イオンと電池とは? 乾電池の仕組みとは? わかりやすく解説!

ボルタの電池

イオンになりやすいが金属とイオンになりにくい金属をうすい酸の中につけたらどうなるでしょう。

10パーセントぐらいの希硫酸に銅板と亜鉛板とをさし入れただけでは亜鉛板の表面からさかんに水素がでるだけです。

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ところが、図のような装置を組み立ててスイッチを押してみると豆電球がつくことがわかります。

また、電流計をつないでみると2つの金属板のあいだに電流が流れていることがわかります。

亜鉛は水素よりイオンになりやすいので電子を残して、亜鉛イオンとなり希硫酸に溶けだします。
亜鉛板に残った電子は、針金を通って自由に動きます。

それで、希硫酸中の水素イオンは銅板から電子を奪って水素となります。

つまり、銅板と亜鉛板をむすぶ針金の中を電子が移動するわけです。
電流の方向は、電子の流れる方向と逆にするという約束がありますのでこの装置では、銅板が陽極、亜鉛板が陰極になります。

このように、イオンの化学変化を利用して電流を生じさせる装置を電池といいます。

希硫酸中に銅板と亜鉛板を入れただけのボルタの電池は銅板の表面に細かい水素の泡がたくさんついて水素イオンが電子とむすびつくのを妨げるため実用になりません。

実用的には、これらの点を改良した、いろいろな電池がつくられています。


乾電池

乾電池は真ん中に炭素棒の陽極があり外側に亜鉛のかんがあって、これが陰極になっています。

乾電池の電極間の電圧は1.5ボルトをしめします。
乾電池の炭素棒は、ボルタの電池の銅板にあたるものです。

亜鉛は亜鉛イオンになって少しずつ減ります。
つまり、電子が余分になった状態になりやすいのですから、陰極になるわけです。

乾電池の中のイオンの動きを考えてみましょう。

陰極においては、ボルタの電池の場合と同じように亜鉛が極に電子を残してイオンになります。

この亜鉛のイオンは、電解液として入っている塩化アンモニウムが電離してできたアンモニウムイオンと反応して化学反応式にあるように錯イオンをつくります。

電解液の中に、亜鉛イオンが増えると亜鉛(陰極)がしだいにイオンになりにくくなりますがこのように錯イオンができるために亜鉛イオンの濃度は増えず、亜鉛のイオン化がすすみます。

また、陽極の炭素のところではやはり、水素イオンが電子を受け取って水素が発生しますが電解液にふくまれる二酸化マンガンと反応して水ができます。

ですから、ボルタの電池のときのように生じた水素ガスが電極の接触を妨げたり、水素が電離して電池の電圧を低くするようなこと(これを分極作用といいます)が起こりません。

乾電池のときに使われる二酸化マンガンなどの酸化剤は分極作用をなくすためのものですから消極剤、または減極剤などとよばれます。




鉛蓄電池のしくみとは? わかりやすく解説!

鉛蓄電池

乾電池は電圧が下がってしまうと、もう使えません。
しかし、鉛蓄雷池はある程度電圧が下がると外から電気を送り込むことによって、くりかえし使うことができます。 


鉛蓄電池のしくみは、陽極は二酸化鉛、陰極は鉛の板でできていてそれを互い違いにならべ、互いに触れ合わないいようにあいだにガラス繊維のマッ卜が差し込んであります。

そして、これらのものが希硫酸中につけられています。

鉛蓄電池のイオンの反応は複雑ですが陽イオンと陰イオンの反応であることに違いはありません。

電池から電気を取り出して使うことを放電といいます。
また、反対に、電池に電気を送り込んで再び放電することができるようにすることを充電といいます。

まず、放電のときについて考えてみると陰極においては、鉛が陰極に電子を残して鉛イオンとなりますがすぐに硫酸イオンと反応して溶けにくい硫酸鉛になり、陰極の表面に残ります。

このため、乾電池のときと同じように電解液の中に鉛イオンが増えることはなくイオン化はさまたげられません。



陽極においては、液中の水素イオンが陽極から電子を受け取って水素になりますが陽極の二酸化鉛に酸化されて水になります。

このとき、陽極の二酸化鉛は一酸化鉛になりますが、硫酸と反応して、やはり硫酸鉛になります。

この陽極の反応をまとめると上の化学反応式のようになります。

このようにして放電をつづけると陰極も陽極もしだいに、硫酸鉛になり、電池の起電力は下がってきます。

鉛蓄電池の陰極(鉛)と陽極(二酸化鉛)の一つの組みあわせの起電力は約2ボルトです。

これが1.8ボルトぐらいに下がったら電池に電気を送りこんでやると
放電の場合と全く反対向きの反応が起こり陰極は鉛に、陽極は二酸化鉛にもどります。

これが充電です。

なお、放電のとき、反応式を見てもわかるように硫酸液中の硫酸イオンや水素イオンが使われ、硫酸が減ってきます。

そのため、液の比重が小さくなるので比重をはかれば、電池がどのくらい使われたかがわかります。




イオン化傾向とは? 電気を使わないでメッキする方法とは?

