強酸とか弱塩基の中和のときに多く使われます。

pH試験紙

指示薬にはリトマス・フェノールフタレインのほかにもいろいろなものがあります。

指示薬によっては変色域が心中性の水素イオン濃度より大きい(pHが7より小さい)ところ、つまり酸性の側にあるものと、変色域が中性の水素イオン濃度より小さい(pHが7より大きい)ところつまり塩基性の側にあるものとがあります。

ですからいろいろな種類の指示薬の試験紙をそろえておけば水溶液の水素イオン濃度、つまりpHを調べることができます。

例えば、ある水溶液のpHを調べるときにはその水溶液をいろいろな試験紙につけてみて変色域の色をしめす試験紙をみつけだせば水溶液のpHは、その試験紙の変色域の範囲にあることがわかります。

また、変色域でしめす色の調子をくわしく調べるともっとくわしいpHを決めることができます。

このように、pHを測定するためにいろいろな試験紙を組みにしたものをpH試験紙といいます。

pH試験紙には、それぞれの試験紙の変色域の色の変化を色ずりにした見本がついています。



酸と塩基の関係とは? 水素イオン濃度と水酸イオン濃度の関係とは?

純水の電離

純粋な水も、ごくわずかですが水素イオンと水酸イオンとに電離しています。


この場合、水1分子から水素イオンと水酸イオンが1つずつできるので水素イオンと水酸イオンの数は等しくなります。

このことを、水素イオンの濃度と水酸イオンの濃度が等しいといいます。

水素イオンの濃度と水酸イオンの濃度とが等しいときには酸性と塩基性が、互いに打ち消しあうのでどちらの性質もあらわれません。

ところが、純粋な水に酸を加えると酸の電離によって、水素イオンが増えるので水素イオンの濃度が水酸イオンの濃度より大きくなります。

そのため、溶液は酸性をしめすようになります。
また、純粋な水に塩基を加えると逆に、水酸イオンの濃度が水素イオンの濃度より大きくなって溶液は塩基性をしめすようになります。



水素イオン濃度と水酸イオン濃度の関係

水素イオン濃度と水酸イオン濃度とのあいだにはいっぽうが増えるるといっぽうは減るという関係があります。

そして、その関係は、いっぽうが倍になるといっぽうは半分になるという、規則正しいものです。

つまり、水素イオン濃度と水酸イオン濃度をかけあわせたものはいつも一定になるわけです。

このことは、水素イオン濃度を「H+]、水酸イオン濃度をOH]であらわすと上の式のようになります。

この式からもわかるように、水素イオン濃度が決まるとひとりでに水酸イオン濃度も決まっててしまい
どちらかいっぽうの濃度だけをかえることはできません。

つまり、酸性・塩基性の強さは、水素イオン濃度だけであらわすことができます。



酸と酸性とは? 酸の性質とは? わかりやすく解説!

アサガオの花やシソの葉からしぼりとった色水に酢やナツミカンの汁を入れると色が赤くなります。

一方、この色水に、灰じるのうわずみ液を入れると色が青くなります。

また、酢のかわりに塩酸を灰じるのかわりに水酸化ナトリウムの水溶液を使っても、同じ実験ができます。
酢や塩酸は酸とよばれ、水酸化ナトリウムは塩基とよばれます。

酢や塩酸と、灰じるや水酸化ナトリウムの水溶液とでは花の色水のかえ方が違います。

この酸や塩基は、どのような性質をもっているか調べてみましょう。


二酸化炭素の水溶液

二酸化炭素は、15℃の水に、水と同じくらいの体積が溶けこみます。

二酸化炭素の水溶液に、青色リトマス紙と赤色リトマス紙を入れると青色リトマス紙は赤くなりますが赤色リトマス紙は色がかわりません。

一方、乾いた二酸化炭素の気体の中に青色リトマス紙と赤色リトマス紙を入れてみるとどちらも色がかわりません。

しかし、この場合でも、リトマス紙が水分を吸っていたり二酸化炭素がよく乾いていないで水分をふくんでいたりすると二酸化炭素の水溶液のときと同じよう青色リトマス紙の色が赤くかわります。

これは、二酸化炭素の気体が二酸化炭素やリトマス紙にふくまれる水分といっしょになって二酸化炭素の水溶液と同じはたらきをするからです。

二酸化炭素は、水に溶けると、水と反応して図の式のように炭酸ができるのです。

この実験によって、乾いた二酸化炭素(濃硫酸を通す)は乾いたリトマス紙(塩化カルシウムデシケーターに入れる)の色をかえるはたらきがなく、水に溶けて炭酸になること青色リトマス紙の色を赤色にかえるはたらきをもつことがわかりました。