電気を使うメッキのことはわかりましたが電気を使わないでメッキする方法があります。 

それには、金属イオンの性質をよく理解しなければなりません。
これから、金属イオンの性質と、その利用法などについて、考えることにしましょう。


電気分解によらないメッキ

3パーセントぐらいの硫酸銅の水溶液に、よくみがいた鉄くぎをつるしてしばらくそのままにしておくと、鉄くぎの表面が赤みを帯び金属の銅がくっついたことがわかります。

また、2パーセントの硝酸銀の水溶液によくみがいた銅線をつるしておくと、銅の表面に銀が析出します。

これらのことは、次のように考えるとうまく説明することができます。

硫酸銀の水溶液には、銀イオンがふくまれています。
これに銅を入れると、銅は電子を失って銅イオンとなって溶けだし溶液中の銀イオンは電子を受け取り、金属の表面につくのです。

その証拠には、長くおいた駅の色を見るとうすく銅イオンの青い色がついています。
したがって、銀よりも銅が、銅よりも鉄がイオンになりやすいことになります。

金属と水や酸

ナトリウムを水に入れると水素を発生して水酸化ナトリウムの水溶液ができますが、このことも同じように考えてよいのです。

水には水が電離して生じた水素イオンがわずかながらあります。
これにナトリウムを入れるとナトリウムのほうがイオンになりやすいためナトリウムイオンとなって溶け込み水素イオンは電子を受け取って水素原子となり、さらに、水素分子となって水素の気体を生じるわけです。

亜鉛はナトリウムイオンになりにくいため亜鉛に水を入れただけでは、水素がほとんどでません。

しかし、塩酸や硫酸のような酸だと、水素イオンが液中にたくさんあります。
亜鉛は水素より少しばかりイオンになりやすいので酸の中に浸すと、たくさんある水素イオンとの作用によって、水素を生じるわけです。

銅や銀の金属は、水の中はもちろん塩酸や硫酸の中に浸しても水素を発生しません。

このことは、銅や銀が水素イオンよりもイオンになりにくいためであると考えれげよいことになります。



イオン化列

イタリアのボルタは、多くの金属についてこのようなイオンになりやすさを研究し、1800年にその成果を発表しました。

下の表は、主な金属について、イオンになりやすいものから順に左から右にならべたものです。

これは、イオン化列とよばれています。

金属イオンになりやすいかどうかを水素を基準にして、0としてあらわした数値もこのなかにしめしておきました。

+の記号のついたものが水素よりイオンになりやすく-の記号のついたものがイオンになりにくいわけです。

この表で、+の数値の大きい金属は電気分解で金属メッキをするのがたいへんむずかしくなります。






イオンとメッキとは? 電気メッキとは? わかりやすく解説!

電気メッキ

金属は陽イオンになりやすい性質をもっていますから金属の陽イオンをふくむ溶液を電気分解すると、陰極の表面に金属のメッキをすることができないでしょうか。 

つぎのような実験をしてみましょう。


実験

①ビーカーに200立方センチの水をとりこれにつぎの薬品を順に入れ前に加えたものがよく溶けてからつぎを加えるようにしてメッキ液をつくります。

硫酸二ッケル30グラム・塩化アンモニウム3グラム・ホウ酸3グラム。

②二ッケル板を陽極にし、よくみがいてきれいにした銅板を陰極にして図のような装置を組み立て銅板の上に二ッケルメッキを行います。

このとき、陽極になった二ッケル板の表面では二ッケルが二ッケルイオンになって液に溶けこみます。

また、陰極の表面ではニッケルイオンがくっつき電極から電子をもらって金属になります。



メッキ液に加える塩化アンモニウムやホウ酸はニッケルメッキをきれいに出来上がらせる役目をもっています。

二ッケルにかぎらず、金属のイオンの陽電気をとりされば金属になるわけですからこのしくみを利用して、他の金属もメッキできます。

この実験では、ニッケルを陽極に使いましたが他のもの(炭素など)を陽極にしても陰極板にメッキすることができます。

しかし、この場合、メッキ液の中の二ッケルイオンが次第に少なくなりますからやがてメッキすることができなくなります。

たいていのメッキにおいては、このようなことがないように陽極にメッキする金属をつかいますがクロムメッキなどは陽極にクロムを用いないで、鉛や鉛の合金を使用します。




ナトリウムの製法と性質とは? わかりやすく解説!

ナトリウムの製法

ナトリウムは、水酸化ナトリウムや食塩(塩化ナトリウム)を非常に高い温度で溶かして、この液体を電気分解してつくります。
 

例えば、食塩は800℃に熱すると溶けますからこの溶けた食塩を黒鉛の陽極と鉄の陰極を使って電気分解すると陽極でナトリウムが遊離し、陰極から塩素がでてきます。

ナトリウムの性質

純粋なナトリウムは水より軽い金属です。
非常に不安定で、水に入れると水と激しく反応して、水素と水酸化ナトリウムになります。

また、空気中の酸素や水分ともすぐ反応しますからナトリウムを保存するときには石油などにつけて空気に触れないようにしておきます。

ナトリウムをふくむ化合物を炎に入れると、炎の色が黄色になります。

これを炎色反応といい、カリウムではうす赤紫色銅では濃い緑色というようにほかの金属でも見られる反応です。




塩素とは? 塩素の性質と用途とは? わかりやすく解説!

塩素の工業的製法

塩素は、工業的には食塩水の電気分解でつくられています。

食塩水の電気分解によってつくられる塩素はふくまれる不純物も少なく、非常に濃いものです。

また、費用もたいへん安くなりますので電解法は工業的な製法としては最も便利な方法です。 


塩素の実験室的製法

実験室では、塩酸に二酸化マンガンを作用させて塩素をつくります。

このとき、塩素に混じって塩酸や塩化水素がでてきますがこれは、下の図のような装置で水中を通すと取り除くことができます。

また、乾いた塩素が必要なときには濃硫酸か塩化カルシウムの中を通します。

これらは非常に水分を吸いやすい物質なので脱水剤として使われます。

塩素を実験室でつくるとき二酸化マンガンのかわりにさらし粉CaOCl2にや過マンガン酸カリウムKMnO4などを使ってもできます。



塩素の性質

塩素はごく薄い緑色の気体で空気の約2.5倍の重さがあります。

塩素は、ほかの物質と非常に化合しやすく酸素・窒素など数種の元素を除きほとんどの元素と化合して塩化物(塩素の化合物)をつくります。

また、塩素には色素とむすびついて色をなくしてしまう作用があります。

例えば、塩素を入れた瓶に色のついた花や赤インキで書いた紙などを入れておくと色がなくなってしまいます。

このような作用を漂白作用といいます。塩素の漂白作用には、水分が必要です。

塩素は水によく溶けます。塩素の水溶液は塩素水といい、強い酸化作用があります。

それは、①式のように塩素と水が反応して次亜塩素酸という化合物ができてこれが酸素をだしやすいからです。

また、塩酸も少しできますので塩素水は酸性になります。

一般に塩素をふくむ化合物は水に溶けやすく水に溶けると塩素イオンを遊離するものがたくさんあります。

この塩素イオンは、硝酸銀を加えると右の②式のように、塩化銀の白い沈殿をつくるので見つけることができます。

また、物質が燃えるときには酸素が必要ですが物質によっては塩素さえあれば燃えるものもあります。

例えば、塩素の中に火のついたロウソクを入れると消えずにそのまま燃え続けますがこれは、ロウの成分の水素が塩素とむすびついて塩化水素ができるからです。

また、気体の水素も燃えますが水素と塩素の混合気体は火をつけたり太陽の光線を当てたりすると爆発するので、たいへん危険です。

塩素の用途

塩素は、主に塩酸・さらし粉・DDT・BHCなどの薬品の原料として使われています。

また、そのままで水道水の消毒や下水の殺菌などにも使われています。

そのほか、最近は合成樹脂工業が発達してきたためこの方面でも盛んに使われるようになってきました。

例えば、塩化ビニル・シリコーンなどは塩素が原料の一つになっています。




食塩水の電気分解とは? わかりやすく解説!

食塩水の電気分解

食塩は塩化ナトリウムという電解質でできていますが
この濃い水溶液を電気分解してみましょう。



実際に実験してみると
陽極から塩素が、陰極から水素が発生することがわかります。

そして、陰極に近い水は水酸化ナトリウムの水溶液となっています。

このときの反応は、つぎのように説明されます。

① 水に溶けた食塩は、ナトリウムイオンと塩素イオンとに電離しています。

② 塩素イオンは陰イオンですから陽極に引かれ電極にくっついて、塩素原子になります。

そして、塩素原子が2個で塩素分子をつくり、水に溶けたり、気体になったりします。

③ ナトリウムイオンは陽イオンですから陰極に引かれますが陰極の材料によって様子が違います。

(A) 陰極が黒鉛や鉄でできていると水のわずかな電離でできた水素イオンが陰極にくっついて水素原子となりこれから水素分子となります。

一方、液の中には、ナトリウムイオンと水酸イオンとが残るわけですから水分を蒸発させると、水酸化ナトリウムが残ります。

(B) 陰極が水銀だと、ナトリウムイオンは一の電気と結びついて、ナトリウム原子となって水銀に溶けます。
この水銀に水を通すと、ナトリウムが反応して水酸化ナトリウムと水素になります。



ここでできた水酸化ナトリウムは強電解質ですから水に溶けている間は、ナトリウムイオンと水酸イオンとに電離していますが液を蒸発させると水酸化ナトリウムの固体としてえられます。

なお、食塩水の電気分解においては陰極にできた水酸化ナトリウムと陽極にできた塩素とが反応して塩素酸ナトリウムNaclO3ができることがあります。

これを防ぐために、食塩の工業的電気分解には陰極と陽極を隔膜で分ける隔膜法や陰極に水銀を用いる水銀法などが用いられるわけです。

食塩水は、工業的に塩化マグネシウム・硫酸マグネシウム・硫酸カルシウムなどの製造原料として大切なものですがいちばん重要な用途は、電気分解することにより塩素・水素・水酸化ナトリウム・ナトリウムなどをつくることです。

このような工業を、ソーダエ業といいます。

水酸化ナトリウムや水素の性質についてはほかのところで詳しく説明してありますからここでは、塩素とナトリウムについて調べてみましょう。






電気分解の原理とは? わかりやすく解説!

電解質の水溶液に電流を通すとイオンが電気を運ぶ役目をして電極にくっついて電気を失い、もとの物質と違う物質を生じます。 

イオンがあれば、いつもこのような電気分解が行われるかどうかこれから調べることにしましょう。


電気分解の原理

電解質の水溶液には陽イオンと陰イオンとが数多くあります。

この溶液に、2つの電極を浸して片方を電池の陽極につなぎ、もう一方を陰極につなぎます。

すると、陽イオンは陰極のほうへ陰イオンは陽極のほうへ引っぱられて動きます。

つまり、水溶液の中を電流が通るわけですが金属の中を電流が通るときと様子が違います。

金属の中では電子が動いて電流が流れることになりますが水溶液の中では、イオンが電気を運ぶので電流が流れます。

物質そのものが移動するのです。



水の電気分解

純粋な水は、ほとんど電離していませんからイオンが少なくて電流が流れません。

しかし、水酸化ナトリウムや硫酸のような電解質を溶かすと電流がよく流れるようになります。

ここでは水酸化ナトリウムを溶かした水溶液を電気分解するときのことを考えてみましょう。

水酸化ナトリウムの水溶液には陽イオンのナトリウムイオンと陰イオンの水酸イオンがたくさんあります。

このうちの水酸イオンは-の電気をもっていますから陽極に引っぱられてくっつき電極の+の電気をもらって、電気を帯びなくなります。

そして、水酸イオンの電気のなくなったものが酸素と水に変化して、陽極からは酸素が発生するわけです。

また、ナトリウムイオンは陰極に引きつけられますがなかなか電極にくっつきません。

かえって、水がごくわずか電離して生じている水素イオンのほうが陰極にくっつき、電極の-の電気をもらって電気を帯びない水素原子になってしまいます。

そして、水素原子が2個集まって水素分子となり、陰極から水素が発生します。

水酸イオンや水素イオンが少なくなると、水が新しく電離してこれを補うので結局は、水の電気分解となり、水酸化ナトリウムは変化しないことになります。

実験室で、電気分解をする場合はホフマン電解装置という図のような装置がよく用いられます。

電極のところをよく観察すると陽極から酸素が、陰極から水素が発生しているのがわかります。

水の電気分解をまとめると式にあるように、水2分子から水素2分子と酸素1分子ができる反応ですから電気分解によって生じる酸素と水素の体積は常に1対2となります。




電解質と非電解質とは? わかりやすく解説!