炭酸のように、青色リトマス紙の色を赤色にかえる物質を酸といいます。
また、酸のもっている性質を酸性といいます。

酸の電離

二酸化炭素が水に溶けた炭酸は、酸のはたらきをしますが炭酸そのものが酸のはたらきをするのではありません。

炭酸の一部に水とはたらきあって、左の①式のように変化しヒドロニウムイオンH3O+と炭酸水素イオンHCO3とに分かれています。

同じように、塩化水素が水に溶けると塩酸という酸になりますが塩酸では、そのすべてが水とはたらきあって上の②式のように、ヒドフニウムイオンと塩素イオンとに分かれています。

このように、酸が、ヒドロニウムイオンと炭酸水素イオンや塩素イオンのような陰イオンとに分かれることを酸の電離といいます。

酸のはたらきをするのは、炭酸や塩酸そのものでけなくて、これらが電離してできるヒドロニウムイオンH3O+なのです。

電離によってできる陰イオンは、酸のはたらきには直接関係しません。



水素イオン

酸の電離によってできるヒドロニウムイオンは酸からでる水素イオンが水の分子とむすびついてできたものです。

つまり、酸からでる水素イオンは、水中ではそのままで入れなくて必ず水の分子とむすびつき、ヒドロニウムイオンになっているのです。

しかし、ふつうは、ヒドロニウムイオンを水中の水素イオンという意味でたんに、水素イオンといっています。

ですから、ここでも、とくにヒドロニウムイオンと水素イオンH+を区別しないで、両方とも、水素イオンH+と書きあらわすことにします。

したがって.いま述べた意味での水素イオンを使って酸と酸性をいいあらわすと酸というのは電離によって水素イオンH+をつくりだす物質のことであり酸性とは、水素イオンH+のもっている性質であるということができるのです。

酸の性質

酸は、水素イオンH+をつくりだす物質ですからいろいろな酸は、水素イオンの性質を共通にもっているわけです。

つまり、酸に共通な性質は、水素イオンの性質ということになります。
水素イオンのおもな性質は、つぎのとおりです。

① 酸味をもっています。
これは、水素イオンの刺激による味です。

② 亜鉛・スズなどの金属とはたらきあって水素を発生します。
これは、これらの金属原子が、酸の中の水素イオンに電子をあたえ水素ガスにするからです。

金属は、イオンになって、水に溶けるのです。

③ リトマスのような指示薬に、酸性に特有な色をつけます。

④ 塩基と中和反応をおこします。



二酸化炭素の性質とは? わかりやすく解説!

二酸化炭素の製法

二酸化炭素は炭素や炭素の化合物を燃やす以外の方法でもつくれます。

石灰石に希塩酸をかける

石灰石のかけらをビー力に入れ希塩酸を注ぐと、二酸化炭素が泡になって発生します。 

石灰石の主な成分は、炭酸カルシウムでこれが塩酸と反心して、二駿化炭素ができるのです。

ですから、石灰石のかわりに、炭酸カルシウムを主成分とす貝殻を使っても二酸化炭素ができます。

炭酸水素ナトリウムに塩酸をかける

炭酸水素ナトリウムは、重曹といわれているものです。
ここに塩酸を注ぐと、二酸化炭素が発生します。

炭酸ナトリウムに塩酸をかける

炭酸ナトリウムは、ソーダ灰とよばれる白色の粉です。
これに塩酸をかけると、二酸化炭素ができます。
塩酸のかわりに酢(酢酸がふくまれている)を使ってもできます。


二酸化炭素の性質

二酸化炭素は、においも色もなく空気の約1.5倍も重い気体です。

この気体は燃えもせずまた、物が燃えるのを助けるはたらきもありません。

これは、水槽に高さの違うロウソクを入れて火をともし、二酸化炭素を入れると下から順に火が消えていくことでもわかります。

また、二酸化炭素は、圧力をかけると容易く液体になります。
ところが、ふつうの圧力のまま、零下78.5℃まで冷やすと液体にならずに白い固体になってしまいます。

これがドライアイスです。

このドライアイスを空中においておくとすぐに気体の二酸化炭素にもどります。

このように、気体からすぐに固体になったり固体から気体になったりすることを昇華といいます。

二酸化炭素が炭素と酸素との化合物であることは二酸化炭素の中に燃えているマグネシウムを入れてみるとわかります。

このとき、マグネシウムは、二酸化炭素の中でも燃え続け黒い粉ができますが同時に白い煙を出します。

この白い煙は酸化マグネシウムですが黒い粉は炭素がまじっているのです。

マグネシウムは、酸素とむすびつく力が非常に強く二酸化炭素をつくっている酸素と化合して酸化マグネシウムとなり炭素がススとして残るのです。



二酸化炭素の水溶液

二酸化炭素は、水に割りあいよく溶けます。
二酸化炭素を水に溶かしてみるには下の図のような装置で、二酸化炭素を丸底フラスコに集め蒸留水を20立方センチほど入れて管のついた栓をします。