電解質

陽イオンや陰イオンがどのような仕組みになっているかは今までの説明でわかったことと思います。 


ところでみなさんは+電気と-電気が引きあってくっつこうとすることは知っているでしょう。

陽イオンと陰イオンもそれぞれ+電気と-電気をもっているのですからお互いに引きあってくっつきます。

例えば、+電気をもっているナトリウムイオンと-電気をもっている塩素イオンとは水溶液でないときは、お互いにくっついて、塩化ナトリウムという化合物になります。

このようにしてできている化合物は塩化ナトリウムのほかに塩化第二銅や硫酸アンモニウムなど、たくさんあります。

このような化合物は、水に溶かすと水のはたらきによってまた陽イオンと陰イオンとに分かれてしまいます。

ある物質が水に溶けてその成分の陽イオンと陰イオンとに分かれることを電離といいます。

電離するような物質の水溶液は電流をよく導き電流によって電気分解される性質があるので水に溶けて電離する物質のことを電解質といいます。



非電解質

電解質の水溶液がよく電気を導くのにたいして砂糖の水溶液は電気を導きません。

純粋な水もほとんど電気を導きませんがそれは、これらの液の中にイオンがないから電気を導かないのです。

つまり、砂糖も水も電離しにくいわけです。

水に溶けてもイオンを生じない物質は電気を通しませんし電気分解されることもありません。

それで、このような性質をもった物質を非電解質といいます。

このように、その水溶液が電流を通すか、通さないかによって物質を電解質と非電解質とに分けることができますが物質の種類によっては、どちらともつかない中くらいに電離するものもあります。

例えば、酢酸の水溶液が電気を導く程度は塩化ナトリウムの水溶液に比べると悪いですが砂糖の水溶液よりは、電気をよく導ききます。

これは、酢酸の水溶液中で酢酸は完全には電離せずほんの少ししか電離していないためです。
このような電解質を弱電解質といいます。

これにたいして、塩化ナトリウムのように水に溶けて、完全に電離してしまうような電解質のことをとくに、強電解質といいます。

また、水の分子も極めてわずかですが電離しています。
つまり、水分子1千万個について1個のわりで電離しています。

この程度では電気を導くことはほとんどできません。

しかし、水のこのわずかの電離によってできた水素イオンが電気分解のときなどには大切なはたらきをしています。




イオンとは? イオンのつくりと表し方とは? わかりやすく解説!

陽イオンと陰イオン

塩化第二銅の水溶液を電気分解するとき銅は陰極の表面につくのですから溶液中の銅は、陰極に引きつけられるような溶け方をしていると考えられます。 


それには、銅が十の電気を帯びて溶けているのにたいして塩素は一の電気を帯て溶けていると考えれば電気分解か起こる仕組みを無理なく説明づけることができます。

塩化第二銅が水に溶けたときには+の電気を帯びた銅の原子と、-の電気を帯びた塩素の原子とになっています。

ところが、水溶液に浸された電極のうち陰極のほうには-の電気がきていますから+の電気を帯びた銅の原子が引きつけられ電極の表面につきます。

ここで+と-の電気がいっしょになるために電気を帯びていない銅の原子になるわけです。

一の電気を帯びた塩素の原子は陽極に引きつけられ電気を失って塩素原子になりますが
塩素原子が2個むすびついて1個の塩素分子をつくります。

塩素分子はかなり水に溶けますが気体になって空気中に出ていくものもあります。

ここで、最初に考えたような電気を帯びた原子のことをイオンといいます。
そして+の電気を帯びた原子を陽イオン-の電気を帯びた原子を陰イオンといいます。

イオンのつくリ

原子のつくりは前に調べましたがイオンのつくりは原子のつくりとどう違うのでしょう。

原子は、+電気をもった陽子と電気をもたない中性子とがつまった原子核と
その周りを取り囲む電子とでできていました。

しかも、陽子の数と電子の数とは同じでした。
陽子がもっている十電気の量と電子がもっている一電気の量とは同じですから
原子ではそれらが互いに打消しあって電気的に+も-もしめさない中性になっています。

ところが、原子から電子をいくつか取り去ると原子から-電気の量が減るので+電気があまり原子は十電気を帯びた状態になります。

これが陽イオンです。



また、原子に他から電子が加わると-電気の量が増えるので原子は、-電気を帯びた状態になります。

これが陰イオンです。

いろいろな元素の原子のどれが陽イオンになりやすいか陰イオンになりやすいかということはその原子にふくまれている電子の数によって決まります。

いいいかえれば、元素の種類によって決まるわけです。

一般に金属元素の原子は陽イオンになりやすく非金属元素の原子は陰イオンになりやすくなっています。

また、1個の原子から電子がとれたり電子が加わったりして陽イオンや陰イオンができるだけではありません。

いくつかの原子がむすびついた原子の集団から電子がとれたり電子が加わったりして原子の集団全体として1個の陽イオンや陰イオンとなるときもあります。

例えば、硫酸の水溶液にはイオウ原子1個と酸素原子4個とからできた原子の集団に2個の電子が加わった硫酸イオンとよばれる陰イオンがふくまれています。

イオンのあらわし方

原子1個は元素記号であらわし、分子1個は分子式であらわされます。

また、いろいろな物質は化学式であらわされています。
イオンをあらわすのには元素記号と+や-の電気の量をあらわす記号とが使われています。

1個の原子が1個のイオンになった場合は、その元素記号で種類をあらわし
陽イオンの場合は元素記号の右肩に+の記号陰イオンの場合は-の記号をつけます。

そして、何個の電子が離れたり加わったりしたかによって+や-の記号にその数をあらわす数字をつけます。

また+や-の記号をその数だけならべる書き方もあります。

これをイオン式といいます。

例えば、第二銅イオンの場合は原子から2個の電子が離れて+電気を帯びるのですから銅の元素記号Cuにの右肩に+をつけます。

Cu2+または、Cu++のとなるわけです。

イオンに関係する電子の数1が1個のときは+や-に数字をつけないことになっています。




水溶液と電流の関係とは? わかりやすく解説!

水溶液と電流

水を電気分解するときに硫酸または水酸化ナトリウムを溶かしました。

これは電気の通り方をよくするためなのですがこのような物質の水溶液はいったい、どのような状態になっているのでしょう。

また、金属ナトリウムの小さい粒を水に入れると水素を出して溶けてしまいますが、どうしてそうなるのでしょう。

純粋な水は、電気を通しませんが塩化ナトリウム(食塩)や砂糖を溶かした水はどうでしょう。

まず、このことから調べていくことにします。


水溶液を流れる電気

水に砂糖を溶かしてたものに電気を流す実験をしてみても純粋な水と同じように、電気はほとんど流れません。

アルコーんを水に溶かしたものでも同じく電気を通しませんが塩化ナトリウムや塩化力んシウムを溶かした水は電気をよく通します。

いろいろな物質の水溶液についてこのような実験を行い、その結果を表にまとめると上のような表がえられます。

電気を通す物貿の水溶液に電気を通しながら、電極のところを注意して見ていると電極の表面に小さな泡がついたり、色がかわったりして変化が起こっていることを見つけることができます。



塩化第二銅の水溶液

塩化第二銅という化合物がありますがこの水溶液は、緑色がかった青い透明な液です。

これに、前の実験と同じようにして電流を通すと電圧のところで起こる変化をよく見ることができます。

この実験で、陰極の表面を見ているとしだいに色がかわって長い時間が経つと銅の色と同じ色になります。

陽極のほうからは小さな泡が出てきますがこの臭いをかぐと、くさくて鼻がつんとします。

塩化第二銅は、銅と塩素の化合物です。
この水溶液に電流を通した結果陰極には銅が、陽極には塩素がでてきたわけです。

つまり、塩化第二銅が電気分解されてその成分元素である銅と塩素とに分かれたことになります。

ところが、砂糖の水溶液は電気を通さないために同じように電気分解しようとしても変化が起こりません。

電気分解される物質は、水溶液となったときどのような溶け方をしているのでしょう。




結晶の形とは? 再結晶とは? わかりやすく解説!

結晶の形

結晶は、いくつかの平面とその平面が交わるいくつかの辺とで囲まれた立体です。
結晶には大きなものも、小さなものもあります。


また、板状のものや、針状のものなど、その形はさまざまです。

しかし、結晶の形は物質によって必ず決まっています。
結晶が小さくて、粉のように見えるものでも虫眼鏡や顕微鏡で見ると大きい結晶と同じ形であることがわかります。

例えば、塩化ナトリウムの結晶は必ず立方体の形をしています。

また、雪の1粒を虫眼鏡や顕微鏡で見ると六角形の美しい結晶であることがわかります。

氷は水の結晶がたくさん集まったものですがその1つ1つの結晶の形は雪とまったく同じものです。

雲母の結晶も六角形ですが薄くはげる性質があります。
また、水晶(石英の結晶)は結晶として代表的なものです。

これらのはっきりした結晶に比べて寒い日にガラスに凍りついた霜やトタンの表面の亜鉛の模様などは、ちょっと結晶ではないように見えますがこれらも小さい結晶の集まりなのです。

結晶の形は、このように多いのですが、そのもとになる形はあんがい少なくだいたい図にしめした14種類の形に分けることができます。



再結晶

結晶になっている物質をいちど溶液にしてその溶液からまたもとの物質を結晶として取り出すことを再結晶といいます。

再結晶をすると、結晶に混じっているごみや不純物を取り除くことができ非常に純粋な物質ができます。

実験

ごみや不純物の混じっている硫酸銅を再結晶させるには、つぎのようにします。

まず、不純物などの混じった硫酸銅の結晶を湯に溶かして、飽和溶液をつくり

これを、保温ろうとを使ってろ過します。
このとき、水に溶けないごみなどの不純物は取り除かれます。

ろ液を冷たい水の中につけ、かきまぜながら冷やして小さい結晶を析出させます。

結品が析出してきたら、これをろ過して分けとり大きいろ紙に挟んでかわかします。

このときに、水に溶けやすい不純物はろ液といっしょに取り除かれれます。
こうしてできた硫酸銅の結晶は非常に純粋なものです。

再結晶をするには、飽和溶液を冷やす方法のほか溶媒だけを蒸発させる方法や溶媒の種類をかえる方法などがあります。




結晶と沈殿、飽和水溶液とは? 沈殿の析出とは? わかりやすく解説!