これを逆さまにして水の上に立てフラスコを振ると、フラスコの中の二酸化炭素が水に溶けるので、水が上がってきます。

ところが。フラスコに、水のかわりに水酸化ナトリウムの水溶液を入れておくとフラスコに上がってくる水の勢いがかなり強くなります。

これは、二酸化炭素が酸のはたらきをし水酸化ナトリウムと化合して炭酸ナトリウムができ急に体積が減るからです。

二酸化炭素は、このように酸のはたらきをするため、炭酸ガスともよばれます。

二酸化炭素の水溶液は、弱い酸性をしめします。
しかし、これを調べる場合つぎのページの図にあるように炭酸ナトリウムに塩酸をまぜて直に水に溶かした水溶液を使うのはよくありません。

それは、この場合、できた水溶液に塩酸のしぶきが飛び込んでその塩酸のために酸性になっていることがあるからです。

塩酸のあることは、硝酸銀を加えてみると白くにごることからわかります。

塩酸のしぶきが飛び込まないようにするには水を染み込ませた綿を管につめ、この中に二酸化炭素を通せばよいのです。

二酸化炭素の利用

二酸化炭素を多量に水に溶かしたものは口に入れるとさわやかな感じがします。

それで、これに甘味や酸味をつけてラムネやサイダーのような清涼飲料水をつくるのに使われます。

また、二酸化炭素を凍らせたドライアイスは冷たい物を保存するのに利用されます。

そのほか、空気より重いこと火を消すはたらきがあることなどを利用して消火器に応用されています。




塩素とは? 塩素の性質と用途とは? わかりやすく解説!

塩素の工業的製法

塩素は、工業的には食塩水の電気分解でつくられています。

食塩水の電気分解によってつくられる塩素はふくまれる不純物も少なく、非常に濃いものです。

また、費用もたいへん安くなりますので電解法は工業的な製法としては最も便利な方法です。 


塩素の実験室的製法

実験室では、塩酸に二酸化マンガンを作用させて塩素をつくります。

このとき、塩素に混じって塩酸や塩化水素がでてきますがこれは、下の図のような装置で水中を通すと取り除くことができます。

また、乾いた塩素が必要なときには濃硫酸か塩化カルシウムの中を通します。

これらは非常に水分を吸いやすい物質なので脱水剤として使われます。

塩素を実験室でつくるとき二酸化マンガンのかわりにさらし粉CaOCl2にや過マンガン酸カリウムKMnO4などを使ってもできます。



塩素の性質

塩素はごく薄い緑色の気体で空気の約2.5倍の重さがあります。

塩素は、ほかの物質と非常に化合しやすく酸素・窒素など数種の元素を除きほとんどの元素と化合して塩化物(塩素の化合物)をつくります。

また、塩素には色素とむすびついて色をなくしてしまう作用があります。

例えば、塩素を入れた瓶に色のついた花や赤インキで書いた紙などを入れておくと色がなくなってしまいます。

このような作用を漂白作用といいます。塩素の漂白作用には、水分が必要です。

塩素は水によく溶けます。塩素の水溶液は塩素水といい、強い酸化作用があります。

それは、①式のように塩素と水が反応して次亜塩素酸という化合物ができてこれが酸素をだしやすいからです。

また、塩酸も少しできますので塩素水は酸性になります。

一般に塩素をふくむ化合物は水に溶けやすく水に溶けると塩素イオンを遊離するものがたくさんあります。

この塩素イオンは、硝酸銀を加えると右の②式のように、塩化銀の白い沈殿をつくるので見つけることができます。

また、物質が燃えるときには酸素が必要ですが物質によっては塩素さえあれば燃えるものもあります。

例えば、塩素の中に火のついたロウソクを入れると消えずにそのまま燃え続けますがこれは、ロウの成分の水素が塩素とむすびついて塩化水素ができるからです。

また、気体の水素も燃えますが水素と塩素の混合気体は火をつけたり太陽の光線を当てたりすると爆発するので、たいへん危険です。

塩素の用途

塩素は、主に塩酸・さらし粉・DDT・BHCなどの薬品の原料として使われています。

また、そのままで水道水の消毒や下水の殺菌などにも使われています。

そのほか、最近は合成樹脂工業が発達してきたためこの方面でも盛んに使われるようになってきました。

例えば、塩化ビニル・シリコーンなどは塩素が原料の一つになっています。




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