飽和溶液

溶質が溶けこめるだけ溶けこんでいる溶液を飽和溶液といいます。

飽和溶液では、圧力や温度などの条件を加えないかぎり同じ溶質を入れても、それ以上溶けません。


このような、溶液に溶けこんで飽和溶液を作っている溶質を飽和に達しているといいます。

ホウ酸を100グラムの水に溶かすと50℃では11.54グラムで飽和に達します。

このホウ酸の飽和溶液を10℃に冷やすと7.97グラムのホウ酸が固体となってでてきます。

これは、10℃のときにはホウ酸3.57グラムで100グラムの水に飽和することをしめしています。
 

沈殿の析出

粘土を水に入れてかき回したものをしばらくそっとしておくと粘土が水の底に沈みます。

このように、液の中に物質がたまることを沈殿するといいまた、たまった物質を沈殿または沈殿物といいます。

粘土の場合は、はじめから円体が液中にあるわけですがホウ酸の飽和溶液を冷やした場合のように完全に液体だったものから固体がでてくることを、析出といいます。

ホウ酸の飽和溶液の実験をこのような化学の言葉を使っていいあらわすと「ホウ酸の飽和溶液を冷やすと溶解度が小さくなって、ホウ酸が析出して沈殿となる」ということになります。

沈殿というのは、液の中に沈んで淀んでいる物というような意味ですが沈殿の種類によっては、なかなか沈まないものもあります。

例えば、塩化第二鉄を希塩酸数滴でしめらせ熱湯に溶かした溶液にアンモニアを注ぐと、水酸化第二鉄の沈殿ができますがこの沈殿は、液が暖かい間は底に沈みません。

結晶

溶液から析出する沈殿の様子は溶液の濃さや温度などの条件によって、いろいろ違ってきます。

例えば、硫酸銅の飽和溶液をゆっくり冷やすと大きい粒の沈殿ができますし急に冷やすと小さな粒の沈殿ができます。

しかし、小さい粒の沈殿も大きい粒の沈殿も詳しく調べると、同じ形をしているのがわかります。

このように、物質によって形の決まっている円体の粒を結晶といいます。

一般に、物質は結品をつくりますが中には形の決まっていないものもあります。

こういう物質は非晶質といわれますがガラスは非晶質の代表的なものです。




気体の溶け方とは? 圧力・温度と気体の溶解度とは?

水が温まる様子を見ていると水を入れた器の底に泡がつきます。
この泡は、水に溶けていた空気が気体になったものです。

ここでは、気体が水に溶ける様子を調べてみましょう。


気体の圧力と溶解度

アンモニアや塩化水素などの気体は非常に水に溶けやすく、その水溶液はそれぞれ、アンモニア水・塩酸とよばれています。

これにたいして、酸素や水素などの気体はあまり水に溶けません。

また、溶質が固体や液体のときは圧力がかわっても溶解度はそれほどかわりませんが溶質が気体のときは、圧力がかわるにつれて溶解度が非常にかわります。

例えば、サイダーやビールの瓶の中は二酸化炭素の圧力が高く多量の二酸化炭素が溶解しています。

ところが瓶の栓をとると、急に圧力が下がるために二酸化炭素の溶解度も下がりそれまでサイダーやビールに溶けていた二酸化炭素の一部が、泡になって逃げ出します。

サイダーやビールの瓶を空けると泡が吹きこぼれるのも二酸化炭素の溶解度が小さくなったために起こることです。

このように、圧力をかけて気体を水に溶かすと圧力をかけないときより多く気体が溶けます。

詳しく調べると、温度を同じにしておけば100グラムの水に、1気圧で2グラム溶ける気体は2気圧では4グラム溶けることがわかります。

つまり「温度が一定ならば、気体の溶解度はその圧力に比例する」ということになります。
これをヘンリーの法則といいます。

ところが、ボイルの法則によると気体の体積は、温度が一定ならば圧力に反比例します。

したがって、圧力が2倍になると気体の体積は2分の1になります。

ですから、ヘンリーの法則は「温度が一定ならば、決まった体積の水に溶ける気体の体積は圧力がかわっても変化しない」といいかえることもできます。



温度と気体の溶解度

水を温めていくと、沸騰する前に空気が泡になって浮かび上がってきます。
これは、水が温められて空気の溶解度が減ったために起こることです。

一般に、気体の溶解度は固体の場合と違って温度が上がるとかえって減ります。
このこととは、サイダーで試すとよくわかります。

まずサイダー瓶の栓を抜くと圧力が下がるので二酸化炭素が泡になって、盛んに出てきます。

これをビーカーに注ぐとしばらくの間、泡がでますがそのままほうっておくと、しまいに泡がでなくなります。

こうなったサイダーを温めるとまた、盛んに泡がでるようになります。

下の表は、酸素や水素などの気体が1気圧のときにいろいろな温度の水1キログラムに、どれだけ溶けるかをしめしたものです。

この表で、窒素や酸素などの気体は水1キログラムに、0.1グラムも溶けないことがわかります。

つまり、空気は水にあまり溶けないわけです。
0度の水に溶ける酸素0.069グラムは体積になおすと86立方センチたらずですが
この酸素は、魚や貝など水中で生活する動物にとってはなくてはならないものです。

この表にあげた気体と違ってアンモニアや塩化水素などの気体は非常によく水に溶けます。

例えば、1気圧・0℃のときには1キログラムの水に、アンモニアは882.5グラム、塩化水素は、821.3グラムも溶けます。




溶解度と濃度とは? 溶解度曲線とは? わかりやすく解説!

溶解度

溶解度は、溶媒100グラムに溶ける溶質の量(グラム数)であらわされます。

ホウ酸と塩化ナトリウムの溶解度を比べるとわかるように溶解度は、溶媒が同じでも溶質の種類によって違います。



また、同じ溶質でも、溶媒の種類がかわると溶解度は違ってきます。

例えば、水100グラムに砂糖を溶けるだけ溶けるいつぽうで、アルコール100グラムに水に溶かしたと同じ量の砂糖を溶かします。

この場合、アルコールの濃度が濃いとアルコールに入れた砂糖はほとんど溶けず、固体のまま残ります。

また、前にも説明したように同じ溶媒、同じ溶質でも温度か違うと溶解度も違ってきます。

ですから、溶解度をあらわすには温度と溶質の種類、溶媒の種類をはっきりさせておかなければなりません。

例えば、塩化ナトリウムは20℃の水100グラムに36.0グラム溶けますから塩化ナトリウムの水にたいする溶解度は20℃で36.0であるといいます。



溶解度と濃度

濃度(パーセント濃度)は溶液100グラム中にふくまれる溶質のグラム数と同じです。

例えば、20℃で塩化ナトリウムを溶けるだけとかした水溶液では塩化ナトリウム(溶質)の溶解度が36.0ですから36.0グラムの溶質が、136グラムの溶液(水100グラム+溶質36グラム)に溶けこんでいることになります。

この溶液100グラムにふくまれる溶質の量は

で、約26.5グラムになります。
そこでこの溶液の濃度をパーセント濃度であらわすと26.5パーセントということになります。

いろいろな物質の、水にたいする溶解度を0℃から100℃まで、右のグラフにまとめました。

このような、物質の溶解度と温度との関係をしめすグラフを、溶解度曲線といいます。






溶解度とは? ホウ酸・食塩・水酸化カルシウムの溶け方とは?

物がよく溶けるという言い方には2通りの意味があります。

その1つは、物が早く溶けるということでもう1つは、物が多く溶けるということです。


溶解度というのは、ある物質かある溶媒にどれだけ溶解するかをあらわすものです。

ですから溶解度がわかればその物質がどれだけ溶解するかを知ることができるわけです。

ホウ酸のとけ方

ホウ酸は、雲母のような薄い感じのきらきらした無色の結晶です。
ホウ酸の溶液は、目薬・うがい薬・しっぷ薬などに使われます。

つぎの表は、いろいろな温度で100グラムの水にホウ酸がどれくらい溶けるかをしめしたものです。

この表をグラフにすると図のようになります。

このグラフを見ると、水の温度が高いほど多くのホウ酸が溶解することがわかります。

いま、50℃の水100グラムにホウ酸を溶かすと11.54グラム溶けるわけですがこの溶液の温度を10℃に下げるとどうなるでしょう。

10℃の水100グラムに溶けるホウ酸の量は3.57グラムですから11.54グラムとの差の7.97グラムはホウ酸の固体となり、溶液から分かれて沈みます。

ホウ酸の大きな粒と小さな粒の溶け方を比べると大きいものより小さいもののほうが早く溶けることがわかります。

一般に、溶質は溶媒の温度が高ければ高いほど多く、しかも早く溶けます。
また、溶質の粒が小さいほど、早く溶けます。



食塩のとけ方

食塩が水に溶けると、食塩水ができます。
食塩の主な成分は塩化ナトリウムですが塩化ナトリウムがいろいろな温度で100グラムの水に溶ける量はつぎの表のようになっています。

いま50℃の水100グラムに塩化ナトリウムを溶かすと37.0グラム溶けます。

この溶液を、10℃に冷やすと10℃の水100グラムに溶ける塩化ナトリウムの量は35.8グラムですからその差の1.2グラムの塩化ナトリウムが溶けきれずに固体になって沈みます。

これをホウ酸のときと比べるとずっと少ない量であることがわかります。

塩化ナトリウムの溶解度をグラフにすると図のようになります。

このグラフは、ホウ酸のグラフと比べると線の傾きが平らになっています。

この線の傾きが小さいのは温度の変化による溶解度の変化が少ないことをあらわすのです。

その反対に、グラフの線の傾きが大きいのは温度の変化による溶解度の変化が多くなることをあらわします。

水酸化カルシウムの溶け方

水酸化カルシウムは消石灰ともいわれ運動場などに白線をひくときに使われる白い粉です。

一般に、溶媒の温度が高いほど溶ける溶質の量が多くなりますが水酸化カルシウムの場合は、これと反対で水の温度が高くなるほど、溶ける量は少なくなります。

水酸化カルシウムが、いろいろな温度で水100グラムに溶ける量は、表のようになります。

この表からもわかるように水酸化カルシウムに、ホウ酸や塩化ナトリウムよりも溶解度が小さくしかも、溶媒の温度が高くなるほど小さくなっています。

この表をグラフにすると左のようになります。
このグラフは、ホウ酸や塩化ナトリウムのグラフと違って右のほうが左のほうより下がっています。

また、溶解度の変化が非常に小さいので、これまでのグラフと違って溶質の量をあらわすたての目盛りを、ずっと引き伸ばしてあります。




溶液の濃度とは? コロイド溶液とは? わかりやすく解説!

溶液の沸点と氷点

純粋な水に、一気圧のもとでは、0℃以下では氷になりますが100℃になると沸騰して水蒸気にかわります。


このことを、水の氷点(融点)は0℃であり、沸点は100℃であるといいます。

しかし、水にいろいろな物質が溶解しているとこの溶液の氷点や沸点は、純粋な水のときと違ってきます。

ビーカーに純粋な水を入れ、沸騰しているときの温度をはかりつぎに、砂糖を溶かして沸騰させ、その温度をはかって水のときと比べると違いがよくわかります。

溶質が砂糖や塩化ナトリウムのように固体であるときは、その水溶液の氷点は0℃以下となり沸点は100℃を越えるようになります。

つぎのグラフは、砂糖の水溶液の氷点と沸点とをしめしたものです。

このグラフから、氷点の下がる程度や沸点の上がる程度は、溶かした砂糖の重さに比例していることがわかるでしょう。

このことを利用して、分子量がわからない物質の分子量を実験によってもとめることもできるのです。

ここでは、純粋な溶媒に他の物質を溶かしたときに沸点や氷点(融点)がかわるということを覚えておいて下さい。

溶液の濃度

物質の溶け方を注意してみると砂糖のように非常に水に溶けやすいものと塩化ナトリウム(食塩)のようにそれほどよく溶けないものとがあります。

そこで、ある溶媒に溶質がどれだけ溶けるかとかこの溶液には溶質がどれだけ、溶けているかとかをあらわすのに溶液の濃さをはかる基準を決めておくと、たいへん便利です。

この基準を濃度といいます。

濃度のあらわし方としては、ふつうパーセント濃度が使われます。

パーセント濃度は、つぎの式のようにして計算します。

ここで注意しなければならないのはパーセント濃度は、溶質の溶液にたいする割合であって溶質の溶媒にたいする割合ではないということです。

また、濃度をあらわすのに溶液1リットルに溶けている溶質のグラム数を溶質の分子量で割った値を使うこともあります。



コロイド溶液

溶液中の溶質は分子の大きさで溶媒中に散らばっています。
そして、この溶液は色のついていることはありますがすべて透明です。

また、ろ紙を自由に通り抜けます。

ところが、溶液中に散らばっている粒子が1ミリの100万分の1から1万分の1ぐらいの大きさになるとろ紙は通り抜けますが、光の進む道をさえぎるようになります。

このくらいの大きさの粒子には1粒に原子が1000から10億個ぐらいふくまれていてコロイド粒子といわれます。

また、このコロイド粒子を含んでいる溶液をコロイド溶液といって、ふつうの溶液とは区別しています。

コロイド粒子は、ろ紙は通り抜けますがろ紙より目の細かいセロハンやポリニチレンの膜などは通り抜けません。

コロイド溶液に、細い光の筋を当てると光の進む道が、ぼんやりとにごって見えます。

このように、コロイド溶液に光の筋を当てて光の進む道が見える現象をチンダル現象といいます。

また、コロイド粒子はふつうの顕微鏡では見ることができませんが限外顕微鏡という特別な装置をつけた顕微鏡で見ると粒子のひとつひとつが光の点となって見えます。

この粒子をよく見るとひとつひとつが、あちこちと不規則に動き周っているのがわかります。

この粒子の運動を、ブラウン運動といいます。

チンダル現象とブラウン運動はコロイド粒子にだけ見られる特別な性質です。




溶解と溶液とは? 溶質と溶媒とは? わかりやすく解説!

溶解

砂糖や塩を水に溶かした液は、もとの水と見分けがつきません。

しかし、粘土を水に人れてかき混ぜた液は、にごりがひどいのでもとの水とすぐ見分けがつきます。


これは、水の中にある砂糖や塩と粘土との様子が、まるで違っているからです。

水の中に溶け込んだ砂糖や塩の粒は非常に小さくて、顕微鏡を使っても見ることができません。

砂糖や塩の粒が、分子の大きさになって水の中に入っているからです。
物質が溶けて、このような状態になることを、溶解するといいます。

砂糖や塩が水に溶解して、砂糖水や塩水になった場合はろ過をしても砂糖や塩と水を分けることはできません。

これに対して、粘土のためにごった水を顕微鏡で見ると粘土の粒が見えます。

粘土の粒は分子にくらべると非常に大きな状態で水と混ざっているからです。

物質が、このような状態になっている場合は溶解とはいいません。

これは、粘土と水のただの混合物ですからろ過をすれば、粘土と水に分けることができます。

溶液

砂糖水や塩水のように液体がある物質を溶解しているものを溶液といいます。

砂糖水や塩水は、固体である砂糖や塩が液体である水に溶解したものですが溶液には、液体が液体を溶解したものや液体が気体を溶解したものなどいろいろな種類があります。

例えば、炭酸水は水に気体の二酸化炭素がとが溶け込んだものですしアルコールを水に溶かしたものは、液体を液体に溶解した溶液です。



溶質と溶媒

溶液をつくっている物質のうち溶けているものを溶質、溶かしているものを溶媒といいます。

例えば、砂糖水では、砂糖が溶質、水が溶媒です。

溶質も溶媒も液体の場合にはどちらが溶けているのかはっきりしませんが溶液の半分以上を占めるほうを溶媒半分以下のほうを溶質といっています。

溶媒が水の溶液を水溶液、溶媒がアルコール溶液をアルコール溶液といいます。
      
例えば、海水は、塩化ナトリウムや硫酸マグネシウムなどの塩分を溶かしこんだ水溶液ですしヨードチンキは、ヨウ素とヨウ化カリウムのアルコール溶液です。

物質は、固体・液体・気体と3つの状態になりますが溶媒や溶質がいろいろな状態の場合をまとめると上の表のようになります。

上の表で、ふつう溶液というのは、サイダーやジュースのように液体の状態にあるものをいいます。

空気のように、2種以上の物質が混ざりあって気体となっているものは、ふつう混合気体といいハンダのように、固体となっているものはふつう固溶体といわれます。
 
溶液・混合気体・固溶体の3つをあわせて溶体といいますが溶液と溶体を同じ意味に使うこともあります。
 

溶質の状態

溶質が水に溶けると、見えなくなります。
しかし、溶質そのものがなくなったのではありません。

砂糖と水とを別々にはかりその合計の重さと、砂糖を水に溶かしたものの重さとをくらべると、まったく同じになっていることがわかります。

つまり、水に溶かした砂糖は見えない状態になりますが、なくなったのではないのです。

砂糖などが水に溶解したときは、分子の大きさになって水の分子の間に入りこんでいます。

それが塩化ナトリウム(食塩)の場合はナトリウムイオンと塩素イオンとにばらばらに分かれて水の分子と混ざります。

溶質は、分子くらいの粒になって水の分子と分子のすき間に入り込むのですから溶液になると、その体積はもとの水の体積と溶質の体積をたしたものより小さくなります。




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